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  • 補期逃げ・当て逃げの刑事罰
    ひき逃げ・当て逃げ(救護・危険防止義務違反)の道路交通法の罰則
    交通事故を起こした運転者は、①直ちに停車し、②負傷者の救護を行い、③道路の危険を防止する措置をとり、④警察に事故を報告することが法律で義務づけられています(道路交通法72条1項)。これに違反すれば、罰則があります。ここでは、その義務に違反したときの罰則について見ていきます。交通事故の初期対応として当事者がすべき4つの義務について詳しくはこちらをご覧ください。救護義務や危険防止措置義務に違反した場合の罰則交通事故を起こした運転者が、道路交通法72条1項に定められた救護措置や危険防止措置、警察への報告の義務に違反したときの罰則は、次の通りです。詳しくは後で見ますが、まずは一覧表にまとめておきました。違反罰則の内容救護・危険防止義務違反人身事故5年以下の懲役または50万円以下の罰金(事故車両の運転者)10年以下の懲役または100万円以下の罰金(加害車両の運転者)物損事故1年以下の懲役または10万円以下の罰金事故報告義務違反3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金負傷者がいるのに救護せず事故現場を立ち去ると「ひき逃げ」、負傷者がいなくても、物に衝突するなどして、その場を立ち去ると「当て逃げ」となります。措置義務違反の罰則「負傷者の救護」や「道路の危険防止」などの措置を怠ったときの罰則は、道路交通法第117条、第117条の5第1号で、次のように定められています。道路交通法 第117条車両等(軽車両を除く)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。道路交通法 第117条の5次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。一 第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反した者(第117条の規定に該当する者を除く)二 (略)条文中の「第72条第1項前段の規定に違反」とは、ただちに運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じなかった場合のことです。人身事故を起こしながら救護措置義務に違反した自動車等(軽車両を除く)の運転者には第117条が適用され、それ以外の場合は、第117条の5 第1号が適用されます。第117条の5 第1号は、物損事故、その他の乗務員、軽車両の運転者が対象となります。人身事故での救護措置義務違反自動車等(軽車両を除く)による人身事故で、救護措置義務に違反した運転者には第117条が適用されます。第117条 第1項第1項は、交通事故により人が死傷していることを知りながら、救護措置義務を果たさなかった運転者に対する罰則を定めたものです。「当該車両等の交通による人の死傷があつた場合」とは、交通事故のうち、人身事故があった場合ということです。「交通による」とは、車の運転によって生じた事故に限らず、例えば、坂道に駐車していた車が動き出して事故を起こした場合なども該当します。こういう場合も当然、その車両の運転者に救護義務が発生します。そもそも救護措置義務は、交通事故の発生に責任があるかどうかは関係なく、事故の当事者となった車両の運転者等すべてに課されます。ですから、第1項は、人身事故があった場合に、その事故の当事車両の運転者が救護措置義務に違反したときに成立します。第117条 第2項第2項は、人身事故における救護措置義務違反の中でも、特に、事故原因がその運転者の運転に責任があったときは、罰則を重くするという規定です。つまり、みずからの運転が原因で人身事故を起こしながら、救護措置義務を果たさなかった運転者には、罰則を重くするということです。分かりやすく言えば、「ひき逃げ」に対しては、罰則を重くするということです。「人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるとき」とは、その運転者の運転によって、人の死傷をともなう交通事故が発生した場合です。運転者の運転と交通事故による人の死傷との間に相当因果関係が認められる場合で、一般的には、過失運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第5条)が成立するような場合には、この条項が適用されます。飲酒や薬物の影響で正常な運転ができない状態で交通事故を起こした場合には、さらに重い危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第2条~4条)が適用されます。被害者が死亡する認識を持ちながら救護せず放置した場合には、殺人罪(刑法199条、死刑または無期もしくは5年以上の懲役)や殺人未遂罪(刑法203条)となることもあります。物損事故や軽車両による事故での措置義務違反物損事故や軽車両(自転車など)による交通事故における救護措置義務違反等に対しては、道交法第117条の5第1号が適用されます。道交法第117条の5第1号は、第117条に規定された自動車等の運転者による人身事故の場合の措置義務違反を除き、すべてが対象となります。事故報告義務違反の罰則警察へ交通事故の報告義務に違反した場合の罰則は、道路交通法第119条1項10号で、次のように定められています。道路交通法 第119条次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。一~九 (略)十 第72条(交通事故の場合の措置)第1項後段に規定する報告をしなかつた者交通事故を起こしたときの警察への報告義務は、一次的には運転者に責任があり、運転者が死傷しやむを得ないときは、その他の乗務員に報告義務が生じます。ですから、報告義務違反の罰則の対象は、原則的には運転者です。なお、警察への事故報告を怠ると、交通事故証明書の交付を受けられず、保険金の請求ができなくなってしまいます。まとめ人身事故を起こしながら救護措置義務を果たさなかった運転者に対しては、重い罰則が科されます。人身事故の原因が運転者の過失の場合は、通常、過失運転致死傷罪も成立します。飲酒や薬物の影響で正常な運転ができない状態で交通事故を起こした場合には、さらに重い、危険運転致死傷罪が適用されます。ひき逃げ事故に遭い、加害車両を特定できない場合は、政府の自動車損害賠償保障事業に損害の填補を請求することができます。政府の自動車損害賠償保証事業とは? 対象となる自動車事故とは?政府保証事業と自賠責保険・自賠責共済の違いとは?交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版
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  • ひき逃げに遭ったときの損害賠償請求
    ひき逃げ事故に遭ったとき治療費など損害の賠償請求は?
    ひき逃げ事故に遭い、加害者が逃走し不明のままだと、相手の自動車保険会社から治療費を支払ってもらうことも、逸失利益や慰謝料などの損害を賠償請求することもできません。こういう場合は、国に、損害の填補を請求することができます。ひき逃げ事故の被害者は、国に保障金を請求できる通常、自動車事故で負傷したときは、相手の任意自動車保険の担当者が、治療費の支払いをはじめ、損害賠償額の計算から支払いまで全ての手続きをしてくれます。いわゆる「任意保険会社による一括払い」が行われます。ところが、ひき逃げ事故に遭い、加害者も加害車両も不明の場合には、加害者に損害賠償を請求することも、相手の自動車保険から支払いを受けることもできません。治療費は、被害者自身が病院に支払わなければなりません。加害者が判明しなければ、被害者の負担のままです。治療費だけでなく、怪我のために休業を余儀なくされた場合の休業損害、将来の収入が減少することによる逸失利益、精神的損害に対する慰謝料など、被った損害の賠償を加害者に請求できません。こういう場合に備えて、被害者を救済するために用意しているのが、政府(国土交通省)が運営する自動車損害賠償保障事業です。「政府保障事業」と呼ばれます。ひき逃げ事故の被害者は、政府保障事業に対し、保障金(損害の填補)を請求できます。政府の自動車損害賠償保障事業とは?国は、自動車事故による被害者の保護を目的に、自動車損害賠償保障法(自賠法)を制定し、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)制度を整えています。自賠責保険による被害者救済制度の限界運行車両に自賠責保険の契約締結を義務づけ(自賠法5条)、自動車の保有者に損害賠償責任が発生したときには、自賠責保険から保険金が支払われる仕組みです(自賠法11条)。さらに、加害者が、被害者に損害賠償金を支払わない場合でも、被害者は、加害者の加入する自賠責保険に対し、損害賠償額の支払を請求できる直接請求権も法定しています(自賠法16条)。こうして、万が一、事故を起こしたドライバーに賠償資力がなくても、被害者が最低限の補償を受けられるようにしているのです。しかし、ひき逃げ事故のように、事故を起こした自動車の保有者が分からない場合には、被害者は相手方自賠責保険から損害賠償額の支払を受けることができず、自賠法(自動車損害賠償保障法)の目的である「被害者の保護を図る」ことができません。そこで、自賠責保険制度を補完し、自賠責保険による救済を受けられない被害者を保護するため、国が、被害者の損害を填補する制度を設けているのです。国が保障するのは、損害賠償ではなく、損害の填補です。損害賠償責任は加害者にあり、国は、あとで加害者が判明すれば求償する仕組みです。政府保障事業の内容政府保障事業は、自賠責保険制度を補完するものであり、必要最小限度の救済を保障することを目的とした社会保障政策上の見地からの制度です。政府保障事業による填補金の支払い限度額は、自賠責保険の保険金の支払い限度額と同じです(自賠法施行令20条)。さらに、政府保障事業は、他の法令による給付を受けてもなお填補しきれない損害につき、限度額の範囲で被害者の損害を填補する仕組みなので、労災保険や健康保険など他の法令による給付を受けられる場合は、その給付金に相当する額が控除されます。他の法令による給付との調整について詳しくはこちらをご覧ください。政府保障事業に請求する場合は、事故が労災に該当する場合は労災保険の適用を受け、労災でない場合は健康保険等を使って治療するなど、他の社会保険給付を受けることが必要です。被害者にも過失がある場合は、過失相殺されます。かつては、一般の損害賠償と同じ過失相殺率が適用されていましたが、2007年(平成19年)4月1日以降の事故については、自賠責保険と同様に重大な過失がある場合のみ減額する「重過失減額」が採られています。政府保障事業に対する請求治療費は、とりあえず被害者が、健康保険等の一部負担金(患者の窓口負担分)を支払わなければなりません。労災保険の場合は、治療費の自己負担はありません(⇒ 労災保険のメリット)。治療が終わった段階で(後遺症が残る場合は症状固定の日から)、政府保障事業に対し、治療費の負担分を含めて損害の填補を請求することができます。政府保障事業への請求は損保会社の窓口で受付政府保障事業に対する請求は、自賠責保険を扱っている損害保険会社で受付しています。必要書類を保険会社の窓口に提出することで、請求手続が進行します。請求の受付をした保険会社は、損害調査を損害保険料率算出機構に委託します。その損害調査の結果をもとに国土交通省が填補額を決定し、その結果にもとづき保険会社が被害者に保障金(填補額)を支払う流れです。政府保障事業に対する填補請求権の時効に注意政府保障事業に対する填補請求権は、3年で時効により消滅します(自賠法75条)。消滅時効の起算日は、傷害については事故の日、後遺障害については症状固定の日、死亡については死亡の日です。時効期間・時効起算日も、自賠責保険に対する直接請求権の消滅時効と同じです。時効により請求権が消滅してしまわないうちに請求することが大切です。なお、加害者とみられる者との間で、自賠法3条による損害賠償請求権の存否についての争いがある場合には、その請求権が存在しないことが確定した時から、保障事業に対する填補請求権の消滅時効が進行すると解されています(最高裁判決・平成8年3月5日)。まとめひき逃げ事故に遭い、加害者や加害車両が不明の場合は、自賠責保険から支払いを受けられませんが、そんな場合、被害者は、政府の自動車損害賠償保障事業に対し、損害の填補を請求することができます。おおむね自賠責保険と同程度の金額の支払いを受けることができます。なお、政府保障事業は、他の法令による給付を受けることを前提としており、その給付金を受けてもなお不足する損害額につき、限度額の範囲で填補する仕組みです。ですから、事故が労災適用となるときは労災保険給付を受け、労災でない場合は健康保険等を使って治療をするなど、社会保険給付を受けることが必要です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。関連政府保障事業について、さらに詳しくは次のページをご覧ください。自動車損害賠償保障事業とは? 保障事業の対象となる事故とは?政府の自動車損害賠償保障事業と自賠責保険・自賠責共済との違い政府の自動車損害賠償保障事業に対する請求手続と消滅時効【参考文献】・『新版 逐条解説 自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 221~236ページ・『逐条解説 自動車損害賠償保障法 第2版』弘文堂 225~241ページ・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞社 176~180ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 36~41ページ・『交通事故損害賠償保障法 第3版』弘文堂 400~402ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 322~324ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 359~365ページ・『交通事故事件の落とし穴』新日本法規 162~165ページ
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  • ひき逃げ
    自動車損害賠償保障事業とは?保障事業の対象となる事故とは?
    ひき逃げや無保険車による事故の場合、被害者は、相手方の自賠責保険・自賠責共済から損害賠償額の支払を受けられません。このように、被害者が自賠責保険や自賠責共済による救済を受けられない場合、被害者は、自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)に対し、損害の填補を請求できます。自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)とはどんなものか、どのような場合に政府保障事業の対象となるのか、詳しく見ていきましょう。政府保障事業とは?自動車の運行による人身事故で負傷した被害者は、本来なら少なくとも、加害車両に付保されている自賠責保険・自賠責共済により、損害の填補を受けることができます。「自動車は、責任保険の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない」と、自賠責保険(自賠責共済を含む)の契約締結が、法律で義務付けられているからです(自賠法5条)。自賠責保険制度でも被害者が救済されないケースがあるしかし、ひき逃げ事故に遭った場合には、加害者・加害車両を特定できないため、加害者に損害賠償を請求することも、加害車両に付保された自賠責保険に損害賠償額の支払を直接請求することもできません。あるいは、加害者が判明している事故でも、加害車両に自賠責保険が付保されていない無保険車の場合には、加害者側に賠償資力がなければ、損害賠償を受けることができません。これでは、「自動車の運行によって人の生命・身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより、被害者の保護を図る」(自賠法1条)という自賠法の目的を達成することはできません。自賠責保険制度を補完する最終的救済措置そこで、ひき逃げや無保険車による事故に遭い、自賠責保険制度による救済すら受けられない被害者の保護・救済を図る目的で、政府が保障事業を行うことを自賠法で規定しているのです(自賠法71条)。また、政府保障事業は、国による最終的な救済措置という位置づけであることから、被害者が、健康保険法や労災保険法その他政令で定める法令に基づいて損害の填補に相当する給付を受けるべき場合、あるいは損害賠償責任を負担する者から損害賠償を受けたときは、それらの額に相当する額を控除して支払う、と規定しています(自賠法73条)。つまり、政府保障事業とは、自賠責保険制度による救済すら受けられない、ひき逃げや無保険車による事故に遭った被害者に対し、健康保険や労災保険等の他の社会保険給付や損害賠償責任者の支払いによっても、なお被害者に損害が残る場合に、法定限度の範囲内で、政府がその損害を填補する制度です。すなわち、政府保障事業は、自賠責保険制度を補完し、各種の保険制度によっても救済されない被害者を保護する最終的救済措置です。保障事業に対する請求権は、損害賠償請求権ではない政府保障事業に対する請求権は、民事上の損害賠償請求権ではなく、自賠法(自動車損害賠償保障法)によって創設された請求権です。この点につき、判例は、政府保障事業の目的が「等しく交通事故の被害者でありながら自賠責保険によっては全く救済を受けることができない者が生じるのは適当でないとして、社会保障政策上の見地から特に、とりあえず政府において被害者に対し損害賠償義務者に代わり損害の填補をすることによって、……特殊の場合の被害者を救済することにするため」であることからすれば、「政府の保障事業による救済は、他の手段によっては救済を受けることができない交通事故の被害者に対し、最終的に最小限度の救済を与える趣旨のものであると解するのが相当」としています。(最高裁第3小法廷判決・昭和54年12月4日)政府保障事業に被害者が請求できるケース被害者が政府保障事業に請求できるのは、次の場合です(自賠法72条1項)。加害自動車の保有者が明らかでない場合(自賠法72条1項前段)自賠責保険の被保険者以外の者が損害賠償責任を負う場合(自賠法72条1項後段)自賠法72条1項は、次のように定めています。自賠法72条1項政府は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第3条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第3条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第10条に規定する自動車の運行によって生ずる場合を除く)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。※後段カッコ内の「第10条に規定する自動車」とは、自賠責保険の適用除外車のことです。適用除外車の運行によって生じる損害賠償責任は、政府保障事業の対象から除外されます。加害自動車の保有者が明らかでない場合保有者が明らかでない場合というのは、ほとんどが、加害者および加害車両が不明の「ひき逃げ事故」です。加害車両は判明しているが、加害者が不明の場合(加害車両が本来の保有者の管理責任が及ばない盗難車で、運転していた者が不明の場合等)も、このケースに該当します。自賠責保険の被保険者以外の者が損害賠償責任を負う場合自賠責保険の被保険者でない者が賠償責任を負う場合とは、無保険車の運行による事故、盗難車の運行による事故、自賠責保険適用除外車の運行による事故、の3つのケースがあります。ひき逃げ事故ひき逃げ事故の場合は、加害者も加害車両も不明です。被害者は、加害者に損害賠償請求することも、加害車両の自賠責保険に対し直接請求(被害者請求)することもできません。このような場合、被害者は、政府の保障事業に損害の填補を請求することができます。なお、加害者と疑われる人物がいたとしても、本人が否定したり事実関係を争っているような場合は、損害賠償請求権の時効消滅を避けるため、とりあえず保有者不明のひき逃げ事故として取り扱う運用がされています。ひき逃げ事故に遭ったとき治療費など損害の賠償請求は?無保険車の運行による事故自賠責保険に加入していない、いわゆる無保険車の運行による事故の場合、自賠責保険に対する被害者請求はできません。加害車両の運行供用者には、運行供用者責任(損害賠償責任)が発生しますから(自賠法3条)、賠償責任を追及することは可能ですが、賠償資力がなければ、泣き寝入りです。このような場合、被害者は、政府保障事業に損害の填補を請求できます。なお、保険契約の始期前も、無保険に含まれます。保険責任の始期は、通常、契約が成立したときですが、保険契約者の希望で保険責任の始期が送れることもあります。このような保険責任の始まっていない自動車を運行の用に供することは、自賠法5条違反です。この場合も、政府保障事業へ請求することができます。交通事故の加害者が自賠責保険に入っていないとき盗難車の運行による事故自賠法は、自動車の運行によって他人を死傷させたとき、損害賠償責任を負うことを定めています(運行供用者責任=自賠法3条)。他方で、自賠責保険は、車両の保有者に損害賠償責任(運行供用者責任)が発生したときに、保険金を支払うと規定しています(自賠法11条)。保有者とは、自動車の所有者や正当な使用権を有する者のことです(自賠法2条3項)。盗難車の運行(泥棒運転)による事故の場合、泥棒運転した運転者は、運行供用者として損害賠償責任は発生しますが、保有者ではないので自賠責保険から保険金は支払われません。この場合、被害者は、政府保障事業に損害の填補を請求することができます。ただし、盗難車(泥棒運転)による事故の場合であっても、盗難車両の保有者に運行供用者責任が発生するときは、自賠責保険の支払い対象となります。保有者に損害賠償責任が発生するかどうかは、自動車の保管・管理の状況、盗難から事故までの経過時間などから総合的に判断されます。自賠責保険の適用除外車の運行による事故自賠責保険の適用除外車(自賠責保険の契約締結が強制されない自動車=自賠法10条・同法施行令1条の2)の運行による事故は、政府保障事業の対象から除外されています(自賠法72条1項)。適用除外車とは、自衛隊・在日米軍・国連軍の車両と、道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車(いわゆる構内専用車)です。これらが自賠責保険の強制適用を除外されているのは、自賠責保険制度によらなくても、賠償資力があり被害者の保護・救済の目的が達成できるからです。自衛隊・在日米軍・国連軍の自動車が事故を起こしたときは、国が賠償責任を負います。また、構内専用車は、もっぱら公道以外の限定された場所のみで運行され、構内で事故があった場合は労災保険など他の制度で損害回復が可能であり、保有者に相応の賠償資力があると想定されます。したがって、適用除外車の運行による事故は、当該車両の保有者に、損害賠償請求を行うこととなります。適用除外車の事故で、政府保障事業の対象となるケース適用除外車は、基本的に政府保障事業の対象となりませんが、例外として、構内専用車が移動のため一時的に公道を走行し、道路上で人身事故を起こした場合は、無保険車による事故と同じですから、政府保障事業の対象となります。適用除外車による事故が政府保障事業の対象となる場合について、最高裁判例があります。最高裁第3小法廷判決(平成5年3月16日)自賠法10条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」であっても、その本来の用途から外れて道路上を走行中に事故が発生して、自動車損害賠償責任保険の被保険者以外の者の自賠法3条の規定による損害賠償責任が生ずる場合には、右事故につき、自賠法71条に規定する政府の自動車損害賠償保障事業の適用があるものと解するのが相当である。まとめひき逃げや無保険車による事故の場合、被害者は、自賠責保険による救済を受けられません。このような場合、被害者は、政府の自動車損害賠償保障事業に損害の填補を請求することができます。政府の自動車損害賠償保障事業は、自賠責保険制度を補完し、各種の保険制度によっても救済されない被害者を保護する最終的救済措置です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『新版 逐条解説 自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 221~223ページ・『逐条解説 自動車損害賠償保障法 第2版』弘文堂 226~228ページ・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞社 176~177ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 36~38ページ・『交通事故損害賠償保障法 第3版』弘文堂 400~402ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 322~324ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 359~365ページ
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