交通事故トラブル解決ガイド|損害賠償請求・示談交渉の悩みを解決!

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  • 自動車保険の支払方法
    加害者側の自動車保険から被害者が損害賠償額の支払を受ける方法
    自賠責保険と対人賠償責任保険の被保険者は、人身事故により損害賠償責任を負った加害者です。本来、被保険者として保険金の支払いを請求できるのは、加害者です。他方で、被害者が、加害者の加入している自賠責保険や対人賠償責任保険から、直接、損害賠償額の支払いを受けることもできます。2つの方法があり、どちらの方法で損害賠償額の支払いを受けるかは、被害者が選択できます。自動車保険の構造と被害者の直接請求権まず、自賠責保険と任意保険の関係、被害者の直接請求権について、簡単に見ておきましょう。自賠責保険と任意保険の違いについて詳しくはこちらをご覧ください。自動車保険は強制保険と任意保険の2階建て構造自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。自賠責保険は、保険契約が法律(自動車損害賠償保障法)で義務付けられた強制保険です。対人賠償を補償する保険で、支払基準は国が定め、最低限の補償にとどまります。任意保険は、加入が任意・自由な自動車保険です。自賠責保険でカバーされない損害を補償する保険で、支払基準は各保険会社が定めます。事故の相手への損害賠償を補償する保険(対人・対物賠償責任保険)と、自身の怪我や物損を補償する保険(人身傷害保険や車両保険など)があります。任意保険の種類はこちらをご覧ください。対人賠償については、自賠責保険が最低限の補償をし、不足分を対人賠償責任保険が上積みしてカバーする 2階建て構造となっています。対人賠償責任保険が支払うのは、損害賠償額のうち、自賠責保険によって支払われる金額を超過する部分だけです。自動車保険標準約款は、対人賠償責任保険に関し、「被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害の額」が、「自賠責保険等によって支払われる金額」を超過する場合に限り、その超過額に対してのみ保険金を支払うと定めています(標準約款第1章2条2項)。自賠責保険・対人賠償保険に対する被害者の直接請求権自賠責保険と対人賠償責任保険に対し、被害者が損害賠償額の支払いを直接請求することができます。被害者請求ともいいます。自賠責保険に対する被害者の直接請求権は、自賠法(自動車損害賠償保障法)第16条1項と第17条1項で、対人賠償責任保険に対する被害者の直接請求権は、自動車保険標準約款第1章11条1項で、それぞれ定めています。自賠法16条1項(保険会社に対する損害賠償額の請求)第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。※第3条の規定とは、運行供用者責任(自動車損害賠償責任=自賠法3条)についての規定です。自賠法17条1項(被害者に対する仮渡金)保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によって他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を第16条第1項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。自動車保険標準約款第1章11条1項(損害賠償請求権者の直接請求権―対人賠償)対人事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して第3項に定める損害賠償額の支払を請求することができます。自動車保険に被害者が直接請求して支払を受ける2つの方法それでは、被害者が、加害者の加入している自動車保険から損害賠償額の支払いを受ける2つの方法について、見ていきましょう。加害者側の自動車保険から、被害者が直接支払いを受ける2つの方法とは?被害者が、加害者の加入している自賠責保険や対人賠償責任保険から、損害賠償額の支払を受ける方法とは、次の2つの方法です。先に自賠責保険から支払いを受け、不足額を任意保険から支払いを受ける方法任意保険から自賠責保険分を含めて一括で支払いを受ける方法上で見たように、対人賠償責任保険(任意保険)は、自賠責保険の支払額で足りない金額を補填する保険ですから、まず自賠責保険の支払いを受け、その上で、不足する額を任意保険から支払いを受ける、というのが本来の姿です。ですが、この方法だと、自賠責保険と任意保険の両方に請求しなければならず、手間がかかります。そこで、任意保険会社が、自賠責保険分を含めて一括で支払うサービスを行っています。任意保険会社が立て替えて支払った自賠責保険分は、あとで自賠責保険に求償する仕組みです。自賠責保険分を先に支払を受けるか、任意保険会社に自賠責保険分を含めて一括払いしてもらうか、いずれの方法で損害賠償額の支払を受けるかは、被害者が選択できます。たいていは任意保険会社による一括払いを選択しますが、先に自賠責保険に直接請求して支払いを受ける方が、最終的に受領できる損害賠償額が多くなる場合がありますから、慎重に考えて選択することが大切です。自賠責保険に対する直接請求について詳しく見る任意保険会社による一括払いについて詳しく見る任意保険会社による一括払い対応を希望する場合は、任意保険会社に一括払いの同意書を提出すればよいだけです。もし、一括払いに同意していても、自賠責保険に直接請求したいときは、同意を撤回すれば、いつでも任意保険会社による一括払いを中止できます。先に自賠責保険に請求して支払を受ける方がよいケースとは?先に自賠責保険に直接請求をして、不足額を後で任意保険に請求する方法がよいのは、次のようなケースです。被害者の過失が大きい場合被害者の過失が大きい場合は、先に自賠責保険から支払いを受ける方が、最終的に受領できる損害賠償額が多くなる可能性があります。任意保険会社による一括払いは、過失割合に応じて厳格に過失相殺するので、被害者の過失割合が大きいと、それだけ損害賠償額が減ります。例えば、被害者の過失割合が6割だったとすると、損害額の4割しか賠償を受けられません。6割が過失相殺により減額となります。それに対し、自賠責保険は、被害者の保護・救済を目的としていますから、被害者に7割以上の重大な過失がある場合に限り減額し、しかも、減額の割合が通常の過失相殺と比べて小さいのです。例えば、被害者の過失が6割だったとしても、自賠責保険は過失相殺せず支払われます。自賠責保険の支払額を超える損害賠償額があれば、その超過額については任意保険が6割の過失相殺をして支払うことになります。 後遺症が残り、後遺障害等級の認定を受ける場合後遺症が残る場合は、認定される後遺障害等級によって損害賠償額が決まるので、適正な後遺障害等級の認定を受けることが重要になります。任意保険会社による一括払いの場合は、任意保険会社が、自賠責に後遺障害の認定を受けるための申請書類を出します。保険会社が手続きをしてくれるので被害者は手間がかからないのですが、形式的に書類をそろえて申請するだけですから、後遺障害が非該当となったり、低い後遺障害等級しか認定されないことが少なくないのです。ですから、後遺障害等級の認定を受ける際には、被害者が、自賠責に直接請求する方がよいのです。ただし、この場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼することが大切です。このほかにも、先に自賠責保険に直接請求しておく方が良い場合もあります。詳しくは、次のページをご覧ください。相手の自賠責保険に被害者請求した方が得する4つのケースまとめ被害者が、加害者の加入している自動車保険(自賠責保険・任意保険)から支払いを受けるには、①自賠責保険から支払いを受け、その上で不足する額を任意保険から支払いを受ける方法、②任意保険会社から、自賠責保険分を含めて一括で支払いを受ける方法、の2つの方法があります。いずれの方法で支払いを受けるかは、被害者が選択することができます。任意保険会社による一括払いの方が便利ですが、先に自賠責保険に直接請求して損害賠償額の支払いを受ける方が、最終的に受領額が増え、有利な結果となる場合がありますから、慎重に選択することが大切です。お困りのことがあれば、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社 28~30ページ、56~62ページ
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  • 加害者請求と被害者請求の違い
    自賠責保険・自賠責共済の加害者請求と被害者請求(直接請求)の違い
    自賠責保険・自賠責共済の保険金・共済金の請求には、被保険者による保険金・共済金の請求(加害者請求)と、被害者による損害賠償額の請求(被害者請求・直接請求)があります。被害者請求は、本請求のほか、仮渡金請求もできます。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ仕組みです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。加害者請求(15条請求)自賠責保険は、被保険者が損害賠償した後に、被保険者が保険会社に保険金を請求し、支払い手続きがなされるのが本来の姿です。保険金は、加害者が損害賠償金を支払ったことにより発生する損害を填補するものだからです。このように、被保険者である加害者が保険金の支払いを請求する方法が、「加害者請求」です。被保険者とは、保険事故が発生したときに、契約上定められた保険給付(保険金の支払い)を受ける立場にある人のことです。自賠責保険では、自動車の保有者と運転者が被保険者です。自動車の保有者・運転者については、次のように規定されています。保有者自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの運転者他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者※自動車損害賠償保障法(自賠法)第2条より抜粋。被保険者(加害者)による保険金の請求は、自動車損害賠償保障法(自賠法)第15条で規定されていることから「15条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、自賠法第23条の3第1項において準用が規定されています。自賠法第15条(保険金の請求)被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。被保険者が被害者に対して損害賠償金を支払った限度でしか保険金の支払いを請求できないのは、被保険者が保険金を被害者に対して支払わず着服してしまうことを防ぎ、被害者の救済を確実に保障するためです。被害者請求(直接請求・16条請求)被害者が加害者から損害賠償を受けられない場合、加害者の加入している自賠責保険に直接、損害賠償金の支払いを請求することができます。これが「被害者請求」です。「直接請求」ともいわれます。このとき、被害者が保険会社に請求するのは、保険金ではなく損害賠償金なので、被害者請求は「損害賠償額の請求」となります。被害者請求は、自賠法第16条で規定されているので「16条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、第23条の3第1項において準用が規定されています。自賠法第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)第1項(抜粋)保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。※「政令で定めるところにより」とは、損害賠償額の支払の請求は、必要な事項を記載した書面をもって行わなければならないということです。「16条請求」の要件16条請求は、「保有者の損害賠償の責任が発生したとき」に行うことができます。これは、保険金の支払い要件(自賠法11条)と同じです。保有者に損害賠償の責任はない(=運行供用者責任はない)と、自賠責保険会社が判断したときは、損害賠償額の支払いを受けることができません。加害者請求は、示談が成立しない場合や被保険者が損害賠償金を支払わない場合には保険金の請求ができません。これでは、被保険者の都合などで、被害者がいつまでたっても損害賠償金を受け取れない恐れがあります。そこで自賠責保険は、被保険者に損害賠償責任が生じた場合、被害者が直接保険会社に対して損害賠償額の支払いを請求できる制度になっているのです。加害者が死亡したり、逃げてしまった場合でも、被害者が直接請求することができます。被害者が加害者の自賠責保険に直接請求できる権利は、迅速で実効性ある被害者保護を実現するために自賠法によって特別に付与された権利で、「被害者請求権」または「直接請求権」と呼ばれます。被害者は自賠責保険の契約当事者ではありませんから、この請求権は契約にもとづく権利でなく、自賠法による法定の請求権です。直接請求と仮渡金請求被害者請求には、直接請求のほか、仮渡金請求の制度もあります。直接請求(本請求)本請求は、被害者の治療が完了し、損害額が確定した段階で行う請求です。自賠責保険の支払額が被害者の損害額に満たないときは、その差額(不足額)を加害者に請求することになります。加害者が任意保険に加入している場合は、差額を任意保険に請求します。仮渡金請求損害賠償額が確定して正式に賠償金が支払われるまでに、被害者側で、当面の治療費や生活費などの出費がかさみ、負担が大きくなることがあります。仮渡金は、損害額が確定する前や示談交渉中でも、被害者が請求すれば、損害額の一部前渡しができる制度です。仮渡金請求について詳しくはこちら内払金請求以前は、内払金請求もありました。治療費や入院費などの支払いが10万円を超えたときに、被害者・加害者を問わず請求できるというものでした。保険会社がサービスとして自発的に内払制度をつくっていましたが、利用率が低く、損害額が確定したごとに本請求すれば足りることから、2008年(平成20年)10月1日に廃止されました。まとめ自賠責保険(自賠責共済を含む)への保険金の支払い請求の方法には、加害者請求と被害者請求があります。本請求と仮渡金請求があります。加害者請求は本請求のみですが、被害者請求には仮渡金請求と本請求があります。加害者請求が、保険契約にもとづく保険金請求の方法です。被害者の損害が確定し、加害者が被害者に賠償金を支払った場合、その支払額の範囲内で保険金請求できます。被害者請求は、被害者が、相手方の自賠責保険に対し、損害賠償額の支払いを直接請求できる制度です。これは、自賠法で定められた特別の制度です。被害者請求には、損害額が確定する前にも請求可能な仮渡金請求の制度もあります。治療費など当座の費用が必要なときに利用するとよいでしょう。加害者の側が任意保険に加入していれば、任意保険会社による一括払いが普通ですから、被害者が相手方自賠責保険に直接請求する必要はありません。ですが、被害者が、相手方の自賠責保険に直接請求した方が、より多くの賠償金を受け取ることができ有利になる場合がありますから、検討してみるとよいでしょう。被害者請求する方が得する4つのケースお困りのことがあったら、保険会社との交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 免責事由でも被害者請求可能
    自賠責保険・自賠責共済は免責事由に該当しても被害者請求は可能
    自賠責保険(自賠責共済を含む)は、保険契約者・被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、損害の填補が免責されます。これを悪意免責といいます。悪意免責に該当する場合には、被保険者(損害賠償の責任を負う加害者)が保険金の支払いを請求しても、保険会社は免責を主張できます。しかし、悪意免責に該当する場合でも、被害者が直接、自賠責保険に賠償金の支払い請求したときは、免責を主張できません。被害者請求した場合には、損害賠償額が支払われます。免責事由に該当しても、なぜ被害者請求は可能なのか?免責事由に該当しても、なぜ被害者請求ができ、保険会社は支払いを拒否できないのか?簡単にいえば、法律に定めがあるからです。自動車損害賠償保障法(自賠法)で、被害者の直接請求権を特別に定めているからです。これが、一般の自動車保険(任意保険)との違いです。被害者の直接請求権は、保険契約にもとづく保険金請求権とは違い、自賠法によって定められた被害者の特別の権利なのです。そもそも賠償責任保険契約というのは、保険会社と被保険者との間の契約です。保険契約者が保険料を支払い、保険事故があった場合には保険会社が被保険者の損害を填補するために保険金を支払うものです。自動車保険も同様です。事故が発生したとき、加害者は被害者に対して賠償金を支払います。支払った賠償額は、加害者にとっては損失(損害)となります。その損害を補填するのが自動車保険です。自動車保険の中でも自賠責保険は、単に保険契約にとどまらない被害者の保護・救済を目的に、法律(自賠法)にもとづいて創設された強制保険です。被害者救済を保障する制度という位置づけがあります。そのため、自賠責保険でもカバーしきれない部分については、政府が直接保障する制度(政府保障事業)も設けています。ですから、通常なら、保険契約の当事者(保険契約者・被保険者)が故意に事故を起こし、保険金を騙し取る行為に対しては保険金は支払われませんが、このような免責事由に該当する場合でも、被害者の直接請求権は否定されず、被害者請求が可能な仕組みになっているのです。悪意免責の場合の被害者請求悪意免責に該当する場合に、被害者が直接請求して、保険会社が賠償金を支払ったとき、この賠償金は、保険会社にしてみれば、本来なら免責になり、支払う責任がないものです。そのため、保険会社は、被害者の直接請求に応じて支払った金額について、あとから政府の保障事業(自動車損害賠償保障事業)に請求できる仕組みになっています。つまり、保険会社は被害者に賠償金を支払いますが、賠償額の支払い義務があるからでなく、立替払いをしているだけなのです。保険会社から請求があると、政府は保障事業から補償金を支払います(自賠法72条2項)。これにより政府は、その支払金額の限度で、被害者が加害者に有する損害賠償請求権を取得します(自賠法76条2項)。最終的には、政府から加害者に対して求償がなされるという仕組みです。重複契約の場合、一番最初の「1契約分」は支払われる重複契約は、1台の車に複数の自賠責保険が契約されていることです。重複契約の場合の免責とは、一番最初の契約だけが有効で、あとから契約したものは免責になるということです。この場合、免責といっても、「1契約分」については支払われます。これは、加害者請求でも被害者請求でも同じです。被害者が知らずに「契約が後の保険会社」へ請求したとき被害者が重複契約を知らずに、該当する保険契約(締結時期がもっとも早い保険契約)以外の保険契約に賠償金の支払いを請求し、保険会社も知らずに支払ったときは、どうなるのでしょうか?この場合、保険会社は本来免責となるものを支払い、被害者が不当利得を得たことになるので、民法703条の規定(不当利得の返還義務)により、保険会社は被害者に対して返還請求できることになります。しかし、それでは被害者救済になりません。そこで、本来なら免責を主張できた保険会社は、給付した額を限度に、被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権を取得し、被害者に対する返還請求権を失う仕組みになっています(自賠法第82条の3第3項・4項)。こうして、その保険会社は、被害者に支払った額を加害者に請求して回収します。加害者は本来請求すべき保険会社に保険金請求することで、損害が補填されます。重複契約は、保険会社と被保険者の間の問題です。被害者は、加害者が契約しているどの保険会社から支払いを受けても同じです。このように処理することで、被害者が不利益を被ることのないようになっています。ただし、スムーズに被害者請求するためには、加害者が複数の自賠責保険を契約していることが分かったなら、最も契約締結時期が早いのはどの契約かを確認し、そこに対して請求するようにしましょう。まとめ自賠責保険・自賠責共済は、「保険契約者・被保険者の悪意によって生じた損害」と「重複契約」に限り、免責事由に該当します。ただし、たとえ悪意免責に該当する場合でも、被害者請求の場合は、保険会社は免責を主張できません。お困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 被害者請求した方がよいケース
    相手の自賠責保険に被害者請求した方が得する4つのケース
    交通事故による損害の賠償請求は、通常、加害者側の任意保険会社との示談交渉となりますから、相手方の自賠責保険に直接請求するケースは、それほどありません。とはいえ、相手方の自賠責保険に直接請求した方がよい場合(=直接請求した方が得する場合)があります。ここでは、4つのケースをご紹介します。自賠責保険に被害者請求した方がよいケース加害者が任意保険に未加入だった場合被害者の過失が大きい場合適正な後遺障害等級の認定を受けたい場合示談交渉が長期化する場合詳しく見ていきましょう。加害者が任意保険に未加入だった場合事故の相手方が、任意自動車保険に加入していない場合には、損害賠償を十分に受けられない可能性があります。加害者側に賠償資力がなく、自賠責保険から支払われる賠償金額程度くらいしか受け取ることができません。また、病院への治療費の支払も、任意保険会社による一括払いが行われませんから、自身の健康保険等を使って治療を受け、病院にかかるたびに被害者が自分で支払わなければなりません。治療費や慰謝料などを加害者側に損害賠償請求するときには、注意すべきことがあります。自賠責保険の加入は法律で義務付けられていますから、自賠責保険分の損害賠償額は基本的に受領できますが、自賠責保険の被保険者である加害者が、被害者に損害を賠償してからでないと、加害者(被保険者)から自賠責保険に保険金の支払を請求できません。自賠責保険は、被保険者(加害者)が損害を賠償することによって被保険者に生じる損害を填補する保険だからです。なので、加害者に賠償資力がなければ、損害賠償を請求しても、自賠責保険金分すら、受け取ることができないのです。これでは、被害者が困ります。そこで、被害者から、加害者の自賠責保険に直接請求できる制度が、法に基づいて整備されています。それが被害者請求(直接請求)の制度です。ですから、加害者が任意自動車保険に未加入の場合は、相手方の自賠責保険に、被害者請求する方がよいのです。被害者が、自身の人身傷害保険を使う場合は、自分の加入する任意保険会社が自賠責保険分を含めて一括払い(人傷一括払い)しますから、被害者請求の必要はありません。被害者の過失が大きい場合被害者の過失割合が大きい場合は、加害者に損害賠償請求するより、自賠責保険に被害者請求する方が有利になることがあります。なぜかというと、加害者に損害賠償請求した場合は、厳格に過失相殺されるのに対し、自賠責保険は、被害者に重大な過失がある場合のみ減額し、しかも減額割合が通常の過失相殺と比べて小さいからです。自賠責保険の重過失減額自賠責保険は、被害者に重大な過失がある場合にのみ減額します。その際の減額割合は、次の通りです。被害者の過失割合保険金の減額割合後遺障害・死亡傷害7割未満減額なし減額なし7割以上 8割未満2割減額2割減額8割以上 9割未満3割減額2割減額9割以上 10割未満5割減額2割減額自賠責保険の重過失減額について詳しくはこちら自賠責保険に被害者請求すると、どれくらい有利か?被害者の過失が大きい場合は、自賠責保険に被害者請求する方が、どれくらい有利になるか、具体例で見てみましょう。被害者の損害額が5,000万円。被害者の過失割合が80%。被害者死亡の場合を考えます。加害者に損害賠償請求する場合には、損害額の80%が過失相殺により減額されるため、損害賠償額は1,000万円となります。5,000万円×20%=1,000万円ところが、自賠責保険に被害者請求すると、こうなります。自賠責保険の死亡による損害に対する支払限度額は3,000万円。被害者の過失割合が80%のとき、減額割合は30%ですから、70%が支払われます。つまり、自賠責保険に被害者請求すると、2,100万円が支払われるのです。3,000万円×70%=2,100万円このように、被害者の過失割合が大きい場合は、自賠責保険に被害者請求する方が、被害者にとって有利になることがあります。ただし、被害者の過失割合が100%の場合は、加害者無責となり、自賠責保険金は支払われません。なお、裁判が確定してから自賠責保険を請求すると、裁判の結果通りの支払いとなりますから注意が必要です。裁判では、厳格に過失相殺されます。この例でいえば、裁判で1,000万円が確定すると、自賠責保険から受け取れる損害賠償額も1,000万円となります。適正な後遺障害等級の認定を受けたい場合後遺症に対する損害賠償額は、認定される後遺障害等級により、おおむね決まります。ですから、後遺症が残ったときは、適正な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、任意保険会社による一括対応を解除し、被害者請求をした方がよい場合があります。後遺障害等級は、自賠責保険の認定によっています。任意保険会社も自賠責保険の認定結果に基づいて損害賠償額を算定しています。したがって、自賠責保険において、適正な認定を受けられるかがカギです。任意保険会社の一括払いの場合、後遺障害等級について事前認定となります。つまり、任意保険会社が事前に自賠責保険の判断を確認する手続きです。後遺障害等級の認定を受けるための自賠責保険への申請手続きを全て任意保険行い、その結果に基づく損害賠償額の支払いも、自賠責保険部分を含めて任意保険会社が行うものです。被害者としては楽なのですが、任意保険会社は、被害車の後遺障害等級が適正に認定されるように最善を尽くすことはありません。むしろ支払いを減らしたいのですから。なので、後遺障害の認定申請は、任意保険会社による事前認定でなく、被害者請求する方がよいのです。被害者請求する場合は、弁護士に依頼することが大切です。後遺障害等級の認定手続き|事前認定・被害者請求のメリット・デメリット任意保険会社との示談交渉が長期化する場合加害者が任意自動車保険(対人賠償責任保険)に加入している場合は、任意保険会社が示談代行し、任意保険会社による一括払いとなっているのが一般的です。被害者にとっては、任意保険会社と自賠責保険会社の両方に請求する手間が省け、任意保険会社とだけ交渉をすればよいので、便利な仕組みです。その一方で、一括払いにしていると、賠償金請求の窓口が任意保険会社に一本化されるため、任意保険会社との間で示談が成立するまで、自賠責保険から支払われる賠償金も受け取ることができません。任意保険は、治療費や入院費のような損害額が確定する前に支出を余儀なくされるものについては内払対応がありますが、将来の逸失利益や慰謝料などは損害賠償額が確定してからでないと支払われません。なので、被害者やその家族が、交通事故の被害で生活費等に困るような場合は、先に自賠責保険部分の支払いを受ける方がよいケースがあります。自賠責保険には、示談が成立していなくても請求できる仮渡金請求の制度もあります。また、相手方自賠責保険への直接請求権は、損害賠償請求権より消滅時効が短いため、示談交渉が長引きそうなときは、先に自賠責保険分を取得した上で、じっくりと示談交渉し損害賠償額を確定させる方がよい場合があるのです。一括払いが自賠責保険金額を超過している場合は注意被害者請求で自賠責保険から支払われる損害賠償額は、自賠責保険金額(支払限度額)から任意保険会社が一括払いした金額を控除した残額の範囲です。傷害による損害については、治療費・休業損害・障害慰謝料など全て合わせて120万円が上限ですから、例えば、治療費の一括払いがすでに120万円を超えていれば、被害者請求しても自賠責保険から損害賠償額は支払われません。まとめ交通事故の損害賠償では、自賠責保険に被害者請求(直接請求)した方が、より多くの賠償金を受けることができ、有利な場合があります。特に、被害者の過失割合が大きい場合には、裁判所基準で損害算定して加害者に損害賠償請求するのと、相手方自賠責保険に被害者請求するのと、どちらが金額が大きいか、しっかりと比較検討することが大切です。被害者請求すべきかどうか悩んでいるなら、一度、交通事故の損害賠償に詳しい弁護士に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか?交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 事前認定・被害者請求
    後遺障害等級の事前認定・被害者請求のメリット・デメリット
    後遺障害等級は、通常、自賠責の認定手続きにより決まります。事前認定と被害者請求の2つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。後遺障害等級認定の2つの方法後遺障害の認定手続きは、①任意保険会社による「事前認定」と、②被害者が自賠責保険に対して行う「被害者請求」の2つの方法があります。事前認定は、相手方任意保険会社が、後遺障害による損害賠償を一括払いする際に、事前に自賠責に対し、自賠責が判断する後遺障害等級を確認する手続きです。被害者請求は、被害者から自賠責に対して直接、損害賠償額の支払い請求を行う手続きです。その際に、自賠責が後遺障害の等級認定を行います。自賠法16条1項にもとづく請求のため「16条請求」ともいいます。事前認定と被害者請求には、それぞれメリット・デメリットがありますから、どちらを選択するかは、状況に応じて判断することが大切です。それぞれのメリット・デメリットは次の通りです。事前認定被害者請求手続者相手方任意保険会社被害者自身メリット面倒な手間がかからない1~2ヵ月ほどで認定結果が返ってくる遅延損害金が多くなる提出書類を事前にチェックできる示談成立前にまとまったお金を受け取れる賠償金額が多くなる場合がある訴訟費用が安くなるデメリット提出書類をチェックできない書類をそろえて提出する手間がかかる認定結果まで2~3ヵ月かかる場合がある遅延損害金が減る事前認定と被害者請求のメリット・デメリットについて、詳しく見てみましょう。事前認定のメリット・デメリット事前認定は、相手方任意保険会社が、自賠責に申請します。事前認定のメリット申請に必要な書類は、任意保険会社がそろえ、手続きを行いますから、被害者の負担が少ないのが一番のメリットです。被害者は、相手方任意保険会社に同意書を提出しておくだけ。この同意書は、保険会社が病院から診療記録などを取り寄せることに同意するものです。その他、これは訴訟になった場合の話ですが、遅延損害金が多くなります。遅延損害金とは、賠償金の支払いが遅れたことによる利息です。被害者請求した場合は、自賠責から被害者に直接支払われた金額を既払金として賠償額から控除しますが、事前認定(つまり、任意保険会社による一括払い)の場合は、それがありません。賠償金の全額に対して遅延損害金が算定されるため、遅延損害金の額が多くなるのです。事前認定のデメリット事前認定は、被害者の側で、自賠責に対して提出する申請書類をチェックできません。このことは、むち打ち症など後遺障害の認定がされにくい場合には、大きなデメリットとなってしまいます。被害者請求のメリット・デメリット被害者請求は、自賠責に提出する書類(診断書・診療報酬明細書・後遺障害診断書・画像など)を被害者自身がそろえて、直接、自賠責に損害を賠償請求する方法です。被害者請求のメリット適正な後遺障害等級の認定を受けられるよう、自賠責への申請書類を被害者の側でチェックできることが一番のメリットです。弁護士に頼めば安心です。その他にも、次のようなメリットがあります。示談前にまとまったお金を受け取れる被害者請求の場合は、後遺障害等級が認定されると、自賠責保険から損害賠償金が入ってきます。つまり、示談成立前に、まとまったお金を受け取れるというメリットがあります。受け取れる示談金額が多くなる場合がある自賠責からの支払額を既払金として控除するため、任意保管会社からの提示額が少なくなります。あまりに提示額が少ないと示談しにくいので、ある程度の金額を提示してきます。つまり、受け取れる賠償金額が多くなる場合があるのです。訴訟費用が安くなる訴訟を提起するときの費用は、請求額が大きいほど高額になります。被害者請求により受領しておけば、訴訟で請求する額が減り、訴訟費用が節約できます。デメリット必要な書類をそろえ、自賠責に申請するのは手間がかかります。また、訴訟の場合には遅延損害金が減ります。しかし、弁護士に依頼すれば、面倒な手続きは全て弁護士に任せることができ、受け取れる示談金が大幅に増える可能性があるのです。そう考えると、特にデメリットでもなくなります。被害者請求による後遺障害等級の認定手続き後遺障害等級の認定審査は、基本的に、主治医が作成した後遺障害診断書やレントゲン画像などをもとに行われる書面審査です。なので、自賠責に提出する後遺障害診断書の記載内容や添付書類が重要になります。被害者は、おもに次のような書類をそろえて、自賠責に提出します。自賠責保険後遺障害診断書自賠責保険支払請求書兼支払指図書交通事故証明書事故発生状況報告書自賠責診断書、診療報酬明細書、施術証明書、調剤資料の医証画像CD-Rまたはフィルム自賠責保険後遺障害診断書は、症状固定時に残存した症状などが記載される、最も重要な書類です。後遺障害診断を受けた上で、主治医に、傷病名、症状固定日、自覚症状、画像所見、検査結果を記載してもらいます。症状固定日の記載がないと、手続きを進めてもらえません。記載された自覚症状のみが認定の対象になります。画像所見や検査結果を含め、漏れなく記載してもらうことが必要です。事前認定と被害者請求のどちらを選べばよいか事前認定は、相手方保険会社に後遺障害等級の認定申請手続きを任せる方法です。手続きは滞りなくやってくれますが、積極的に後遺障害等級の認定を取る努力はしません。後遺障害等級の認定でもめるような要素がなければ、事前認定で保険会社に任せてもよいのですが、後遺障害の認定が微妙なケースは、被害者請求をおすすめします。後遺障害の等級認定で揉めやすいケースとは?後遺障害の等級認定で揉めやすいのは、むち打ち症など局部の神経症状の場合です。こうした後遺症は、14級もしくは12級に該当するか否か、が問題となります。そのとき、後遺障害「非該当」となったり、後遺障害が認定されても14級、といったことが多いのです。後遺障害で最も多いのが14級と12級。この2つで全体の76%を占めます。圧倒的に多いのが14級で約60%です。つまり、最も認定数の多い等級で、最も揉めるのです。※損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」(2016年4月)をもとに作成。①②は、介護を要する後遺障害の等級。被害者やその家族が経済的に苦しい場合は、被害者請求して、先に自賠責保険分だけでも賠償金を受け取ることも選択肢となります。自賠責に被害者請求した方が得する4つのケースまとめ後遺障害等級の認定手続きには、保険会社に任せる事前認定と被害者自身が行う被害者請求があります。それぞれメリット・デメリットがあり、状況に応じて判断することが大切です。むち打ち症(頸椎捻挫)や高次脳機能障害などは後遺障害等級の認定がされにくいケースが多いので、そういう場合は、弁護士が介入できる被害者請求をおすすめします。お困りのことがあったら、今すぐ交通事故の損害賠償請求に強い弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 自賠責保険に対する被害者請求権(直接請求権)の消滅時効と起算日
    自賠責保険に対する被害者請求権は、行使できる時から3年を経過すると時効により消滅します。行使できる時とはいつの時点からか(消滅時効の起算日)は、損害ごとに異なります。ここでは、被害者請求権の消滅時効が、自賠法(自動車損害賠償保障法)で、どのように規定されているのか、見ていきます。被害者請求権(直接請求権・仮渡金請求権)の消滅時効自賠責保険に対する被害者請求権には、直接請求権(自賠法16条1項)と、仮渡金請求権(自賠法17条1項)があります。直接請求権は、自動車の運行によって他人の生命・身体を害し、保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、自賠責保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払を請求することができる、とするものです。仮渡金請求権は、保有者の損害賠償責任が確定する前でも請求できる、とするものです。支払うべき賠償額の一部前渡しの意味合いがあります。ただし、実際の損害賠償すべき額よりも多かったときは、後で返還を求められます。自賠法では、被害者請求権(直接請求権・仮渡金請求権)の消滅時効について、次のように規定しています。自賠法19条(時効)第16条第1項および第17条第1項の規定による請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時から3年を経過したときは、時効によって消滅する。※第16条第1項は直接請求権、第17条第1項は仮渡金請求権です。被害者請求権の消滅時効期間は3年自賠法の規定にあるように、被害者請求権の消滅時効期間は3年です。直接請求権・仮渡金請求権は、被害者保護のために特別に法定され、速やかに行使することが想定されているため、合理的な期間内に行使しない被害者に権利を認める必要はないとの判断から、短期消滅時効が採用されています。改正民法(2020年4月1日施行)では、人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は5年とされました。自賠責保険に対する被害者請求権は、加害者に対する損害賠償請求権よりも先に消滅時効が完成しますから、注意してください。旧民法では、人損も物損も消滅時効期間は同じ3年でしたが、生命・身体は重要な法益で、 これに関する債権は保護の必要性が高いこと、治療が長期間に渡るなどの事情により被害者にとって迅速な権利行使が困難な場合があること等から、改正民法では人損の消滅時効期間が5年となりました。自賠法の消滅時効の規定は、民法改正後も変わりません。被害者請求権の消滅時効の起算日は損害ごとに異なる被害者請求権の消滅時効の起算点は、「被害者又はその法定代理人が損害及び保有者を知った時から」です(自賠法19条)。従来は、消滅時効の起算点について自賠法に規定がなかったので民法の規定が適用されていましたが、民法改正にともない明記されました。「損害を知った時から」の損害は、損害の発生の事実を知れば足り、損害の内容・程度・額まで知る必要はないものと解されています。したがって「損害及び保有者を知った時」とは、原則として事故発生日です。損害ごとに起算日が異なるので要注意事故当時に予想し得なかった損害については、その損害の存在が明らかになった時点が起算点となり、当初から明らかであった損害とは別個に消滅時効が進行します。被害者請求権の消滅時効の起算日は、損害ごとに異なりますから、注意が必要です。自賠責保険の実務では、傷害による損害は事故発生の翌日から、後遺障害による損害は症状固定日の翌日から、死亡による損害は死亡日の翌日から、消滅時効期間が進行するという取扱いです。損害別の消滅時効の起算日傷害事故発生の翌日※事故発生が午前零時の場合は、事故発生の当日を起算日とします。後遺障害症状固定日の翌日※後遺障害が複数あり、それぞれの症状固定日が異なる場合は、直近の症状固定日の翌日を起算日とします。死亡死亡日の翌日※請求権者が、被害者の死亡を知らなかったことに合理的な理由がある場合は、死亡した事実を請求権者が知った日の翌日を起算日とします。※時効の起算日が「翌日」になっているのは、初日不算入原則(民法140条)によります。消滅時効期間は同じ3年でも、損害ごとに時効の起算日が異なりますから、当然、損害ごとに時効の完成する日が異なります。そのため、例えば、後遺障害等級が未確定だからと治療費などを被害者請求しないでいると、後遺障害以外の請求権が時効消滅してしまうこともあり得ます。また、後遺障害が複数認定され併合等級として取り扱われる可能性のある場合、各後遺障害ごとに消滅時効が進行するので、一部の後遺障害については消滅時効が完成し、被害者請求できないこともあり得ます。そうならないように、時効の更新(中断)の手続きを忘れずに行うことが大切です。損害賠償請求権の消滅時効の起算日と異なる場合がある後遺障害による損害につき加害者に損害賠償請求する場合は、「後遺障害以外の損害も含めた全損害について症状固定時から消滅時効が進行する」と解する裁判例が多数になっています。一方、自賠責保険の被害者請求権は、損害ごとに時効の起算日が異なります。自賠責保険に対する被害者請求権と加害者に対する損害賠償請求権とでは、消滅時効の起算日が異なる場合がありますから、注意してください。任意保険会社による一括手続きが進められている場合任意保険会社による一括払い手続きが進められている場合は、自賠責保険に対して直接請求ができません。自賠責保険に直接請求(被害者請求)をする場合は、任意一括手続きを解除する必要があります。自賠責保険の実務では、任意一括手続きが先行している間は被害者請求権の消滅時効は進行せず、任意一括手続きが解除されてから消滅時効が進行する取扱いです。まとめ自賠責保険に対する被害者請求権は、被害者等が「損害及び保有者を知った時から3年」で時効により消滅します。時効期間の起算日は、傷害・後遺障害・死亡による損害ごとに異なります。原則として、傷害による損害は事故発生日の翌日から、後遺障害による損害は症状固定日の翌日から、死亡による損害は死亡日の翌日から、3年を経過すると、被害者請求権は時効により消滅します。なお、被害者請求権は、自賠責保険会社に時効更新(中断)申請書を提出することにより、時効の更新(中断)が可能です。手続は難しくありませんから、時効消滅しないように注意してください。被害者請求権が時効にかかっているとしても、加害者請求権の差押転付命令を得れば、自賠責保険に損害賠償額の支払いを請求することができます。自賠責保険に対する直接請求権の消滅時効と時効起算点は、加害者に対する損害賠償請求権の消滅時効・起算点と異なる場合があるので注意が必要です。被害者請求権の時効が心配な場合は、急いで弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・北河隆之著『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 376~377ページ・『自賠責保険のすべて 12訂版』保険毎日新聞社 103~104ページ・国土交通省自動車局保障制度参事官室監修『新版 逐条解説 自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 155~156ページ・『逐条解説 自動車損害賠償保障法 第2版』弘文堂 166~169ページ・日弁連交通事故相談センター編『Q&A新自動車保険相談』ぎょうせい 138~140ページ・東京弁護士会法友全期会交通事故実務研究会編集『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 24~25ページ
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  • 被害者請求権が時効消滅
    被害者請求権が時効消滅したときの加害者の保険金請求権の代位行使
    損害賠償請求訴訟で請求認容判決が出たのに、加害者に資力がなく損害賠償金が支払われない、自賠責保険への被害者請求権も時効のため請求できない、という場合でも、自賠責保険から損害賠償額の支払いを受けることができる方法があります。加害者に対する損害賠償請求訴訟の請求認容判決にもとづき、自賠責保険の被保険者の保険金請求権(加害者請求権)の差押転付命令を得れば、被害者が加害者の自賠責保険金請求権を行使できます。被害者請求できないなら、加害者の保険金請求権を行使するここで紹介するのは、被害者請求権(自賠法16条)が時効で行使できない場合に、加害者請求権(自賠法15条)を行使して、自賠責保険に損害賠償額の支払いを請求する方法です。まず、加害者請求権(被保険者の保険金請求権)について、ポイントを押さえておきましょう。被害者請求権が時効でも、加害者請求権は、たいてい時効にかかっていません。消滅時効期間は、どちらも3年ですが、時効の起算日が異なるからです。重要なのは、加害者請求権がいつ発生するかです。加害者請求権の消滅時効被害者請求権の消滅時効は、自賠法(自動車損害賠償保障法)で、被害者等が「損害及び保有者を知った時から3年」(自賠法19条)と定められています。一方、加害者請求権の消滅時効は、自賠法に定めがなく、保険法の規定が適用されます。保険金請求権の消滅時効は「行使することができる時から3年」(保険法95条1項)です。ポイントは、この「行使することができる時」とはいつの時点か、ということです。加害者請求権の時効の起算日自賠責保険は、被保険者(加害者)が損害賠償金を支払ったら、保険金を請求できる仕組みです(自賠法15条)。先履行主義を採っています。自賠法15条被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。つまり、保険金請求権を「行使することができる時」とは、被保険者(加害者)が、損害賠償金を支払った時となります。厳密には、賠償金を支払った日の翌日が、消滅時効の起算日です。請求権消滅時効の起算点被害者請求権損害を知った時加害者請求権損害賠償金を支払った時被害者請求権は「損害を知った時」から時効が進行しますが、加害者請求権は、損害が確定し「賠償金を支払った時」から時効が進行するので、時効期間は同じ3年でも、時効の完成は加害者請求権の方が後になるのです。なお、自賠責保険が「先履行主義」を採っているのは、被害者に賠償金の支払いがないまま被保険者に保険金を支払うと、被保険者が保険金を被害者に支払わず着服してしまう危険があるので、被害者を保護するため、とされています。ただし、先履行主義は、加害者に賠償資力がある場合は妥当でも、加害者に賠償資力がない場合は、被害者請求権が時効消滅したケースで、被害者を保護できなくなる矛盾も抱えています。加害者請求権は損害賠償金を支払うまで「未発生の権利」自賠責保険の保険金請求権(加害者請求権)は、被保険者(加害者)が損害賠償金を支払った時に発生する権利ですから、それまでは「未発生の権利」です。つまり、加害者請求権は、損害賠償金の支払いを停止条件とする債権です。停止条件というのは、それが成就するまで法律行為の効力の発生を停止する条件です。自賠責保険は、被保険者(加害者)が、被害者に損害賠償金を支払うことで停止条件が成就し、保険金請求権が発生するのです。どうすれば加害者の保険金請求権を被害者が行使できるか?さて、どうすれば被害者が加害者請求権を行使できるかですが、それは、加害者の保険金請求権を差押え、転付命令を得ることで可能となります。転付命令とは、差押債権者の申立てにより、差押えられた金銭債権をその券面額で差押債権者に移転させる裁判所の命令です(民事執行法159条1項)。ただし、一般に「停止条件付債権は転付命令の対象とならない」と解されます。加害者の保険金請求権を「未発生の権利」と解せば、転付命令があっても、債権移転の効力が発生しないことになります。そこで、保険金請求権が転付命令の対象となるか(被転付適格を有するか)が問題になります。これについて最高裁は、損害賠償義務の履行(賠償金の支払い)によって発生する被保険者の自賠責保険金請求権につき転付命令が申請された場合には、自賠責保険金請求権は被転付適格を有する、と判示しました。自賠責保険金請求権の被転付適格を肯定した最高裁判例最高裁判例に沿って見ていきましょう。最高裁判決(昭和56年3月24日)自賠責保険契約に基づく被保険者の保険金請求権は、被保険者の被害者に対する賠償金の支払を停止条件とする債権であるが、自賠法3条所定の損害賠償請求権を執行債権として右損害賠償義務の履行によって発生すべき被保険者の自賠責保険金請求権につき転付命令が申請された場合には、転付命令が有効に発せられて執行債権の弁済の効果が生ずるというまさにそのことによって右停止条件が成就するのであるから、右保険金請求権を券面額ある債権として取り扱い、その被転付適格を肯定すべきものと解するのを相当とする。最高裁は、自賠責保険金請求権は「被保険者の被害者に対する賠償金の支払を停止条件とする債権」であることを明確にした上で、転付命令が有効に発せられ弁済の効果が生じるという、まさにそのことによって停止条件が成就するから、保険金請求権は被転付適格を有するとしました。最高裁判例の論理構成最高裁判決の理論構成はこうです。自賠責保険金請求権についての転付命令が有効に発せられ、保険金請求権が被害者に移転すると、賠償がなされたという効果が生じ、そのことによって同時に停止条件(賠償金の支払い)が成就するから、「保険金請求権を券面額ある債権として取り扱い、その被転付適格を肯定すべき」としました。ただし、転付命令の有効性が問題になっているのに、転付命令の有効性を条件とすることは、循環論法であるとの批判もあります。とはいえ、そもそも自賠法15条が先履行主義を定めているのは、加害者による保険金の着服を防ぎ、被害者保護する趣旨からです。この最高裁判決は、自賠法の被害者保護の観点から、自賠責保険金請求権の被転付適格を認めて差し支えないという実質的な考慮によるものと考えられています。まとめ被害者請求権(自賠法16条)の消滅時効期間経過後であっても、加害者に対する損害賠償請求訴訟の請求認容判決と、加害者の自賠責保険金請求権(自賠法15条)の差押転付命令を得ることにより、被害者が自賠責保険の加害者請求権を行使し、自賠責保険金の範囲で支払いを受けることができます。これは自賠責保険の実務でも定着しており、損害賠償請求訴訟の内容が妥当と判断された場合は、支払を受けることが可能です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・損害保険料率算出機構・植草桂子「自賠責保険金請求権の被転付適格」『交通事故判例解説』第一法規 168~169ページ・別冊ジュリスト№152『交通事故判例百選・第4版』有斐閣 190~191ページ・『逐条解説 自動車損害賠償保障法・第2版』弘文堂 137ページ
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