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交通事故を起こした運転者は、①直ちに停車し、②負傷者の救護を行い、③道路の危険を防止する措置をとり、④警察に事故を報告することが法律で義務づけられています(道路交通法72条1項)。これに違反すれば、罰則があります。ここでは、その義務に違反したときの罰則について見ていきます。
交通事故の初期対応として当事者がすべき4つの義務について詳しくはこちらをご覧ください。
交通事故を起こした運転者が、道路交通法72条1項に定められた救護措置や危険防止措置、警察への報告の義務に違反したときの罰則は、次の通りです。
詳しくは後で見ますが、まずは一覧表にまとめておきました。
違反 | 罰則の内容 |
---|---|
救護・危険防止義務違反 |
人身事故
物損事故
|
事故報告義務違反 |
|
負傷者がいるのに救護せず事故現場を立ち去ると「ひき逃げ」、負傷者がいなくても、物に衝突するなどして、その場を立ち去ると「当て逃げ」となります。
「負傷者の救護」や「道路の危険防止」などの措置を怠ったときの罰則は、道路交通法第117条、第117条の5第1号で、次のように定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
条文中の「第72条第1項前段の規定に違反」とは、ただちに運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じなかった場合のことです。
人身事故を起こしながら救護措置義務に違反した自動車等(軽車両を除く)の運転者には第117条が適用され、それ以外の場合は、第117条の5 第1号が適用されます。第117条の5 第1号は、物損事故、その他の乗務員、軽車両の運転者が対象となります。
自動車等(軽車両を除く)による人身事故で、救護措置義務に違反した運転者には第117条が適用されます。
第1項は、交通事故により人が死傷していることを知りながら、救護措置義務を果たさなかった運転者に対する罰則を定めたものです。
「当該車両等の交通による人の死傷があつた場合」とは、交通事故のうち、人身事故があった場合ということです。「交通による」とは、車の運転によって生じた事故に限らず、例えば、坂道に駐車していた車が動き出して事故を起こした場合なども該当します。こういう場合も当然、その車両の運転者に救護義務が発生します。
そもそも救護措置義務は、交通事故の発生に責任があるかどうかは関係なく、事故の当事者となった車両の運転者等すべてに課されます。
ですから、第1項は、人身事故があった場合に、その事故の当事車両の運転者が救護措置義務に違反したときに成立します。
第2項は、人身事故における救護措置義務違反の中でも、特に、事故原因がその運転者の運転に責任があったときは、罰則を重くするという規定です。
つまり、みずからの運転が原因で人身事故を起こしながら、救護措置義務を果たさなかった運転者には、罰則を重くするということです。分かりやすく言えば、「ひき逃げ」に対しては、罰則を重くするということです。
「人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるとき」とは、その運転者の運転によって、人の死傷をともなう交通事故が発生した場合です。運転者の運転と交通事故による人の死傷との間に相当因果関係が認められる場合で、一般的には、過失運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第5条)が成立するような場合には、この条項が適用されます。
飲酒や薬物の影響で正常な運転ができない状態で交通事故を起こした場合には、さらに重い危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第2条~4条)が適用されます。
被害者が死亡する認識を持ちながら救護せず放置した場合には、殺人罪(刑法199条、死刑または無期もしくは5年以上の懲役)や殺人未遂罪(刑法203条)となることもあります。
物損事故や軽車両(自転車など)による交通事故における救護措置義務違反等に対しては、道交法第117条の5第1号が適用されます。
道交法第117条の5第1号は、第117条に規定された自動車等の運転者による人身事故の場合の措置義務違反を除き、すべてが対象となります。
警察へ交通事故の報告義務に違反した場合の罰則は、道路交通法第119条1項10号で、次のように定められています。
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
交通事故を起こしたときの警察への報告義務は、一次的には運転者に責任があり、運転者が死傷しやむを得ないときは、その他の乗務員に報告義務が生じます。
ですから、報告義務違反の罰則の対象は、原則的には運転者です。
なお、警察への事故報告を怠ると、交通事故証明書の交付を受けられず、保険金の請求ができなくなってしまいます。
人身事故を起こしながら救護措置義務を果たさなかった運転者に対しては、重い罰則が科されます。
人身事故の原因が運転者の過失の場合は、通常、過失運転致死傷罪も成立します。飲酒や薬物の影響で正常な運転ができない状態で交通事故を起こした場合には、さらに重い、危険運転致死傷罪が適用されます。
ひき逃げ事故に遭い、加害車両を特定できない場合は、政府の自動車損害賠償保障事業に損害の填補を請求することができます。
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【参考文献】
・『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版