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示談交渉を開始するタイミングによっては、適正な賠償金額を受け取ることができなくなる場合があります。
示談交渉を開始するベストなタイミングはいつか、示談交渉を始めるタイミングが賠償金額(示談金)にどう影響するのか、見ていきましょう。
示談とは、当事者同士の話し合いで損害賠償額を確定すること。双方が互いに譲歩しあわなければ、示談は成立しません。示談交渉とは、お互いにどれだけ譲歩するか、落としどころを探ることです。
請求する側は、いくら請求するかが決まらないと示談交渉を始めることができないし、支払う側は、いくら支払うのが妥当かが決まらないと交渉に応じられません。
つまり、示談交渉を開始するタイミングは、全ての損害額が確定したときです。
人損と物損の両方が発生している場合には、人損が確定していない段階で、物損のみを先に示談交渉して解決することがあります。人損と物損は、損害賠償請求権が異なるうえ、物損の賠償請求権の消滅時効が短いからです。物損の賠償請求権や時効についてはこちらをご覧ください。
それでは、全ての損害額が確定するタイミングとは、どの段階なのでしょうか?
全ての損害が確定し、損害額の算定が可能となるタイミングは、傷害事故と死亡事故とで異なります。傷害事故については、さらに、怪我が治癒した場合と後遺症が残った場合とで異なります。次の通りです。
傷害事故で治癒した場合 | 治療が終了したとき |
---|---|
傷害事故で後遺症が残った場合 | 後遺障害等級の認定を受けたとき |
死亡事故 | 葬儀が終了したとき |
傷害事故で、怪我が治癒した場合は、治療が終了した時点で損害が確定します。治療を続けている間は、最終的な損害額を計算できません。
傷害事故で、後遺症が残った場合(症状固定と医師が判断した場合)は、後遺障害の等級認定を受けたら損害額を確定できます。後遺障害についての損害は、基本的に後遺障害等級に応じて決まるからです。
死亡事故の場合は、葬儀が終了したら損害が確定します。とはいえ、葬儀終了後すぐに損害賠償の話をすることはなく、被害者の四十九日の法要が済んだころに、相手方の保険会社から示談の話があるようです。
交通事故の損害賠償については、適切・迅速に処理するために、定型化・基準化が進んでいますから、その基準に基づいて損害額を算定する必要があります。
傷害事故の場合は、治療費や入通院費のほか、治療のため仕事を休んだことによる収入の減少分(休業損害)、慰謝料があります。
後遺症が残り、後遺障害等級の認定を受けたときは、将来の収入が減少することによる経済的損失(逸失利益)、慰謝料があります。治療期間中の損害も加算されます。
死亡事故の場合は、葬儀費用のほか、将来の収入がなくなることによる経済的損失(逸失利益)、死亡した本人に対する慰謝料と遺族に対する慰謝料があります。治療の甲斐なく亡くなった場合は、治療費なども損害額に加算されます。
通常は、すべての損害が確定するタイミングで、相手方保険会社から賠償金額の提示があります。加害者に代わって、保険会社が示談代行することにより、迅速に解決し、被害者を救済するためです。
その金額でよければ、被害者の側が、無理をして損害額を計算する必要はありません。保険会社に任せておけば、損害賠償金額を受領できます。ただし、保険会社の提示する金額は、被害者が本来受け取ることができる正当な金額よりも少ない額です。
早く賠償金を受け取りたいからと、損害額が確定しないタイミングで示談交渉を開始しても、良いことは何もありません。むしろ間違いです。
その理由は、2つあります。
1つは、いったん示談すると、それ以上の損害賠償請求が、できなくなるからです。
示談とは、加害者が被害者に「示談した損害賠償金を支払う」という約束であると同時に、被害者が加害者に「示談した以外の損害賠償請求権を放棄する」という約束でもあります。
例えば、治療が終了していないのに「見込み」で示談してしまうと、治療費が嵩んだり、後遺症が残ったとしても、あとで追加請求することはできません。本来受け取れるはずの賠償金額を、請求できないことになってしまうのです。
例外として、示談したときに予想できなかった後遺症が発生したときは、あらためて損害賠償請求が認められることがあります。
もう1つは、全ての損害が確定していないタイミングで示談交渉を開始し、途中で請求を追加する手法を採ると、かえって示談交渉が長引くからです。
場合によっては、示談で解決きず、訴訟で解決せざるを得なくなります。逆に、相手から債務不存在確認訴訟を提起されることすらあり得ます。
示談は、被害者に発生した損害を回復させるのに、当事者がそれぞれどれだけ負担するかを話し合いで確定させることです。
最初に損害額の全体がはっきりしていれば、双方とも、どこまで譲歩するかの判断がしやすいのですが、話し合いの途中で請求額が増えると、示談交渉は、振り出しに戻ってしまいます。
示談を急ぐあまり、損害額が全て確定する前のタイミングで示談交渉を始めると、かえって示談交渉が長引き、示談がまとまりにくいのです。
示談交渉開始のタイミングが遅いと、損害賠償請求権が時効消滅するリスクがあります。示談交渉開始のタイミングは、遅くてもダメです。
「示談を急いではいけない」といっても、生活費にも困るようなら、一刻も早く示談金を受け取りたいという場合もあるでしょう。
そういう場合には、次の3つの方法があります。これらは、示談が成立していなくても請求できますから、決して示談成立を急がず、これらの方法を検討してみてください。
※ それぞれの詳しい内容については、リンク先ページをご覧ください。
※ これらは示談する際に既払金として控除されます。
※ 相手方の任意保険に対する被害者請求は、基本的に示談が成立していなければ支払われません。
示談交渉を開始するのは、全ての損害が確定し、損害額の算定ができるようになるタイミングです。損害が確定しないタイミングで、見込みの金額で示談交渉を開始すると、正当な賠償金を受け取れなくなる恐れがあります。
急いで支払いを受けたいときは、示談が成立していなくても、相手の自賠責保険への請求や、自身の人身傷害保険への請求はできますから、そういった方法も検討してみてください。
お困りのこと、ご心配なことがありましたら、交通事故の損害賠償の問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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0120-690-048 ( 24時間受付中!)
※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。