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かつて脳の器質的損傷を伴わない精神障害(非器質性精神障害)については、自賠責保険で後遺障害が認められても14級どまりであった中、PTSDの場合には、7級や9級という比較的重度の後遺障害等級を認める裁判例がありました。
しかし、現在は、医師がPTSDと診断していても、裁判で診断基準を厳格に適用して判断するため、PTSDを否定する裁判例がほとんどです。ただし、PTSDが否定されたとしても、非器質性精神障害として後遺障害等級が認定される場合があります。
PTSDを含む非器質性精神障害について、後遺障害等級が認められるためのポイントについて、裁判例の動向をふまえ解説します。
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)は、米国においてベトナム戦争の帰還兵に見られる精神疾患をきっかけとして、精神医学の分野で認知された疾患とされています。
日本では、「心的外傷後ストレス障害」または単に「外傷後ストレス障害」といわれ、1995年の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件を契機に、マスコミでも取り上げられるようになりました。
PTSDとは、生命が危険にさらされるような強烈な恐怖体験(外傷体験)によって心に大きな傷(トラウマ)を負い、フラッシュバック(再体験症状)等の症状が発生し、社会生活・日常生活に支障をきたす精神疾患です。
PTSDは、非器質性精神障害(脳の器質的損傷を伴わない精神障害)の一種です。
PTSDの診断基準は 2つあります。これらは医学的診断基準ですが、損害賠償においてPTSD該当性を判断する場合にも重要です。
1つは、米国精神医学会のDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、日本語訳は「精神疾患の診断・統計マニュアル」)です。
PTSDが初めて疾患概念として採り入れられた第3版(DSM-Ⅲ、1980年)以降、第4版(DSM-Ⅳ、1994年)、第4版修正版(DSM-Ⅳ-TR、2000年)、第5版(DSM-5、2013年)と改訂が重ねられてきました。第5版は、「DSM-Ⅴ」でなく「DSM-5」と表記されます。
DSM-5では、従来のDSM-Ⅳ-TRにおいて「不安障害」の中に含まれていたPTSDや急性ストレス障害が、新たなカテゴリーとして分離独立し、トラウマやストレスフルな出来事への曝露を診断基準に明示している一連の疾患が「心的外傷およびストレス因関連障害群」とされました。PTSD、急性ストレス障害、適応障害などが含まれます。
PTSDの診断基準は、外傷的出来事を要件とし、臨床症状として、再体験、回避、認知・感情変化、過覚醒が必要としています。
| A | 実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への曝露(外傷的体験) |
|---|---|
| B | 心的外傷的出来事に関連した侵入症状の存在(再体験) |
| C | 心的外傷的出来事に関連する刺激の回避(回避) |
| D | 心的外傷的出来事に関連した認知と気分の陰性の変化(認知・感情変化) |
| E | 心的外傷的出来事に関連した覚醒度と反応性の著しい変化(過覚醒) |
| F | 障害(基準B、C、D、Eの症状)の1ヵ月以上の持続 |
※DSM-5では、基準Aにおける心的外傷的出来事として、「重大な交通事故」が例示されています。曝露とは、体験や目撃のことです。
もう1つは、世界保健機関(WHO)のICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems、日本語訳は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」)です。
ICD-10(第10版)で初めてPTSDを診断基準に加えました。
日本国内で現在用いられているのはICD-10です。すでにICD-11(第11版)がWHOで2019年に採択され、2022年1月に発効しています。日本では2027年1月施行予定です。(総務省 第20回統計基準部会議事録より)
ICD-10におけるPTSDの診断基準は、「ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような、例外的に著しく驚異的な、あるいは破局的な性質をもった、ストレスの多い出来事あるいは状況(=トラウマ、心的外傷)」に遭遇した後、通常6ヵ月以内に、悪夢やフラッシュバックによる出来事の再体験、出来事を想起させる活動や状況の回避、過覚醒などの比較的典型的な症状が出現すること、とされています。
心的外傷的出来事の例の1つとして、「激しい事故」が挙げられています。
2つの診断基準は、双方の作成者が互いに密接に協力し、相互に影響を及ぼし合ったものであるとされ、共通する部分も少なくありません。
ただ、最も重要なポイントとなる「A基準」に着目すると、DSM-5は、個人的生活レベルで経験しうる出来事によってもPTSDが生じる可能性を認めるように見えるのに対し、ICD-10は、通常の個人的生活レベルでは経験することが稀と思われる出来事への曝露が強調されているように見えます。
そのため、DSM-5の方が基準が緩和されていると考えられ、交通事故でPTSDの存否が争われる場合には、往々にして、被害者側はDSM-5によるべきと主張し、加害者側はICD-10によるべきと主張する構図が見受けられるようです。
なお、WHOが、加盟各国に対してICD-10によるべき旨を勧告しており、日本でもICD-10により判断すべきとの見解もあります。
自賠責保険や労災保険では、非器質性精神障害の後遺障害等級の認定にあたって主治医から提出を求める意見書に記載する診断名は、ICD-10分類にもとづく診断名とされています。
他方で、DSM診断基準の方が、次の3点で優っているとする指摘もあります(『新しい交通賠償論の胎動』ぎょうせい72ページ)。
PTSDの発症を初めて認めた裁判例は、横浜地裁平成10年6月8日判決です。その後、PTSDの認定をめぐって裁判例が分かれる中で、PTSD裁判のターニングポイントとなったのが、診断基準を厳格に適用してPTSDを否定した東京地裁平成14年7月17日判決です。
自賠責保険の認定基準では、非器質性精神障害が外傷性神経症として後遺障害等級14級の限度で認められるにとどまっていた時期に、この横浜地裁判決は、精神科医の鑑定結果を採用し、事故の外傷体験によって引き起こされた重症の心的外傷後ストレス障害であるとして、後遺障害等級7級4号に該当すると認定しました。
さらに、脊柱に著しい運動障害を残す等級6級の後遺障害との併合4級として、労働能力喪失率92%、労働能力喪失期間43年間を認定したのです。
この判決の後、PTSD発症を認め7級や9級といった比較的重度の後遺障害を認定する裁判例が現れます。
この横浜地裁判決以降(東京地裁平成14年7月17日判決までの間)において、PTSDを認容した主な判決としては、次のものがあります。
| 裁判例 | 後遺障害 | 労働能力喪失 | 素因減額 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 等級 | 喪失率 | 期間 | |||
|
横浜地裁判決 |
7級4号 | 92% | 43年間 | 1割減 | 脊柱に著しい運動障害を残す第6級の後遺障害との併合4級 |
|
大阪地裁判決 |
7級4号 | 56% | 10年間 | 2割減 | |
|
大阪高裁判決 |
9級10号 | 35% | 7年間 | 2割減 | 上記大阪地裁判決の控訴審判決 |
|
松山地裁宇和島支部判決 |
7級4号 | 56% | 13年間 | なし | |
こうしたPTSDを認容した裁判例の多くは、診断基準(「DSM」や「ICD」)にもとづいて判断するのではなく、主治医の証言や診断書、鑑定意見を尊重して認定するものでした。
もっとも、PTSDが争点となった裁判では、PTSDを否定する裁判例も多く、裁判例は分かれていました。
PTSD裁判のターニングポイントとなったのが、東京地裁平成14年7月17日判決です。
この東京地裁判決は、精神科医によるPTSDの診断があったとしても、「治療を目的とする医師の診断」と「損害を算定する場合のPTSDであるか否かの判断」は異なり得るとして、「DSM-Ⅳ」と「ICD-10」の4要件を厳格に適用し、被害者の障害について、PTSDを否定し、外傷性神経症であるとして、後遺障害等級14級10号、労働能力喪失率5%(10年間)と認定しました。
さらに、同一事故を体験した家族に同様の症状がみられないことから、被害者の心因反応を引き起こしやすい素因等の寄与を理由に、全損害から2割の減額を行いました。
被害者Xは、父親の運転する車の後部座席に同乗中、センターオーバーしてきたY運転の自動車に正面衝突された事故により、頸椎捻挫等の傷害を負い、事故後、神経症状が残りPTSDと診断され、Yに対し、自賠法3条にもとづき損害賠償を求めた事案です。
DSM-ⅣもICD-10も……いずれも医学的診断基準であって損害賠償基準ではなく、PTSDと診断されたからといって後遺障害等級7級あるいは9級などの評価が直接導き出されるわけではない。
目に見えない後遺障害の判断を客観的に行うためには、今のところ上記基準に依拠せざるを得ない。
PTSDの判断にあたっては、DSM-Ⅳ及びICD-10の示す①自分又は他人が死ぬ又は重症を負うような外傷的な出来事を体験したこと、②外傷的な出来事が継続的に再体験されていること、③外傷と関連した刺激を持続的に回避すること、④持続的な覚醒亢進症状があること、という要件を厳格に適用していく必要がある。
これを本件について検討するに……外傷体験の要件に該当しないだけではなく、ストレス反応の量と質が基準以上に大きいものであるとはいえず、Xの症状はPTSDには該当しない。
Xの神経症状は……本件事故を契機として発生しており、本件事故に起因する心因反応として外傷性神経症と捉えるのが相当である。
この判決以降、PTSDの発症が争われた場合には、DSMやICDの診断基準を厳格に適用し、PTSDについて慎重な判断を行うようになり、現在は、PTSDを否定する判決がほとんどです。
| 裁判例 | 後遺障害 | 労働能力喪失 | 素因減額 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 等級 | 喪失率 | 期間 | |||
|
東京地裁判決 |
14級10号 | 5% | 10年間 | 2割減 |
PTSD否定 |
|
大阪地裁判決 |
12級相当 | 14% | 10年間 | なし |
PTSD否定 |
|
横浜地裁判決 |
9級10号 | 35% | 10年間 |
PTSDへのあてはめには意味がない |
|
|
さいたま地裁判決 |
9級10号 | 45% | 12年間 | なし |
PTSD認定 |
|
京都地裁判決 |
11級相当 | 20% | 10年間 | なし |
PTSD認定 |
|
東京高裁判決 |
14級9号 | 5% | 5年間 | なし |
PTSD否定 |
|
横浜地裁判決 |
14級相当 | 5% | 10年間 | なし |
PTSD否定 |
東京地裁平成14年7月17日判決の後、同年10月11日の四庁協議会(東京地裁、大阪地裁、名古屋地裁、横浜地裁の協議会)において、基本的にこの東京地裁の判断手法が妥当という意見で一致し、これ以降、PTSDについて慎重な判断をするようになり、その結果、PTSDを否定する裁判例が主流になったとされています(『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい297ページ)。
最近の裁判例には、診断基準の全要件について吟味せずに、A基準該当性、すなわち、PTSDが発症するような事故態様ではないことを否定の理由としているようなものが相当数みられるようです(『改訂版 後遺障害等級認定と裁判実務』新日本法規206ページ)。
PTSDを認定したものもありますが、加害者側が積極的に争っていない場合です。
PTSDを否定した場合でも、事故態様、受傷内容、症状の推移、日常生活や就労への影響等をふまえて、非器質性精神障害として12級ないし14級とするものがあります。
中には、そもそもPTSD要件への当てはめは、あまり意味がないとし、非器質性精神障害として後遺障害等級を認定した裁判例も見られます(横浜地裁平成20年2月15日判決)。
被害者の精神症状(抑うつ状態、不安の状態、意欲低下の状態、慢性化した幻覚・妄想性の状態、記憶または知的能力の障害その他の衝動性の障害、不安定愁訴など)は、非器質性の精神障害であり、難治性と認められるが、軽快してきており一生続くものとは考え難いとして、後遺障害としては9級10号を認定。症状固定時から労働能力喪失率35%で10年間の逸失利益を認定しました。
PTSDの主張については、「後遺障害認定は、後遺障害内容と程度を、診断名を参考としながら、適正な等級を認定するものであり、必ずしも要件内容の明らかでないPTSDへの当てはめは、あまり意味を有するものとは思われない。症状、経過、日常の生活状況から、実際の後遺障害による影響を認定して判断することをもって足りる」としました。
PTSDについては、平成14年の東京地裁判決以降、診断基準(DSM・ICD)にもとづき厳格に判断する手法が裁判実務において確立し、PTSDを肯定する例は少なくなっています。
他方、自賠責保険の後遺障害の認定実務では、平成15年に非器質性精神障害についての評価が見直され、それ以前は後遺障害が認められても14級どまりだったものが、認定基準の改正後は、原則として9級、12級、14級の3段階で認定されることになりました。重度の場合は、7級以上に認定されることがあるとされます。
そのため、非器質性精神障害が事故の後遺障害として扱われることが珍しくなくなり、ことさらPTSDなのかどうかが意味を持たなくなっています(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい220ページ)。
PTSDの認定において重要なのは、A基準に該当するといえるか、すなわち「極度に外傷的な出来事への曝露(体験、目撃等)があった」といえるか、です。PTSDを発症しているといえるためには、A基準に該当することが大前提です。
そのうえで、外傷的な出来事の再体験(B基準)、外傷的な出来事と関連した刺激の持続的回避(C基準)、認知・気分の陰性の変化(D基準)、覚醒度と反応性の著しい変化(E基準)について主張・立証する必要があります。
なお、PTSDが否定されても、それ以外の非器質性精神障害として後遺障害等級が認定されケースがありますから、PTSD該当性のみに主張を集中させることなく、その他の精神障害の可能性も視野に入れた主張・立証が重要です。
裁判でPTSDが認められれば、当然に7級や9級といった重度の後遺障害が認定されるわけではありません。また、PTSDを否定されたとしても、残存している症状につき後遺障害等級が認定される場合もあります。
傷病名がどうであろうと、結局は、事故との因果関係の有無、障害の程度評価、労働能力喪失期間の制限や素因減額が論点となります。
非器質性精神障害は、画像でははっきり分からず、客観性の高い検査も少ないため、発症や因果関係の有無が争われることが少なくありません。
PTSD等の非器質性精神障害と事故との相当因果関係については、
などをふまえて判断します(大島眞一『改訂版 交通事故事件の実務―裁判官の視点―』新日本法規125ページ)。
因果関係の認定においては、事故後まもなく症状が発現し、継続していることがポイントです。およそ6ヵ月以内に発症したことが1つの目安とされています。
とはいえ、精神症状は、長期入院して退院後に発現することもあるし、職場復帰がうまくいかず悲観して症状が出始めることもあります。また、精神科医により発症が確認された時点が発症時点とは限りません。事故直後は怪我の治療が優先され、精神症状の発症に気づかないことや、身体の傷害による症状の一部として見過ごされることもあるからです。
なので、症状や治療経過をふまえて慎重に発症時期を判断し、因果関係を主張・立証することが大切です。
自賠責保険における非器質性精神障害の後遺障害等級評価は、労災の障害認定基準に準拠して行いますが、賃金労働者のほか、自営業者、家事従事者、無職者、未就労者なども対象となるため、労務や就労への支障よりも日常生活への支障が主な評価内容となります。
非器質性精神障害の後遺障害等級の認定にあたっては、精神症状や能力低下の状態等について、主治医から意見を求めることになっており、この意見書の内容が重要です。
自賠責保険における非器質性精神障害の後遺障害等級の評価について詳しくはこちらをご覧ください。
また、裁判でPTSDと認定された事例では、比較的重度の後遺障害等級が認定される傾向があるとしても、PTSDだから重度の後遺障害が認められるというわけではありません。精神障害の程度について具体的に検証されますから、現実の障害の実情(日常生活の支障、助言・援助の要否と程度)について、具体的に主張・立証することが必要です。
PTSDを含む非器質性精神障害は、身体的機能に障害はなく、「症状が重篤であっても将来において大幅に症状の改善する可能性が十分にあるという特質がある」(『労災補償障害認定必携』153~154ページ)とされています。
そのため、非器質性精神障害による労働能力の喪失を認めても、労働能力喪失期間については、9級や12級の場合で10年程度、14級で3年または5年程度と限定する傾向が見られます。
精神障害が長期化する可能性がある場合は、その旨の医師の意見書等を提出するなどして立証することが大切です。
事故と非器質性精神障害との因果関係が認められた場合でも、被害者の症状の悪化について、事故以外の要因も影響していると考えられる場合には、素因減額されます。素因減額とは、身体的または心因的素因を理由として損害賠償額を減額することです。
身体に対する加害行為と発生した損害との間に相当因果関係がある場合において、その損害が加害行為のみによって通常発生する程度、範囲を超えるものであって、かつ、その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは、損害賠償額を定めるにつき、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、その損害の拡大に寄与した被害者の右事情を斟酌することができる。
PTSDが診断基準にしたがって認定されたときは、その診断基準において外傷的出来事を原因とすることが明らかなので、因果関係は100%認められてしかるべきであり、素因減額を考慮する余地もないことになります。裁判例では、PTSDと認めたうえで素因減額をしているものもあれば、していないものもありますが、素因減額をしている裁判例は、緩やかにPTSD該当性を認めたうえで、素因減額による調整を図るという手法を採ったものとみることができます。
(『概説交通事故賠償法第3版』日本評論社362ページ)
診断基準を緩やかに適用してPTSD該当性を認めた場合や、PTSDに該当しない非器質性精神障害の場合には、素因減額が行われる可能性があります。
上記の最高裁判例によれば、素因減額は、①「その損害が加害行為のみによって通常発生する程度、範囲を超えるもの」であり、かつ、②「その損害の拡大にについて被害者の心因的要因が寄与している」という要件のもとになされるべきことになります。
これをPTSDなど非器質性精神障害についていえば、診断基準にもとづき真にPTSDと判断される場合には、まさに異常な事態における「正常な」心因的反応であることから、素因減額を認めるべきでなく、そうでない場合には、「その損害が加害行為のみによって通常発生する程度、範囲を超えるもの」である場合に限り、素因減額を認める余地があるということになります。
PTSDの認定可能性が低い場合で、加害者側保険会社から素因減額の主張がなされる場合には、被害者側としては、「その損害が加害行為のみによって通常発生する程度、範囲を超えないもの」であり、「損害の拡大に心因的要因は寄与していない」ことの主張立証が必要です。
具体的には、①事故が被害者の心身に与えた衝撃が強烈なものであり、被害者の精神障害がそのような事故により発生することが通常であるといえるものであること、②当該事故以前は、被害者にそのような精神障害が発現したことはないこと、③本件事故以外に被害者の精神障害が発症するようなストレスを生じる環境がないこと、などについて主張・立証が必要です。
PTSDは、診断基準にもとづき厳格に判断する手法が裁判実務において確立して以降、認容される例はごく少数です。また、PTSDが認められたからといって、ただちに後遺障害等級が認定されるわけではありません。
PTSDを含め非器質性精神障害にもとづく損害賠償請求で大事なのは、事故態様、因果関係、発症時期、精神障害の程度、精神科医による診療経過等につき、具体的に主張・立証することです。
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【参考文献】
・厚生労働省労働基準局長通知「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」(基発第0808002号、平成15年8月8日)
・『労災補償障害認定必携 第17版』一般財団法人労災サポートセンター 140~182ページ
・『概説 交通事故賠償法 第3版』日本評論社355~364ページ
・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 183~189ページ
・『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社 479~484ページ
・『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい192~197ページ
・『改訂版 後遺障害等級認定と裁判実務』新日本法規 178~216ページ
・『新しい交通賠償論の胎動』ぎょうせい63~66ページ、69~82ページ
・『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい293~299ページ
・『改訂版 交通事故事件の実務ー裁判官の視点ー』新日本法規124~125ページ
・『弁護士のための後遺障害の実務』学陽書房116~147ページ
・『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社93~97ページ
・『新版注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい220~221ページ
・『交通事故医療法入門』勁草書房218~241ページ
『後遺障害入門』青林書院120~140ページ
・『交通事故損害賠償法第3版』弘文堂205~206ページ
・『交通事故判例百選第5版』有斐閣124~125ページ
・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房137~139ページ
・『交通関係訴訟の実務』商事法務245~250ページ
・「交通損害関係訴訟補訂版』青林書院157~158ページ
・『賠償科学 改訂版』民事法研究会202~258ページ