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こんな疑問のある方に、こちらの記事はおすすめです。こういったことの目安や判断の仕方について、ご紹介します。
交通事故の示談交渉の回数・期間は、回数にして10回程度、期間は3ヵ月~6ヵ月程度が目安です。示談交渉は、回数を重ね、期間を長くすれば、進展し、まとまるわけではありません。
示談交渉が長期化する場合は、損害賠償請求権の消滅時効や自賠責保険への被害者請求権の消滅時効の問題もありますから、特に注意が必要です。示談交渉の進展状況を見ながら、示談交渉を打ち切り、次のステップに移るかどうか判断することが必要となります。
交通事故の示談交渉に要する期間は、人身事故か物損事故か、によって異なります。さらに、人身事故の場合には、傷害事故(治癒した場合)、後遺傷害事故(後遺障害が残った場合)、死亡事故によっても異なります。重傷を負った場合や死亡事故の場合は、長期化する傾向があります。
傷害事故、後遺傷害事故、死亡事故、物損事故ごとに、示談交渉の開始時期と示談成立までの期間の目安は、おおむね次の通りです。
示談交渉の開始時期と期間 | |
---|---|
傷害事故 | 治療終了後、3ヵ月~半年 |
後遺障害事故 | 後遺障害等級の認定後、半年~1年 |
死亡事故 | 四十九日の法要後、半年~1年 |
物損事故 | 事故発生後、2~3ヵ月 |
これくらいの期間にわたって示談交渉を重ねても折り合いがつかず、示談成立の見通しも立たないような場合には、交通事故ADRに示談斡旋の申立てや、最終的には裁判による解決も選択肢となります。
なお、ここに示した示談交渉の回数や期間は、あくまでも目安です。個別事情により異なり、双方の主張にあまり隔たりがなければ、比較的早く示談成立に至りますが、逆に、双方の主張に大きな隔たりがある場合は、示談交渉が難航し、これ以上の期間が示談成立までにかかります。
示談交渉を始めるときには、一応の期限を決めて相手にも伝えておくと、話し合いが進展しやすくなります。示談交渉の期限を設定するということは、期限内に示談が成立しないときは裁判を起こすということですから、1回ごとの話し合いが真剣になるのです。
ただし、期限はあくまでも目途として考え、柔軟に対応することが大切です。期限が来たからといって機械的に打ち切る必要はありません。示談が成立しそうな一歩手前まで話が具体的に煮詰まってきているのなら、当然、示談交渉を継続すべきです。
示談交渉の開始は、損害が確定してからです。人身事故では、それぞれ損害の確定する時点が異なります。
すべての損害額が確定するのは上記の通りですが、任意保険会社による一括払いの場合、治療費は通常、任意保険会社が病院に月々支払います。治療費などすでに支払い済みのものは既払金として処理します。
示談金(損害賠償額)が保険会社から振り込まれるのは、示談成立後、およそ2~3週間程度と考えるとよいでしょう。
示談が成立すると、保険会社から示談書が送られてきますから、示談書に署名・捺印をして返送します。そうすると、保険会社が示談金の支払い手続きを行い、示談金が振り込まれます。
示談交渉の回数や期間に影響する要素としては、交渉により確定すべき損害の費目や金額、誰が示談交渉するか、などがあります。
示談交渉は、最終的には総額での判断となりますが、その交渉過程においては、各損害項目ごとに金額と根拠を吟味します。それを積み上げて損害の総額を算定し、過失割合にもとづき過失相殺を行い、損害賠償額を確定します。
そのため、比較的軽傷で損害も軽微なら、交渉によって確定すべき損害費目や損害額が少ないので、早期に示談が成立する可能性があります。
他方、後遺障害が残るような重い傷害を受けた場合や死亡事故の場合は、交渉すべき損害の費目も金額も多くなり、しかも、将来の逸失利益のような立証の難しい損害も含まれるため、示談交渉の期間が長期化する傾向があります。
このように、損害の費目や金額の多寡が、示談交渉の回数や期間に大きく影響するのです。
誰が示談交渉するかによっても、示談成立までの期間に差が生じます。
通常、加害者の側は、任意保険会社の担当者が示談代行しますが、被害者は自分で示談交渉します。
この場合、加害者側の保険会社から示談金額(賠償額)の提示があり、保険会社が示談交渉の主導権を握ります。被害者には、保険会社の提示額が妥当であるかどうかを判断する基準がありませんから、保険会社にいわれるまま示談してしまうか、根拠を示せず増額を要求して無駄に示談交渉を長引かせてしまうか、どちらかです。
被害者の側にも事故発生につき過失があり、相手に対して損害賠償の責任を負う場合は、保険会社による示談代行に同意すれば、お互いに保険会社の示談交渉となります。
この場合、交通事故の損害賠償に詳しい者同士の示談交渉となりますから、早期の解決が可能です。ただし、保険会社の損害基準で算定した低い賠償額となるデメリットがあります。
被害者が、交通事故の損害賠償請求に強い弁護士に依頼すれば、弁護士が的確に損害を算定し、保険会社と効率的に交渉することができるので、早期解決が可能となります。しかも、弁護士は、裁判所基準で損害算定し、示談交渉しますから、損害賠償額の大幅アップも期待できます。
弁護士に頼むタイミングが早いほど、示談交渉の期間は短くなり、早期解決が期待できます。
事故後の早い段階で交通事故に詳しい弁護士に頼むと、解決までの道筋を見据えて、必要な手立てを取りながら示談交渉に向けた準備を進めることができるので、示談交渉の開始後、攻勢的・効率的に示談交渉ができ、早期の示談成立が見込めるのです。
示談交渉が長期化し解決までに時間を要すると、経済的負担や精神的負担が重くのしかかります。相手方保険会社は、被害者の窮状に付け込んで、示談を迫ってくることがあります。そんなときは、示談する以外にも方法はあります。
それは、加害者の自賠責保険に仮渡金を請求する方法です(自賠法17条)。自賠責保険の仮渡金は、加害者の損害賠償責任が確定する前に、一定額を、交通事故被害者から請求があれば支払うものですから、示談成立の前でも、もっといえば損害額が確定する前でも請求することができます。
両者の主張が極端に違う場合や、加害者の側が誠実に話し合いに応じない場合は、示談による解決は難しく、早々に訴訟を提起することも選択肢となります。
ちなみに、民事訴訟を提起した場合、統計によれば、交通損害賠償事件の平均審理期間は約1年です。
双方の主張に大きな隔たりがある場合は、示談での解決は難しいと考えた方がよいでしょう。
2~3回交渉してみて、歩み寄りが全く見られなければ、早々に示談交渉を打ち切り、裁判に持ち込むのがよいでしょう。そうでないと、時間の無駄です。
特に、過失割合で両者の主張が真っ向から対立するような場合は、示談による解決は困難です。
例えば、こういうケースを考えてみてください。
被害者が「自分にも過失があった」と、2割の過失を認めているとします。これに対し、加害者が「被害者の過失割合は4割だ」と主張しているような場合は、3割前後で落ち着く余地があります。
しかし、加害者が「被害者の過失割合は8割だ」と主張しているような場合は、ほとんど被害者側が全面的に悪いと言っているようなものですから、示談は困難です。双方の主張が真っ向から対立するわけですから、こういう場合は、いくら交渉を重ねても折り合いはつかず、裁判で解決するしかありません。
示談交渉が難航する場合には、裁判以外にも、ADR(裁判外紛争解決機関)に示談の斡旋を申立てる方法ありますが、ADRは、事実関係に争いがなく、賠償額に合意できず示談に至らない場合に有効です。過失割合で争いがある場合は、ADRに申立てをしても解決は困難です。
賠償責任や過失割合で争いがある場合は、事故態様を証明する客観的証拠が不可欠です。最近はドライブレコーダーを搭載している車が増えていますから、ドライブレコーダーの映像があれば有力な証拠となります。
その他、刑事記録(実況見分調書や供述調書など)を入手して、事故態様を明らかにする方法もあります。
ただし、刑事記録は、被疑者(加害者)の起訴・不起訴が決まるまでは、閲覧することができません。不起訴となった場合は、原則として非公開です。実況見分調書や写真撮影報告書など客観証拠は閲覧できる可能性がありますが、供述調書は、民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こさない限り開示されません。
相手が誠実に話し合いに応じない場合は、すぐにでも裁判を起こすのが賢明です。
例えば、相手方が、示談交渉の席にすら着かない加害者、こちらの話を全く聞かず根拠のない自説を延々と主張する加害者、あるいは「従業員の起こした事故で会社は無関係」と、無責任な態度をとる雇用主などの場合です。
こういう相手の場合は、何回か説得を試みて、話し合いは無理だと判断したら、すぐにでも訴訟を提起するのがよいでしょう。
相手に賠償資力がない場合は、裁判所の判決をもらっても「絵に描いた餅」になってしまいます。
事実上、自賠責保険の範囲でしか賠償を受けられず、訴訟費用や弁護士費用が、余分な出費になるだけです。
こういう場合は、相手の自賠責保険に被害者請求し、そのうえで相手が少しでも賠償金の支払いが可能なら、話を詰めるべきでしょう。あるいは、自分の人身傷害補償保険があるのなら、その保険金の支払いを請求するのが賢明です。
示談交渉は、回数にして10回、期間にして3~6ヵ月が目安です。交渉を重ねれば、効果が高まるわけではありません。最初に期限を設定して交渉すると、話し合いが進展しやすくなります。
お互いの主張に極端に大きな隔たりがある場合は、示談交渉で解決するのは困難です。そういう場合は、早めに示談交渉を打ち切り、訴訟を提起して裁判で解決することも選択肢となります。
なお、ここに挙げたことは、あくまでも一般論です。個別の事情を考慮して判断する必要がありますから、交通事故の損害賠償に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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