交通事故トラブル解決ガイド|損害賠償請求・示談交渉の悩みを解決!

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  • 同乗家族のケガ
    自賠責保険は家族間の事故であっても保険金請求できる
    自賠責保険や自賠責共済は、事故の相手が家族の場合や、自動車に同乗していた家族が負傷した場合でも、保険金・共済金の支払いを請求できます。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ仕組みです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。自賠責保健は、被害者が家族であっても保険金の支払いを請求できる自損事故や家族間の事故は、保険金が支払われない、と思っていませんか?自賠責保険は、事故の相手が家族だった場合でも、事故を起こした車に家族が同乗していて怪我をした場合でも、保険金の支払いを請求できます。任意自動車保険(対人賠償保険)では、家族間の事故は免責事由に該当し保険金が支払われないのに、自賠責保険は、なぜ被害者が家族の場合でも支払われるのか、その理由を法律上の規定から見てみましょう。任意保険では「他人」の範囲が異なり、家族は「他人」に該当しません。経済的に同一と見なされ、損害賠償の支払いが適切でないと考えられているからです。ですから、例えば事故を起こした相手が配偶者の車だった場合などは、任意保険の対人・対物賠償責任保険の保険金は支払われません。自賠責保険は、車両の保有者が他人を死傷させたときに支払われる自動車損害賠償保障法(自賠法)では、運行供用者責任を定めています。「運行供用者は、他人を死傷させたとき損害賠償責任が生じる」というものです。自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」をいいます。ここで「他人」とは、運行供用者以外の者のことで、家族でない第三者を指す他人とは違います。さらに、自賠法は、自賠責保険を契約した車両の保有者に運行供用者責任(自動車の運行によって他人を死傷させたことに対する損害賠償の責任)が発生した場合に、自賠責保険金を支払うことを定めています。自賠法11条1項責任保険の契約は、第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を保険会社がてん補することを約し、保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。「保有者」と「運転者」については、自賠法で次のように定義されています。「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう(自賠法2条3項)「運転者」とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう」(自賠法2条4項)自賠法における運転者とは、雇われて自動車の運転をする者のことで、マイカーの運転者は、自賠法のいう運転者ではなく、保有者に当たります。ですから、マイカーを運転中に事故を起こしたケースで考えると、運転者が運行供用者で、同乗者は家族であっても他人ですから、同乗者が事故により負傷したときは、自賠責保険金の支払いを請求できます。もちろん、事故の相手が家族の場合でも「他人」ですから、自賠責保険金の支払いを請求できます。自損事故の場合運転を誤って電柱に衝突した場合を考えてみましょう。こういう場合、一般に自損事故といわれます。自損事故は、厳密にいえば「加害者がいない事故」です。このとき運転者だけが乗っていたのなら、まぎれもない自損事故です。この場合は、運転者が死傷したとしても自賠責保険から保険金は支払われません。しかし、いわゆる自損事故でも、同乗者がいて死傷した場合は、自賠責保険の保険金支払いの対象となります。それが運転者の家族であっても、自賠責保険は支払われます。夫が運転する車に妻が同乗していて事故を起こしたとき具体例で考えてみましょう。例えば、夫が運転する車に妻が同乗していて、電柱に衝突する事故を起こし妻が負傷した場合、妻が被害者となり、夫が加害者となります。したがって、夫(加害者)は妻(被害者)に対して、損害を賠償する責任が生じます。その賠償金を填補するために、夫の加入している自賠責保険から保険金が支払われます。「妻は他人」最高裁判決(昭和47年5月30日)自賠法3条の「他人」規定をめぐっては、妻や子が「他人」にあたるかどうかが問題となり、保険会社は家族間の事故については保険金の支払いを拒否し、下級審の判断も分かれていました。これに決着をつけたのが、1972年(昭和47年)5月30日の最高裁判決でした。最高裁は「自賠法3条は、運行供用者および運転者以外の者を他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者であるからといって、そのことだけで他人に当らないと解すべき論拠はなく、具体的な事実関係のもとにおいて、被害者が他人に当るかどうかを判断すべきである」と判示しました。自動車が夫婦共有とか、夫婦が共に運行供用者(共同運行供用者)と認められるような特別な場合には、他人性がなくなり、賠償請求が否定されることがあります。また、治療費は認められても、慰謝料などは認められないことがありますから注意が必要です。賠償責任を負う運行供用者、自賠責保険金が支払われる保有者とは?運行供用者についての定義規定は自賠法の中にもないのですが、判例・通説は「事故を起こした車(加害車両)について運行支配と運行利益が帰属する者」とされています(逐条解説 自動車損害賠償保障法より)。交通事故の賠償責任を負う運行供用者は、次のように大きく3つのタイプに分類できます。自動車の所有者自動車を所有する個人・法人。自動車の所有者は、たとえ自分で事故を起こしていなくても賠償責任を負います。雇い主は、運行供用者責任のほか使用者責任(民法第715条)も負います。次のような所有者は、運行供用者にあたりません。名義変更していない旧所有者事故を起こした盗難車の所有者(管理責任を果たしている場合に限る)ディーラーローンのような所有権留保を付けて販売している販売店正式に使用する権利のある者自動車を正式に使用する権利のある運転者、運転助手など。自賠法の定義する運転者(他人のために自動車の運転に従事する者)は含みません。正式な使用権を持たない運転者無断借用運転者、盗難車両の運転者など。このうち、「自動車の所有者」と「正式に使用する権利のある者」が、自賠法のいう「保有者」にあたり、保有者に運行供用者責任(自動車の運行によって他人を死傷させたことに対する損害賠償の責任)が発生したとき、自賠責保険金が支払われます。「正式な使用権を持たない運転者」が起こした事故については、自賠責保険金は支払われません。この場合の被害者は、政府保障事業に請求することになります。運行供用者・保有者・運転者の違いについて詳しくはこちらまとめ自賠法第3条に定める「他人」とは、運行供用者(自動車の所有者・運転者)以外の人です。ですから、事故を起こした車両に同乗していたのが運転者の家族であっても、自賠責保険に保険金の支払いを請求できます。共同運行供用者にあたるとか、慰謝料を支払わないなど、保険金の支払いで保険会社と揉めているときは、保険会社との交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 同乗者の損害
    好意無償同乗者は運転者の自動車保険から治療費や慰謝料が出るか
    友人の運転する車に乗せてもらっていたとき、その友人の過失で交通事故を起こしてしまい、私も負傷しました。友人の自動車保険から、治療費や慰謝料は出るのでしょうか。運転者の好意により無償で車に乗せてもらった同乗者も、基本的に自賠法(自動車損害賠償保障法)の保護対象であり、自賠責保険から保険金が支払われます。また、対人賠償責任保険も、免責事由(運転者と親子・配偶者の関係にある等)に該当しない限り、保険金が支払われます。ただし、同乗者に帰責事由がある場合(例えば、運転者の飲酒を承知のうえで同乗した場合など)は、損害賠償額が減額されます。また、同乗した自動車に人身傷害保険や搭乗者傷害保険等を掛けていれば、この保険金の支払いを請求することもできます。なお、自動車同士の事故で、相手自動車の運転者にも過失がある場合は、双方の運転者に損害賠償を請求することができます。同乗者の損害賠償請求好意同乗・無償同乗であっても、基本的には同乗車両の自動車保険から保険金の支払いを受けられます。好意同乗・無償同乗という理由だけで賠償金額が減額されることはありませんが、同乗者にも事故発生の原因となるような行為があった場合などは、賠償金額が減額されることがあります。詳しい解説さらに詳しく見ていきましょう。好意同乗・無償同乗という理由だけで免責や減額にはならない好意により無償で他人を車に乗せて走行中に事故を起こし、同乗者を死傷させた場合、運行供用者や運転者が、同乗者の全損害に対して責任を負うかどうかは、好意同乗・無償同乗の問題として議論がありました。運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供する者」をいいます(自賠法3条)。マイカーの運転者は、通常、運行供用者です。運転者とは「他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者」をいいます(自賠法2条4項)。雇用されて運転する者などが該当します。同乗者は、自動車の走行による危険を承知のうえで同乗し、万一事故が起きた場合でも損害賠償請求などしない、という暗黙の了解があると考えられる余地があるため、従来は、無償で車に乗せてあげたのだから賠償金は減額してよいのではないか、と減額することが多かったようです。しかし、今は、同乗させた以上、運行供用者や運転者は、原則として全損害に責任を負うべきであり、好意同乗・無償同乗という理由だけで損害賠償額を減額すべきでない、とする考え方が有力です。ただし、同乗者が被保険者と一定の関係にある場合には、同乗者は自動車保険から損害賠償金の支払いを受けられないことがあります。また、同乗者に帰責事由がある場合には、損害賠償額が減額されることがあります。同乗者の損害に対し自動車保険の補償がない場合とは?同乗者の損害に対し、同乗車両の自賠責保険や対人賠償責任保険から保険金が支払われないケースとしては、次の2つがあります。同乗者が運行供用者の場合1つは、同乗者が運行供用者に当たる場合です。例えば、自分の車を他人に運転させて同乗していたようなケースです。そもそも自賠法では、運行供用者が損害賠償責任を負う主体です。運行供用者は、自動車の運行によって「他人の生命または身体を害したとき」は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(自賠法3条)。ちなみに、この「他人」には、運転者は含まれません(最高裁判決・昭和37年12月14日)。つまり、自賠法では、自動車の運行による人身事故において、「運行供用者と運転者」を賠償責任主体とし、それ以外を「他人」として保護・救済する対象としています。また、自賠責保険制度は、人身事故の加害者である被保険者に保険金を支払うことにより、被害者(=他人)の保護・救済を図るものです。自賠責保険の被保険者は、保有者と運転者です。保有者とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、かつ、運行供用者です(自賠法2条3項)。保有者は、人身事故を起こせば、自賠法3条にもとづく運行供用者責任を負います。運転者とは、他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者です(自賠法2条4項)。運転者は、自賠法3条の運行供用者責任は負いませんが、過失により事故を起こした場合は、民法709条にもとづく不法行為責任を負います。要するに、運行供用者(正確には保有者)は、被害者に対し損害賠償金を支払ったことにより被る損害に対しては、自賠責保険による填補がありますが、運行供用者自身が受傷したことによる損害については、自賠責保険による補償はない、ということです。運行供用者・運転者・保有者・被保険者の違いと関係について詳しくはこちら同乗者が運転者の家族の場合もう1つは、同乗者が運転者の家族の場合です。被害者が、運転者と親子・夫婦の関係にある場合には対人賠償責任保険の免責事由に該当し、対人賠償責任保険は支払われません。対人賠償責任保険が免責事由に該当して支払われないとしても、人身傷害保険や搭乗者傷害保険に入っていれば、そちらでカバーできます。なお、自賠責保険は、同乗者が家族であっても保険金が支払われます。同乗者に過失があるときは減額される今では、好意同乗・無償同乗という理由で損害賠償金額が減額されることはありませんが、同乗者に過失があるときは、賠償金額が過失相殺により減額されます。例えば、運転者が飲酒をしていることを知りながら同乗した場合や、スピード違反を煽って事故を誘発したような場合です。同乗者に、事故発生の原因となる行為があったか、賠償金を減額すべき理由があるか、個別具体的に判断されます。好意同乗・無償同乗の過失相殺について詳しくはこちらまとめ好意同乗・無償同乗であっても、交通事故で負傷した同乗者は、同乗車両の運転者に対して損害賠償を請求し、運転者の加入する自賠責保険・対人賠償責任保険から、賠償金(保険金)を受け取ることができます。ただし、同乗者に過失がある場合は、賠償金額が減額されることがあります。自賠責保険や対人賠償責任保険による補償がない場合でも、運転者が人身傷害保険や搭乗者傷害保険を掛けていれば、こちらの保険金を請求できます。同乗者の損害賠償についてさらに詳しくは、次の記事をご覧ください。同乗者が交通事故で負傷した場合も自動車保険から補償はある?交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通事故の法律相談Q&A』法学書院 77~79ページ・『交通事故の法律知識』自由国民社 12ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 278ページ
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  • 自賠法3条の他人
    自賠法3条の他人とは?自賠責保険における他人性の判断基準
    自賠責保険に保険金(損害賠償額)の支払いを請求するには、被害者が、事故を起こした車両の運行供用者との関係で「他人」に当たることが要件となります。「他人」に当たらないときは、自賠責保険の支払いを受けられません。自賠法にいう「他人」とは?「他人性」をどう判断するのか?裁判例をもとに、詳しく見ていきましょう。自賠法3条の「他人」とは?自賠法(自動車損害賠償保障法)は、運行供用者責任について、次のように定めています。自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。自賠法では、自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)が、その運行によって「他人」の生命・身体を害したとき、損害賠償責任が生じます。つまり、自賠法3条にもとづき運行供用者に損害賠償を請求するには、被害者が運行供用者との関係で「他人」であることが要件となるのです。運行供用者について詳しくは、次のページをご覧ください。運行供用者とは?運行供用者の判断基準自賠法における運行供用者・運転者・保有者・被保険者の違いでは、自賠法3条にいう「他人」とは?自賠法3条の「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者自賠法に「他人」の定義規定はありません。判例により、自賠法3条にいう「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者を指すと解されています。運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供する者」(自賠法3条)であり、運転者とは「他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者」(自賠法2条4項)です。ここで「他人のために」というのは「自己のために」の反対概念であって、自動車の使用についての支配権とそれによる利益が他人に帰属することを意味します。自賠法3条にいう「他人」について、運行供用者と運転者以外の者を指す、と判示した最高裁判例は次のものです。最高裁第二小法廷判決( 昭和42年9月29日)自賠法3条本文にいう「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当である。最高裁第二小法廷判決(昭和37年12月14日)自賠法3条本文にいう「他人」のうちには当該事故自動車の運転者は含まれない。最高裁第三小法廷判決(昭和57年4月27日)自賠法3条本文にいう「他人」のうちには、当該自動車の運転者及び運転補助者は含まれない。運行供用者と運転者は、自賠法の保護対象外運行供用者と運転者・運転補助者以外の者が「他人」ということは、運行供用者と運転者・運転補助者は、事故で負傷しても、自賠法により保護されない、すなわち、自賠責保険による救済を受けられない、ということです。運行供用者は「事故の発生を防止すべき立場」にあり、運転者は「事故を起こした加害者」です。運行供用者および運転者は、自動車の運行に関して注意義務を負い、事故によって生じた損害の賠償責任を負う者ですから、自賠法により保護すべき「他人」には当たらない、というわけです。ただし、裁判例では、運行供用者や運転者・運転補助者であっても、「他人性」が認められるケースがあります。それはどんな場合か? 運行供用者や運転者・運転補助者の「他人性」をどう判断するのか? 具体的に見ていきましょう。家族や知人・友人の「他人性」被害者が運転者の家族や知人・友人であるからといって、それだけで「他人」に該当しないと判断されるわけではありません。次のような裁判例があります。妻は「他人」運転者と同乗者との間に親族関係があっても、そのことのみで同乗者が「他人」に当たらないとはされません。夫が運転中事故を起こし、同乗していた妻が負傷した事案につき、最高裁は、「自賠法3条は、運行供用者および運転者以外の者を他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者等であるからといって、そのことだけで、かかる被害者が他人に当らないと解すべき論拠はなく、具体的な事実関係のもとにおいて、かかる被害者が他人に当るかどうかを判断すべきである」と指摘したうえで、次のように判示しました。最高裁第三小法廷判決(昭和47年5月30日)妻が夫の運転する自動車に同乗中、夫の運転上の過失により負傷した場合であっても、右自動車が夫の所有に属し、夫が、もっぱらその運転にあたり、またその維持費をすべて負担しており、他方、妻は、運転免許を有しておらず、事故の際に運転補助の行為をすることもなかったなど判示の事実関係のもとにおいては、妻は、自賠法3条にいう他人にあたると解すべきである。自賠責保険は家族間の事故であっても保険金請求できる自賠法3条の「他人」には同乗者も含まれる好意無償同乗者も、自賠法3条にいう「他人」に当たる、との判断を最高裁が示しています。最高裁第二小法廷判決(昭和42年9月29日)自賠法3条本文にいう「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当であり、酩酊のうえ助手席に乗り込んだ者も、運転手がその乗車を認容して自動車を操縦したものである以上、「他人」に含まれる。運転者が無償で好意により同乗させた者(好意同乗者・無償同乗者)が、自賠法3条にいう「他人」に当たるか、については様々な議論がありましたが、今日ではこれを肯定し、同乗の態様に応じて同乗者に対する賠償額を減額することができるかの問題が中心となっています。(参考:佐久間邦夫=八木一洋編『交通損害関係訴訟【補訂版】』青林書院 58ページ)好意無償同乗者への自賠責保険金の支払いについて詳しくはこちら運転者・運転補助者の「他人性」運転者および運転補助者は、加害者側として、運行供用者とともに、基本的には「他人」から除外されます。しかし、被害者保護の観点から、運転者や運転補助者が、その地位(立場)から離脱していたときに事故に遭った場合には、「他人」性を認めています。運転者(狭義の運転者)の他人性運転者(狭義の運転者)とは、「他人のために自動車の運転に従事する者」ですから、タクシー会社に雇用されているタクシー運転手や、バス会社に雇用されているバス運転手などが該当します。運転者を事故時に「現実に運転行為に従事していた者」と考え、一時的にその地位から離脱していた場合は、「他人性」が認められるケースがあります。例えば、長距離トラックの運転者が、事故発生時に、同乗していた交替運転手や運転助手に運転を委ねて、助手席や車内ベッドで仮眠していたような場合には、運転者の地位から離脱していたとして、「他人」と認められる可能性があります。ただし、事故時に直接運転に従事していなかったからといって、直ちに運転者の地位を離脱するわけではなく、そういう場合には「他人性」が否定されます。次のような裁判例があります。最高裁第二小法廷判決(昭和44年3月28日)正運転手としてみずから自動車を運転すべき職責を有し、助手に運転させることを業務命令により禁止されていたにもかかわらず、他所から来てまだ地理も分らない助手に運転させ、みずからは助手席に乗車して助手に運転上の指図をしていた正運転手は、事故時に運転者であったと解すべきであり、自賠法3条にいう「他人」に当たらない。運転補助者の他人性運転補助者とは、「他人のために自動車の運転の補助に従事する者」で、例えば、バスの後退を誘導する車掌などが当たります。事故が運転補助者の職務の範囲外の事実に起因する場合には、運転補助者の地位から離脱していることなどを根拠として「他人性」が認められるケースがあります。運転補助者の「他人性」を否定した最高裁判例としては、次のものがあります。最高裁第三小法廷判決・昭和57年4月27日運転者と「共同一体的に運行に関与した者として、少なくとも運転補助者の役割を果たしたものと認められる事情が多分にうかがわれる」場合は、「他人に当たらないと解される余地がある」とし、「単に命令服従関係になかったというだけでは、自賠法3条本文にいう他人に当たるとは断じえない」としました。運転補助者の「他人性」を認めた最高裁判例としては、次のようなものがあります。トラックに積載された鋼管杭をクレーン車の装置により工事現場に荷下ろしする際に、玉掛け作業を手伝ったトラックの運転者が鋼管杭の落下により死亡した事故で、被害者はクレーン車の運転補助者ではなく「他人」に当たるとしました。最高裁第二小法廷判決(平成11年7月16日)鋼管杭は工事現場で車上に積載したままの状態で工事業者に引き渡す約定とされており、トラックの運転者Aは、クレーン車の運転者Bが行う鋼管杭の荷下ろし作業について、指示や監視をすべき立場にも、作業を手伝う義務を負う立場にもなく、また、鋼管杭が落下した原因は、Bが自らの判断で鋼管杭を安全につり上げるのには不適切な短いワイヤーロープを使用した上クレーンの補巻フックにシャックルを付けずにワイヤーロープを装着したことにあり、その後Aが好意から玉掛けを手伝って行った作業が鋼管杭落下の原因となっているものではないという事情の下においては、Aは、クレーン車の運転補助者には該当せず、自賠法3条にいう「他人」に当たる。裁判例によると、運転者を補助すべき立場・地位にあり、その補助行為が事故の原因となっている場合には、運転補助者として「他人性」が否定されます。つまり、①運転者を補助すべき立場・地位にあること、②補助作業と事故発生との因果関係の存在が、運転補助者に該当する判断基準となります。①または②のどちらかの要素が否定されれば、補助行為をした者であっても、「他人性」が認められる可能性があります。共同運行供用者の「他人性」運行供用者は、事故発生を防止すべき立場にあり、自賠法における損害賠償の責任主体です。したがって、事故で被害者となっても、原則として自賠法3条にいう「他人」には当たらず、自賠法により保護されません。しかし、現在では、このような形式的な解釈はなされず、他にも運行供用者となる者(共同運行供用者)がいる場合には、共同運行供用者相互の運行支配の程度・態様を比較し、被害者となった運行供用者より他方の運行供用者の運行支配の程度が勝るときは、「他人性」が認められる場合があります。運行供用者であっても「他人性」が認められれば、付保されている自賠責保険に対し、保険金(損害賠償額)の支払いを請求できる場合があります。共同運行供用者の「他人性」については、被害者となった運行供用者以外の運行供用者が事故車両に同乗していたかどうかによって、次のように3つに類型化して検討されます。非同乗型事故時に、他方の運行供用者が同乗していなかった場合同乗型事故時に、他方の運行供用者も同乗していた場合混合型事故時に、他の運行供用者が車外と車内にいる場合非同乗型非同乗型とは、他方の運行供用者が、事故車両に同乗していなかったケース、すなわち車外にいたケースです。非同乗型の場合、「車外の運行供用者」と「被害者となった車内の運行供用者」の運行支配の程度・態様を比較し、どちらの運行支配が、直接的・顕在的・具体的か、によって判断します。非同乗型の判例次のような最高裁判例があります。同族会社の取締役が、私用で会社所有の自動車をみずから運転して出かけ、途中、同乗していた従業員と運転を交代し、従業員が運転中にガードレールに衝突し、取締役が受傷した事案です。最高裁第三小法廷(昭和50年11月4日)取締役Aは会社の業務終了後の深夜に本件自動車を業務とは無関係の私用のためみずからが運転者となりこれに従業員Bを同乗させて数時間にわたって運転したのであり、本件事故当時の運転者はBであるが、この点も、Aが会社の従業員であるBに運転を命じたという関係ではなく、Aみずからが運転中に接触事故を起こしたために、たまたま運転を交代したというにすぎない、というのであって、この事実よりすれば、Aは、本件事故当時、本件自動車の運行をみずから支配し、これを私用に供しつつ利益をも享受していたものといわざるをえない。もっとも、会社による本件自動車の管理の態様や、Aの会社における地位・身分等を斟酌すると、Aよる本件自動車の運行は、必ずしも、その所有者たる会社による運行支配を全面的に排除してされたと解し難いが、そうであるからといって、Aの運行供用者たる地位が否定される理由はなく、かえって、会社による運行支配が間接的、潜在的、抽象的であるのに対し、Aによるそれは、はるかに直接的、顕在的、具体的であるとさえ解されるのである。それゆえ、本件事故の被害者であるAは、他面、本件事故当時において本件自動車を自己のために運行の用に供していた者であり、…会社もまたその運行供用者であるというべきものとしても、その具体的運行に対する支配の程度・態様において被害者たるAのそれが直接的、顕在的、具体的である本件においては、Aは会社に対し自賠法3条の「他人」であることを主張することは許されないというべきである。この判例の判断基準によれば、運行供用者であっても、運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者より間接的・潜在的・抽象的であれば「他人」といえる場合があり得るということです。ただし、実際に、自動車の運行を直接的・顕在的・具体的に支配している車内の運行供用者が、車外の運行供用者との関係で「他人」となることは難しいでしょう。同乗型同乗型とは、他方の運行供用者が、事故車両に同乗・運転していたケースです。同乗型の場合、車内の運行供用者同士の運行支配の程度・態様が比較されることになります。どちらの運行支配が、より直接的・顕在的・具体的か、ということです。このとき、運行支配の比較は、「ハンドルを握っていた」など物理的な支配の程度だけではなく、「自動車の運行による危険を制御すべき立場」という規範的な支配の程度として比較・検討されます。同乗型の判例次のような最高裁判例があります。自動車の所有者Aが、友人Bに運転を委ねて同乗中、Bの起こした事故により死亡した事案です。最高裁第二小法廷判決(昭和57年11月26日)所有者Aは、友人Bとともに本件自動車の運行による利益を享受し、これを支配していたものであって、単に便乗していたものではないと解するのが相当であり、また、Aがある程度B自身の判断で運行することをも許したとしても、Aは事故の防止につき中心的な責任を負う所有者として同乗していたのであって、同人はいつでもBに対し運転の交替を命じ、あるいは、その運転につき具体的に指示することができる立場にあったのであるから、BがAの運行支配に服さず同人の指示を守らなかった等の特段の事情がある場合は格別、そうでない限り、本件自動車の具体的運行に対するAの支配の程度は、運転していたBのそれに比し優るとも劣らなかったものというべきであって、かかる運行支配を有するAはその運行支配に服すべき立場にあるBに対する関係において同法3条本文の他人にあたるということはできないものといわなければならない。この最高裁判例は、同乗していた所有者(被害者となった運行共有者)が、運転していた者(他方の運行供用者)との関係において「他人」といえるか、について、「特段の事情」がない限り、事故防止の中心的責任を負う所有者である運行供用者の運行支配の程度は、運転者の運行支配の程度に比べ、優るとも劣らない(=同等)とし、「他人性」を否定しました。判決のポイントは2つです。運行支配が同等の者の間では、自賠法3条の他人であることを主張できない車の所有者は事故の防止につき中心的な責任を負い、運転していなくても同乗している以上、特段の事情がない限り、運行支配の程度は運転者と同等「特段の事情」とは?「特段の事情」としては、①運転者が運行供用者の指示を守らなかった場合や、②飲酒のために運転代行を依頼した場合などがあります。代行運転について、「他人性」を肯定した次のような最高裁判例があります。運転代行業者に運転を依頼して同乗中に事故により負傷した自動車の使用権者Aが、運転代行業者に対する関係において、自賠法3条の他人に当たるとされた事例です。最高裁第二小法廷判決(平成9年10月31日)Aは、会社の所有する本件自動車を貸与され、これを会社の業務や通勤のために使用するほか、私用に使うことも許されていた。自動車の所有者は、第三者に自動車の運転をゆだねて同乗している場合であっても、事故防止につき中心的な責任を負う者として、右第三者に対して運転の交代を命じ、あるいは運転につき具体的に指示することができる立場にあるのであるから、特段の事情のない限り、右第三者に対する関係において、法三条の「他人」に当たらないと解すべきところ、正当な権原に基づいて自動車を常時使用する者についても、所有者の場合と同様に解するのが相当である。そこで、本件について特段の事情の有無を検討するに、Aは、飲酒により安全に自動車を運転する能力、適性を欠くに至ったことから、自ら本件自動車を運転することによる交通事故の発生の危険を回避するために、運転代行業者であるP代行に本件自動車の運転代行を依頼したものであり、他方、P代行は、運転代行業務を引き受けることにより、Aに対して、本件自動車を安全に運行して目的地まで運送する義務を負ったものと認められる。このような両者の関係からすれば、本件事故当時においては、本件自動車の運行による事故の発生を防止する中心的な責任はP代行が負い、Aの運行支配はP代行のそれに比べて間接的、補助的なものにとどまっていたものというべきである。したがって、本件は前記特段の事情のある場合に該当し、Aは、P代行に対する関係において、自賠法3条の「他人」に当たると解するのが相当である。混合型混合型とは、被害者となった運行供用者のほかに運行供用者が2人いて、一方は被害者と同乗・運転し、他方は同乗していない場合です。使用権者が、同乗中に事故で負傷するようなケースです。車内の使用権者(=運行供用者)と車外の所有者(=運行供用者)との関係では非同乗型、車内の使用権者(=運行供用者)と車を運転していた者(=運行供用者)との関係では同乗型に該当するので、それぞれの判断基準に従って、「他人性」を判断することになります。車内の使用権者と車外の所有者との関係では、車内の使用権者による運行支配の程度は「直接的、顕在的、具体的」であるのに対し、車外の所有者による運行支配の程度は「間接的、潜在的、抽象的」であるケースが多いでしょうから、車内の使用権者は、車外の所有者との関係において「他人性」が認められることは難しいと考えられます。車内の使用権者と車を運転していた者との関係では、「特段の事情」がない限り運行支配の程度は同等と判断され、車内の使用権者は、車を運転していた者との関係において「他人性」は否定され、「特段の事情」があるときは「他人性」が肯定されると考えられます。混合型の判例混合型については、次の裁判例があります。Aが、父親B所有の自動車に友人Cを乗せて深夜バーに赴き、Cと共に飲酒。Aが泥酔して寝込んでしまったので、Cがバーのカウンター上に置かれていたキーを使用してAを同自動車に乗せて運転しているさなかに事故を起こし、Aが負傷した事案です。原審の判断原審(名古屋高裁平成19年3月22日判決)は、Aには友人Cに対して本件自動車の運転を依頼する意思がなく、Aは泥酔していて意識がなかったため、Cが本件自動車を運転するについて指示はおろか、運転していること自体認識していないことなどから、Aの本件自動車に対する運行支配はなかったというべきであり、そうすると、Aを介して存在していたBの運行支配も本件事故時には失われていたとして、Bは運行供用者に当たらないとして、Aの請求を棄却しました。最高裁の判断Aが上告したところ、最高裁は、「BはCと面識がなく、Cという人物の存在すら認識していなかったとしても、本件運行は、Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり、Bは、客観的外形的に見て、本件運行について、運行供用者に当たると解するのが相当である」として原判決を破棄し、AがBに対する関係において自賠法3条にいう「他人」に当たるといえるかどうか等について更に審理を尽くさせるため、差し戻しました。運行供用者の判断基準についてはこちらをご覧ください。差戻控訴審の判断Aと車外の所有者Bとの関係では「非同乗型」の判断基準に従うことになり、Aと運転者Cとの関係では「同乗型」の判断基準に従うことになります。差戻控訴審判決(名古屋高裁平成21年3月19日判決)は、Aは、BおよびCのいずれに対する関係においても「他人」に当たらないと判示しました。名古屋高裁判決(平成21年3月19日)所有者である父親との関係Bによる本件運行に対する支配は、あくまでAによるCに対する本件自動車の使用の容認・許諾を介するものであって、間接的、潜在的、抽象的であると言わざるを得ない。これに対し、Aによるそれは、Cの本件自動車の運転を容認することによって同人に同車の運転をゆだねたと評価できるものであるから、Bによるそれと比較して、より直接的、顕在的、具体的であったといえる。このような本件自動車の具体的な運行に対する支配の程度・態様に照らせば、Aは、運行供用者に該当し、かつ、同じく運行供用者に該当するBよりも、運行支配の程度・態様がより直接的、顕在的、具体的であったから、Bに対する関係において自賠法3条にいう「他人」に当たらないと解するのが相当である。運転していた友人Cとの関係Aは、Cを同乗させてバーに赴き、Cが運転免許を有さず飲酒していることを知りながら、バーから帰るためにCが本件自動車を運転することを容認した上で、電車やバスが運行されていない時間帯に飲酒して泥酔して寝込んでいたのであり、このような事情に照らせば、Aの本件自動車の具体的運行に対する支配の程度は、運転行為を行ったCのそれに優るとも劣らないというべきである。また、Cの本件運行は、Aの容認下に行われていたのであるから、最高裁昭和57年11月26日判決のいう自動車運転者が事故被害者(同乗の自動車の正当な使用権者)の運行支配に服さず同人の指示を守らなかった等の「特段の事情」があるともいえない。したがって、Aは、Cに対する関係において自賠法3条の「他人」に当たるということはできない。共同運行供用者の「他人性」の判断基準被害者が共同運行供用者である場合の「他人性」の判定基準は、運行支配の程度・態様を実質的に観察するという観点(「直接的・顕在的・具体的」か「観察的・潜在的・抽象的」か)であり、修正要素として規範的観点(自動車の所有者・使用権者等の事故防止責任)を盛り込むものです。(参考:公益財団法人 交通事故紛争処理センター編集『交通事故分s峰解決法理の到達点』第一法規 251~252ページ)共同運行供用者の「他人性」、すなわち「被害者となった運行供用者」が「他方の運行供用者」との関係において「他人」といえるか、について判断基準を裁判例をもとにまとめると、次の通りです。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配より、直接的・顕在的・具体的である場合には、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たらない。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配と同等の場合も、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たらない。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配より、間接的・潜在的・抽象的である場合には、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たる。事故車に同乗していた所有者および準所有者(正当な権原にもとづいて自動車を常時使用する者)は、「特段の事情」がない限り、自賠法3条の「他人」に当たらない。事故車に同乗していた所有者および準所有者が自賠法3条の「他人」に当たる「特段の事情」としては、①運転していた運行供用者が、所有者・準所有者の運行支配に服さず指示を守らなかった場合や、②飲酒のため運転代行を依頼した場合などがある。(参考:北河隆之著『交通事故損害賠償法 第3版』弘文堂 107ページ)被害者に「他人性」が認められないとき被害者に「他人性」が認められない場合でも、自賠法3条に基づく損害賠償請求ができないということであり、要件を満たす限り民法709条に基づく損害賠償請求をすることはできます。任意自動車保険(対人賠償責任保険)における保険事故は、一般に「非保険自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命または身体を害することにより、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担すること」とされており、被害者が自賠法3条の「他人」に当たらず自賠責保険が適用されない場合でも、対人賠償責任保険は適用され得ます。まとめ自動車事故による被害者が、自賠法3条に基づき、運行供用者に対して損害賠償を請求するには、被害者が運行供用者との関係において「他人」であることが必要です。自賠法3条にいう「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者を指します。運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者(自賠法3条)、運転者とは、他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者(自賠法2条4項)です。つまり、「他人」とは、「自動車による事故を抑止すべき立場にない者」と解されます。なお、被害者が共同運行供用者の場合の「他人性」は、運行支配の程度・態様を比較し、所有者・使用権者の事故防止責任といった規範的観点を考慮して、判断します。自賠責保険の支払いにあたっては、被害者の「他人性」が厳しく審査されます。特に、同乗者については、運行供用者や運転補助者に当たらないか、厳密に審査する傾向があるようです。運行供用者や運転者・運転補助者であっても、一律に「他人性」を否定し、自賠責保険の救済から除外されることはありません。お困りのときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 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