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    子供の飛び出し交通事故の過失割合と親の責任・過失相殺
    子どもが道路に飛び出して交通事故の被害に遭ったときの損害賠償については、「飛び出し」を被害者の過失として過失相殺される場合がある一方で、小さな子ども(幼児)であれば過失相殺が否定される場合もあります。被害者が子どもの場合、過失相殺するかしないかの判断は、被害者である子どもに「事理弁識能力(過失相殺能力)」があると認められるかどうかによります。なお、被害者である子どもに事理弁識能力がないと判断して過失相殺が否定された場合でも、親に監督上の過失があったとして過失相殺されることがあります。過失相殺の法理被害者が小さな子どもの場合の過失割合・過失相殺について見る前に、過失相殺について、簡単に振り返っておきましょう。不法行為によって相手に損害を与えたとき、加害者は、被害者に生じた損害を賠償する責任を負います。ただし、被害者にも過失(落ち度)があった場合は、被害者の過失割合分については賠償を受けられず、被害者の負担となります。これが過失相殺です。つまり、過失相殺とは、被害者に発生した損害について、加害者と被害者との間で公平に分担するための制度です。加害者の過失と、過失相殺における被害者の過失は、概念が異なります。「加害者の過失」と「被害者の過失」の違いについてはこちらをご覧ください。被害者に事理弁識能力があれば過失相殺される被害者が小さな子どもの場合、危険性についての判断能力が十分ではありません。それにもかかわらず、大人と同じように過失相殺をしてよいのか、という問題があります。他方で、突然の飛び出しなどは、通常の注意義務をもって運転していたとしても避けようがなく、そういう場合にも、加害者に全額損害賠償させるのは、損害の公平な分担という過失相殺の理念に照らして公平性を欠くのではないか、という問題もあります。これについて最高裁は、次のような判断を示しています。被害者が子どもの場合の過失相殺に関する最高裁判例最高裁は、被害者である未成年者の過失を斟酌する場合、不法行為責任を負わせるまでの責任能力は不要で、事理弁識能力が備わっていれば足りると判示しました(昭和39年6月24日)。不法行為責任とは、民法709条で定めている「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」というものです。責任能力とは、過失など自分の不法行為の結果、法的責任が発生する(損害賠償責任が生じる)ことを認識できる能力をいいます。不法行為責任能力とも呼ばれます。事理弁識能力とは、物事の良し悪しを判断できる能力のことです。例えば、飛び出しは危険ということを理解できる能力をいいます。法的責任の認識までは必要はありません。過失相殺を可能とする能力なので、過失相殺能力とも呼ばれます。被害者である子どもに、事理弁識能力が備わっていると判断される場合には、過失相殺が肯定され、事理弁識能力が備わっていないと判断される場合には、過失相殺が否定されます。最高裁判例について詳しくはこちら事理弁識能力が備わるのは何歳くらい?最高裁は具体的に年齢の基準を示していませんが、その後の下級審の裁判例によると、事理弁識能力が備わる年齢は、だいたい5~6歳と判断するものが多いようです。小学校に入学した児童については、事理弁識能力があるとして過失相殺されています。4歳児・5歳児の幼児については、肯定例・否定例の双方があり、6歳以上は肯定され、3歳児は否定されているようです。通常、年齢によって判断され、個別具体的な事情で能力の高低が判断されるわけではありません。子どもの過失相殺率は、大人と同じでなく、減算修正される「被害者である子どもに事理弁識能力が備わっていれば過失相殺される」といっても、大人と同じ過失相殺率(過失割合)が適用されるわけではありません。過失相殺率認定基準では、「判断能力や行動能力が低い者については、特に保護する要請が高い」(「別冊判例タイムズ38」61ページ)ことから、過失相殺率を減算修正しています。実際の事故態様によって修正率は変わりますが、基本の過失相殺率から、児童5%、幼児10%を減算修正するケースや、児童10%、幼児20%を減算修正するケースなどがあります。そうすると、過失相殺率認定基準で基本の過失相殺率が10%の事故の場合、修正率がマイナス10%であれば、過失相殺率がゼロとなり、事実上、過失相殺されないということになります。過失相殺率認定基準が全ての事故を網羅しているわけではありませんから、基準を参考に個別事情を考慮して判断することが大切です。子どもの過失が否定されても、親の過失として過失相殺もある被害者が事理弁識能力のない幼児の場合、被害者本人は過失相殺されないとしても、親の監督責任が問われ、親の過失として過失相殺されることがあります。これは「被害者側の過失」という考え方です。被害者と一定の関係にある者の過失を考慮して過失相殺するものです。なお、監督義務違反の過失は、子どもの監督という漠然としたものであり、広範囲の責任を課せられていることもあって、過失相殺率は最高でも30%程度といわれています。(参考:『交通事故の法律知識・第4版』自由国民社116ページ)母親が2歳の幼児を連れて買い物をした後、荷物を車に積み込む間、幼児から目を離したため、幼児が駐車場の走行スペースに移動し、自動車にひかれて死亡した事故について、母親にも幼児の動静に注意しておく義務があったのに、これを怠った過失があるとして、1割の過失相殺を認定。(福岡地裁判決・平成27年5月19日)子どもの過失が肯定され、親の過失も認定される場合もある被害者である幼児に事理弁識能力があるとして過失が認められる場合、幼児と一定の関係にある者の過失も被害者側の過失として、あわせて認定されることがあります。道路の右側にあるパーキングエリアから道路を渡り始めた幼児(5歳7カ月)をはねた交通事故において、幼児は事理弁識能力を有していたと判断され、幼児自身に過失を認定するとともに、一緒にいた母親が、先に道路を横断して道路左側の路側帯に移動しており、幼児はその母親に向かって道路を横断したことから、母親の過失も被害者側の過失として認定。(東京地裁判決・平成24年・7月18日)幼児の監護に要求される監護責任・注意義務の程度とは?事理弁識能力を有しない被害者の逸脱行為(車道への飛び出しなど)に対する監護者の過失(注意義務違反)は、社会通念(世間の常識)にしたがって判断されます。一瞬たりとも目を離すことなく、監視していなければならない、などと解されているわけではありません。ですから、被害者側の過失の要件を満たし、相手から被害者側の過失として過失相殺を主張されるようなケースでも、諦めることはありません。事理弁識能力を有しない幼児の飛び出し等による交通事故については、監護者に過失と評価すべき注意義務違反(社会通念に照らして不適切な監護)が存在する場合でない限り、過失相殺されません。監護者に要求される注意義務の程度について論じた、次のような裁判例があります。監護者である両親が、交通頻繁な国道付近で4歳の子どもを1人で遊ばせていた事案です。結論として、監護者の過失を否定し、過失相殺を認めませんでした。この時期の幼児を危険から遠ざけるためには、単に言語をもってする説得の方法だけでは十分な効果を上げるのは甚だ困難であり、監護者として完全な実行を期するには、幼児に対し、有害な精神的衝撃を与えるまでの極度の恫喝を加えるか、または自主性の発達を阻害することをいとわず常時つきまとって過度の干渉を行うほかになく、かような監護方法を措るよう要求するのは社会的に不当であり、かつ不能を強いるものである。幼児の道路における一人遊びの際の交通事故遭難につき、たやすく常に監護者の監護上の過失を認めるべきではない。(山形地裁酒田支部判決・昭和49年2月14日)「事理弁識能力も不要」とする判例もある子どもが被害者の場合の過失相殺については、最高裁判例(昭和39年6月24日)に則り、「過失相殺を適用するには、被害者に事理弁識能力が必要で、それがないときには、被害者側の過失が認められるか否かを考慮する」という考え方が主流です。ただし、被害者に「事理弁識能力すら不要」とする下級審の判決も出ています。東京地裁(昭和44年10月22日)事理弁識能力のない者の行為であっても、右行為が事故の発生に有因的に作用している場合には、被害者の賠償額を算定するにあたって、それを斟酌しうるものと解釈すべきである。(判例タイムズ№242より)大阪地裁(昭和47年1月27日)過失相殺は加害者の違法性ないし非難可能性を斟酌する制度で公平な観念に基く賠償額の決定を目的とするものであるから、被害者の責任能力や弁識能力に関係なく、その外観上の行動を損害の公平な負担に反映させることが必要であり、かつこれをもって足り、原告に事理弁識能力があったか否かについて検討するまでもなく過失相殺することができる。(判例タイムズ№275より)これは、「過失相殺は、損害の公平な分担という見地から妥当な損害額を定めるための調節的機能を有する制度」(東京地裁判決・昭和44年10月22日)という面を強調し、事理弁識能力の有無にかかわらず、例えば「飛び出し」という被害者の行為自体を問題として、過失相殺するのが公平か否かを考えるべきとするものです。損害の公平な分担ということからすれば、「事理弁識能力も不要」という考え方もあり得るでしょう。しかし、道路交通法で「幼児の保護」(道路交通法第14条3項)を定めているように、幼児の要保護性を考えると、事理弁識能力すら不要とするのは、行き過ぎに思われます。「事理弁識能力すらない幼児の事情と、十分な判断能力を備えた成人の事情とを、損害賠償減額の理由として全く同一に扱うことは、一般人の公平感に反するであろう。事理弁識能力程度は被害者に要求すべき」という意見もあります。(東京弁護士会法友全期会交通事故実務研究会編集『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 207ページ)幼児についての道路交通法の規定参考までに、幼児に関する道路交通法の規定を紹介しておきます。これをふまえると、幼児が被害者になった場合の過失相殺の考え方が理解しやすいでしょう。道路交通法における幼児の定義道路交通法においては、幼児は「6歳未満の者」、児童は「6歳以上13歳未満の者」と定めています(道路交通法14条3項)。ちなみに、児童福祉法では、幼児は「満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者」と定めています(児童福祉法4条1項2号)。保護責任者の責任幼児・児童を保護する責任のある者は、交通の頻繁な道路や踏切、その付近の道路で幼児・児童を遊ばせたり、自ら若しくはこれに代わる監護者が付き添わないで幼児を歩行させてはならない、と定めています(道路交通法14条3項)。運転者の責任車両等の運転者は、監護者が付き添わない幼児・児童が歩行しているときは、一時停止し、または徐行して、その通行や歩行を妨げないようにしなければならない、と定めています(道路交通法71条2号)。まとめ小さな子ども(幼児)が被害者の場合、過失相殺にあたっては、被害者である子どもの事理弁識能力の有無が問題となります。幼児に事理弁識能力があると判断されると過失相殺されますが、事理弁識能力がないと判断されると過失相殺が否定されます。幼児に事理弁識能力がない場合は、親の監督上の過失が「被害者側の過失」として過失相殺されることがあります。監護者の過失は、社会通念にしたがって判断され、一瞬たりとも目を離すことなく監視していなければならない、などと解されているわけではありません。小さな子どもの交通事故に関する親の責任について、「たやすく常に監護者の監護上の過失を認めるべきではない」とする裁判例もあります。過失相殺は、損害賠償額を決める上で、大きく影響します。過失相殺・過失割合に納得できないときは、交通事故の損害賠償問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 391~396ページ・『交通事故事件の実務』新日本法規 113~116ページ・『交通事故の法律知識 第4版』自由国民社 11ページ、115~116ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 239~243ページ・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 205~211ページ・別冊凡例タイムズ『過失相殺率の認定基準 全訂5版』あわせてこちらもご覧になると、幼児の損害賠償がさらに分かります幼児の逸失利益も損害賠償請求できる幼児の逸失利益の算定方法と計算例年少女子の逸失利益の算定で男女間格差を解消する方法
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