未成年者の交通事故は親権者・未成年後見人が法定代理人として交渉

未成年者が交通事故に遭ったときは、親権者・未成年後見人が法定代理人として交渉

未成年者が交通事故の被害に遭ったとき、損害賠償請求や示談交渉は、親権者である父母が法定代理人として行います。親権者が両親ともいない場合は、未成年後見人を家庭裁判所に選任してもらいます。

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交通事故の被害者が未成年者の場合、損害賠償の請求権は誰にあるのでしょうか。両親のほかに、示談交渉し、示談する権限があるのは誰ですか。

交通事故の被害者が未成年者の場合でも、損害賠償の請求権があるのは、被害者本人です。

 

ただし、未成年者は法律行為が制限されるため、示談などの法律行為は、親権者である父母が法定代理人として行います。

 

親権者(両親)がいないときは、未成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立て、選任された未成年後見人が法定代理人として、示談交渉や損害賠償請求などの法律行為を行います。

 

家庭裁判所に申立てができるのは、親族や利害関係人(児童相談所長・里親など)です。未成年者本人に意思能力があれば、本人からも申立てできます。

 

通常は、親族の中から未成年後見人を選任しますが、適任者がいない場合は、弁護士など専門家を後見人に選任することもあります。

 

未成年者の損害賠償請求 3つのポイント
  • 未成年者であっても、損害賠償請求権は被害者本人にあります。
  • 未成年者は法律行為が制限され、親権者が法定代理人となり、示談交渉などの法律行為を行います。
  • 親権者がいないときは、未成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立て、選任された後見人が法定代理人となります。

 

詳しい解説

さらに詳しく見ていきましょう。

 

被害者が未成年者の場合、親権者が法定代理人になる

損害賠償の請求権は、被害者が未成年であっても被害者本人にありますが、未成年者の法律行為は制限されます。未成年者が自分の判断だけで、損害賠償請求権を行使したり、示談したりすることはできません。

 

未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意が必要です(民法5条1項)。法定代理人の同意がない示談は、取り消すことができます。

 

民法5条(未成年者の法律行為)

1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

 

未成年者は「父母の親権に服する」(民法818条1項)と定められ、示談交渉や和解契約、損害賠償請求訴訟の提起など法律行為は、親権者である父母が法定代理人として行います。

 

親権は、通常、両親が共同で行いますが(親権共同行使の原則)、離婚などで一方が親権を行えないときは、他の一方が行います。

 

民法818条(親権者)

1.成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2.子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3.親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

 

示談書に、被害者(未成年者)の名前に続き、「右未成年につき法定代理人親権者父○○○、母○○○」として、両親が署名捺印するのが正式なやり方です。

 

離婚している場合は、どちらか親権のある方が法定代理人となります。

親権者がいないときは、未成年後見人を家庭裁判所が選任する

親権者がいないときは、未成年後見人を選任し、法定代理人とします。両親とも死亡している場合や、離婚後に親権のあった親が死亡した場合など、未成年後見人の選任が必要となるケースがあります。

 

未成年後見人の選任は家庭裁判所が行いますから、家庭裁判所に未成年後見人の選任を求めて申立てをします(民法840条1項)

 

民法840条1項(未成年後見人の選任)

家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。

 

申立てができるのは、後見人を付ける未成年者(意思能力がある場合)のほか、その未成年者の親族、その他の利害関係人です。利害関係人とは、児童相談所長や里親などです。

 

通常は、親族の中から未成年後見人を選任しますが、適任者がいない場合は、弁護士や司法書士などの専門家から適任者を選任することもあります。

 

申立てに必要な費用は、収入印紙代800円と、連絡用の郵便切手代程度です。
(2018年7月現在)

 

未成年後見人の選任手続きは面倒ですから、示談で解決する場合は、加害者側が了承すれば、正式な後見人の選任手続きをとらずに、祖父母や叔父叔母が親代わりになって、示談することもあるようです。

まとめ

交通事故の被害者が未成年の場合は、法定代理人が示談交渉などの法律行為を行います。

 

未成年者の法定代理人になれるのは、親権者である父母です。親権者がいないときは、法定代理人になる未成年後見人の選任が必要です。

 

未成年者後見人の選任は、家庭裁判所が行います。たいてい親族の中から選任されますが、適任者がいない場合は、弁護士などの専門家が選任されます。

 

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【参考文献】
・『交通事故の法律相談Q&A』法学書院 82~83ページ
・『交通事故の法律知識』自由国民社 11ページ
・東京家庭裁判所・東京家庭裁判所立川支部「未成年後見人選任の申立ての手引」
最高裁Webサイト「未成年後見人選任」

公開日 2018-07-12 更新日 2023/03/16 11:45:59