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  • 交差点で直進車同士の衝突
    交差点での直進車同士の出会い頭衝突事故の過失割合
    交差点で直進車同士が出会い頭に衝突した事故の過失割合を検討する場合、次の2つに分類して考えます。信号機により交通整理の行われている交差点における事故信号機により交通整理の行われていない交差点における事故「信号機があるか、ないか」ではなはなく、「信号機により交通整理が行われているか、行われていないか」であることに注意してください。点滅信号は、信号機により交通整理が行われている交差点には該当しません。信号機により交通整理が行われている交差点での事故は、基本的に信号の色で過失割合が決まります。信号機により交通整理が行われていない交差点での事故は、同幅員の道路が交差する交差点、広路と狭路が交差する交差点、一時停止の規制がある交差点などにより、基本の過失割合が異なります。主な事故類型について、過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ38)を参考に、過失割合の基本的な考え方を見ていきましょう。信号機により交通整理が行われている交差点における事故信号機により交通整理が行われている交差点では、信号の色によって、基本の過失割合が決まります。信号機により交通整理が行われている交差点での事故青信号車:赤信号車0:100黄信号車:赤信号車20:80赤信号車:赤信号車50:50信号機に従って進行していれば、基本的に過失はないと考えられ、青信号車と赤信号車との過失割合は[0:100]が原則です。ただし、青信号で交差点に進入したとしても、前方注視義務を払っていれば衝突を回避できたような場合には、青信号車にも10%程度の過失が認められることがあります。例えば、信号待ちで停車していた車が、青信号に変わって発進したとき、前方左右の安全を確認していれば、赤信号車を容易に発見でき、回避できた場合などです。点滅信号の交差点の場合信号機が設置されていても、「黄色の点滅信号」や「赤色の点滅信号」が表示されているだけの交差点は、「交通整理の行われていない交差点」となります(最高裁判決・昭和44年5月22日)。黄色の点滅信号は、他の交通に注意して通行できるのに対し、赤色の点滅信号は、停止位置で一時停止しなければなりません(道交法施行令2条1項)。したがって、一方が黄点滅信号、他方が赤点滅信号の交差点は、このあと説明する「信号機により交通整理が行われていない交差点」のうち「一方に一時停止規制のある交差点」と同じ扱いとなります。信号機により交通整理が行われていない交差点における事故信号機により交通整理が行われていない交差点では、優先道路や、幅員の明らかに広い道路(広路)を通行する車の進行が優先です。一方が優先道路や広路でない、ほぼ同幅員の道路が交差する交差点では、左方優先の原則や交差点への進入速度により過失割合が決まります。一時停止規制や一方通行規制がある場合は、一時停止違反や一方通行違反の有無が過失割合に影響します。次の3つのケースを考えます。同幅員の道路が交差する交差点での事故一方に一時停止や一方通行の規制がある交差点での事故広路と狭路とが交差する交差点での事故それぞれ、具体的に過失割合をどう考えるか、見ていきましょう。同幅員の道路が交差する交差点での事故同幅員の交差点における法律上の優先関係は、左方優先(道交法36条1項1号)のみですが、見通しの悪い交差点に進入するときには、双方の車に徐行義務があります(道交法42条1号)。交通整理が行われていない交差点での出会い頭の衝突事故のほとんどは、見通しの悪い交差点で発生します。したがって、同幅員の道路が交差する交差点での事故は、交差点進入時の速度と左方優先の原則によって、基本の過失割合が決まります。同幅員の道路が交差する交差点での事故A車が左方車の場合、A車とB車の過失割合は、交差点への進入速度によって、次のようになります。AとBの速度が同程度A40:B60A減速せず、B減速A60:B40A減速、B減速せずA20:B80交差点への進入速度がほぼ同じくらいなら、左方優先の原則により、過失割合は、左方車が40%、右方車が60%です。交差点進入時に減速していれば、20%減算され、過失割合が有利になります。一方に一時停止や一方通行の規制がある交差点での事故道路標識等により一時停止規制のある交差点では、停止線の直前で一時停止しなければならず、一時停止した車両は、交差道路を通行する車両等の進行を妨げてはならないとされています(道交法43条)。また、一時停止をしても、左右の安全確認が不十分で衝突事故を起こしたときは、一時停止の規制のある側が不利に扱われます。ただし、一時停止規制がない道路を進行する車も、見通しのきかない交差点では徐行義務がありますから(道交法42条1号)、それらを考慮して過失割合が決まります。一方に一時停止規制のある交差点での事故AとBの速度が同程度A20:B80A減速せず、B減速A30:B70A減速、B減速せずA10:B90B一時停止後進入A40:B60一方に一時停止規制がある場合の過失割合は、徐行義務違反車が20%、一時停止義務違反車が80%です。交差点進入時に減速していれば、10%減算され、過失割合が有利になります。点滅信号(一方が黄点滅、他方が赤点滅)の場合の事故は、この基準が適用されます。一方通行違反の場合B車が一方通行に違反して通行し、交差点に進入して衝突した場合、基本の過失割合は、A20:B80です。一方通行の道路を逆走して交差点に侵入するということですから、上の図で、停止線や止まれの標識がない交差点を考えてください。交差点進入時に減速しなかった車両は、著しい過失として10%加算されます。なお、B車が、一方通行の道路から後退で交差点に出て来て衝突した場合は、重過失として、Bに20%加算されます。広路と狭路とが交差する交差点での事故一方が明らかに広い道路(広路)の場合は、広路側の道路の進行が優先します。ただし、見通しのきかない交差点に進入する場合は、広路を進行していたとしても、徐行義務は免れません(最高裁判決・昭和63年4月28日)。徐行義務が免除されるのは、交通整理が行われているときと優先道路を通行しているときだけです(道交法42条1号かっこ書)。したがって、広路を進行していたとしても、減速の有無が過失割合に影響します。広路と狭路が交差する交差点での事故AとBの速度が同程度A30:B70A減速せず、B減速A40:B60A減速、B減速せずA20:B80広路と狭路が交差する交差点において、直進車が出会い頭に衝突した事故の基本の過失割合は、広路車30%、狭路車70%です。減速していれば10%減算され、過失割合が有利になります。一方が優先道路の場合優先道路を通行している車両は、見通しのきかない交差点を通行する場合でも徐行義務はありませんが(道交法42条1号かっこ書)、他の車両や歩行者に対する注意義務(道交法36条4項)はあります。そのため、優先道路を通行する車にも、前方不注視や速度違反など過失が認められることが多くあります。一方が優先道路の交差点で、直進車が出合い頭に衝突した事故の基本の過失割合は、優先車10%、劣後車90%です。まとめ交差点での直進車同士の出会い頭の衝突事故の過失割合は、信号機により交通整理が行われている交差点か否かで考え方が異なります。信号機により交通整理が行われている交差点での事故は、信号機の色により、基本の過失割合が決まります。ただし、信号機があっても点滅信号の場合は、これに該当せず、一時停止規制のある交差点での事故と同じ扱いとなります。信号機のない交差点での事故の過失割合は、優先道路や広路を通行する車が有利になります。同幅員の道路が交差する交差点の場合は、左方優先の原則や交差点進入時に減速したかどうかにより基本の過失割合が決まります。そのほか、一時停止違反や一方通行違反も過失割合に影響します。なお、ここで紹介したのは、交差点で直進車同士が出合い頭に衝突した事故の過失割合の基本的な考え方です。実際の交通事故では、修正要素や個別事情を考慮して過失割合が決まりますから、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版』(別冊判例タイムズ38)・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房・『道路交通法解説16-2訂版』東京法令出版
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  • 交差点で右折車と直進車の事故の過失割合
    交差点での右折車と直進車の衝突事故の過失割合
    交差点での直進車と右折車との事故の過失割合は、基本的に「交差点における直進車優先の原則」と「交差点における一般注意義務」から判断されます。信号機により交通整理が行われている交差点では、信号の色によって、過失割合が決まります。交差点における直進車優先の原則(道交法37条)交差点で右折する場合、直進しようとする車があるときは、直進車の進行を妨げてはならない。交差点における注意義務(道交法36条4項)交差点に進入し通行するときは、他の車や歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。交差点での直進車と右折車との衝突事故は、直進車と右折車が「対向方向から交差点へ進入した場合」と「交差方向から交差点へ進入した場合」の2つのケースがあります。過失相殺率認定基準(別冊判例タイムズ38)を参考に、直進車と右折車との過失割合の基本的な考え方を見ていきましょう。対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車との衝突事故は、信号機により交通整理が行われている交差点か、信号機により交通整理が行われていない交差点か、で過失割合の考え方が異なります。信号機により交通整理が行われている交差点の場合信号機のある交差点に対向方向から進入した直進車と右折車との事故直進車と右折車が、対向方向から交差点に進入した場合、通常、対面信号は同じです。基本的には「直進車優先の原則」がありますが、双方が黄信号や赤信号で交差点に進入した場合は、直進車の側も、直進優先を強く主張することはできません。なお、混雑する交差点では、右折用に時差式信号であったり、右折の青矢印信号が表示される場合があります。こういう交差点では、直進車の側の信号が先に赤に変わりますから、直進車が黄信号や赤信号で交差点に進入し、右折車と衝突したときは、直進車の過失割合が大きくなります。直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。対面信号が同一ともに青信号で進入A20:B80ともに黄信号で進入A40:B60ともに赤信号で進入A50:B50時差式信号Aが黄信号で進入Bが青信号で進入し、黄信号で右折A70:B30Aが赤信号で進入Bが青信号で進入し、赤信号で右折A90:B10Aが赤信号で進入Bが黄信号で進入し、赤信号で右折A70:B30右折の青矢印信号Aが赤信号で進入、Bが青矢印で進入A100:B0右折の青矢印信号が表示されると、直進が禁止され、右折のみが許されますから、基本的には直進車の赤信号無視となり、直進車の過失割合が100%となります。ただし、右折待機車は、比較的容易に対向直進車の動静を確認することができるので、右折車に若干の過失が認められることもあります。信号機により交通整理が行われていない交差点の場合信号機のない交差点に対向方向から進入した直進車と右折車の事故信号機により交通整理が行われていない交差点の場合、対向方向から進入した直進車と右折車との衝突事故の過失割合の基本は、次の通りです。直進車20:右折車80交差点では「直進車が優先」(道交法37条)ですから、直進車の進行を妨害した右折車の過失が重くなります。一方、直進車にも「交差点での注意義務」(道交法36条4項)がありますから、20%程度の過失が認められます。基本的な優先関係よりも個別事情の判断が大事なケースがある信号機のない交差点では、常に[直進車20:右折車80]の過失割合が基本となるとは限りません。例えば、住宅街の幅員の狭い道路の交差点での事故のような場合は、基本的な優先関係よりも、交差点の形態など個別事情が重要となるケースが多くあります。実際の事故態様に応じて、慎重に検討することが大事です。交差方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故交差方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故は、信号機により交通整理が行われている交差点か否か、信号機のない交差点の場合は、直進車と右折車のどちらが左方車となるかによって、過失割合の考え方が異なります。信号機により交通整理が行われている交差点の場合信号機のある交差点に交差方向から進入した直進車と右折車の事故信号機により交通整理が行われている交差点では、相互の優劣関係は信号表示によって決まります。したがって、基本的に、信号機により交通整理が行われている交差点での出会い頭の衝突事故の基準を準用します。青信号車:赤信号車0:100黄信号車:赤信号車20:80赤信号車:赤信号車50:50信号機により交通整理が行われていない交差点の場合信号機により交通整理が行われていない交差点での事故は、直進車と右折車のどちらが左方か(左方優先の原則)と、直進車優先の原則により、基本の過失割合が異なります。左方優先の原則(道交法36条1項1号)交通整理の行われていない交差点においては、その通行している道路と交差する道路を左方から進行してくる車の通行を妨害してはならない。直進優先の原則(道交法37条)交差点で右折する場合、直進しようとする車があるときは、その車の進行を妨害してはならない。直進車が、右折車に対して左方の場合直進車が左方、右折車が右方の場合直進車Aが左方、右折車Bが右方の場合、右折車Bは徐行しながら交差点の中央まで進み、左方から来る直進車Aの進行を妨害しないように右折しなければなりません。この場合の優先関係は、左方優先の原則と直進車優先の原則から、直進車Aの進行が優先します。もっとも、直進車Aにも、交差点における注意義務(道交法36条4項)がありますから、一定の過失は認定されます。したがって、直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。直進車Aが、右折車Bに対して左方A30:B70右折車が、直進車に対して左方の場合右折車が左方、直進車が右方の場合直進車Aが右方で、右折車Bが左方にある場合、右折車Bの交差点中央までの進行形態は、直進車の場合とほとんど同じです。右折車といっても、ハンドルを大きく右に切るのは、交差点中央付近に至ってからですから、事故の形態は、右折車と直進車というより、交差点での出会い頭事故の様相を呈することになります。したがって、直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。直進車Aが、右折車Bに対して右方A40:B60なお、直進車Aが右方で、右折車Bが左方にある場合、「左方優先の原則」と「直進優先の原則」が競合します。道路交通法では、左方優先と直進優先の優劣について規定がないからです。右折車が直進車に対して左方の場合、一般的には、「直進優先の原則」が「左方優先の原則」より優先すると考えられています。『過失相殺率の認定基準』でも、直進優先を左方優先より重視しています。それは、主に2つの理由からです。右折車Bは、右折するために徐行して交差点に進入するので、直進車Aに比べ、危険回避措置をとることが容易だからです。右折車Bは、対向直進車Dや左方直進車Cとの関係で、交差点の中央で待機を余儀なくされることが予測され、交差点の通行をより多く遮断する可能性が大きいため、直進車Aを先に通過させるのが交通の円滑にかなうからです。直進車と左方右折車との優先順位について、左方優先と直進優先のどちらを優先的に適用すべきか、について判示した次のような裁判例があります。直進車と左方右折車との通行順位についての判例交通整理の行なわれていない交差点における直進車と左方道路からの右折車との通行順位につき、法36条1項1号と37条のいずれを優先的に適用すべきであるかが必ずしも明らかでない。しかしながら、右折車は右折のために当然に減速する必要があるのであるから、直進車と右折車を比較すれば、一般的に右折車の方が危険回避措置をとることが容易なのであって、右折車はたとえ自車が左方車であっても右方直進車の進行妨害をしてはならないと解することが相当であり、そのように解することが道路交通の安全と円滑を図る法の目的にかなうところであると考えられる。したがって、右のような場合には、法36条1項1号を排して法37条が適用されなければならない。(札幌高裁判決・昭和50年11月27日)※法36条1項1号は「左方優先の原則」、法37条は「直進優先の原則」です。まとめここで取り上げたのは、交差点における直進車と右折車の事故類型のごく一部です。しかも、基本の過失割合の考え方のみです。実際の事故について過失割合を判断するときには、『過失相殺率認定基準』の、どの事故類型を参考にするか、修正要素をどう加味するか、検討が必要です。個別事情を考慮して判断する必要もあります。かなり専門的な知識と経験が必要ですから、自分で判断しようとせず、交通事故に強い弁護士に相談することが大切です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版』(別冊判例タイムズ38)・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房・『道路交通法解説16-2訂版』東京法令出版・半谷恭一・大阪地方裁判所判事「道路交通法37条は同法36条1項1号に優先して適用されるか」判例タイムズ№338
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  • 交通整理の行われていない交差点
    交通整理の行われていない交差点とは?優先関係と点滅信号の意味
    信号機の設置されている交差点が「交通整理の行われている交差点」で、信号機の設置されていない交差点が「交通整理の行われていない交差点」というわけではありません。交通整理の行われていない交差点とは? 交通整理の行われていない交差点における優先関係は? 点滅信号の設置された交差点は、信号機による交通整理の行われている交差点か、それとも交通整理の行われていない交差点か? そもそも交通整理とは? 道路交通法や判例にもとづき、詳しく解説します。道路交通法における「交通整理」とは?道路交通法には、「交通整理の行われている交差点」と「交通整理の行われていない交差点」という表現があります。一般的な意味での交通整理とは、交通の流れを混乱させないために行うもので、必ずしも交差点におけるものに限りません。例えば、道路工事中の片側通行規制も交通整理ですし、右折禁止や一方通行など標識や道路標示により交通の流れを規制し整理する方法、さらに施設として歩車道、安全地帯、ロータリー等も、広義の交通整理に含まれます。しかし、道路交通法における交通整理の意味は、極めて狭義に解されています。すなわち、道路交通法のいう交通整理とは、「信号機の表示する信号または警察官等の手信号等によって交互に一方の交通を止め、他方の交通を通す方式による交通整理のこと」です。(『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版 48ページ)。道路交通法における交通整理の意味については、東京高裁判決が明快に述べています。東京高裁判決(昭和46年12月22日)道路交通法にいう交通整理とは、信号機の表示による信号または警察官等の手信号等により、一定時間は一方の道路を自由に通行させて、その間他の交通を停止することを交互に反復する措置を指すもので、これを通行する側からいえば、信号により通行する間は、他の交通を顧慮することなく進行することができる場合が交通整理の行われている状態と解すべきである。判決は、交通整理について、2つの観点から規定しています。前段は、交通整理を行う側からの客観的な規定、後段は、それを通行する側からいえば、どんな状態かを指摘しています。道路交通法にいう交通整理とは、信号機の表示による信号または警察官等の手信号等により、一定時間は一方の道路を自由に通行させて、その間他の交通を停止することを交互に反復する措置。これを通行する側からいえば、信号により通行する間は、他の交通を顧慮することなく進行することができる場合が交通整理の行われている状態。この2つの観点から考えると、「交通整理の行われている交差点」と「交通整理の行われていない交差点」の違いが明確になります。交通整理の行われている交差点「交通整理の行われていない交差点」について考える前に、まず「交通整理の行われている交差点」について見ておきましょう。交通整理の行われている交差点とは?「交通整理」の意味は、上で説明したとおりです。2つの観点から、交通整理の行われている交差点とは、次のようにいうことができます。まず「交通整理の行われている交差点」とは、信号機の信号や警察官の手信号等により、交互に一方の交通を止め、他方を通す方式による交通規制が行われている交差点です。これを通行する側からいえば、「交通整理の行われている交差点」とは、信号(信号機の信号や警察官の手信号など)により通行する間は、他の交通(通行している道路と交差する道路から交差点への進入)を顧慮することなく進行することができる状態にある交差点といえます。交通整理の行われている交差点は、徐行しなくてもよい「他の交通を顧慮することなく進行することができる」ということは、徐行しなくてもよい(すなわち徐行義務がない)ということです。もっとも、交差点において左折・右折する場合は徐行義務があり(道路交通法34条)、交差点に進入し通行するときには、周囲の車両や歩行者に注意し、安全な速度と方法で進行する義務はあります(道路交通法36条4項)。交通整理の行われていない交差点における徐行義務道路交通法36条3項は、車両は、交通整理の行われていない交差点に進入しようとする場合、交差道路が優先道路または広路であるときは徐行しなければならない、と交差点に進入する際の徐行義務を定めています。例外として、優先道路を通行している場合、徐行義務はありません。徐行とは、車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいいます(道路交通法2条1項20号)。交差点における車両等の一般的注意義務また、道路交通法36条4項は、車両等が、交差点に進入し通行するとき、「当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定めています。この「交差点における車両等の一般的注意義務」は、交通整理が行われていることの有無や、道路の優先関係の有無に関わらず、全ての交差点における車両等の一般的注意義務を規定したものです。(参考:『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版 341ページ)したがって、交通整理の行われている交差点は、信号にしたがって直進する場合、一般的注意義務はありますが、徐行義務はないのです。交通整理を行っている中で徐行する車両があれば、かえって交通の流れを阻害し、道路交通の安全と円滑を図れないことになってしまいます。点滅信号の交差点は、交通整理の行われていない交差点信号機による交通整理の行われている交差点とは、信号機の信号により「交互に、一方の交通を止め、他方を通す方式」による交通規制が行われている交差点です。信号機が「青・黄・赤」すなわち「進め・注意・止まれ」と変わる場合には、交互に一方の交通を止め、他方を通すことになりますから、信号機による交通整理の行われている交差点であることは明らかでしょう。では、黄色や赤色の点滅信号の交差点は、信号機による交通整理の行われている交差点といえるのでしょうか?結論をいえば、信号機が設置されていても、「黄色の点滅信号」または「赤色の点滅信号」が表示されているだけの交差点は、信号機により交通整理の行われていない交差点です。一方が黄色の点滅信号で他方が赤色の点滅信号の交差点、歩行者用の押しボタン式信号機のある交差点、黄色の点滅信号だけの交差点につき、判例を参考に見ていきましょう。一方が黄点滅信号、他方が赤点滅信号の交差点一方が黄色の点滅信号、他方が赤色の点滅信号の交差点は、信号機の信号により、交互に一方の交通を止めて他方を通す方式による交通規制が行われているとはいえないので、交通整理の行われていない交差点となります。最高裁判所も、「一方の道路からの入口に黄色の燈火による点滅信号が作動しており、他方の道路からの入口に赤色の燈火による点滅信号が作動している交差点は、道路交通法にいう交通整理の行なわれていない交差点にあたる」と判示しています(最高裁判決・昭和44年5月22日)。最高裁第一小法廷判決(昭和44年5月22日)道路交通法36条2項、3項にいう「交通整理の行なわれていない交差点」とは、信号機の表示する信号または警察官の手信号等により、「進め」「注意」「止まれ」等の表示による交通規制の行なわれていない交差点をいい、本件交差点のように、一方の道路からの入口に黄色の燈火による点滅信号が作動しており、他方の道路からの入口に赤色の燈火による点滅信号が作動している交差点も、これにあたるものと解するのが相当である。判決文中「道路交通法36条2項、3項」とあるのは、現行道路交通法36条1項・2項・3項に当たります。また、判決文に「『進め』『注意』『止まれ』等の表示による交通規制」とありますが、昔の信号機は文字が表示されていたからです。当時の道路交通法施行令から、「信号機の表示する信号の種類、表示の方法及び意味」について、該当箇所を一部抜粋しておきます。信号の種類表示の方法信号の意味進め青色の燈火又は「すすめ」の文字(略)注意黄色の燈火又は「ちゅうい」の文字(略)止まれ赤色の燈火又は「とまれ」の文字(略)注意進行黄色の燈火の点滅歩行者及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。一時停止赤色の燈火の点滅一 歩行者は、他の交通に注意して進行することができること。二 車両等は、交差点にあってはその交差点の直前において、交差点以外の場所で横断歩道がある場所にあってはその横断歩道の直前において一時停止しなければならないこと。※ 昭和35年10月11日公布の道路交通法施行令2条1項より抜粋(参照:国立公文書館デジタルアーカイブ)歩行者用の押しボタン式信号機のある交差点交通量の少ない交差点では、歩行者用の押しボタン式信号機を設置し、通常は、主たる道路の信号が黄点滅、従たる道路の信号が赤点滅の場合があります。歩行者が押しボタンを押すと点滅信号が消えて、本来の信号が作動し始めます。この場合、歩行者が押しボタンを押し、信号灯により交通規制が行われたときに、信号機により交通整理の行われている交差点となり、押しボタンを押すまでは、交通整理の行われていない交差点です。大津地裁判決(昭和50年4月21日)本件において、押しボタン式信号の存在はきわめて重要な判断要素であるが、信号灯が点滅しているので、未だ作動していない押しボタン式信号機の存在のみをもって、直ちに本件事故現場が交通整理の行われている交差点と解することはできず、この場合は、交通整理の行われていない交差点を歩行者の押しボタンを押す行為により容易に交通整理の行われる交差点に転化しうる可能性があるにすぎないと解すべきである。したがって、事故当時本件事故現場にある押しボタン式歩行者専用信号の信号灯は消滅していて、国道側信号は黄色、左右に通ずる道路側信号は赤色信号がそれぞれ点滅しており、歩行者が押しボタンを押すことによってはじめて信号の色が変わり、交通規制が行われることになるのであるから、押しボタンを押すまでは、本件事故現場は信号機の表示する信号の「進め」「注意」「止まれ」等の表示する交通規制の行われていない交差点、すなわち、道路交通法36条2項、3項(現行1項、2項、3項)にいうところの「交通整理の行われていない交差点」なのであって、歩行者が押しボタンを押し信号灯により交通規制が行われた場合に、はじめて「交通整理の行われている交差点」となると考える。黄点滅信号だけの交差点交差する各道路にいずれも黄色の燈火の点滅信号が表示されている交差点は、道路交通法にいう交通整理の行なわれていない交差点にあたります(最高裁判決・昭和48年9月27日)。黄色の灯火の点滅信号の意味について、最高裁は次のように判示しています。最高裁第一小法廷判決(昭和48年9月27日)道路交通法施行令(昭和46年政令第348号による改正前のもの)2条1項所定の黄色の燈火の点滅信号による規制の意味は、当該信号設置場所における道路の広狭、優先関係、見とおしの良否、車両または歩行者の往来状態等の諸般の事情に応じて、当該場所を進行する自動車運転者に対し、道路交通の安全と円滑を図る見地から課せられる交通法令上の各種義務および運転業務上の注意義務をはたすにつき、いっそうの留意を喚起するにある。すなわち、黄色の点滅信号の意味は、その交差点を進行する運転者に対し、交通法令上の義務や運転上の義務につき、注意喚起するものです。判決文では、道路交通法2条1項につき「昭和46年政令第348号による改正前のもの」とあります。これは、上で一部抜粋した昭和35年10月11日公布の道路交通法施行令2条1項です。道路交通法施行令2条1項の変更点昭和46年の道路交通法施行令一部改正(昭和46年政令第348号)において第2条1項の「黄色の燈火の点滅」に関する規定がどう変わったかというと、「表示の方法」が削られ、表が変わりました。「黄色の燈火の点滅」について、信号の意味は変わっていません。「赤色の燈火の点滅」に関しては、車両等に関する部分が、停止位置を規定することにより簡潔になっています。昭和46年の道路交通法施行令2条1項から、「黄色の燈火の点滅」と「赤色の燈火の点滅」に関する部分を抜粋しておきます。信号の種類信号の意味黄色の燈火の点滅歩行者及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。赤色の燈火の点滅一 歩行者は、他の交通に注意して進行することができること。二 車両等は、停止位置において一時停止しなければならないこと。※ 昭和46年11月24日公布の道路交通法施行令2条1項より抜粋(参照:国立公文書館デジタルアーカイブ)現行の道路交通法施行令が規定する点滅信号の意味さらに、現行の道路交通法施行令2条1項の黄点滅信号と赤点滅信号に関する規定は、次の通りです。信号の種類信号の意味黄色の灯火の点滅歩行者等及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。赤色の灯火の点滅一 歩行者等は、他の交通に注意して進行することができること。二 車両等は、停止位置において一時停止しなければならないこと。※ 道路交通法施行令(令和5年4月1日施行)2条1項歩行者等とは「歩行者及び遠隔操作型小型車」(道路交通法施行令2条1項)です。遠隔操作型小型車とは、分かりやすくいえば、低速・小型の自動配送ロボットです。遠隔操作により道路を通行しているものに限ります。遠隔操作型小型車は、道路交通法において歩行者と同等の扱いとなります(道路交通法2条3項1号)。上で抜粋した政令と比べれば分かるように、基本的には変わりありません。変更点は、「燈火」が「灯火」と漢字の表記が変わったほか、従来は「歩行者」だったのが「歩行者等」となっている点です。したがって、昭和48年の最高裁判決の内容は、現行の法令においても妥当です。点滅信号の交差点における事故の過失割合の考え方点滅信号の交差点は、信号機により交通整理の行われていない交差点にあたりますから、点滅信号の交差点における事故の過失割合は、「信号機により交通整理の行われていない交差点における事故」の過失相殺基準が適用されます。例えば、一方が黄点滅信号、他方が赤点滅信号の交差点における出会い頭の事故については、黄点滅信号側の車両が他の交通に注意して進行することができるのに対し、赤点滅信号の側の車両が停止位置において一時停止をしなければならないとされていますから、基本的には「一方に一時停止の規制がある交差点」と同じ基準で処理することになります。交差点での直進車同士の出会い頭の衝突事故の過失割合交通整理の行われていない交差点の優先関係交通整理の行われていない交差点においては、優先道路や広路(幅員の明らかに広い道路)を通行する車両が優先します。交通整理の行われていない同幅員の交差点の場合は、通行している道路と交差する道路(交差道路)を左方から進行してくる車両が優先します。これを「左方優先の原則」といいます。交通整理の行われていない交差点における他の車両との関係については、道路交通法36条で定めています。道路交通法36条(交差点における他の車両等との関係等)車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない。一 車両である場合 その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車二 路面電車である場合 交差道路を左方から進行してくる路面電車車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。車両等(優先道路を通行している車両等を除く)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。左方優先の理由交通整理の行われていない同幅員の交差点において、左方にある車両に優先的に通行を認めているのは、車両の通行区分が左側通行とされていることと関係があります。車両が道路を通行する際、相手の車両を向って左側に発見したときは、その車両の右側によける余地が多いのに対し、相手の車両を右側に発見したときは、その左側によける余地が少ないから、とされています。(参考:『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版 330ページ)図で説明しましょう。2つの車両(A)と(B)の関係は、(A)が左方車、(B)が右方車となります。左方車(A)と右方車(B)の進路が交錯する部分が、事故発生地点です。道路中央の点線は、センターラインの意味ではなく、車両が左側通行であることをふまえ、交差点内における左方車と右方車の競合区域を分かりやすくするためのものです。図を見れば明らかなように、左方車(A)の方が、右方車(B)よりも早く競合区域内に入り、先に抜け出します。だから、左方車を優先的に通行させるのが合理的というわけです。左方優先が絶対ではない見通しのきかない同幅員の交差点では、両車ともに徐行義務があり(道路交通法42条1号)、出会い頭の事故においては、両車の交差点進入時の速度が、左方優先と並んで重要な要素となります。交通整理の行われていない同幅員の交差点の多くは見通しが悪く、交差点進入時に減速しなければ、右方車が存在し、自車が優先する左方車であることを認識することはできません。左方車が存在し、自車が右方車となることもあり得ます。見通しのきかない交差点に進入するときには、たいてい減速するものです。過失割合を判断する上で、左方優先の原則は基本となりますが、どちらが左方車であるかは結果論にすぎない場合が多く、「減速していない左方車」と「減速した右方車」とでは、左方車といえども減速していないと過失が重くなることに注意してください。交差道路が優先道路や広路の場合交通整理の行われていない交差点においては、通行している道路が優先道路である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、または通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、交差道路を通行する車両の進行妨害をしてはならないと定められています(道路交通法36条2項)。交通整理の行われていない交差点では、優先道路や広路を通行する車両が優先される規定です。この優先道路等の優先規定が適用される場合を除き、左方優先の原則が適用されますから(道路交通法36条1項1号)、左方優先の原則よりも、優先道路等の優先規定が優先して適用されます。交差道路を左方から進行してくる車両が右折する場合交差道路を左方から進行してくる車両は、交差点を直進する場合のほか、交差点で左折・右折をする場合もあります。特に問題となるのが、右折する場合です。左方優先と直進車優先との競合交通整理の行われていない同幅員の交差点においては、左方優先の原則があり(道路交通法36条1項1号)、その一方で、直進車と右折車との関係では、直進車が優先です(道路交通法37条)。道路交通法37条車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。交通整理の行われていない交差点における直進車と左方道路からの右折車との間の通行順位につき、左方優先(道路交通法36条1項1号)と直進車優先(同法37条)のどちらを優先的に適用すべきかは、道路交通法上、明らかでありません。直進車優先の直進車には、交差道路の直進車も含む道路交通法37条は、交差点で右折する場合、その交差点を「直進しようとする車両」や「左折しようとする車両」があるときは、その車両の進行を妨げてはいけない、というものです。この直進車両は、対向する直進車だけでなく、交差道路の直進車も含むという解釈が有力です。したがって、交通整理の行われていない交差点において、左方車が右折しようとする場合、その交差道路の直進車が右方車となりますが、直進車両が優先するということです。裁判例交通整理の行われていない交差点で、直進する車両と、交差道路を左方から進入し右折する車両との優先関係について、次のような裁判例があります。札幌高裁判決(昭和50年11月27日)交差点で直進する車両と交差道路を左方から同交差点に進入し、右折する車両との関係が問題になるが、法第36条1項は、同条2項が適用される場合を除きながら、法第37条が適用される場合を除外していないので、条文の文言上、交通整理の行われていない交差点における直進車と左方道路からの右折車との通行順位につき、法第36条1項1号と第37条のいずれを優先的に適用すべきであるかが必ずしも明らかでない。しかしながら、右折車は右折のため当然に減速する必要があるのであるから、直進車と右折車を比較すれば、一般的に右折車の方が危険回避措置をとることが容易なのであって、右折車はたとえ自車が左方車であっても右方直進車の進行妨害をしてはならないと解することが相当であり、そのように解することが道路交通の安全と円滑を図る目的にかなうところと考えられる。したがって、右のような場合には、法第36条1項1号を排して法第37条が適用されなければならない。そして、直進車が徐行しなかったとしても、右折車が法第37条を遵守する以上は、両車の間に衝突事故が発生する危険性がないことは明らかである。『過失相殺率認定基準』における説明『過失相殺率の認定基準』(別冊判例タイムズ38)では、交差点に差し掛かった車両の優先関係を規定した道路交通法36条と、直進車と右折車との優先関係を規定した法37条のいずれが適用されるべきかについては議論があり、法37条が適用されるとの説が「多数説とされているようであるが、具体的な事故の場面では、直進車が右折車に対して左方に当たる場合と右方に当たる場合とで様相を著しく異にするものと思われる」と、次のように指摘しています。直進車が左方で、右折車が右方である場合には、右折車はあらかじめ徐行しつつ交差点中央側まで進出し、そこで左方直進車と相互に見とおしが容易になるから、そこで左方直進車の遠近を確認し、機を見て右折するのが状態である。したがって、この場合の優先関係は直進車優先そのものということができよう。これに対して直進車が右方で、右折車が左方にある場合には、直進車も徐行義務を負い、一方、右折車も徐行しつつ、交差点中央までの進行形態は、合図の点を除いて直進車のそれとほとんど変わるところがなく、事故の形態も、右折車と直進車のそれではなく、出会い頭事故の様相を呈することになる。ただ、右折車は、対向直進車や左方直進車との関係で交差点中央において待機を余儀なくされることが予測され、このため交差点の通行をより多く遮断する可能性が大きい関係上、このような場合、直進車を先に通過させるのが交通の円滑に適うということができるにすぎない。(『別冊判例タイムズ38』238ページ)交差点での右折車と直進車の衝突事故の過失割合まとめ「交通整理の行われている交差点」とは、信号機の信号や警察官の手信号等により、交互に一方の交通を止め、他方を通す方式による交通規制が行われている交差点です。「交通整理の行われていない交差点」とは、それが行われていない交差点です。信号機が設置されていても、点滅信号の交差点は、信号機により交通整理の行われている交差点とはいえません。交通整理の行われていない交差点における優先関係は、優先道路や広路を通行する車両が優先です。同幅員の交差点においては、左方優先の原則があります。交差点における過失割合については、次の記事をご覧ください。過失割合で争いがあるときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交差点での直進車同士の出会い頭衝突事故の過失割合交差点での右折車と直進車の衝突事故の過失割合交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『別冊判例タイムズ38』50ページ、207ページ、213~214ページ、238ページ・『16-2訂版 執務資料 道路交通法解説』東京法令出版 47~48ページ、327~343ページ・半谷恭一・大阪地方裁判所判事「道路交通法37条は同法36条1項1号に優先して適用されるか」判例タイムズ№338
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