搭乗者傷害保険は、運転者や同乗者が事故で死傷したとき、死亡・後遺障害・傷害ごとに、契約金額に応じた定額で保険金が支払われます。賠償金、社会保険給付、他の保険金と重ねて受け取ることができます。搭乗者が死傷したとき保険金を定額払い搭乗者傷害保険は、被保険自動車の運転者・同乗者が死傷した場合に、過失割合や他の社会保険からの給付、事故の相手方からの賠償金などにかかわらず、契約金額に応じた定額で保険金が支払われます。搭乗者全員を対象に定額保険金給付保険金の支払い対象は、被保険自動車に「搭乗中の者」全員です。ただし、トラックの荷台に乗っている人や、ハコ乗り(窓から身を乗り出した状態)など「極めて異常かつ危険な方法」で搭乗中の者は除きます。支払われる保険金の種類と支払基準搭乗者傷害保険で支払われる保険金には、搭乗者が死亡した場合の「死亡保険金」、後遺障害が生じた場合の「後遺障害保険金」、医師の治療を受けた場合の「医療保険金」があります。このほか、特別保険金として、「座席ベルト装着者特別保険金」「重度後遺障害特別保険金」があります。保険金ごとに支払限度額の割合(支払率)が定められ、契約金額に応じて、支払われる保険金額が決まります。死亡保険金搭乗者が事故発生から180日以内に、事故での傷害を直接の要因として死亡したとき、1名につき保険金全額(100%)が被保険者の法定相続人に支払われます。後遺障害保険金事故による負傷が原因で、事故から180日以内に後遺障害が認められたとき、障害等級に応じて保険金が支払われます。(等級1級100%~14級4%)医療保険金搭乗者が怪我の治療のために入院・通院した場合に保険金が支払われます。「日数払い」と「部位症状別払い」があり、保険会社により異なります。日数払い…入院・通院にかかった日数分の金額が支払われます。事故発生日から180日が限度です。部位症状別払い…負傷した体の部位・症状ごとに、あらかじめ決められた金額が支払われます。部位症状別払いは、即座に定額の保険金を受け取れますが、入院・通院が長引いても、それ以上の保険金は支払われません。座席ベルト装着者特別保険金座席ベルトを装着していた搭乗者が死亡した場合に、保険金の30%が、死亡保険金と別に支払われます。チャイルドシートを含みます。重度後遺障害特別保険金重度の後遺障害で介護が必要であると認められる場合に、保険金の10%(限度額100万円)が、後遺障害保険金に上乗せして支払われます。後遺障害の症状を訴えている場合(むち打ちなど)でも、それを裏付ける医学的他覚所見(理学的検査、神経学的検査、臨床検査、画像検査等により認められる異常所見)がないと保険金が支払われません。保険金の支払率と支払われる保険金額(例)契約金額が1,000万円の場合の支払われる保険金額は次のようになります。保険金契約金額に対する支払限度額の割合支払われる保険金(契約金額1,000万円)死亡保険金100%1,000万円後遺障害保険金4~100%40~1,000万円座席ベルト装着車特別保険金30%300万円重度後遺障害特別保険金10%100万円医療保険金契約金額に対する支払限度額の割合支払われる保険金(契約金額1,000万円)日数払い(入院)0.15%15,000円/日日数払い(通院)0.1%10,000円/日部位症状別払い0.05~10%5~100万円※部位症状別払いの場合、ほかにも、治療給付金(1万円)、手術加算金(5万円)、救命救急医療加算金(20万円)などが支払われます。保険金が支払われない主なケース(免責事由)保険金が支払われない主な免責事由には、次のようなものがあります。故意または重大な過失、無免許・酒気帯び・麻薬等運転により、被保険自動車の運転者自身が死傷した場合被保険自動車の使用について正当な権利を有する者の承諾を得ないで、被保険自動車に搭乗中の被保険者が死傷した場合(泥棒運転で搭乗者が死傷した場合)闘争行為、自殺、犯罪行為により、被保険自動車の運転者自身が死傷した場合核燃料物質による事故地震、噴火、またはこれらによる津波戦争、暴動など被保険自動車を競技、曲技、試験のために使用すること被保険自動車に危険物を業務として積載すること【関連】⇒ 任意保険の免責事由搭乗者傷害保険金は損害賠償額から控除されない搭乗者傷害保険で支払われる保険金は、社会保険の給付や生命保険金などを受けていても関係なく、定額で支払われます。搭乗者傷害保険金を受け取っているからといって、損害賠償金から控除されることもありません。また、人身傷害補償保険金、無保険車傷害保険金、自損事故保険金と重ねて支払われます。これは、搭乗者傷害保険金が、実際に生じた損害の填補を目的とした保険金ではなく、該当事由があれば定額で支払われる保険金だからです。最高裁の判断損害賠償額から搭乗者傷害保険金が控除されるかどうかについては、1995年(平成7年)に最高裁が「控除することはできない」と判断を示しました(最高裁判決・平成7年1月30日)。ごく大まかにいうと、次のような理由です。搭乗者傷害条項は、定額の保険金を給付することによって搭乗者やその相続人を保護するもの。搭乗者傷害条項にもとづく保険金は、被保険者が被った損害を填補する性質のものではない。したがって、搭乗者傷害条項にもとづく保険金を損害額から控除することはできない。まとめ搭乗者傷害保険は、自動車事故で、被保険自動車の搭乗者が死傷した場合に保険金が支払われます。運転手・同乗者ずべての搭乗者が対象です。この保険金は、損害を填補するものではなく、契約している保険金額に応じて定額で支払われるものなので、損害賠償額から控除されることはありません。いまでは、医療保険の「日数払い」は保険会社が赤字となるため廃止され、「部位症状別払い」に一本化されたり、中には「部位症状別払い」も廃止し、「一時金払い方式」にしている保険会社もあります。ここで紹介しているのは一般的な内容です。保険会社や個々の保険によって異なることがありますから、必ず、ご自身の保険契約・保険約款をご確認ください。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。