交通事故トラブル解決ガイド|損害賠償請求・示談交渉の悩みを解決!

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  • 修理工場
    交通事故被害車両の修理費の損害賠償額はどう決まる?
    交通事故による被害車両の修理費は、必要かつ相当な範囲で損害賠償を受けられます。必要かつ相当な修理費とは、どのような金額で、どうやって決まるのか、どう主張・立証すればよいのか、見ていきましょう。損害と認められる修理費被害車両の修理費については、必要かつ相当な修理費が損害として認められます。また、修理費の損害賠償額には上限があり、それは事故時の車両価額(車両時価額)です。修理費が車両時価額を超える場合は、車両時価額が損害賠償額となります。つまり、車両損害については、修理費か車両時価額のいずれか低い方の金額を賠償すればよいルールです。例えば、実際の修理費が100万円であったとしても、車両時価額が50万円であれば、損害賠償を受けられるのは50万円です。修理費が車両時価額を超える場合を「経済的全損」といいます。古い車両の場合は、車両時価額が低いため、修理費が全額賠償されないことがありますから注意が必要です。修理費の上限が車両時価額とされる理由とは?損害賠償は、不法行為により被害者が被った損害を加害者が填補し、不法行為がなかった状態に回復させることです。修理不能なら時価額の賠償、修理可能なら修理費の賠償が基本です。ただし、修理可能でも、時価額を超える修理費の支払は、かえって被害者を利得させる結果となり、損害賠償の趣旨にそぐわないと考えられるため、修理費の上限を車両時価額としています。未修理でも修理費を賠償請求できる未修理でも、事故によって現実に損傷を受けている以上、すでに損害は発生しているため、修理費相当額の請求が認められます(大阪地裁平成10年2月24日判決)。ただし、修理費見積額が適正か否かが争点となっている場合は要注意です。修理しないまま長期間経過すると、修理の必要性に疑念を抱かれ、修理をしていない合理的説明が必要となる場合があり得ます。車両修理費の認定方法任意保険の実務上、車両修理費の認定は、損害保険会社のアジャスターが事故車両を検分し、修理工場との間で修理内容を協議し、修理費について協定が結ばれることによって行われています。アジャスターとは?アジャスターとは、一般社団法人・日本損害保険協会にアジャスター登録された資格保有者です。損保会社から委嘱を受け、保険事故の損害調査業務(自動車の損害額や事故の原因・状況などの調査)を行います。修理費認定の流れ具体的な修理費認定の流れは、こうです。車両の所有者が、事故車両を修理工場に入庫し、所有者自身もしくは修理工場から、その旨を保険会社に連絡します。修理工場では、車両の損傷を確認し、修理の見積もりを出します。保険会社は、アジャスターに車両の損害調査を委託します。アジャスターが事故車両の損害調査を行い、修理工場との間で修理の範囲や方法、修理費について協議します。協議がまとまれば、保険会社と修理工場との間で修理費協定を結びます。こうして修理費協定を結ぶと、保険会社が修理費を認定したことになります。保険会社と修理工場との間で修理費協定が締結されていれば、あとから修理費が争いになることは特別な事情がない限りありません。修理費協定とは?保険会社と修理工場との修理費協定は、法律的な行為というよりも、保険会社が修理費用として支払い可能な保険金額を合意する事実的な行為と理解されています。実際の修理費と保険会社から支払われる保険金額に差が生じると、当事者が負担を余儀なくされます。修理費協定は、そんなリスクを回避し、修理費の損害賠償を円滑に進める機能があるのです。協定済にもかかわらず修理費が争いになるケースとは?修理費協定が成立すれば、その金額を前提とする限り、争いとなることはありません。ただし、協定に法的拘束力はなく、協定後に修理費の見積もりが変わると、争いとなることがあり得ます。例えば、次のような場合です。被害者が、「アジャスターの検分時に発見されなかった損傷が発見された」として、協定額を上回る修理費を請求する場合。保険会社が、「協定内容を検証した結果、事故と相当因果関係がないとの判断に至った」として、協定額を下回る修理費が相当と主張する場合。事前に保険会社に連絡せずに修理をしたり、協定が未成立のまま修理すると、「損傷の事故起因性」や「修理の必要性・相当性」が問題となり、修理費の全部または一部が認められない場合があります。修理費を請求するとき、何を主張・立証する?車両の修理費を請求しようとする場合は、請求する側が次のことを主張・立証する必要があります。車両が当該事故によって損傷した事実修理済または修理予定の事実修理費の額または見込額ただし、損傷の事故起因性や修理の必要性・相当性について争いがある場合は、これでは足りません。損傷の事故起因性が争われる場合損傷の事故起因性とは、その損傷が、当該事故によるものか、ということです。事故前や事故後に生じた損傷箇所まで便乗修理しようとしているのではないか、と争いになる場合があります。損傷の事故起因性が争われる場合は、事故直後の被害車両と加害車両の写真、両車両の本来の形状を示す資料、アジャスターの意見書などを参考に、損傷の個所・形状と事故態様(衝突の部位・角度、衝撃の程度など)との整合性をふまえ、その損傷が当該事故によるものと言えるかを判断します。修理の必要性・相当性が争われる場合修理の必要性・相当性とは、修理が必要か、修理の内容や金額が適正か、といういことです。例えば、次のような点につき、過剰修理ではないのか、と争いになることがあります。ドアの損傷につき、板金修理が相当か、それとも交換修理が必要か。部分塗装で足りるか、全面塗装が必要か。修理費が、過大に見積もられていないか。修理の必要性や相当性が争われるときは、修理内容の明細を明らかにするために修理見積書や修理明細書、事故車両の損傷状況と修理内容が分かる写真、アジャスターや修理業者の意見書、当該車両の修理マニュアルなどにもとづき、必要かつ相当な修理の範囲や金額が認定されます。まとめ交通事故による被害車両の修理費は、必要かつ相当な修理費が損害賠償額として認められます。ただし、修理費が事故車両の時価額を超える場合は、車両時価額が損害賠償額の上限となります。こういうケースを経済的全損といいます。車両を修理するときは、事前に保険会社に連絡をし、保険会社による損害調査を受け、保険会社と修理会社の間で協定をした上で修理すると、あとから修理費の支払いで揉める心配がありません。修理費協定が未成立のまま修理すると、損傷の事故起因性(便乗修理の問題)、修理の必要性・相当性(過剰修理の問題)について、争いとなることがあります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通関係訴訟の実務』商事法務 429~431ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 227~228ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 31~32ページ・『交通事故事件処理の道標』日本加除出版株式会社 216~221ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 164~168ページ・『交通事故損害主張のポイント』新日本法規 253~257ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 206~208ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 58~60ページ・『交通事故と保険の基礎知識』自由国民社 193ページ・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 337ページ・『別冊判例タイムズ38』17ページ
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  • 車両修理部品交換
    車両修理で部品交換・全塗装が認められる場合とは?
    車両修理費の賠償は、必要かつ相当な範囲で認められ、基本的には板金修理費と部分塗装費用が相当とされます。部品交換や全面塗装の費用が認められるのは、合理的な理由があるときのみです。どんな場合に、部品交換や全面塗装の費用まで認められるのか、裁判例から見ていきましょう。板金修理が相当か、部品交換まで認められるか板金修理が相当か、部品交換まで認められるかは、板金修理が不可能ないし不適当かを考慮し、社会常識的に見た部品交換の必要性・相当性から判断されます。板金修理とは、車体の損傷部分の金属板を加工する修理方法です。板金修理が可能であれば、修理は損傷した車体の一部のみで済み、部品交換に要する費用は修理費として過分となります。部品交換の必要性・相当性について争われた裁判例には、次のようなものあります。板金修理が相当とした裁判例部品交換の必要性を否定し、板金修理が相当とした裁判例には、次のようなものがあります。被害車両に認められるべき修理の程度は、「社会常識的に見て、車両の異常が除去され、事故前の状態に復したと認められる程度」であるとし、部品交換の方が経済的である等の理由がない以上、板金修理によるべきとしました。(岡山地裁判決・平成6年9月6日)左フロントフェンダーと左フロントドアパネルの損傷につき、板金塗装による不具合の恐れを抽象的可能性に過ぎないとし、板金による修理に比して部品代が相当に高額であるとして、部品交換の必要性を認めませんでした。(東京地裁判決・平成27年2月23日)部品交換を認めたもの部品交換を認めた裁判例としては、次のようなものがあります。樹脂製のリヤバンパーについて、金属部品と異なり、板金修理・塗装は困難として、同部分の交換の相当性を認めました。(名古屋地裁判決・平成28年9月5日)交換が相当であるリヤバンパーの着脱に付随して、変形及び損傷が余儀なくされる部品の取替えの必要性を損害額の認定に際して考慮しました。(東京地裁判決・平成28年2月4日)ボディ交換の必要性の判断ボディ交換の必要性については、モノコック構造(エンジンやサスペンションが取り付けられている車台としてのフレーム部分が独立していない構造)の車両の損傷の場合に、争点となることがあります。モノコックボディというだけで、ボディ全部を交換する必要があるとは認められず、修理見積書・報告書・意見書等に基づいて、ボディ交換の必要性を判断します。(名古屋地裁判決・平成23年6月17日、名古屋地裁判決・平成12年2月28日、大阪地裁判決・平成6年9月20日)全塗装費用は、どんな場合に認められるか塗装は修理の一環として行われ、塗装費用は、修理費用と同様、必要かつ相当な範囲で認められます。基本的には、車両全体を全面塗装しなければならない合理的理由がない限り、部分塗装が相当とされます。全塗装が認められる場合とは?全塗装費用の請求が認められるのは、次の3つの場合です。特殊な塗装技術を施してあるため、部分塗装では他の部分との相違が明白となって美観を害する場合車両自体が高価なもので、車両の価値の大部分が外観にかかっている場合再塗装の範囲が広いため全塗装する場合と比較して費用に大きな差異を生じない場合これは、札幌地裁室蘭支部判決(昭和51年11月26日)が指摘したものです。この3つ場合に限り、全塗装費用が認められるとして、当該事件については全塗装費用を否認しました。全塗装費用を認めた裁判例全塗装費用が認められた裁判例として、次のものがあります。バッテリー液により汚損された事案につき、汚損された範囲が明確にできず、広範囲な部位にわたって飛散したため、車体の保護等のため全塗装が選択されたことに合理性があるとして、全塗装費用を損害として認めました。(東京地裁判決・平成元年7月11日)外観の損傷が著しく、全塗装しても部分塗装しても金額が変わらないことから、全塗装が認められました。(京都地裁判決・平成5年10月27日)ベンツの中でも特に高級車とされるメルセデスベンツ500SLのオープンカーにつき、特殊塗装のため、部分塗装では色合わせが困難であり、事故車であることが時とともに一目瞭然となり、車両価値がそれだけ低下するとして、全塗装の必要性を認めました。(神戸地裁判決・平成13年3月21日)部分塗装費用を損害賠償の対象とした裁判例部分塗装費用を損害賠償の対象とした裁判例として、次のものがあります。新車購入後約2年のキャデラックにつき、塗装部分と非塗装部分との差異は、外観に重大な影響を与えるものとは言い難く、光沢の差異は被害車両に既に色あせ等が生じていたためであること、全塗装費用は部分塗装費用の2倍以上に及ぶことから、全塗装では過大な費用をかけて原状回復以上の利益を得させることになるとして、部分塗装費用のみを損害賠償の対象としました。(東京地裁判決・平成7年2月14日)この東京地裁判決(平成7年2月14日)は、もう1つ別の注目すべき部分があります。全面塗装か部分塗装かについて、被害者と加害者側保険会社で話し合いがまとまらず、修理されないまま放置された結果、車両に劣化が生じて、新たな修理費用が必要となったとしても、部分塗装を前提とすべきである等の理由から、新たに必要となった修理費用は、本件事故と相当因果関係を有する損害とは言えないと判示しました。修理した後で、修理費が一部しか賠償されないといったリスクを避けるには、修理・塗装を実施する前に、保険会社と修理費協定しておくことが大切です。しかし、協議がまとまらず訴訟を提起するような場合は、修理しないまま放置しておくと、車両は劣化が進み、新たな修理費が必要となります。それについては損害賠償を受けられませんから、注意が必要です。全面塗装が否定されても評価損は認められる現在の塗装の精度は飛躍的に向上し、部分塗装であることによって修復歴が認められるほどの色むらが発生することはありませんが、色むらが不可避的に生じるような場合には、評価損を請求することになります。全面塗装は否定されても、評価損が認められる場合があります。この場合の評価損は、取引上の評価損でなく、技術上の評価損です。製造から40年経過のビンテージカーのフロント部分が損傷した事案につき、ボディ全体の交換と全塗装の費用を請求しましたが、板金修理・部分塗装が可能であるとして、板金修理と部分塗装の費用が事故と相当因果関係を有する損害であると認定。別途、評価損を認定しました。(大阪地裁判決・平成20年3月27日)相当な修理の観点から必要な塗装を立証全塗装費用についての賠償請求が認められるか否かの問題は、結局のところ、修理の相当性の問題につきます。したがって、相当な修理の範囲として、どのような塗装が必要とされるのか、という観点から検討する必要があります。その参考になるのが、東京高裁判決(平成26年1月29日)です。キャンディ・フレーク塗装が施されていた車両について、車両の塗色、塗装後の見え方をふまえて、全塗装までは不要とされた事例です。キャンディ・フレーク塗装とは、フレーク塗装(光を反射するフレークを塗料に混入して塗布)を下塗りした後に、キャンディ・カラー塗装(有色透明のキャンディ・カラー塗料とクリアコート剤とを混ぜたもの塗布)を施して、独特の光沢を出す塗装方法です。この裁判例は、結論としては、キャンディ・フレークという特殊な塗装方法でも、それだけでは全面塗装が必要とは認められなかったものの、損害箇所のみの部分塗装でなく、損傷個所の周辺部分までの塗装を認めました。損害箇所のみの部分塗装では足りないとしたのです。このように、損害箇所のみの部分塗装か、全面塗装か、の二者択一でなく、相当な修理がどの範囲かという観点で検討すれば、合理的な落としどころもあるのです。改造車の修理費金メッキを施したバンパーや、デコレーション「飾り」などは、走行等の車両の機能にプラスの影響を及ぼすものではなく、むしろ修理費を増大させ、無用に損害を拡大させているとして、修理費を減額した裁判例があります。まとめ車両修理費の賠償は、基本的に、板金修理と部分塗装の費用です。部品交換や全面塗装の費用が認められるのは、合理的な理由があるときのみです。全塗装費用が認められなくても、評価損が認められる場合があります。保険会社と修理費について合意できないからと、修理に着手せず放置していると、車両の劣化が進み、不要な修理費がかかってしまうことになりかねませんから、注意が必要です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 195ページ・『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい 200~205ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 32~33ページ、44~47ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務 58~63ページ、173~178ページ
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  • 改造車
    改造車の修理費・車両価格は改造費も含めて損害賠償の対象
    改造車の修理費や車両価格の算定においては、改造費も考慮され、違法な改造でなければ、原則として損害賠償の対象となります。ただし、改造していたことで損害が拡大した場合には、過失相殺があり得ます。車両価値を下げるような改造の場合は、ベース車両の価格を算定基準としたり、ベース車両の価格を減額したりします。改造費用も原則として損害賠償の対象改造車には、個人的な嗜好からドレスアップを施したものから、業務上の必要から改造されたもの(例えば、タクシー、冷凍車など)まで多種多様なものがあります。改造車とは、メーカーが販売している標準車をベースに、何らかの装備・装飾等について改造を施している車をいいます。改造車の修理費用は、原則として、改造に関する修理費も損害賠償の対象となります。車両価格も、ベース車の車両時価額に改造費を含めて算定されます。改造車の修理費の算定改造車の修理費の算定については、一般的に次のように考えられます。自動車に高額の設備・装備を付加するのは、基本的に所有者の自由ですから、原則として、改造に関する修理費は、民法416条の「通常生ずべき損害」として、事故との相当因果関係が認められます。ただし、次のような場合は例外です。改造が、法に抵触する場合改造内容に照らし、ことさらに損害を拡大するような場合こういう場合は、過失相殺により減額ないし免責を行うのが相当とされています。金メッキ・バンパー事件メルセデス・ベンツのバンパーに金メッキを施した車両が事故で損傷し、金メッキ・バンパーの修理代請求の可否が争われた事件です。第一審では、バンパーに金メッキをしても、バンパーの効用が増加することはなく、事故時には無用に損害を拡大させる結果となるとして、事故との相当因果関係を否定しました(東京地裁判決・平成2年2月8日)。控訴審では、事故との相当因果関係は認めた上で、金メッキによりバンパーとしての効用が増加するわけでなく、かえって損害を拡大させているため、損害拡大防止義務の視点から、過失相殺の法理を理由に金メッキ修理代金の50%減額して認容しました(東京高裁判決・平成2年8月27日)。改造した部分の修理費につき、事故との相当因果関係が認められ、損害賠償の対象となるとしても、本来の効用と違うことをし、それによって損害が拡大したのだから、その全額を相手に請求することはできないということです。改造車の車両価格の算定改造車の車両価格の算定についても、所有者の改造の自由を考慮し、原則として、ベース車の車両価格に改造費を含めて算定します。ただし、次のような場合は例外です。改造が、法に抵触する場合改造車の交換価値を増加させない場合、かえって交換価値を減価させる場合こういう場合は、ベース車の車両価格のみを算定基準とします。ベース車の価格を減額する場合もあります。車両価格は、原則として、同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定めますが、特段の事情がある場合は、減価償却の方法により算定することも認められます。改造車の車両価格の算定について、市場価格方式によることが困難な場合は、「特段の事情」に該当するとして、減価償却による算定方法が採られます。(東京地裁判決・平成29年10月3日)まとめ法令に違反するような改造でない限り、自動車を改造するのは所有者の自由です。したがって、改造車であっても、交通事故により損傷が発生したのであれば、改造部分を含めて修理費用の損害賠償が認められるのが原則です。ただし、改造が法令違反をしていたり、車両の効用や交換価値を低下させるなどの場合には、ベース車両価格を基準としたり、減額したりする場合があります。また、改造の内容、程度、損害額によっては、相当因果関係が否定されたり、車両の改造が損害を拡大させる要因となった場合は、過失相殺によって減額されたりします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『民事交通事故訴訟の実務』ぎょうせい 152~153ページ・『交通事故の法律相談と事件処理』ぎょうせい 236~239ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 64~66ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 255~256ページ
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  • 建物の損害賠償請求
    自動車の衝突事故による建物の修繕費・修理費用の損害賠償請求
    自動車が突っ込んで来て、家屋が損壊した場合の建物の修理費・修繕費は、必要かつ相当な範囲であれば、原則として、全額を損害賠償請求できます。自動車の修理費の損害賠償のように、車両時価額が上限となり、時価額を超える修理費は支払われない、ということはありません。ただし、修理・修繕により建物の耐用年数が延長する場合、延長される耐用年数分は、損益相殺により減額されることがあります。建物の修理費用は、原則として全額請求できる建物(不動産)と自動車(動産)とでは、修理費の損害賠償に対する考え方が異なります。自動車の修理費に対する損害賠償は、事故時の車両価格(車両時価額)が上限となります。車両時価額を超える修理費は、損害賠償を受けられません。自動車は動産です。修理費が車両時価額を上回るような場合は、修理に余計なお金をかけなくても、同等の中古車に買い替えることで損害を回復できるので、修理するより買替えの方が合理的というわけです。それに対して、建物は不動産ですから、自動車のように簡単に買替えはできません。建物の残存価値よりも修理・修繕費用が高額となるからといって、建物を取り壊し、そこに同価値の建物を建築したり、同等の中古物件を買って移設するといったことは、現実的ではありません。同価値の中古物件を買って、移転・引越しすればいい、というのは論外です。ですから、建物の損壊については、必要かつ相当な範囲の修理費であれば、基本的に修理費用が全額、賠償すべき損害として認められるのです。相当な範囲の修理であれば、原状回復がなされたにすぎない、と判断されます。経過年数を考慮して減額したり、建物の時価評価額を修理費用の上限とするようなことはありません。例えば、次のような裁判例があります。東京地裁判決(平成7年12月19日)修理により耐用年数が延長され、あるいは、価値の増加により被害者が不当利得を得たような場合であれば格別、相当な範囲の修理を施しただけの場合には、原状回復そのものがなされたにすぎないというべきであるから、これについて、改めて経過年数を考慮し、減価償却をなすのは相当ではない。前段で「修理により……被害者が不当利得を得たような場合であれば格別」とあるように、修理をしたことで耐用年数の延長や価値の増加があった場合は、事情が異なります。「被害者が不当利得を得たような場合」というと言葉は悪いですが、次のようなケースのことです。修理や建替で建物の耐用年数が延長すると損益相殺もある修理や建替えにより、耐用年数が延びたり、価値が増加したり、被害者が損害を上回る利益を得たと見なされる場合は、損益相殺により修理費・修繕費が減額されます。耐用年数の延長を不当利得と認定し損益相殺した例修理により耐用年数が延長されるして、損益相殺した例として、次のような裁判例があります。名古屋地裁判決(昭和63年3月16日)築26年の店舗兼住宅が自動車事故で損壊した事案で、修理により耐用年数が10年延長されると認定し、修理代から19%(1年あたりの減価率を1.9%とし、1.9%×10年=19%)減額しました。耐用年数の延長にともなう不当利得を否定した例「耐用年数の延長部分が不当利得になる」という加害者側の主張を否定した例として、次のような裁判例があります。神戸地裁判決(平成13年6月22日)大型貨物自動車が家屋に衝突した事故で、建物の修理費用につき、加害者から、修理工事にともなう耐用年数の延長部分が不当利得になる旨の主張がなされましたが、判決は「これを認めるに足る証拠はない」と否定しました。しかも、判決は、建物の修理費の他に、建物の修理が完了するまで居住した賃貸アパートの家賃・仲介手数料・駐車料金・退去時修理費を損害として認め、長年住み慣れた自宅を離れて約半年もの間アパート生活を余儀なくされ、高齢の居住者に生活の不便があったこと等の諸般の事情を考慮して、精神的苦痛に対する慰謝料を損害として認めました。新築建物の場合は評価損が認められることもある損傷した建物が、新築後間もない建物であった場合、修理によって安全面や機能面で問題がなくなったとしても、心理的要因から不動産の価値が低下するため、評価損が認められる場合があります。例えば、次のような裁判例があります。大阪地裁判決(平成27年8月27日)販売中の新築建売物件に自動車が衝突し、建物の通し柱の基礎部分に損傷が生じたり土台がずれたりし、壁など複数の箇所に亀裂が生じただけでなく、2階のバルコニーにもひび割れが生じた事案です。本件建物は、修理工事によって安全面や機能の点では特に問題はなくなったとみられるものの、そのような大規模な修理が必要な損傷を受けたということは、不動産の評価に当たり考慮されるべきであるし、心理的な要因からもその不動産の価値は低下したといわざるを得ない。新築建物の損傷という点を考慮した場合、その価値の低下は決して軽視することができず、本件建物の評価や修理費の額等を考慮して、270万円の評価損を認めました。まとめ建物の修理費用は、必要かつ相当な範囲で全額が損害として認められます。修理費用が建物の評価額を上回るからといって、修理費用の上限額が時価額となることはありません。ただし、修理や建替えにより建物の耐用年数が延長され、被害者が利益を得るような場合は、耐用年数の延長部分が不当利得とみなされ、損益相殺により、損害額から減額されることがあります。建物の修理費用のほかにも、修理期間中に借りたアパートの賃料等や、修理期間中の生活の不便に対する慰謝料が認められることもあります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 140~141ページ、237~241ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 84~85ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 292~293ページ・『交通事故損害賠償の手引』企業開発センター 64ページ
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