※当サイトでは記事内にアフィリエイト広告を含む場合があります。
改造車の修理費や車両価格の算定においては、改造費も考慮され、違法な改造でなければ、原則として損害賠償の対象となります。
ただし、改造していたことで損害が拡大した場合には、過失相殺があり得ます。車両価値を下げるような改造の場合は、ベース車両の価格を算定基準としたり、ベース車両の価格を減額したりします。
改造車には、個人的な嗜好からドレスアップを施したものから、業務上の必要から改造されたもの(例えば、タクシー、冷凍車など)まで多種多様なものがあります。
改造車とは、メーカーが販売している標準車をベースに、何らかの装備・装飾等について改造を施している車をいいます。
改造車の修理費用は、原則として、改造に関する修理費も損害賠償の対象となります。車両価格も、ベース車の車両時価額に改造費を含めて算定されます。
改造車の修理費の算定については、一般的に次のように考えられます。
自動車に高額の設備・装備を付加するのは、基本的に所有者の自由ですから、原則として、改造に関する修理費は、民法416条の「通常生ずべき損害」として、事故との相当因果関係が認められます。
ただし、次のような場合は例外です。
改造が、
こういう場合は、過失相殺により減額ないし免責を行うのが相当とされています。
メルセデス・ベンツのバンパーに金メッキを施した車両が事故で損傷し、金メッキ・バンパーの修理代請求の可否が争われた事件です。
第一審では、バンパーに金メッキをしても、バンパーの効用が増加することはなく、事故時には無用に損害を拡大させる結果となるとして、事故との相当因果関係を否定しました(東京地裁判決・平成2年2月8日)。
控訴審では、事故との相当因果関係は認めた上で、金メッキによりバンパーとしての効用が増加するわけでなく、かえって損害を拡大させているため、損害拡大防止義務の視点から、過失相殺の法理を理由に金メッキ修理代金の50%減額して認容しました(東京高裁判決・平成2年8月27日)。
改造した部分の修理費につき、事故との相当因果関係が認められ、損害賠償の対象となるとしても、本来の効用と違うことをし、それによって損害が拡大したのだから、その全額を相手に請求することはできないということです。
改造車の車両価格の算定についても、所有者の改造の自由を考慮し、原則として、ベース車の車両価格に改造費を含めて算定します。
ただし、次のような場合は例外です。
改造が、
こういう場合は、ベース車の車両価格のみを算定基準とします。ベース車の価格を減額する場合もあります。
車両価格は、原則として、同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定めますが、特段の事情がある場合は、減価償却の方法により算定することも認められます。
改造車の車両価格の算定について、市場価格方式によることが困難な場合は、「特段の事情」に該当するとして、減価償却による算定方法が採られます。
(東京地裁判決・平成29年10月3日)
法令に違反するような改造でない限り、自動車を改造するのは所有者の自由です。したがって、改造車であっても、交通事故により損傷が発生したのであれば、改造部分を含めて修理費用の損害賠償が認められるのが原則です。
ただし、改造が法令違反をしていたり、車両の効用や交換価値を低下させるなどの場合には、ベース車両価格を基準としたり、減額したりする場合があります。
また、改造の内容、程度、損害額によっては、相当因果関係が否定されたり、車両の改造が損害を拡大させる要因となった場合は、過失相殺によって減額されたりします。
弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。
交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!
0120-690-048 ( 24時間受付中!)
※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
【参考文献】
・『民事交通事故訴訟の実務』ぎょうせい 152~153ページ
・『交通事故の法律相談と事件処理』ぎょうせい 236~239ページ
・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 64~66ページ
・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 255~256ページ