カーナビ、オーディオ、ドライブレコーダー、ETCの損害賠償請求

被害車両の装備品・付属品が損傷したときの損害賠償請求

交通事故により、カーナビゲーション、カーオーディオ機器、ドライブレコーダー、ETC車載器など被害車両の付属品・装備品が損傷した場合、その価格が車両本体価格に評価されていないときは、その時価額を損害として加算できます。

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カーナビゲーション、カーオーディオ、ドライブレコーダー、ETC車載器など、被害車両の付属品・装備品が交通事故で損傷した場合、修理可能であれば、修理費を時価額の範囲で損害賠償請求できます。修理不能で新しいものに取替えた場合には、時価相当額額の損害賠償を受けられます。

 

車両が全損となった場合、標準装備品なら通常は車両価格に組み込まれていますが、後付けしたものであれば、その時価額を車両価格に加算して損害賠償請求できます。

 

車両装備品・付属機器の損害算定

最近の自動車には、カーオーディオ機器、ETC車載器、カーナビゲーション、ドライブレコーダーなどが搭載されていることが多くあります。

 

したがって、事故が発生したら、こうした付属品も車両とともに損傷することは通常予見可能であり、付属品の損害も事故と相当因果関係のある損害として認められます。

 

修理が可能なときは修理費を、修理不能の場合は時価額を、損害賠償請求できます。

 

車両損害と同じく損害賠償額の上限は時価額であり、修理不能のため買替えたとしても、買替えに要した金額が、そのまま損害額と認められるわけではありません。

 

標準装備か? 後付けか?

車両が全損の場合、標準装備品であれば、通常、車両価格に装備品の価格も組み込まれていますが、念のため確認しておくべきでしょう。

 

標準装備でない場合には、その付属品の時価額を別途算定し、車両本体価格に加算して請求することができます。

 

東京高裁判決(平成28年11月10日)

被害車両の事故前の価格を算定するにあたり、当該車両に設置された付属機器の価格が本体価格で評価されていないときは、本体価格に当該付属機器の価格を加えた合計額をもって被害車両の価格とすべきである。

 

それでは、車両付属品の時価額は、どのように算定するのでしょうか?

 

車両付属品の時価額の算定方法

車両本体の時価額は、中古車流通市場が確立されていますから、同種同等の中古車価格をもって時価額を証明できます。

 

しかし、車両付属品については、自動車のように中古品の流通市場が確立されているとはいえませんから、同等の中古品の価格をもって時価額を証明することは困難です。

 

そのため、購入価格から減価償却の方法により減額して、時価額を算定する方法によるのが一般的です。

 

付属品の購入金額や購入時期が、領収書等を保管していないため明確でない場合は、被害者の記憶にもとづいて、だいたいの時期や金額を申告することになります。

 

もっとも、申告した額がそのまま認められるわけではなく、同種の商品の新品価格を示したり、クレジットカードの購入履歴を確認するなどして、何らかの客観的な証拠を示し、証明することも必要でしょう。

車両付属品の損害賠償を認めた裁判例

車両付属品の損傷の損害賠償を認めた裁判例として、次のようなものがあります。

 

大阪地裁判決(平成26年1月21日)

自動車の購入から約1年経過したころに事故が発生し、車両が全損となった事案です。

 

車両購入時の取り付けたメーカーオプション(タイヤ、セーフティシステム、クリアランスソナー、ムーンルーフ)について、いずれも車両の価値向上に資するオプションで、かつ容易に他の車両に転用が効くものではないことを理由に、その価格を車両時価額に加算して計算すべきとしました。

 

車両本体価格が事故時に新品の8割程度の価格になっていたことから、オプションの新品価格(32万5,500円)の8割(26万400円)を車両価格に加算しました。

 

東京地裁判決(平成28年6月17日)

高級品のアルミホイール4本等が取り付けられていた車両が事故により損傷した事案です。

 

事故前の被害車両価格を算定するにあたっては、純正品の価格(4本分18万400円)と高級品の価格(4本分55万6,000円)との差額を考慮するのが相当であるとしつつ、高級品の価格は新品の価格であるから上記差額をそのまま加算することはできないとして、被害車両の初年度登録年月日や事故発生日等を考慮して、上記差額の6割(22万5,360円を車両本体価格に加算しました。

 

名古屋地裁判決(平成29年3月29日)

交通事故により損傷した車両にタイヤホイール、エアクリーナー、ハードトップ(屋根)、マニホールド、マフラー、スポイラー等の部品やスピードREU(コンピュータシステム)の変更が行われていた事案です。

 

被害車両はロードレース用の競技車両であり、取付部品は違法性がないから、取付部品は付加価値として評価するのが相当であるとしつつ、各部品の取り付けから約1年から2年半程度経過しており、一定程度消耗していることが推測されること等を考慮して、取付費用等の合計額の70%を事故と相当因果関係のある損害と認めました。

事故と付属品損傷の因果関係が争われることも

事故で車両が損傷した場合、車両装備品・付属品も損傷し得ることは、通常予見できることですから、車両本体とともに損害賠償の対象となり得ます。

 

ただし、衝突の箇所や衝撃の程度によっては、装備品・付属品の損傷と事故との相当因果関係が争いとなることがあります。

 

相当因果関係を認めなかった事例として、次のような裁判例があります。

 

横浜地裁判決(平成30年5月18日)

加害車両が被害車両の後部に追突した事故であり、車両の損傷状況からうかがわれる事故の衝撃の大きさを考慮しても、事故により、被害車両の前方に搭載された搭載品(カーナビやETC車載器など)が損傷することが当然に想定されるとはいえず、搭載品が損傷したことを示す証拠もないことから、事故によりこれらの搭載品が損傷したことの事実を認めることはできない。

まとめ

カーナビゲーション、カーオーディオ、ドライブレコーダー、ETC車載器など、被害車両の付属品の損害については、損害算定の際、被害車両本体の価格に含まれていない場合には、付属品の価格を車両価格に加算することができます。

 

ただし、その価額は、購入時から事故発生時までの経過期間等を考慮し、購入価格から減額されます。

 

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【参考文献】
・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 217~218ページ
・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 114~117ページ
・『物損交通事故の実務』学陽書房 72~73ページ
・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 189~190ページ

公開日 2021-11-11 更新日 2023/03/18 13:28:15