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  • 絶対的過失相殺・相対的k室相殺
    共同不法行為における絶対的過失相殺と相対的過失相殺の違い
    共同不法行為が成立するときの過失相殺には、「絶対的過失相殺」と「相対的過失相殺」という2つの方法があります。絶対的過失相殺の方法を採用するか、相対的過失相殺の方法を採用するかは、共同不法行為の内容によります。ここでは、共同不法行為がどんなものかを簡単に見たうえで、絶対的過失相殺と相対的過失相殺の特徴と違い、それぞれどんな事故に適用されるのか説明します。共同不法行為と過失相殺交通事故における共同不法行為とは、交通事故により被害者に生じた損害に、複数の不法行為と不法行為者(加害者)が関与していることです。共同不法行為者は、連帯して、被害者に対し損害を賠償する責任を負います(民法719条1項)。民法719条1項(共同不法行為者の責任)数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。交通事故の共同不法行為の例交通事故の共同不法行為には、大きく分けて、同時事故と異時事故があります。同時事故の例としては、自動車同士が衝突して、一方の自動車の同乗者が受傷したとき、その被害者に対して両方の自動車の運転者が共同不法行為者となり、損害賠償責任が生じます。異時事故の例としては、交通事故の被害者が、救急搬送された病院で診断を誤り死亡した場合も、交通事故の加害者と医師の過失行為が共同不法行為となることがあります。共同不法行為における過失相殺の例共同不法行為が成立するときも、被害者に過失がある場合には、各不法行為者から過失相殺が主張されます。上の例でいうと、同乗者がシートベルト不装着の場合や、病院から帰宅後に被害者が重篤な状態に至ったのに適切に対応しなかったような場合は、「被害者の過失」や「被害者側の過失」として、過失相殺されることがあります。「絶対的過失相殺」と「相対的過失相殺」の特徴と違い共同不法行為における過失相殺の方法には、「絶対的過失相殺」と「相対的過失相殺」の2つの方法があります。それぞれの特徴と違いについて詳しく見てみましょう。絶対的過失相殺絶対的過失相殺とは、各加害者の不法行為を一体と捉え、加害者の過失割合を合計し、これと被害者の過失割合を対比して過失相殺する方法です。加害者側の過失割合を加算することから「加算的過失相殺」ともいいます。絶対的過失相殺の計算例被害者Aが、加害者BとCの共同不法行為により被った損害額が300万円。過失割合は、A:B:C=1:5:4絶対的過失相殺の方法によると、加害者BとCが連帯して被害者Aに対して支払う損害賠償額は、次のようになります。300万円×9/10=270万円加害者BとCは、損害賠償額270万円をB5:C4の割合で按分し、負担することになります。相対的過失相殺相対的過失相殺とは、被害者と各加害者との過失割合をそれぞれ対比して過失相殺する方法です。相対的過失相殺の計算例被害者Aが、加害者BとCの共同不法行為により被った損害額が300万円。過失割合は、A:B:C=1:5:4絶対的過失相殺との違いを分かりやすくするため、各当事者の過失の割合(絶対的過失割合)を割り付けていますが、実際には「絶対的過失割合を認定できないとき」に、相対的過失相殺の方法が採られます。相対的過失相殺の方法によると、加害者BとCは、それぞれの過失割合に相当する負担を負うことになります。加害者Bが被害者Aに対して支払う損害賠償額は、300万円×5/6=250万円加害者Cが被害者Aに対して支払う損害賠償額は、300万円×4/5=240万円被害者Aが受け取ることができる賠償額の上限は、270万円(300万円×9/10)で、絶対的過失相殺の方法で計算した額と同額です。加害者BとCが連帯責任を負う範囲については、重畳する部分の240万円とする考え方、BとCの賠償額の合計490万円から上限額の270万円を引いた220万円とする考え方があります。絶対的過失相殺と相対的過失相殺の効果の違い計算例を見れば分かるように、絶対的過失相殺と相対的過失相殺の効果の違いは、絶対的過失相殺の方が、相対的過失相殺より「加害者が連帯して責任を負う範囲が広い」ことです。民法719条の規定は、被害者救済の見地から、共同不法行為が成立する場合、共同不法行為者に連帯責任を課すものです。絶対的過失相殺の方が、相対的過失相殺よりも、被害者救済に有効な方法といえます。「絶対的過失相殺」と「相対的過失相殺」の適用の振り分け絶対的過失相殺の方法によるか、相対的過失相殺の方法によるかは、共同不法行為の内容によって異なります。「どちらの過失相殺の方法を採用すべきか」を考える上で、最高裁の2つの判例があります。「相対的過失相殺の方法を採用する」とした判例「相対的過失相殺の方法によるべき」とした判例には、次の最高裁判例があります。交通事故と医療事故とが順次競合し、運転行為と医療行為とが共同不法行為にあたる場合の各不法行為者と被害者との間の過失相殺の方法について、最高裁は次のように判示しました。最高裁判決(平成13年3月13日)交通事故と医療事故とが順次競合し、そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって、運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において、過失相殺は、各不法行為の加害者と被害者との間の過失の割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌してすることは許されない。「絶対的過失相殺の方法を採用する」とした判例「絶対的過失相殺の方法によるべき」とした判例には、次の最高裁判例があります。複数の加害者の過失と被害者の過失が競合する1つの交通事故において、絶対的過失割合を認定することができる場合における過失相殺の方法について、最高裁は次のように判示しました。最高裁判決(平成15年7月11日)複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失の割合(いわゆる絶対的過失割合)を認定することができるときには、絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う。「絶対的過失相殺」と「相対的過失相殺」のどちらを適用するかの判断最高裁判例によれば、各当事者の「絶対的過失割合」を認定することができるときは、絶対的過失相殺の方法により過失相殺を行うということは明確です。ただし、「絶対的過失割合が認定することができるとき」が、どういう場合かについては示していません。一方、交通事故と医療事故が順次競合した共同不法行為については、「相対的過失相殺の方法による」としています。一連の判例から、おおむね、「同時事故」の場合には絶対的過失相殺の方法を採用し、「異時事故」の場合には相対的過失相殺の方法を採用すると考えられます。なお、異時事故の場合であっても、ほぼ同時に同一場所で各不法行為があったときは、「同時類似事故」として、絶対的過失相殺の方法が採られます。「近時の下級審裁判例を概観しても、同時事故はもとより異時事故についても時間的・場所的近接性が認められる事故については、絶対的過失相殺の方法による裁判例が圧倒的に多い。」引用:『交通賠償実務の最前線』公益財団法人 日弁連交通事故相談センター編同時事故同時事故とは、各不法行為が、同一場所において同時に行われた事故の類型です。自動車同士が衝突して、同乗者や第三者が受傷したようなケースです。各不法行為の間に「強度の関連共同性」があり、各不法行為を一体として、つまり1つの事故として捉えることができるので、同時事故の場合には、絶対的過失相殺の方法が採られると考えてよいでしょう。異時事故異時事故とは、第1事故と第2事故の間に時間的経過が存在する事故の類型です。異時事故には、2つのケースがあります。玉突き事故や、車にはねられ転倒して後続車や対向車に轢かれた事故のように、第1事故と第2事故が同一場所で引き続いて(時間的に近接して)起きるケース。交通事故と搬送先の病院での医療事故(医療過誤)の競合のように、第1事故と第2事故が異なる場所で起きるケース。異時事故でも、「ほぼ同時・同一場所」であったときは、時間的・場所的近接性の観点から同時事故と同視することができ、絶対的過失相殺の方法が採られます。時間的・場所的近接性に照らして、各不法行為の関連共同性が強くなく、これらを一体的に捉えることが容易でないときは、相対的過失相殺の方法が採られる考えてよいでしょう。まとめ共同不法行為における過失相殺は、現実の共同不法行為の内容をふまえて、絶対的過失相殺の方法を採用するか、相対的過失相殺の方法を採用するか、を判断する必要があります。共同不法行為に関しては、判例も学説も錯綜している部分がありますから、交通事故の損害賠償問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 交通事故と医療過誤の共同不法行為
    交通事故と医療過誤の共同不法行為が成立するときの過失相殺の判例
    交通事故と医療過誤が競合する事案は、従来、分割責任の考え方を採用する傾向がありましたが、平成13年3月13日に最高裁は、共同不法行為の成立を肯定し、連帯責任となる判決を出しました。同時に、交通事故と医療過誤の共同不法行為が成立するときの過失相殺については、相対的過失相殺の方法を採用することも判示しました。最高裁判例(平成13年3月13日)のポイント交通事故と医療事故とが順次競合し、そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって、運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯責任を負うべきものであり、結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害額を案分し、責任を負うべき損害額を限定することはできない。過失相殺は、各不法行為の加害者と被害者との間の過失の割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌してすることは許されない。平成13年の最高裁判例は、どんな事案か平成13年の最高裁判例が、どんな事案か、見ておきましょう。交通事故被害者A(6歳)は、午後3時40分ころ、自転車に乗って一時停止せず、交通整理の行われていない交差点に進入。同交差点内に減速することなく進入しようとしたタクシーと接触し転倒しました。医療事故被害者Aは、救急車で医療法人Yが経営する病院に搬送されました。病院長のB医師は、被害者Aを診察し、頭部と顔面に軽度の挫傷と出血を認めたものの、意識が清明で外観上異常が認められず、被害者Aが「軽く衝突した」と説明したため、軽微な事故と考えました。B医師は、頭部レントゲン撮影で頭蓋骨骨折は発見されなかったため、頭部CT検査や病院内での経過観察は必要ないと判断し、被害者Aと母親に「明日も診察を受けに来るように」「何か変わったことがあれば来るように」と一般的な指示のみで帰宅させました。午後5時30分ころ帰宅し、帰宅直後に嘔吐。眠気を訴えたため、母親は疲労のためと考え、そのまま寝かせました。午後7時ころには、いびきをかいたり、よだれを流したりするようになり、かなり汗をかくようになっていました。両親は多少の異常は感じたものの、この容態を重大なこととは考えず、7時30分ころ、氷枕を使用させ、そのままにしておきました。午後11時ころには、体温が39度まで上昇して、けいれん様の症状を示し、午後11時50分ころにはいびきをかかなくなったため、初めて重篤な状況にあるものと疑い、救急車を要請。しかし、すでに脈は触れず呼吸も停止。救急車で搬送された別の病院で死亡しました(翌日の午前0時45分)。死因は、頭蓋外面線上骨折による硬膜動脈損傷を原因とする硬膜外血腫でした。医師の過失被害者が病院から帰宅した後の一連の症状について、裁判所は、次のように判断しました。被害者Aが病院から帰宅したころには、脳出血による脳圧の亢進により嘔吐の症状が発現。午後6時ころには傾眠状態を示し、いびき、よだれを伴う睡眠、脳の機能障害が発生。午後11時ころには、治療が困難な程度であるけいれん様の症状を示す除脳硬直が始まり、午後11時50分には自発呼吸が不可能な容態になった。判決では、医師の過失について次のように認定しています。硬膜外血腫は、骨折を伴わずに発生することもあり、また、当初相当期間の意識清明期が存することが特徴であって、その後、頭痛、おう吐、傾眠、意識障害等の経過をたどり、脳障害である除脳硬直が開始した後はその救命率が著しく減少し、仮に救命に成功したとしても重い後遺障害をもたらすおそれが高いものであるが、早期に血腫の除去を行えば予後は良く、高い確率での救命可能性があるものである。したがって、交通事故により頭部に強い衝撃を受けている可能性のあるAの診療に当たったB医師は、外見上の傷害の程度にかかわらず、当該患者ないしその看護者に対し、病院内にとどめて経過観察をするか、仮にやむを得ず帰宅させるにしても、事故後に意識が清明であってもその後硬膜外血腫の発生に至る脳出血の進行が発生することがあること及びその典型的な前記症状を具体的に説明し、事故後少なくとも6時間以上は慎重な経過観察と、前記症状の疑いが発見されたときには直ちに医師の診察を受ける必要があること等を教示、指導すべき義務が存したのであって、B医師にはこれを懈怠した過失がある。被害者の過失割合医療事故における被害者側の過失は、「除脳硬直が発生して呼吸停止の容態に陥るまで重篤な状態に至っていることに気付くことなく、何らの措置をも講じなかった点において、経過観察や保護義務を懈怠した過失がある」として、過失割合は1割が相当としました。交通事故における被害者の過失については、事故が、タクシーが交差点に進入する際に、自動車運転手として遵守すべき注意義務を懈怠した過失によるものであるが、被害者Aにも,交差点に進入するに際しての一時停止義務、左右の安全確認義務を怠った過失があるとして、過失割合は3割が相当としました。共同不法行為の成立と相対的過失相殺原審(東京高裁・平成10年4月28日)は、上の事実認定にもとづき、次のように判断しました。被害者Aの死亡事故は、交通事故と医療事故が競合して発生したもので、原因競合の寄与度を特定して主張立証することに困難を伴うので、被害者保護の見地から、交通事故における運転者の過失行為と医療事故における医師の過失行為とを共同不法行為として、被害者は、各不法行為にもとづく損害賠償請求を分別することなく、全額の損害の賠償を請求することもできる。しかし、個々の不法行為が当該事故の全体の一部を時間的前後関係において構成し、その行為類型が異なり、行為の本質や過失構造が異なる場合には、各不法行為者は、各不法行為の損害発生に対する寄与度の分別を主張することができる。すなわち、被害者の被った損害の全額を算定し、各加害行為の寄与度に応じてこれを案分して割り付け、その上で個々の不法行為についての過失相殺をして、各不法行為者が責任を負うべき損害賠償額を分別して認定するのが相当である。本件においては、交通事故と医療事故の各寄与度は、それぞれ5割と推認するのが相当である。こうして、東京高裁は、全損害額4,000万円の5割に相当する2,000万円から、医療事故における被害者側の過失1割を過失相殺した額を医療機関に請求できる損害額としました。※引用にあたり、損害額は100万円未満は切り捨て、弁護士費用・遅延損害金は除いています。交通事故と医療過誤の競合で共同不法行為が成立最高裁は、原審の「2」「3」は是認できないとして破棄しました。最高裁の判断は、次の通りです。本件交通事故により、Aは放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの、事故後搬入された被上告人病院において、Aに対し通常期待されるべき適切な経過観察がされるなどして脳内出血が早期に発見され適切な治療が施されていれば、高度の蓋然性をもってAを救命できたということができるから、本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが、Aの死亡という不可分の一個の結果を招来し、この結果について相当因果関係を有する関係にある。したがって、本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。本件のようにそれぞれ独立して成立する複数の不法行為が順次競合した共同不法行為においても別異に解する理由はないから、被害者との関係においては、各不法行為者の結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害の額を案分し、各不法行為者において責任を負うべき損害額を限定することは許されないと解するのが相当である。けだし,共同不法行為によって被害者の被った損害は、各不法行為者の行為のいずれとの関係でも相当因果関係に立つものとして、各不法行為者はその全額を負担すべきものであり、各不法行為者が賠償すべき損害額を案分、限定することは連帯関係を免除することとなり、共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとしている民法719条の明文に反し、これにより被害者保護を図る同条の趣旨を没却することとなり、損害の負担について公平の理念に反することとなるからである。※引用:最高裁判決(平成13年3月13日)なお、平成13年の最高裁判決は、交通事故と医療事故のいずれもが、被害者の死亡による全損害について相当因果関係を有する関係にある、とする事実関係を前提とするものです。つまり、交通事故により受傷し、放置すれば死亡に至るような傷害を受けた被害者が、適切な治療を受けていれば死亡を免れたのに、治療中に医療機関の過誤により死亡した場合に、関連共同性や因果関係が肯定され、加害者と医療機関の共同不法行為が成立するというものです。したがって、交通事故と医療過誤が競合する全ての事故類型について、当てはまるものではないと解されています。例えば、被害者が一命をとりとめ快復途上にあったのに、その後の治療過程で誤った薬を投与され死亡した場合や、死には至らない傷害を負った被害者が、搬送された病院で血液型不適合の輸血をされて死亡した場合などです。共同不法行為が成立するときの過失相殺の方法最高裁は、交通事故と医療事故の共同不法行為が成立するときの過失相殺について、次のような判断を示しました。本件は、本件交通事故と本件医療事故という加害者及び侵害行為を異にする2つの不法行為が順次競合した共同不法行為であり、各不法行為については加害者及び被害者の過失の内容も別異の性質を有するものである。ところで、過失相殺は不法行為により生じた損害について加害者と被害者との間においてそれぞれの過失の割合を基準にして相対的な負担の公平を図る制度であるから、本件のような共同不法行為においても、過失相殺は各不法行為の加害者と被害者との間の過失の割合に応じてすべきものであり、他の不法行為者と被害者との間における過失の割合を斟酌して過失相殺をすることは許されない。※引用:最高裁判決(平成13年3月13日)相対的過失相殺の方法によると、加害者ごとに異なる過失相殺率を認めることになり、連帯債務といっても加害者ごとに賠償額が異なり、一部連帯の形になります。加害者の過失の態様・性質が異なる場合に、ひとまとめに評価するのは困難なので、過失相殺の方法としては妥当と考えられますが、共同不法行為と認定しながら、連帯責任の範囲は小さくなることに注意が必要です。まとめ最高裁は、交通事故と医療事故が順次関与して被害者に重大な結果が生じ、いずれもが結果との間に相当因果関係が認められる場合に、共同不法行為の成立を肯定し、連帯責任となることを明らかにしました。これは、交通事故と医療過誤が競合する場合全般について、共同不法行為の成立を認めたものではありませんが、共同不法行為が成立する場合は、各不法行為者が損害の全額に連帯責任を負います。交通事故と医療過誤が競合する事案で共同不法行為が成立するとき、過失相殺にあたっては、相対的過失相殺の方法を採用します。これは、加害者の過失の態様・性質が異なり、ひとまとめに評価するのが難しいからです。共同不法行為の絶対的過失割合を認定できるときは、絶対的過失相殺の方法を採用します。共同不法行為が成立するか否か、過失相殺をどうするかは、個別に判断する必要があります。交通事故の損害賠償問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 複数車両が関与した事故
    複数車両が関与した共同不法行為と絶対的過失割合・絶対的過失相殺
    複数の車両が関与して交通事故が発生した場合、多くは共同不法行為が成立し、各加害者が連帯して全損害を賠償する責任を負います(民法719条1項)。共同不法行為で被害者にも過失があるときには、過失相殺が行われますが、その際、絶対的過失割合を認定できるときは、絶対的過失相殺の方法により過失相殺します。これを判示したのが、平成15年7月11日の最高裁判決です。最高裁判例(平成15年7月11日)のポイント複数の加害者の過失と被害者の過失が競合する1つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失の割合(絶対的過失割合)を認定することができるときには、絶対的過失割合にもとづく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して共同不法行為にもとづく賠償責任を負う。平成15年の最高裁判決はどんな事案だったのか平成15年の最高裁判決は、次のような事案に対するものです。なお、実際の判決は、車の所有者、保険会社(共済組合)、自賠責、求償などが絡み複雑ですので、大筋が分かるように簡略化しています。事案の概要カーブ付近で違法駐車をしていた車両[C]を避け、センターラインをはみ出して進行した加害車両[B]と、反対方向から制限速度を超過して走行してきた被害車両[A]がカーブを抜けたところで、正面衝突した事故です。原審の名古屋高裁は、車両[C]には非常点滅表示灯を点灯させず駐車禁止の車道にはみ出して駐車させた過失、車両[B]には対向車線にはみ出して進行した過失、車両[A]には速度違反、安全運転義務違反の過失が認め、A:B:C の過失割合を 1:4:1 と認定しました。これについては、最高裁も「適法」と認定しました。原審(名古屋高裁)の判断問題は、絶対的過失割合を認定しながら、相対的過失相殺の方法により損害賠償額を算定したことです。原審は、絶対的過失割合をA1:B4:C1と認定した上で、相対的過失相殺を採用し、過失相殺率を、AとBの間ではA1:B4(Aの過失20%)、AとCの間ではA1:C1(Aの過失50%)として、賠償額を算定しました。名古屋高裁の判断の概要はこうです。損害額については、分かりやすくするため、1万円未満は切り捨てています。Aは、自己の損害につき、自己の過失割合である6分の1を控除した6分の5の限度で、BとCに対して、各当事者ごとの相対的な過失割合に従って損害賠償を請求することができる。したがって、Aは、581万円の6分の5である484万円を上限として、Bに対しては581万円をAの過失割合5分の1による過失相殺をした後の464万円、Cに対してはAの過失割合2分の1による過失相殺をした後の290万円を請求し得る。BとCの損害賠償義務が競合する範囲は、464万円と290万円を加え、484万円を控除した270万円であり、Bのみが損害賠償義務を負うのは、464万円から270万円を控除した194万円である。Bの負担部分は、270万円に5分の1を乗じ、194万円を加えた248万円である。最高裁の判断平成15年7月11日の最高裁判決は、「原審の判断は是認できない」として、次のように判示しました。複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失の割合(以下「絶対的過失割合」という。)を認定することができるときには、絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負うものと解すべきである。これに反し、各加害者と被害者との関係ごとにその間の過失の割合に応じて相対的に過失相殺をすることは、被害者が共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとすることによって被害者保護を図ろうとする民法719条の趣旨に反することになる。したがって、BとCは、Aの損害581万円につき、Aの絶対的過失割合である6分の1による過失相殺をした後の484万の限度で不真正連帯責任を負担します。このうち、Bの負担部分は5分の4にあたる387万円、Cの負担部分は5分の1にあたる96万円となります。平成15年の最高裁判決は、複数の加害者の過失と被害者の過失が競合した1つの事故において、加害者間に共同不法行為が認められ、加害者・被害者それぞれの絶対的過失割合が認定可能な場合における過失相殺の方法(絶対的過失相殺)と、加害者らが連帯して賠償責任を負うことについて、初めて最高裁が判断を示した判決で、大きな意義があります。絶対的過失割合を認定できるときは絶対的過失相殺共同不法行為における過失相殺については、平成13年に最高裁が、医療過誤との共同不法行為について相対的過失相殺の方法を採用する判決を出して以降、共同不法行為では、相対的過失相殺が原則と理解されたこともありました。しかし、平成15年の最高裁判決は、絶対的過失割合を認定することができるときは、絶対的過失相殺の方法を採用すべきとし、相対的過失相殺の方法を退けました。最高裁が判例を変更したわけではありません。ポイントは「絶対的過失割合を認定することができるときには、絶対的過失相殺の方法により過失相殺する」ということです。「絶対的過失割合を認定することができるとき」とは、どんな場合か。これについては、最高裁は具体的な判断基準を示していません。しかし、相対的過失相殺を採用した平成13年の最高裁判例と対比すれば、ある程度の方向性は見えます。すなわち、この事案のように、同時に同一場所で起きた「同時事故」は、1つの交通事故として捉えることができるので、絶対的過失相殺を認定することができます。それに対して「異時事故」は、第1事故・第2事故で、それぞれ加害者との関係において被害者の過失を対比することになります。交通事故と医療過誤の競合を考えれば明らかでしょう。共同不法行為といっても内容や性質の異なる過失が競合する場合は、絶対的過失割合を認定することは困難です。ただし、「異時事故」でも、玉突き事故や二重轢過事故など時間的場所的に近接した「同時類似事故」の場合は、絶対的過失相殺を認定できる場合があります。まとめ複数の自動車・バイクが関与した共同不法行為の場合、絶対的過失割合を認定することができるときは、絶対的過失相殺の方法により過失相殺できます。絶対的過失相殺は、各加害者が全損害に連帯して賠償責任を負い、賠償請求する際も、いずれかの加害者1人に行えばよいので、被害者に有利です。複数の車両が関与した「衝突事故」や「玉突き事故」などの過失割合・過失相殺でお困りのときは、交通事故の損害賠償問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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