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    交通事故で賠償請求できる損害は積極損害・消極損害・慰謝料
    交通事故による被害で賠償請求できる損害には、大きく「財産的損害」と「精神的損害」があります。財産的損害には「積極損害」と「消極損害」があり、精神的損害は「慰謝料」です。賠償請求する損害額は、これらをすべて積算した額です。詳しく見ていきましょう。交通事故による被害で、賠償請求できる損害とは?交通事故で賠償請求できる損害は、大きく「積極損害」「消極損害」「慰謝料」の3種類に分類されます。財産的損害積極損害事故に遭ったことで余儀なくされた支出(財産がマイナスになった損害)積極損害事故に遭ったことで得られなくなった収入(財産がプラスにならなかった損害)精神的損害慰謝料事故に遭ったことで受けた精神的な苦痛積極損害、消極損害、慰謝料について、それぞれ詳しく見ていきましょう。積極損害とは?積極損害は、交通事故の被害に遭ったことにより支払いを余儀なくされた費用です。事故に遭わなければ支払う必要のなかった費用であり、事故と相当因果関係のある損害ですから、加害者には賠償する責任が生じます。人身事故の積極損害人身事故の積極損害の費目には、治療費、付添看護費、入院雑費、通院交通費、義肢等の装具費用、後遺障害が残った場合の家屋や自動車の改造費、死亡した場合の葬儀費用などがあります。これらは、あらかじめ一定の基準が設けられています。主な積極損害について簡単に説明しておきます。損害内容治療費その事故による傷害の治療に必要かつ相当な範囲で実費全額が損害として認められます。付添看護費原則として医師の指示がある場合、または受傷の程度、被害者の年齢等により必要性がある場合に認められます。職業付添人は実費全額、近親者付添人は入院付添1日につき5,500円から7,000円程度です。入院雑費入院にともなう日用雑貨費(寝具・衣類・洗面具等の購入費)、電話代、新聞・雑誌代、テレビ・ラジオ賃借料などの費用は、多品目にわたるため定額化しています(入院日額1,500円程度)。通院交通費原則として、バス・電車等公共交通機関の利用料金が基準となります。自家用車による通院は、ガソリン代等の実費相当額です。葬儀関係費定額化が図られ、原則として150万円。これを下回る場合は、実際に支出した額が認められます。さらに詳しくは、次の記事をご覧ください。傷害事故の積極損害(治療費など)の計算方法死亡事故の積極損害(葬儀費用など)の計算方法物損事故の積極損害物損事故の積極損害は、車両の損害と車両以外の損害があります。損害内容車両損害車両の積極損害の主な費目には、修理費用、評価損(格落ち損)、代車使用料などがあります。車両に損害を受けた場合は、買換えでなく、修理費用の賠償が原則です。車両以外の物損車両以外の積極損害の費目には、建物の修理費、物品の修理・交換、後片付け費用などがあり、そのほか積荷や農作物などの損害賠償も認められます。車両損害について詳しくはこちら車両以外の物損について詳しくはこちら消極損害とは?消極損害は、事故に遭わなければ得られたであろう経済的利益を、事故によって得られなくなったことによる損害です。「得べかりし利益」とも呼ばれます。財産的損害には、積極損害と消極損害があります。積極損害との関係で消極損害を規定すれば、積極損害が、相手の不法行為により「財産がマイナスになった損害」をいうのに対し、消極損害は、相手の不法行為により「財産がプラスにならなかった損害」といえます。人身事故の消極損害人身事故の消極損害には、休業損害と逸失利益があります。逸失利益とは、加害行為がなければ、被害者が将来得られるであろう経済的利益を逸失したことによる損害です。休業損害も広い意味では逸失利益に含まれますが、通常、休業損害と逸失利益は分けて考えます。事故発生から症状固定まで(あるいは死亡まで)が休業損害、症状固定(あるいは死亡)以降が逸失利益です。治療により怪我が治癒した場合は、休業損害のみで、逸失利益は請求できません。休業損害休業損害は、治療・療養のために、休業または不十分な就業を余儀なくされたことにより生じた収入減(経済的利益の喪失)のことです。休業のほか労働能力の低下による減収も、休業損害として認められます。事故前の収入を基礎とする現実の収入減を補償するものです。給与所得者や個人事業主の収入減のほか、主婦・主夫が家事労働に従事できなかった場合や、学生のアルバイト収入減も休業損害として認められます。休業損害の計算方法逸失利益逸失利益には、後遺症(後遺障害)による逸失利益と、死亡による逸失利益があります。後遺障害逸失利益は、後遺障害が残り労働能力が喪失・低下することにより逸失する経済的利益のことです。事故前と同じように働けなくなることによる収入減のことです。死亡逸失利益は、被害者が死亡したことにより逸失する経済的利益のことです。死亡した被害者が、生きていたら働いて得られたであろう収入のことです。後遺障害が残った場合は、症状固定日までが休業損害、その後は逸失利益として計算します。被害者が治療の甲斐なく死亡した場合は、死亡するまでが休業損害、死亡後は逸失利益として計算します。後遺障害逸失利益の計算方法死亡逸失利益の計算方法物損事故の消極損害物損事故の消極損害として認められるのは、休業損害です。休車損害と営業損害があります。損害内容休車損害タクシーや運送会社のトラックのような営業車両が事故で破損し、修理や買換え期間中に見込まれる収入の損失です。営業損害店舗などに車が突っ込んで破損し、営業できなかった期間中の損害です。休車損害について詳しくはこちら営業損害について詳しくはこちら慰謝料とは?慰謝料は、交通事故による精神的損害(精神的な苦痛)に対する賠償です。精神的苦痛には個人差があり、被害者の心理的状態を第三者が客観的に判断することは難しいため、慰謝料は一定の基準を設け、定額化されています。入院・通院したことに対する傷害慰謝料(入通院慰謝料)、後遺障害が生じたことに対する後遺傷害慰謝料、被害者が死亡したことに対する死亡慰謝料があります。慰謝料を請求できるのは、原則的に人身損害が発生した場合のみです。物損については、「財産上の損害は、その損害が賠償されることによって精神的な苦痛も回復される」とみなされ、慰謝料は原則認められません。ただし、特別の事情がある場合は、物損でも慰謝料が認められることがあります。加害者に故意もしくは重過失(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、信号無視の繰り返し、薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転した場合など)または著しく不誠実な態度がある場合には、慰謝料の増額事由となります。傷害慰謝料(入通院慰謝料)傷害慰謝料は、入院・通院の期間や怪我の状態により、一定の基準が決まっています。傷害慰謝料(入通院慰謝料)の計算方法後遺障害慰謝料後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて、ある程度定額化されています。後遺障害慰謝料の計算方法重度の後遺障害の場合は家族にも慰謝料が認められる死亡慰謝料死亡慰謝料は、死亡した本人と遺族に対して支払われます。請求権があるのは、父母・配偶者・子です。死亡した本人の年齢や家庭内の地位(一家の支柱・支柱に準じる)などにより、定額化されています。死亡慰謝料の計算方法事故の種類別に賠償請求できる損害費目を分類交通事故の損害賠償は、どんな事故かによって、すなわち、人身事故か物損事故か、人身事故の中でも傷害事故・後遺障害事故・死亡事故によって、賠償請求できる損害の項目・費目が異なります。事故の種類ごとに、賠償請求できる積極損害・消極損害・慰謝料の費目をまとめておきます。傷害事故積極損害治療費、付添看護費、通院交通費、入院雑費、義肢等の装具費用、診断書の発行費用など消極損害休業損害慰謝料入通院慰謝料傷害事故の損害賠償額の算定方法後遺傷害事故積極損害将来の治療費、付添看護費、介護費、家屋等改造費、義肢等の装具費用消極損害後遺障害による逸失利益慰謝料後遺障害慰謝料※後遺障害認定までの治療期間中の損害については、傷害事故の場合の各損害費目を賠償請求できます。後遺障害事故の損害賠償額の算定方法死亡事故積極損害葬儀費消極損害死亡による逸失利益慰謝料死亡慰謝料※死亡に至るまでの治療期間中の損害については、傷害事故の場合の各損害費目を賠償請求できます。死亡事故の損害賠償額の算定方法物損事故積極損害修理費、評価損、代車使用料、買換え諸経費、建物の修理費など消極損害休業損害(休車損害・営業損害)車両損害の賠償額の算定方法まとめ交通事故の被害者が賠償請求できる損害項目には、積極損害、消極損害、慰謝料があります。治療費や慰謝料は、ほぼ定型化・定額化されていますが、休業損害や逸失利益は、被害者の収入に応じて決まります。被害者の収入の証明は、被害者側でしなければなりません。特に逸失利益は将来の収入に対する賠償なので、被害者が若年者の場合ほど高額になります。被害者の職種別・年齢別の収入額の計算と証明の方法について詳しくはこちらで紹介しています。また、東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の民事交通部が、交通事故による逸失利益の算定方式について「共同提言」を発表しています。参考にしてみてください。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。こちらも読まれています「示談後に失敗を後悔する人」と「満足できる損害賠償額を得る人」の違いとは?交渉力だけではない! 弁護士の介入で賠償額が増える本当の理由とは?交通事故の被害者が本来取得できる適正な損害賠償金額の調べ方弁護士に相談するタイミングはいつ?【参考文献】・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 169~175ページ・『補訂版 交通事故事件処理マニュアル』新日本法規 96~105ページ
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  • 休業損害
    傷害事故の消極損害(休業損害)の裁判所基準での計算方法
    休業損害とは、交通事故により受けた怪我が治癒または症状が固定するまでの間に、休業や不十分な就業を余儀なくされたことから生じる収入の喪失のことです。症状固定以降は、後遺障害逸失利益となります。休業損害は、事故当時の収入と休業日数から計算しますが、給与所得者、事業所得者、主婦・家事従事者など、職業により計算方法が異なります。休業損害の具体的な計算方法基礎収入は、給与所得者、事業所得者、家事従事者など、職業により計算方法が異なります。収入の証明は、被害者自身がしなければなりません。給与所得者給与所得者の休業損害は、次のように計算します。[基礎日額]×[休業日数]基礎日額は、事故前3ヵ月の支給金額を平均して、1日あたりの平均賃金を出します。支給金額は、手取り額でなく額面給与です。[基礎日額]=[事故前3ヵ月の収入]÷ 90日事故前3ヵ月の支給金額には、本給だけでなく付加給も含みます。収入は、休業損害証明書と源泉徴収票により証明します。休業損害証明書とは、被害者の勤務先が、被害者の事故直近の給与額、事故後の被害者の休業日等を記載する書類です。休業損害証明書のほかに、なぜ源泉徴収票が必要なのかというと、自賠責の実務において、被害者が本当に就労しているかの確認のために使うからです。休業損害証明書だけでは、信用できないということですね。有給休暇を利用した場合も休業損害を請求できる有給休暇を使った場合も、その期間を休業期間とできます。有給休暇を使うと収入の減少はありませんが、裁判例では休業損害を認めています。保険会社も同様の扱いをしています。有給休暇は労働者の権利として財産的価値を有するので、他人の不法行為の結果、有給休暇を使わざるを得なくなった場合は、それを財産的損害として賠償請求できるという考え方です。有給休暇を使用した場合の休業損害について詳しくはこちら休業による降格や休業期間中に昇給昇格があった場合事故による欠勤がなければ昇給するはずだった場合や、事故による欠勤のため降格・配置転換になった場合は、本来得られるはずだった賃金と実際の支給額との差額が、休業損害として認められます。日雇労働者や非常雇用日給者の休業損害日雇労働者や非常雇用日給者の場合、収入や雇用期間が一定しないため、原則として、事故前3ヵ月間の収入総額を90日で除して収入日額を算出し、事故時の契約期間、季節的要因を考慮して算定します。会社役員の休業損害会社役員の報酬については、労務対価部分のみが休業損害として認められ、利益配当部分は認められません。入院・通院しても収入減がなければ請求できない治療のために入院・通院しても、実際に収入の減少がなかった場合は、休業損害を請求できません。仮に、会社員が入院や通院で会社を休んでも、その間の給料が全額支給されていれば、休業損害は請求できません。会社から給料の支給がなくても、労災から給料の6割の給付を受けていれば、差額の4割分を休業損害として請求することになります。事業所得者被害者が、個人事業主、自営業者(商業・工業・農業・サービス業等)、自由業者(弁護士・司法書士・税理士・開業医・著述家・プロスポーツ選手等)など、事業所得者の場合です。休業損害の算定方法は2つあります。①事故前後の所得の比較により休業損害を算出する方法、②事故前の所得をもとに休業損害を算出する方法、です。事故前後の所得の比較により休業損害を算出する方法事故前年の所得と事故当年の所得との差額を直接把握し、それを休業損害ととらえる方法です。単純な方法ですが、休業期間と確定申告の対象期間がずれたり、減少額と事故との因果関係が不明確など、いろいろ難点があります。事故前の所得をもとに休業損害を算出する方法収入の減少額を直接把握するのでなく、事故前年の収入を基礎として、間接的に収入の減少額を把握する方法です。[前年度の実収入÷365日]× 休業日数前年度の実収入は、(事故前年の所得金額+固定経費)× 寄与率休業日数は、入通院実日数や入通院期間の日数とすることが多いようです。休業期間中の固定経費(従業員の給与、家賃、利子、減価償却費など)も休業損害として認められます。寄与率は、事故前後の営業状況、事業者本人の職務内容、業種、家族の関与の程度などにより判断されます。事業者が怪我により就労できなくなった場合に、事業を休止せざるを得ないような零細事業であれば、事業者本人の寄与率は100%に近くなります。業績に相当な変動がある場合は、事故前数年分(3年分)の実績を平均して計算することもできます。確定申告していなかった場合でも、賃金センサスの平均賃金を基準に休業損害を算定することもできます。確定申告は、書面で申告する方法と、インターネットで申請する方法(電子申告)の2通りの方法があります。書面申告の場合は、税務署の収受印が押された確定申告書等控えを証拠として使用し、電子申告の場合は、税務署の受付日時、受付番号が印字された確定申告書等のデータをプリントアウトしたものを証拠として使用します。確定申告額を上回る収入があるときの休業損害の算定方法家事従事者主婦などの家事従事者には収入はありませんが、家事労働も財産的評価が可能なので、家事に従事することができなかった期間について、休業損害を請求できます。専業主婦の場合の基礎収入は、賃金センサスの女性労働者の平均賃金(全年齢平均賃金)により計算します。パートなどに出ている兼業主婦の場合は、「実際の収入額」と「賃金センサスの女性労働者平均賃金」のいずれか高い方を基礎収入として計算します。男性が専業主夫として家事に従事している場合も、賃金センサスの女性労働者全年齢平均賃金を基礎収入として算定します。家事従事者の休業損害の計算例はこちら無職者事故に遭った時点で仕事をしていない失業者や学生でも、休業損害が認められることがあります。失業者が休業損害を認められる場合失業者は、原則、休業損害は認められませんが、就職が内定している場合や治療期間中に就職の可能性があれば、休業損害が認められます。この場合の基礎収入は、就職が内定している場合は、就職したときに得られる見込みであった給与額を使用します。それ以外の場合は、失業前の収入や賃金センサスにより算出します。学生が休業損害を認められる場合学生は、アルバイトをしていた場合は、失った収入が休業損害となります。治療が長期に及び、卒業後就職が内定していたにもかかわらず、卒業や就職が遅れた場合は、就職すれば得られたはずの給与額と賃金センサスの高い方を基礎収入として計算します。労務の対価としての収入を得ていない無職者は休業損害を認められない労働の対価としての収入を得ていない無職者(地主・家主、年金生活者、生活保護受給者など)は、休業損害を請求できません。アパート経営(アパート賃貸)が本業で、休んでも収入に影響しない場合などは、休業による損害を受けないので、休業損害は認められません。休業期間の決め方休業期間は、医師の診断書により決められます。入院期間中は全体が休業期間となりますが、通院期間中は全体が認められる場合と一部しか認められない場合があります。具体的な症状により判断することになります。通院期間中であっても、医師の診断書により「休業を要する」という場合は、通院期間中の全体が休業期間とされます。後遺症が残るような場合は、後遺障害等級が認定されるまでは、休業期間とできます。むち打ち症の休業期間の決め方よく問題になるのが、むち打ち症(頸椎捻挫)で長期間にわたって治療を続けなければならない場合です。この場合、例えば、最初の4ヵ月は全休、あとの4ヵ月は半休にするとか、最初の4ヵ月は全休、次の4ヵ月は7割休、あとの4ヵ月は3割休といったように、段階を付ける方法があります。自賠責保険の休業損害自賠責保険基準では、原則1日6,100円です。ただし、立証資料などにより損害額が6,100円を超えることが明らかな場合は、19,000円を上限に実費が支払われます。また、休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、傷害の態様、被害者の職種などを勘案して治療期間の範囲内とされます。例えば、全治2週間の診断でも、この間に5日しか通院していなかった場合には、5日分の休業損害しか認められません。通院した5日以外の日でも、医師の勧めにより自宅で静養していたことが明らかな場合は、自宅静養のため休業した分は認められます。被害者自身の判断で休んだ場合は認められません。自賠責保険の支払基準・支払限度額についてはこちらまとめ休業損害の計算で大事なのは、収入の証明です。これは、被害者自身が証明できる書類を用意しなければいけません。保険会社が提示する休業損害の額に納得できないときは、弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 有給休暇と休業損害
    交通事故で年次有給休暇を使っても休業損害を請求できる?
    交通事故で怪我をして仕事を休むとき、給与所得者の方は、年次有給休暇(年休)を使用する場合があるでしょう。有給休暇を使用した日については、給与が支給されて減収がないため、休業損害は請求できないように思えます。理論的根拠には諸説あるものの、最近の裁判例では、有給休暇を使用した分も休業損害として認められることは定着した考え方になっています。有給休暇を使用した場合の休業損害年次有給休暇を使用した場合の休業損害の取扱いについて、裁判基準(「赤い本」「青本」の基準)では次のようになっています。赤い本現実の収入減がなくても、有給休暇を使用した場合は、休業損害として認められる。青本表面上は減収がないようにも見えるが、これは被害者の有給休暇請求権の不本意な行使という犠牲によるものであるから、損害算定される扱いである。有給休暇を使った場合の休業損害の考え方交通事故で有給休暇(年休)を取得した場合の休業損害の算定方法としては、おもに次の3つの考え方があります。年休手当の支給を無視して、休業により通常の賃金が得られなかったとみて休業損害を算定する。年休の請求権を不本意にも行使せざるを得なかったとして、年休請求権の喪失を損害とみて算定する。財産的な減少がないので、財産的損害の発生を否定して、慰謝料で斟酌する。かつては、財産的損害を否定して、慰謝料で斟酌(慰謝料を増額)する裁判例も少なくありませんでした。しかし、現在では、事故に遭ったことで、使用する予定のなかった有給休暇を使用することになったのであり、有給使用権は、その内容・性質に照らすと財産的価値を認めることができるので、有給休暇を治療等に使用した分について、休業による財産的損害の発生を認め、実際に欠勤した場合と同様の金額算定を行う例が多数となっています。(参考:『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい141~142ページ )休業損害を認めた裁判例有給休暇の使用を財産的損害として休業損害を認めた裁判例を紹介します。東京地裁判決(平成6年10月7日)です。事案A(男性・会社員)は、事故により8日間勤務先を欠勤し、そのうち6日について、年次有給休暇を取得した場合の休業損害の算定についてです。東京地裁判決(平成6年10月7日)Aは、714万3,582円の収入を得ていた。事故により8日間勤務先を欠勤し、6日間を有給休暇を振り当てたため、給与は全額支給されて計算上の休業損害は生じていない。有給休暇はその日の労働なくして給与を受けるもので労働者の持つ権利として財産的価値を有するものというべく、他人による不法行為の結果有給休暇を費消せざるを得なかった者は、それを財産的損害として賠償請求し得ると解するのが相当である。Aは、有給休暇すべてを本件事故による受傷の治療のための通院、事情聴取のための警察署への出頭などに当てていることが認められるから、不法行為の結果有給休暇を費消せざるを得なかったというべく、1日の有給休暇の持つ財産的価値は、原告Aの年収を1年間の日数で除した額によって算出するのが相当である。(計算式)7,143,583÷365×6=117,428有給休暇を使用した場合の休業損害の計算方法有給休暇を使用した場合の休業損害も、通常の給与所得者の休業損害を計算するときと同様に計算します。有給を使用した場合の休業損害の計算式[事故前直近3ヵ月の総支給額]÷[事故前直近3ヵ月の稼働日数]×[有給使用日数]基礎日額(1日の収入単価)は、収入を「歴日」で割るか「労働日」で割るかによって異なります。年収を365日で割って基礎日額を算出するときには、休日も含めて休業期間全体に基礎日額を掛けますが、有給使用日数を掛けるのであれば、基礎日額は収入を労働日で割ったものを用います。上記の東京地裁判決(平成6年10月7日)は、1日の有給休暇の持つ財産的価値(すなわち基礎日額)を「年収を1年間の日数で除した額」によって算出し、有給消化日数を乗じていますが、有給消化日数を乗じるのであれば、基礎日額は「年収を労働日で除したもの」を用いるべきでしょうし、基礎日額として「年収を暦日で除したもの」を用いるのであれば、休業期間全体を乗じるべきでしょう。将来の有給休暇請求権の喪失による損害有給休暇が付与される要件の1つとして、「全労働日の8割以上出勤した者」というものがあります(労基法39条1項)。事故で欠勤したことによって、有給休暇取得の要件である全労働日の8割以上の出勤という要件を満たさなくなり、将来(事故のあった年の次年度以降)の有給休暇請求権を喪失した場合、付与されるはずであった将来の有給休暇分も損害として請求できるとすることが裁判例で認められています。なお、実際に有給休暇を全部使用するとは限らないのに、有給休暇請求権を喪失したこと自体で損害が発生したと評価できるのかの問題がありますが、裁判例では、欠勤のために取得できなかった日数分全部を損害算定の対象としているようです(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい143ページ)。将来の有給休暇請求権の喪失を損害と認めた裁判例将来の有給休暇請求権の喪失を損害と認めた例として、東京地裁判決(平成16年8月25日)を挙げておきます。事案A(男性・44歳)は会社員で、事故により欠勤し、出勤日数が翌年度の年次有給休暇請求権が認められる程度にまで達しなかったため、有給休暇20日分の権利が取得できなくなり、Aは損害として、月給額の年額を、年間勤務日数で除した日額の20日分として27万7.672円を主張しました。東京地裁判決(平成16年8月25日)「原告は、取得した有給休暇を必ずしも全部費消してはいなかったようであるが、有給休暇はそれ自体財産的価値を有するものと解するのが相当である」として、請求どおり、27万7,672円の損害を認めました。被告側が、「原告は本件事故前有給休暇の全日数を使用してはいなかったはずであり、実際に使用する蓋然性はなく、取得し得なかった有給休暇全日について損害算定すべきではない」と主張しましたが、権利喪失した全日数分につき損害算定しています(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい143ページ(注28))。すなわち、本判決は、有給休暇請求権という債権自体が価値を持つ資産で、それを毀滅されたという考え方です(『要約 交通事故判例140』学陽書房131ページ)。病気休暇など法定外の有給休暇を使用した場合勤務先に病気休暇の制度があり、その制度を利用した場合については、休業損害を認めることはできないとする考え方が優勢です。病気休暇は負傷または病気のため療養する必要がある場合に限って取得できるものであり、年次有給休暇のように自由に使用できるものではなく、年次有給休暇と同様の財産的損害があったと見ることは困難だからです。(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい143~144ページ)まとめ有給休暇は労働者の持つ権利として財産的価値を有するものであり、他人による不法行為の結果、有給休暇を費消せざるを得なくなった者は、それを財産的損害として賠償を請求できます。被害者が有給休暇を使ったことで、加害者が被害者への賠償を免れたり、単に休業した場合より休業損害額が減少してしまうとすれば、加害者が利得することにもなり不合理です。有給休暇を使用した場合の休業損害も、通常の給与所得者の休業損害を計算するときと同様に計算します。休業損害に関して疑問のある方は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『要約 交通事故判例140』学陽書房129~131ページ・『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい141~144ページ・『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい103ページ・『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社345ページ・『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社45~46ページ
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  • 減収なしの休業損害
    交通事故で休業したが収入減少していない場合の休業損害
    休業損害は、現実に収入が減少していなければ、原則として認められません。減収がなくても休業損害を認めた裁判例はありますが、裁判所は「減収がない場合には、休業損害を認めることには否定的な傾向が強い」ようです。どんなときに休業損害が認められるのか?休業損害とは、消極損害の一種で、怪我が治癒ないし症状固定となるまでの間に、休業したことにより生じた収入の減少をいいます。欠勤だけでなく、通院のために遅刻・早退したとか、労働能力が低下したなど、通常の就労ができなかったことによる収入減も、休業損害に含まれます。現実に収入減少が生じていることが必要休業損害は、事故による受傷や治療のために休業したことにより得ることができなかった収入という損害の性質上、原則的には、減収がなければ休業損害は発生しないことになります。つまり、休業損害が認められるには、「休業が必要であった」ことに加え、原則として「現実に休業によって収入が減少している」ことが必要です。休業したが収入減少がない場合では、休業したけれども、収入は事故前と事故後で変わらないという場合、休業損害は認められないのか?これについては、裁判所は「減収がない場合には、休業損害を認めることには否定的な傾向が強い」とされています(東京弁護士会法友全期会交通事故実務研究会編集『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい105ページ)。「特段の事情」により収入減少が生じていない場合被害者本人の特別の努力により収入が減少していないなど「特段の事情」がある場合、逸失利益については財産上の損害を認める考え方を取り得るのですが、休業損害に「特段の事情」の考え方を適用する例は多くありません。逸失利益は、就労終期までの話であり、被害者の努力で減収が生じていないとしても、その状態が長期間継続するとは合理的に考えられません。将来的に逸失利益が顕在化することは、十分予想できます。これに対して休業損害は、治癒(症状固定)までの話であり、比較的短期間の「過去の出来事に対する回顧的な判断」となるため、「将来的な減収を窺わせる事情を考慮することは困難」です(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい144ページ)。そのため、怪我による不自由や苦痛に耐えながら就業したとしても、それは「慰謝料の中で考慮されている」として、休業損害は否定されることが多いのです(『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社48ページ)。減収がない場合の後遺障害逸失利益についてはこちらをご覧ください。減収がなくても休業損害を認めた裁判例休業による減収がなくても、休業損害を認めた裁判例について、給与所得者の場合と事業所得者の場合に分けて紹介します。休業所得者の場合の裁判例はごく少数ですが、事業所得者の場合の裁判例はいくつかあります。給与所得者の休業損害を認めた裁判例給与所得者の場合、減収がなくても休業損害を認めた裁判例は、ほとんどありません。本人や同僚の特段の努力によって減収を回避した(大阪地裁判決・平成25年12月3日)有給休暇を利用して定期的に仕事を休んだり、頻繁に通院して電気療法等の治療を受けながら、痛みを我慢しつつ業務に従事していた(福岡地裁判決・令和2年3月17日)このような特段の事情がある場合には、一定割合の休業損害を認める余地があるとして、どちらも2~3割分などの割合的認定をしています。(『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社48ページ)なお、年休を使った場合は、収入の減少は生じませんが、休業損害が認められます。年次有給休暇を使ったときの休業損害について詳しくはこちらをご覧ください。事業所得者の休業損害を認めた裁判例事業所得者の場合は、事業経営による収益の性質上、次のような特段の事情がある場合には、例外的に、減収がなくても事業所得者の休業損害を認めた裁判例があります。好景気による増収の結果、事故による減収がないように見えてしまっている(横浜地裁判決・令和元年6月27日)事故前に行った事業の収益が事故後に現実化して減収が顕在化していない(岡山地裁判決・平成12年3月9日、東京地裁判決・平成18年10月30日)親族などの手助けにより収入が維持されている(大阪地裁判決・平成9年3月25日、大阪地裁判決・平成12年3月7日、名古屋地裁判決・平成26年12月8日)(裁判例は、『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい113ページ参照)ただし、被害者の従前の事業への寄与の程度や減収が生じていない理由について、具体的に主張・立証する必要となります。例えば、名古屋地裁平成26年12月8日判決は、事故後の身体の状況、金銭管理ができていないこと等から、従前同様に事業を経営しているとは考え難く、事故後の所得は、実質的に本人に代わって事業を維持している親族の収入であるとして、事故による減収を認めました(『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社353ページ(注179))。まとめ現実に収入減がなければ、休業損害は原則として認められません。減収がなくても休業損害を認めた裁判例はありますが、大勢ではありません。被害者本人の努力等により減収を回避しているのに休業損害が認められない場合は、減収がなくても休業損害を認めた裁判例を活用して保険会社と交渉してもよいのですが、休業損害として請求するよりも、慰謝料の増額を請求することを検討することも大切です。休業損害で疑問のある方は、交通事故に詳しい弁護士に相談してみることをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい144ページ、209~211ページ・『民事交通事故訴訟の実務Ⅱ』ぎょうせい245ページ・『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい105ページ・『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社47~50ページ
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  • 減収なしの逸失利益
    後遺障害等級が認められても収入減少がない場合の逸失利益
    事故により後遺症が残り、後遺障害等級が認められても、事故後に収入減少がない場合、保険会社は後遺障害逸失利益を否定する傾向があります。これに対し裁判所は、減収がない場合に逸失利益を否定する裁判例もありますが、逸失利益を認める裁判例の方が多数です。減収がなくても、後遺障害が残り、将来収入面で不利益になる可能性が高い場合は、逸失利益が認められます。後遺障害等級が認定されても減収がない場合の逸失利益の算定方法、保険会社に逸失利益を請求するときの主張・立証のポイントについて、解説します。「減収がない場合の逸失利益」を裁判基準ではどう考えるか?まず、「減収がない場合の逸失利益」を裁判基準ではどう考えるか、についてです(赤い本・青本の基準は、『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい 207~208ページを参照しています。)。後遺障害逸失利益は、事故による後遺症(後遺障害)によって労働能力が低下し、将来の収入が喪失・減少することを損害(消極損害)と捉え、補償しようというものですから、そもそも収入の減少がなければ、逸失利益は発生しないことになります。保険会社は、減収がない場合、たいてい逸失利益を否定しますが、裁判基準では、減収の有無は、逸失利益の算定における考慮要素の1つであって絶対的なものではありません。後遺障害が残存したことにより、将来、収入面で不利益になる蓋然性が高い場合は、たとえ現時点で収入減少がなくても、逸失利益が認められる可能性があります。「赤い本」基準赤い本では、「逸失利益の算定は、労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行う」との基準を打ち出し、収入の変化(すなわち減収の有無)は、考慮要素の1つであり、絶対的に重視すべきものではないことを示しています。これは、「後遺障害等級や喪失率、減収の有無といった数値化された目安や事故前後の単純な比較に飛びつくことなどによって、事故後に被害者に生じた具体的な不利益を十分考慮することなく、基準を機械的に当てはめて逸失利益を算定することへの警鐘ともいうべきもの」とされています(『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい 208ページ)。「青本」基準青本も同様に、労働能力喪失率認定に当たり考慮すべき諸要素の1つとして「減収の有無・程度」を掲げる形を採っています。また、「事故後の比較的短期間における減収の不発性のみを捉えて逸失利益の不発性を推定するという考え方は明らかに不適切なものであり、事故後の短期間の目に見える減収の不発性の事実を損害算定に直結させるべきではない」としています(『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい112ページ)。東京地裁交通部における実務東京地裁民事第27部(東京地裁交通部)における実務については、次のように説明されています。いわゆる差額説の立場を前提とすれば、逸失利益が認められるためには、後遺障害が生じる前の収入よりも後遺障害が生じた後の収入が減少したことが必要となり、被害者に後遺障害が残存していても実際に減収が生じていない場合には、逸失利益が認められないことになろう。しかし、後遺障害の程度から見て、通常であれば、収入への影響が予想され、減収が生じていないのは被害者本人の努力による結果であるとみられるようなときには、後遺障害による損害がある程度認められる余地はあろう。このようなときには、被害者の源泉徴収票あるいは確定申告書控え等被害者の所得の変動に関する証拠を参考に、職業、年齢、後遺障害の内容等を考慮し、後遺障害による損害を具体的に算定している。(東京地裁民事第27部における民事交通訴訟の実務について『別冊判例タイムズ38』15ページ)「減収がない場合の逸失利益」についての最高裁判例「減収がない場合にも後遺障害逸失利益を認めるか?」についての最高裁判例は、次の2つがあります。裁判要旨をご紹介します。最高裁第二小法廷判決(昭和42年11月10日)交通事故により左太腿複雑骨折の傷害をうけ、労働能力が減少しても、被害者が、その後従来どおり会社に勤務して作業に従事し、労働能力の減少によって格別の収入減を生じていないときは、被害者は、労働能力減少による損害賠償を請求することができない。最高裁第三小法廷判決(昭和56年12月22日)交通事故による後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合においても、後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないときは、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められない。(最高裁判所Webサイトより)どちらも、減収がないときは逸失利益を否定するものですが、昭和56年判決は、減収がなくても「特段の事情」があるときは逸失利益が認められる余地がある旨を判示しています。昭和56年最高裁判例とは?昭和56年判決について、詳しく見ていきましょう。事案通産省工業技術院繊維高分子材料研究所に技官として勤務していた被害者が、14級の腰部挫傷後遺症による局部の神経症状の後遺障害を負い、事故前のかなり力を要するプラスチック成型加工業務から、後遺症のため座ったままできる測定解析業務に従事するようになったものの、給与面において格別不利益な扱いは受けていない。この事案につき、最高裁はかりに交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても、その後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。とし、続けて被上告人は、研究所に勤務する技官であり、その後遺症は身体障害等級14級程度のものであって右下肢に局部神経症状を伴うものの、機能障害・運動障害はなく、事故後においても給与面で格別不利益な取扱も受けていないというのであるから、現状において財産上特段の不利益を蒙っているものとは認め難いというべきであり、それにもかかわらずなお後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには、たとえば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であっても、本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである。と判示しています。つまり、後遺症の程度が比較的軽微であって、被害者の職業の性質からみて現在または将来における収入の減少もない場合には、原則的には後遺症による逸失利益は認められないが、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情があれば、例外的に、減収が生じていない場合でも逸失利益が認められる余地があるということです。では、「後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情」、すなわち、減収がない場合でも逸失利益の発生が認められる「特段の事情」とは何か?減収がなくても逸失利益が認められる「特段の事情」とは?「特段の事情」については、上記の判決文において例示しています。本人が労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしており、この本人の努力がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合このような「特段の事情」がある場合には、後遺障害による収入の減少が生じていなくても、逸失利益を認める余地があるとされています。最近の裁判例減収がない場合の後遺障害逸失利益について、最近の裁判例とその特徴についてご紹介します。現在は、昭和56年最高裁判決が想定する原則・例外の関係は逆転しているともいわれ、減収がなくても、後遺障害により労働能力の喪失がある場合、逸失利益を認める裁判例の方が多数です。ただし、労働能力喪失率については、労働能力喪失率表と同等あるいは低い喪失率を認定しています。被害者に減収がなく逸失利益を否定した裁判例は少数で、12級ないし14級の神経症状が残存したという比較的軽微な後遺障害の事案です。他方、減収がないことを考慮して労働能力喪失率表より低い喪失率を認定した裁判例は相当数みられ、労働能力喪失率表と同等の喪失率を認定した裁判例とほぼ同数とされています(『交通関係訴訟の実務』商事法務183~184ページ)。最近の裁判例減収がない場合でも後遺障害逸失利益を認めた最近の裁判例をご紹介します。大阪地裁判決(令和3年1月29日)12級難聴、14級ふらつき、併合12級を残す30歳の国家公務員(裁判所書記官)の女性直ちには減収が生じることはないとしても、現に裁判所書記官としての業務に支障が生じていることが認められ、昇任昇給等の人事評価上不利益を被ることがあり得ること、その不利益が現実化していない部分があるとすれば、作業効率が下がった中での本人の努力によるものというべきであることが認められるとして、事故前年の収入を基礎に、加齢による聴力低下を考慮し、労働能力喪失期間を30年間、労働能力喪失率を10%として、後遺症逸失利益を認めました。労働能力喪失率表における12級の喪失率は14%です。名古屋地裁判決(令和3年4月7日)12級足指用廃等併合12級を残す33歳の会社員の女性減収が生じていないのは、本人の努力等が寄与しているとし、配置転換の可能性は否定できず、その際事務職以外への転換が難しく、今後の昇給や昇格に不利益が生じる可能性が否定できないとして、67歳まで10%の労働能力喪失を認めました。東京地裁判決(令和3年4月7日)12級手関節機能障害を残す45歳の会社員の男性事故後増収しているが労働への現実的影響が出ているとして、「12級の労働能力喪失率14%より若干減じた12%とするのが相当である」としました。京都地裁判決(令和3年11月16日)「派遣社員の場合は転職の可能性が高いことが考慮される」としました。福岡地裁判決(令和5年7月13日)12級足指用廃等併合12級を残す24歳の公務員の女性後遺障害がもたらす経済的不利益を是認するに足る特段の事情が認められるとして、67歳まで12%の労働能力喪失を認めました。仙台地裁判決(令和5年10月31日)11級脊柱変形等併合10級を残す54歳の国家公務員の男性定年までは実収入を基礎に喪失率20%、以降9年間は賃金センサス学歴計年齢別平均を基礎に喪失率27%で逸失利益を認めました。労働能力喪失率表における10級の喪失率は27%です。(裁判例は、『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社398ページ(注308)より)裁判例の特徴減収がない場合の後遺障害逸失利益については、被害者の具体的な症状や職業・収入など被害者の特性、後遺障害の類型的な特性を考慮し、判断します。被害者の特性を考慮例えば公務員の場合、民間企業の従業員と比べ、勤務先が安定しており身分保障が手厚いため、事故後も従前どおりの雇用条件が維持される蓋然性が高いという特殊性が考慮されます。こういう場合、定年までは減収がないことを考慮して、症状固定時から定年までは、認定された後遺障害等級に対応する労働能力喪失率より低い喪失率を認定しつつ、定年後(就労可能年限の67歳まで)は後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を認定する裁判例が相当数あります。定年後は、再就職により、それまで減収を免れていた「特別の事情」が消失し、労働能力喪失率表と同等の減収が生じる蓋然性が高いと考えられるからです。基礎収入についても、定年までは現実収入を認定し、定年後は賃金センサスを用いて算定する裁判例が多いようです。基礎収入を現実収入とした上で、67歳まで一律の労働能力喪失率を適用する裁判例もあります。そのほとんどが、認定された後遺障害等級に対応する労働能力喪失率より低い喪失率を認定しています。後遺症による逸失利益の算定方法はこちら後遺障害の類型的な特性を考慮例えば顔面醜状や嗅覚脱失など労働に直結しにくい類型の場合に問題となります。顔面醜状は、身体的機能を左右するものではないので、直接的には労働に影響を及ぼさず、通常は逸失利益が発生しないと考えられます。しかし、被害者の性別、年齢、職業等を考慮し、職業選択の幅が狭まるなどといった影響が生じる恐れがある場合には、具体的に顔面醜状が就労にどうマイナスに影響するかを判断し、労働能力喪失を肯定する裁判例も多くあります。嗅覚脱失は、調理師など特殊の職業を除けば、直接的に労働に影響が生じないのが通例であるから、その逸失利益が問題となる。主張・立証のポイント減収がない場合において、後遺症による逸失利益を肯定した裁判例では、個々の事案に即して、「特段の事情」の存在を認めた上で、逸失利益を肯定しています。したがって、「特段の事情」について主張・立証が重要です。具体的に業務上の支障を主張・立証「特段の事情」の主張・立証においては、注意点があります。それは、抽象的に、本人の特段の努力等により収入が維持されているとか、将来における減収の蓋然性を主張するだけでは足りない、ということです。例えば、「本人の努力」について、単に「痛みを我慢して就労している」と主張するだけでは、「慰謝料に織り込み済み」とされてしまいます。また、「本人の努力」それ自体を立証すれば足りるのではなく、本人の努力がなければ減収していたであろう事実について、具体的な立証が必要となります(昭和56年最高裁判例参照)。つまり、将来的に減収が顕在化する蓋然性の高い根拠として、後遺症により実際に日常生活や業務において支障が生じている事実や、本人の特段の努力や周囲の配慮の内容およびそれが長期間継続することが合理的に期待できないものであること等について、具体的に主張・立証する必要があるのです。裁判例において「特段の事情」として考慮され、逸失利益が認められてきた要素とは具体的にどのようなものでしょうか?「特段の事情」として考慮される要素とは?裁判例において、「特段の事情」として考慮されている要素としては、次のようなものがあります。「特段の事情」として考慮される要素本人の特別の努力勤務先の配慮、周囲の支援・協力業務への支障の程度昇進・昇給における不利益退職・転職の可能性勤務先の安定性・給与体系を含めた雇用の継続性日常生活上の支障の有無・程度(参考:『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい 212~213ページ)それぞれ具体的に次のような内容が、裁判において考慮されています(裁判例については『交通関係訴訟の実務』商事法務184~187ページより)。本人の特別の努力理学療法、鍼灸マッサージ、ストレッチ、リハビリ等を行っている(千葉地裁平成23年4月12日判決、横浜地裁平成24年12月20日判決)肉体的症状・精神的な苦痛を我慢して勤務している(名古屋地裁平成19年10月26日判決、大阪地裁平成21年1月13日判決、東京地裁平成21年12月10日判決)事故前の多年の業績、評価、人間関係、修練技術で障害を克服している(千葉地裁平成22年1月29日判決)業務への支障をカバーするために残業をこなしている(名古屋地裁平成22年7月2日判決、大阪地裁平成22年10月26日判決)勤務先の配慮、周囲の支援・協力和室での接待が不便で他人に代わってもらっている(大阪高裁平成18年6月29日判決)荷物を持っての移動が困難で他の職員の助けを借りている(京都地裁平成25年2月14日判決)業務への支障の程度自動車の運転が困難となり外回りの勤務に支障が生じている(大阪高裁平成18年6月29日判決、名古屋地裁平成23年11月18日判決、横浜地裁平成24年5月30日判決)長時間自席に座り高度の知的判断作用を含む業務を遂行するについて、後遺障害により集中力が持続しないため能率や気力が低下している(東京地裁平成19年6月20日判決)疼痛等により長時間上を見る姿勢を取ることや、脚立やはしごの昇降、前屈みの姿勢でハンマーを使う作業を長時間行うことなどが困難である(名古屋地裁平成19年10月26日判決)患者と目線を合わせて話す姿勢がとれず、患者から助けを求められても対応が困難であり、調理の際に長時間立っていることも難しい(大阪地裁平成23年4月13日判決)昇進・昇給における不利益勤務先である市の給与体系が勤務実績をより反映させるようになってきており、被害者の定例の昇給も遅れていること(大阪地裁平成20年3月14日判決)総合職として様々な部署を経験しながら昇進していくのが通常であるのに、後遺障害のため営業職や生産現場等を経験し難い(大阪地裁平成21年2月26日判決)准看護師から正看護師やリハビリ看護の認定看護師になるのが困難となった(大阪地裁10月26日判決)教師であるのに担任を持てず、クラブ活動や公式行事の引率もできない(京都地裁平成25年2月14日)退職・転職の可能性後遺障害部位が影響しない部署への配置転換希望が認められなかった(神戸地裁平成18年12月22日判決)症状悪化により再度休職を余儀なくされ、分限免職処分を受ける可能性がある(大阪地裁平成24年9月19日判決)勤務先の安定性・給与体系を含めた雇用の継続性勤務先が世界的に有数の外資系金融機関であり、成績主義・能力主義を採用しており、労働能力の差が労働条件に大きく反映される雇用環境にある(東京地裁平成19年6月20日判決)比較的規模の大きい工事の発注が続き売上が上昇したため、被害者の役員報酬も増額されたが、今後とも安定した業績を得られることが確実ではない(名古屋地裁平成19年10月26日判決)日常生活上の支障の有無・程度後遺症による逸失利益は、後遺障害が残存して労働能力が低下することにより将来発生すると認められる収入の喪失ですから、基本的には収入に関連付けられる労働能力の低下と結びつけて検討されます。もっとも、裁判例においては、損害発生の有無や労働能力喪失の程度を認定するにあたり、従事する仕事上の支障に限らず、日常生活における不便や苦痛といった日常生活上の支障を認定しながら判断している例が多く見られます。日常生活上の支障が労働に影響を与えることは十分に予想されることでから、後遺障害による日常生活上の支障が及ぼす影響も考慮要素となるのです。最初に紹介したように、赤い本が逸失利益の算定において「日常生活上の不便」を考慮要素の1つとしているのも、このためです。事故後明白な減収がない場合、生活上の障害や不利益の存在があることを立証して、本人の格別の努力や周囲の協力があるために減収を免れていることを印象付けることが、逸失利益の認定につながります。まとめ後遺障害により、業務に支障が生じている場合や、昇進昇給に不利益が生じる可能性がある場合、あるいは、本人の努力や勤務先・同僚の配慮により減収が表面化していない場合など、特段の事情があるときは、事故後減収がなくても逸失利益が認められる可能性があります。保険会社から逸失利益を否定され、納得のいかないときは、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。関連「差額説」と「労働能力喪失説」の違いで逸失利益が異なる?事故による怪我で休業してが収入減少していない場合の休業損害【参考文献】・『別冊 判例タイムズ38』15ページ・『交通関係訴訟の実務』商事法務 181~187ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 148~151ページ・『新しい交通賠償論の胎動』ぎょうせい 36~38ページ、175~180ページ・『交通事故紛争処理の法理』ぎょうせい 281~301ページ・『交通事故損害賠償の新潮流』ぎょうせい 280~284ページ・『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい 109~116ページ・『新版 注解 交通損害賠償算定基準』ぎょうせい 207~214ページ・『交通事故賠償における補償・救済システムの現状と課題』保険毎日新聞社 70~90ページ・『Q&A交通事故の示談交渉における保険会社への主張・反論例』日本加除出版株式会社 84~87ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 205~208ページ・『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社 396~398ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 146~150ページ・『交通賠償のチェックポイント第3版』弘文堂 149~151ページ・『現代損害賠償法講座7』日本評論社 187~199ページ・『三訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 127~129ページ、141~145ページ
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  • 死亡逸失利益
    死亡事故の消極損害(死亡逸失利益)の裁判所基準での計算方法
    死亡逸失利益とは、「被害者が存命であったなら、得られたはずの収入」の喪失のことです。死亡逸失利益の計算の仕方死亡逸失利益は、次のように計算します。基礎収入 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応する中間利息控除係数死亡逸失利益は、将来にわたって得られたはずの収入額ということでは、「労働能力喪失率100%の場合の後遺障害逸失利益」と同じなのですが、死亡した被害者本人の生活費を控除する点が異なります。被害者が死亡すると、将来得られたであろう収入を喪失する反面、本人の生活費の支出がなくなります。そのため、死亡した被害者本人の生活費を控除して、損害額を計算するのです。計算式の各要素について見ていきましょう。死亡逸失利益は、被害者の収入が稼働収入か年金収入かによって、稼働逸失利益と年金逸失利益に大別されます。ここでは、稼働逸失利益について説明します。年金逸失利益はこちらをご覧ください。基礎収入基礎収入(年収)の計算は、後遺障害逸失利益の場合と同じです。職種によって異なり、それぞれ原則として次のものを算定基礎とします。給与所得者事故前の現実の収入額。事業所得者事故前の申告所得額。家事従事者賃金センサスの女性労働者の平均賃金。年少者・学生賃金センサスの平均賃金。項目名ここに説明文を入力)★ -->職種別の基礎収入の算定方法について、詳しくは次のページをご覧ください。給与所得者の基礎収入の算定方法会社役員の基礎収入の算定方法個人事業主の基礎収入の算定方法主婦・主夫の基礎収入の算定方法幼児・小中学生の基礎収入の算定方法高校生・大学生の基礎収入の算定方法生活費控除率生きていれば生活費がかかりますが、死亡すればそれが不要になるので、生活費相当分を損害額から控除します。生活費の控除にあたっては、被害者の生活費を具体的に証明する必要はありません。そもそも、将来の生活費を正確に算出することなどできません。生活費の控除は、被害者の家族構成、性別、年齢などにより、一定割合を控除する方式を採用しています。この割合が「生活費控除率」です。生活費控除率は、一家の支柱の場合30~40%、女性30%、男性単身者50%とされるのが一般的です。一家の支柱の場合とは、被害者の世帯が主として被害者の収入によって生計を維持している場合です。裁判所基準の生活費控除率一家の支柱の場合40%(被扶養者1人の場合)30%(被扶養者2人以上の場合)女性30%(主婦・独身・幼児を含む)※年少女子で労働者平均賃金を基礎収入とする場合は45%。男性50%(独身・幼児を含む)項目名ここに説明文を入力)★ -->※『赤い本 2016年版』より生活費控除率が、性別、年齢、家族構成などにより異なるのは?生活費控除率が、性別、年齢、家族構成などにより異なるのは、調整機能的な役割があるからです。一家の支柱の生活費控除率を低くしているのは、残された遺族の生活保障の観点を重視しているからです。女性の生活費控除率を低くしているのは、基礎収入額が男性より低いことを考慮しているからです。年少女子で、基礎収入に全労働者平均賃金を採用するときは、生活費控除率を45%程度とします。詳しくはこちら。年金生活者については、生活費控除率を通常より高く、50~60%とします。年金収入に占める生活費の割合が高いと考えられるからです。詳しくはこちら。就労可能年数に対応する中間利息控除係数就労可能年数は、原則として死亡時から67歳までの期間とされています。労働能力喪失率100%で、就労可能年限までを喪失期間とするのと同じです。中間利息控除係数は、ライプニッツ係数を用いるのが一般的です。後遺障害逸失利益の計算と同じです。18歳以上であれば、67歳から死亡時の年齢を差し引いた年数が就労可能年数となります。この場合、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を用います。18歳未満や大学生など未就労者の場合18歳未満の未就労者の場合は、原則として18歳から67歳までの49年が就労可能年数となります。大学生や大学進学が決まっている場合は、大学卒業後の年齢から67歳までの期間が就労可能年数となります。ただし、この場合、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を用いるわけではありません。事故時(死亡時)を起点に、就労可能年限の67歳までの年数に対応するライプニッツ係数から、就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数を差し引いたものが、適用するライプニッツ係数となります。⇒ 被害者が18歳未満や大学生の場合のライプニッツ係数の求め方はこちら高齢者の場合高齢者の場合、死亡時の年齢から67歳までを就労可能期間とすると、就労可能年数が全く認められない場合や、認められても極めて短期間となってしまう場合があります。そのため、死亡時の年齢から67歳までの年数が、平均余命の2分の1を下回る場合は、平均余命の2分の1を就労可能年数とします。これは、67歳を超えて就労する蓋然性が認められる者は、平均余命の2分の1くらいは働くだろうと考えられるからです。平均余命は、厚生労働省の簡易生命表を用います。給与所得者の場合は、60歳前後で定年退職するのが一般的です。この場合でも、定年後67歳までは就労可能と認められます。ただし、定年後の収入は減少すると見込まれるので、定年前に受け取っていた収入額の60~70%程度に減額する例が多いようです。⇒ 高齢者が後遺障害になったときの労働能力喪失期間についてはこちら「就労可能年数とライプニッツ係数表」(自賠責の支払基準[別表Ⅱ-1])を用いれば、18歳未満の場合や高齢者の場合も含めて、事故時(死亡時)の年齢に対応するライプニッツ係数を簡単に求められます。就労可能年数とライプニッツ係数表 ※国土交通省のWebサイトにリンクしています。死亡逸失利益の計算例給与所得者の場合で、死亡逸失利益の計算を見てみましょう。事例男性会社員Aさん。死亡時の年齢48歳。事故前の年収700万円で、扶養家族は妻と子供2人。Aさんの死亡逸失利益は、次のように計算します。扶養家族3人なので、生活費控除率は30%48歳の就労可能年数は19年ですから、ライプニッツ係数は14.3238。よって、死亡逸失利益は700万円 ×(1-0.3)× 14.3238 = 7,018万6,620円まとめ死亡逸失利益は、被害者本人の生活費控除を行う以外は、労働能力喪失率100%の場合の後遺障害逸失利益と同じです。死亡事故の損害賠償額は、高額となります。逸失利益の計算は、簡単ではありません。保険会社の提示額に納得できないときは、示談する前に、交通事故の損害賠償請求に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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