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休業損害の基礎日額の算定は、手取り額でなく、社会保険料・住民税・所得税などを控除する前の支給金額(額面給与)を基礎とします。
しかし、そうすると、「被害者は、事故に遭わなかったときよりも多くのお金を受け取ることになるのでは?」と、疑問がわきますよね。
具体的に考えてみましょう。
給与所得者は、通常、社会保険料等を控除した金額を、勤務先から受け取ります。これが手取り額です。
しかし、休業損害の算定には、社会保険料等を控除する前の額面給与を基礎として、日額を算出します。そうすると、休業損害が、手取り額よりも多くなります。
なぜ、手取り額でなく、額面給与を基礎に、休業損害を算定するのでしょうか?
社会保険料、住民税、所得税に分けて、見ていきましょう。
社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)は、事業主と従業員が折半して負担し、事業主が保険者にまとめて納付します。
社会保険料の金額は、あらかじめ決まっています。
従業員は、欠勤し、給与を受け取っていなかったとしても、社会保険料の負担を免れることはできません。
もしも被害者が、手取り額を基礎に算定した休業損害しか受けられないとしたら、社会保険料分を控除した額から、社会保険料を支払わなければならず、損害が填補されていないことになります。
なので、社会保険料を控除する前の給与額を基礎とするのです。
住民税は、前年の所得を基礎に算出されます。欠勤によって給与が減っても、支払わなければいけない住民税額は、変わりません。
なので、住民税も、社会保険料と同様に、控除前の給与額を基礎とします。
所得税は、社会保険料や住民税と事情が異なります。
給与所得者の所得税は、毎月の給与額に応じて源泉徴収されます。
所得税は、被害者である従業員が、休業して給与を受け取っていなければ、その分の所得税を支払う必要はありません。
その一方で、被害者が休業損害を受け取っても、それに対して所得税が課税されるわけでもありません。
所得税法9条1項17号は、「保険業法…に規定する損害保険会社又は…外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するもの」を帆課税所得としています。
そのため、所得税分については、被害者が多く受け取る(不当に利得する)ことになるので、税金は控除すべきとする考え方がありました。
最高裁判例は、「損害額を算定するにあたって、…所得税その他の租税額を控除すべきではない」としました(最高裁判所第二小法廷・昭和45年7月24日)。
実務では、所得税控除前の給与額を基礎とすることになっています。
控除しないとする理由の1つに、「賠償金を課税対象とするかどうかは国の立法政策により決められることであって、国が課税しないとしたことにより被害者がその分の利益を享受することになったとしても、それは加害者にとっては無関係なことである」とする考え方があります。
(参考:『交通事故事件処理の道標』日本加除出版株式会社 82ページ)
休業損害の基礎日額の算定には、社会保険料、住民税、所得税などを控除する前の支給金額(額面給与)を用います。
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