後遺障害慰謝料の計算方法と裁判所基準・自賠責保険基準

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害の慰謝料は後遺障害等級に応じて定額化されています。自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準があります。

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後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによる被害者の精神的損害を賠償するものです。

 

後遺障害等級(後遺障害の程度)に応じて基準額があり、後遺障害等級が決まれば、慰謝料の額が決まります。

 

後遺障害慰謝料の算定基準

後遺障害慰謝料には、裁判所基準・任意保険基準・自賠責保険基準の3つの算定基準があり、被害者が賠償請求する損害額を計算するときには、裁判所基準で計算します。

 

裁判所基準として用いられるのは、主に次の2つです。

 

  • 日弁連交通事故相談センター編『交通事故損害額算定基準』(通称:青本)
  • 日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)

 

後遺障害等級ごとの慰謝料について、2つの裁判所基準と自賠責保険基準をまとめておきます。

 

後遺障害慰謝料の裁判所基準と自賠責保険基準の比較
等級 裁判所基準(万円) 自賠責保険基準(万円)
青本 赤い本
要介護第1級

1,650
(1,850)

要介護第2級

1,203
(1,373)

第1級 2,700~3,100 2,800

1,150
(1,350)

第2級 2,300~2,700 2,370

998
(1,168)

第3級 1,800~2,200 1,990

861
(1,005)

第4級 1,500~1,800 1,670 737
第5級 1,300~1,500 1,400 618
第6級 1,100~1,300 1,180 512
第7級 900~1,100 1,000 419
第8級 750~870 830 331
第9級 600~700 690 249
第10級 480~570 550 190
第11級 360~430 420 136
第12級 250~300 290 94
第13級 160~190 180 57
第14級 90~120 110 32

※( )内の金額は、被害者に扶養者がいる場合
※『青い本』25訂版、『赤い本』2016年版
※自賠責保険基準は、2020年4月1日以降の改正後の額。

 

後遺障害慰謝料は傷害慰謝料と別に請求できる

後遺障害慰謝料は、傷害慰謝料(入通院慰謝料)と別に支払われます。

 

例えば、1ヵ月入院、2ヵ月通院して治療したにもかかわらず、10級の後遺障害が残った場合、「赤い本」基準だと、入通院慰謝料が98万円、後遺障害慰謝料が550万円、合計648万円が慰謝料の目安となります。

 

後遺障害なく完治した場合は、後遺障害慰謝料の請求はできません。

後遺障害「非該当」でも後遺症慰謝料が認められることもある

後遺障害慰謝料は、基本的に後遺障害等級により決まります。

 

保険会社との示談交渉では、後遺障害等級が認定されなければ、後遺障害慰謝料は認められません。

 

しかし、裁判では、慰謝料の算定にあたって個別事情が考慮されます。

 

傷害の内容や程度により、後遺障害「非該当」でも後遺症慰謝料を認める場合や、逸失利益が認められないことを考慮して慰謝料を増額する場合があります。

 

例えば、次のような判例があります。

 

後遺障害「非該当」でも、後遺症慰謝料が認められた判例

後遺障害等級が認定されなかったものの、後遺症慰謝料が認められたものとして、次のような判例があります。

 

裁判 内容

東京地裁

1995年1月27日

20歳女性の顔面醜状について、12級14号(外貌に醜状を残すもの)が認定されなかったが、慰謝料200万円を認めた。

京都地裁

2011年12月16日

8歳男児の下肢醜状について、12級14号(外貌に醜状を残すもの)が認定されなかったが、慰謝料100万円を認めた。

 

「逸失利益」が認められないことを考慮し、慰謝料を増額した判例

裁判では、逸失利益など財産的損害が認められない場合、慰謝料を増額して補償することがあります(慰謝料の補完性)

 

後遺症が残ったものの、逸失利益は否定せざるを得ないが、無視できない不利益が予想される場合などは、慰謝料の増額でバランスを取るのです。

 

裁判 内容

仙台地裁

1995年2月6日

30歳女性(主婦)の顔面醜状(第7級)について、家事能力が低下したとは認められないとして逸失利益を否定し、1,200万円の慰謝料を認めた。

広島地裁
福山支部

1986年1月24日

46歳女性(スナック経営者)の顔面醜状(第7級)について、逸失利益を認めなかったことを考慮して、慰謝料2,500万円(入通院慰謝料を含む)を認めた。

 

重度の後遺障害の場合は、親族にも慰謝料が認められる場合があります。弁護士に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

後遺障害慰謝料は、基本的に後遺障害等級にもとづいて額が決まります。後遺障害等級の認定を勝ち取ることがポイントです。

 

ただし、後遺障害等級が認定されない場合や逸失利益が認められない場合でも、裁判では慰謝料が認められたり増額されることがあるので、あきらめずに弁護士に相談してみましょう。

 

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公開日 2021-04-04 更新日 2023/03/16 11:45:59