むち打ち症(頸椎捻挫)の後遺障害等級と労働能力喪失期間

むち打ち症の後遺障害等級と労働能力喪失期間

ムチ打ち症(むち打ち損傷・頸椎捻挫)は、後遺障害等級の認定が難しく、等級認定されても労働能力喪失期間が短く制限される後遺症です。12級13号もしくは14級9号に分類されます。

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むち打ち症(頸椎捻挫)は、後遺障害の等級認定がされにくく、非該当となるケースが多い後遺症です。

 

等級認定されても多くは14級で、12級に認定されるのは稀です。しかも、労働能力喪失期間は、14級が3~5年、12級で5~10年程度に制限されるのが通例です。

 

そのため、後遺障害に対する損害賠償額が認められなかったり、認められても過少になる傾向があります。

 

そもそも「むち打ち症」とは?

むち打ち症は、自動車の追突や衝突、急停車などの衝撃によって、頸部がムチのように「しなる」ことで起る様々な症状で、正式な医学上の診断名ではなく、受傷機転(傷害を受けたきっかけ)を示す用語とされています。

 

臨床的には病態が明らかになっていないのが実情で、交通事故後に「骨折や脱臼をともなわない頸椎部症状を引き起こしているもの」が、総じてむち打ち症とされています。診断書には、むち打ち損傷、むち打ち関連障害、頸椎捻挫、頸部損傷、頸部挫傷、頸部外傷、外傷性頸部症候群など様々な診断名が書かれ、統一した診断名はありません。

 

自覚症状には、頭痛、頸部痛、頸部運動制限、上下肢のしびれ、首や肩のこり、めまい、吐き気、疲労感などがみられます。

 

このように自覚症状が多いにもかかわらず、レントゲン撮影しても客観的な症状が分かりにくいため、後遺障害の等級認定されにくいのが、むち打ち症の特徴です。

むち打ち症の後遺障害等級は「12級13号」か「14級9号」

むち打ち症の後遺障害等級は、「12級13号」もしくは「14級9号」の該当の有無が問題となる場合がほとんどです。

 

むち打ち症で「11級」以上が認定されることはありません。「13級」には該当する後遺障害はありません。

 

「12級13号」と「14級9号」の違い

「12級13号」と「14級9号」がどのような後遺障害か、認定基準はどのようなものか、まとめておきます。

 

等級 後遺障害

12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

※自動車損害賠償保障法施行令「別表第二」より抜粋。

 

等級 認定基準

12級13号

他覚的所見によって医学的に証明される場合

14級9号

医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかでないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張でないと医学的に推定される場合

非該当

自覚症状に対して医学的に推定することが困難な場合、事故との因果関係がない場合

※自賠責の後遺障害認定は、労災保険の『労災補償障害認定必携』に従ってなされます。

 

むち打ち症の場合、よほどのことがない限り「12級」が認定されることはなく、認定されても多くは「14級」です。

 

首が回らなかったり、絶えず頭痛に悩まされたりして、明らかに日常生活に多大な支障が出ていたとしても「14級」がほとんどで、後遺障害「非該当」とされることも珍しくありません。

 

後遺障害等級「12級」と「14級」の違いは、神経症状が「頑固な」かどうかです。認定基準では、医学的に「証明される」か「推定される」かの違いです。

 

12級13号が認定される要件

「12級」の「他覚的所見によって医学的に証明される」というのは、レントゲンやCT、MRIなどから、傷みやしびれなどの症状が、何によって引き起こされているのかが医学的に証明できるということです。

 

つまり、神経症状を引き起こしている物理的な損傷(器質的損傷)が存在し、画像所見として目に見える形で証明されなければ、「12級」認定は難しいということです。

 

14級9号が認定される要件

「14級」の「医学的に推定される」というのは、受傷状況、症状経過、治療経過、臨床所見などから、現在の自覚症状が医学的に説明が付くということです。

 

画像から異常所見が認められず、後遺障害診断書で自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しい場合、症状経過や治療経過を勘案して、将来においても回復が困難と認められれば「14級」が認定されます。

 

認定基準の問題

交通事故で骨折したことが原因で神経を圧迫し、痛みやしびれを生じさせているのであれば、骨折という器質的損傷が画像としても残されるので、「12級」認定の条件を満たします。

 

しかし、骨折や脱臼などがない場合は、いくら本人の自覚症状を訴えても、目に見える形での器質的損傷がないので、認定されても「14級」どまり、場合によっては「非該当」ということになるのです。

 

神経の損傷は画像には映りません。神経症状の認定要件として、器質的損傷や画像所見を要求すること自体、そもそも矛盾しています。

むち打ち症の労働能力喪失期間は、なぜ制限されるのか?

むち打ち症のような局部の神経症状の後遺障害(後遺障害等級の12級13号または14級9号)は、労働能力喪失期間が制限される傾向にあります。裁判でも同じです。

 

神経症状の場合の労働能力喪失期間は、12級で5年~10年。14級だと5年以下とされることが多いようです。

 

このように労働能力喪失期間が制限される理由として、訓練や慣れによって次第にその影響が緩和されていく、症状に永続性がない、などが言われます。

 

ですが、神経症状といっても、その原因や症状は一律ではありません。

 

神経症状12級で、喪失期間が就労可能年限の67歳まで認められた裁判例や、神経症状14級でも、喪失期間を5年以下に制限しなかった裁判例もあります。

 

労働能力喪失期間は、被害者の症状とその原因、後遺障害等級、年齢、職業などから、個別に判断することが大切です。

 

まとめ

むち打ち症の後遺障害等級認定は難しく、症状に見合った適正な等級認定を受けるためには、そのための準備が必要です。

 

交通事故の損害賠償問題に詳しい弁護士に相談し、自賠責に異議申立てすることで、非該当とされた後遺障害が認定されたり、後遺障害等級が引き上げられたりする可能性があります。

 

まずは、弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

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公開日 2021-04-28 更新日 2023/04/15 08:31:25