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自賠責保険では、被害者保護のため、過失相殺や素因減額はなく、重過失減額(重大な過失による減額)とともに因果関係不明の減額(因果関係有無判断困難減額)の制度があります。
ここでは「因果関係不明の減額(因果関係有無判断困難減額)」とはどんな制度なのか、わかりやすく解説します。
被害者に既往症等があり、受傷と死亡・後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合、自賠責保険では、損害賠償額の請求を否定するのでなく、支払基準にもとづき算定した額(保険金額以上となる場合には保険金額)から、5割減額して支払います。これを「因果関係不明の減額」といいます。
自賠責保険の支払基準では、次のように定めています。
被害者が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合等受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害及び後遺障害による損害について、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から5割の減額を行う。
加害者(任意保険会社を含む)に対して損害の賠償を請求する場合、損害と事故との因果関係を立証することが必要です。因果関係を立証できないと、損害賠償請求は認められません。因果関係の立証ができた場合でも、既往症等があると、素因減額されます。
素因減額とは、損害の拡大に被害者の素因(被害者が事故前から有していた心因的要因や身体的要因)が寄与している場合に、過失相殺の考え方を類推して、損害賠償額を減額することです。
ところが、自賠責保険に直接請求する場合は、事情が違います。
自賠責保険に、素因減額はありません。しかも、死亡・後遺障害と事故との因果関係の立証ができないとしても、5割は支払われます。
つまり、自賠責保険では、被害者に既往症等があった場合でも、事故と後遺障害(または死亡)との因果関係が認められれば、支払基準にもとづき算定した額(保険金額以上となる場合には保険金額)が100%支払われます。
被害者の後遺障害(または死亡)の原因が、事故での受傷によるものなのか、既往症等によるものなのか、判断が難しく、損害と事故との因果関係を立証できない場合でも、50%は支払われるということです。この場合、50%因果関係が認められたとか、50%素因減額されたというわけではありません。
因果関係不明の減額制度により自賠責保険から50%もらえるからといって、裁判をしたら裁判所基準で算定した額の50%をもらえるわけではありません。
裁判では、因果関係を立証できないと損害賠償請求は認められないし、因果関係を立証できても、素因減額されます。
被害者に既往症等があり、死因または後遺障害発生原因が、既往症等によるものなのか、事故によるものなのかハッキリせず、損害と事故との因果関係を立証できない場合には、「後遺障害による損害」または「死亡による損害」について、損害賠償を請求しても認められませんが、自賠責保険に直接請求すれば、「因果関係不明の減額」制度により、5割が支払われます。
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【参考文献】
・『民事交通事故訴訟の実務』ぎょうせい268~269ページ