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  • 自賠責保険と任意保険の違い
    自賠責保険(強制保険)と任意保険の違い
    自動車保険には、法律で保険契約の締結が義務づけられている強制保険(自賠責保険・自賠責共済)と、加入が自由な任意保険があります。自賠責保険も自賠責共済も制度は同じですから、ここでは、自賠責保険と任意自動車保険の違いについて説明します。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。自賠責保険と任意自動車保険の比較まず、自賠責保険と任意自動車保険の特徴と違いについて、概要をまとめておきます。自賠責保険任意自動車保険契約法律で契約を義務づけ契約は任意目的自動車の運行によって人の生命・身体が害された場合の損害賠償を補償する自賠責保険で不足する損害賠償額を補う補償範囲自動車の運行に起因する人的損害のみ契約により、人損・物損の両方を補償保険金支払基準・上限額を法令で規定上限額は契約により自由に選択免責免責事由が限定免責事由が多い過失相殺被害者に重大な過失がある場合にのみ過失相殺過失割合に応じて過失相殺支払い示談成立前でも、被害者による直接請求や仮渡金の制度あり自賠責保険分を含め、任意保険会社による一括払い制度あり示談代行なしあり自賠責保険と任意自動車保険の違いについて、詳しく見ていきましょう。自賠責保険は法律で契約の締結を義務づけ自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(自賠法)で保険契約が義務づけられています。自賠法5条(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。この「自動車損害賠償責任保険」「自動車損害賠償責任共済」が、通称「自賠責保険」「自賠責共済」と呼ばれているものです。自賠責保険の契約を締結していない自動車を公道で運転することはできません。違反すると、罰則があります。自賠責保険に未加入、あるいは有効期限切れで運転すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科されます(自賠法86条の3)。加入していても、自賠責保険証明書を自動車に備え付けていなかったり、保険標章を車体に貼っていないと、30万円以下の罰金を科されます(自賠法88条)。これが、自賠責保険が「強制保険」と呼ばれる所以です。なぜ、自賠責保険の契約締結を法律で義務づけているのか?自賠責保険の契約締結を法律で義務づけているのは、自動車による人身事故の被害者を救済するためです。ここで、被害者とは、事故により死傷した人のことをいいます。事故の責任割合が小さい「被害者」を指すものではありません。自賠法は、被害者の保護・救済を図るため、加害者に損害賠償責任を課しています。しかし、加害者に賠償資力がなければ、損害賠償責任を果たすことができず、被害者を救済することができません。そこで、自賠法は、自賠責保険制度を定め、すべての車両に自賠責保険が付保されている状況を作り出すことによって、加害者の損害賠償責任を補償し、被害者を保護・救済できる仕組みにしているのです。なぜ、任意自動車保険にも加入する必要があるのか?自賠責保険は、人身事故による損害賠償を補償するためのもので、保険金の支払額は最低限の金額でしかありません。そのため、自賠責保険だけでは、被害者の損害を賠償しきれないケースがあり得ます。例えば、被害者に重度の後遺障害が残った場合には、損害賠償額が1億円や2億円を超えることがあり得ますが、こういう場合でも、自賠責保険の支払限度額は、最大で4千万円です。自賠責保険だけでは、全然足りません。そこで、自賠責保険では不足する損害賠償額を補填するため、任意保険への加入が不可欠なのです。被害者の立場からすると、加害者の側が任意保険に加入していないと、十分な損害賠償を受けられないことがあり得る、ということです。加害者が任意保険に加入しているかどうかは、被害者にとっても重要です。自賠責保険の保険金の支払限度額についてはこちら補償範囲の違い自賠責保険は、保険金を支払う保険事故の対象が制限されています。自賠責保険と任意保険の補償範囲の違いを簡単にまとめると、こうです。相手方への補償自分への補償その他ケガ・死亡車・物ケガ・死亡車・物ロードサービス弁護士費用自賠責保険〇×××××任意保険〇〇〇〇〇〇〇:支払い対象  ×:支払われない自賠責保険の補償範囲自賠責保険の支払い対象となるのは、自動車の運行によって他人を死傷させた場合です。自賠法における他人とは、「運行供用者と運転者」以外の者を指します。運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供する者」(自賠法3条)、運転者とは「他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者」(自賠法2条4項)をいいます。マイカーの運転者は、通常、運行供用者に当たります。自賠責保険の支払い対象となる場合、ならない場合について、注意が必要なケースを挙げておきます。自賠責保険の支払い対象となる場合、支払い対象とならない場合対象とならない場合対象となる場合物損は、対象外です。人損でも、自動車の運行によらない場合は、対象でありません。自動車を正当に使用する権利を有しない者が起こした人身事故は、対象となりません。家族でも自賠法上の他人に該当する場合は、自賠責保険の支払い対象となります。さらに詳しくは、次のページをご覧ください。自動車の「運行によって」とは?運行供用者とは?自賠法が定める「運行供用者」「運転者」「保有者」「被保険者」の違い自賠責保険は家族間の事故でも保険金の支払いを請求できる任意自動車保険の補償範囲任意自動車保険は、自動車の運行に限らず、広く「被保険自動車の所有、使用または管理に起因」した損害を、保険金の支払い対象としています。人損だけでなく、物損も支払い対象です。自動車保険の約款では、「対人事故」「対物事故」を次のように定義しています。対人事故被保険自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命または身体を害することをいいます。対物事故被保険自動車の所有、使用または管理に起因して他人の財物を滅失、破損または汚損することをいいます。※参考:『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社 24ページここでいう「所有、使用または管理」とは、自動車のおかれている全ての状態を包含する概念とされています。自動車が格納・陳列されている状態も含み、自動車の運行によらない事故も、保険金の支払い対象となります。例えば、タバコの不始末による車両火災で搭乗者が負傷したような場合は、自動車の運行によって発生した事故とはいえないので自賠責保険金は支払われませんが、民法709条の不法行為責任が認められる場合は、対人賠償責任保険金の支払い対象となります。任意自動車保険には、次のような保険・特約があり、保険会社はそれらを組み合わせて販売しています。対人賠償責任保険、対物賠償責任保険他人の身体や財物に損害を与えた場合の損害賠償を補償する保険人身傷害保険、搭乗者保険運転者自身や同乗者が被った身体の損害を補償する保険車両保険自分の自動車が被った損害を補償する保険弁護士費用特約(弁護士保険)加害者との交渉を弁護士に相談・依頼する費用を補償する保険さらに詳しくは、次のページをご覧ください。自動車の「運行によって」と「所有、使用または管理」の違い任意自動車保険の種類・内容免責事由や過失相殺の違い自賠責保険は被害者の保護・救済が目的であるため、任意自動車保険と比べて、免責事由や過失相殺を制限しています。自賠責保険と対人賠償保険(任意保険)の免責事由と過失相殺の違いを見てみましょう。自賠責保険と対人賠償保険の免責事由の違い自賠責保険と対人賠償保険の免責事由には、次のような違いがあります。自賠責保険金が支払われない場合とは?自賠責保険の免責事由は、重複契約の場合(自賠法82条の3)と、保険契約者または被保険者の悪意によって損害が生じた場合(自賠法14条)のみに限定されています。免責事由に該当しても「被害者請求」は可能自賠責保険は、悪意免責により被保険者(加害者)に保険金が支払われない場合でも、被害者が、加害者の加入する自賠責保険に直接請求(被害者請求)することはできます。自賠責保険は免責事由に該当しても被害者請求は可能対人賠償保険金が支払われない場合とは?これに対して、対人賠償保険では、保険契約者・被保険者の故意による事故や親族間事故のほか、戦争・暴動災害による損害、自然災害による損害、原子力による損害、競技・曲技・試験による損害など、広範な免責事由を設けています。対人・対物賠償責任保険に特有の免責事由任意自動車保険に共通の免責事由親族間事故の取り扱い自賠責保険は、親族間で発生した事故であっても、被害者が他人(運行供用者と運転者以外の者)であれば、保険金の支払い対象となります。自賠責保険は家族間の事故でも保険金請求できる自賠責保険と対人賠償保険の過失相殺の違い任意自動車保険では、過失割合に応じて厳格に過失相殺されますが、自賠責保険では、過失相殺の要件や減額割合を制限する「重過失減額制度」をとっています。自賠責保険は、被害者の過失割合が70%未満の場合は過失相殺による減額はありません。過失相殺されるのは、被害者に70%以上の重大な過失がある場合のみで、しかも、被害者の過失割合に応じて減額されるのでなく、20~50%の減額にとどまります。自賠責保険は、被害者に重過失があるときにのみ過失相殺する被害者の過失割合が大きいときは、先に自賠責保険に請求する方が有利被害者の過失が大きい場合には、任意保険による一括払いでなく、先に、自賠責保険に被害者請求する方が有利になることがあります。自賠責保険に被害者請求した方が得する4つのケース自賠責保険は示談成立前でも被害者から直接請求できる自賠責保険は、被害者が、相手方の自賠責保険に対し、損害賠償額の直接請求または仮渡金請求をできる仕組みになっています(自賠法16条・17条)。この請求は、示談が成立する前や判決確定の前でも可能です。早く支払いを受けたい事情がある場合や示談交渉が難航している場合には、自賠責保険に対する直接請求(被害者請求)の制度を利用する方がよい場合があります。任意自動車保険にも、被害者(損害賠償請求権者)の直接請求権の規定はありますが、たいてい保険会社が加害者に代わって示談代行し、損害賠償額が確定すれば支払われるので、任意保険会社を相手に直接請求権を行使する実益は、通常ありません。まとめ自賠責保険(自賠責共済を含む)は、交通事故被害者の救済を目的とし、法律で加入が義務づけられた強制保険です。保険金が支払われるのは人身損害のみで、物損はカバーされません。支払金額には上限があります。任意自動車保険は、加入は任意ですが、契約内容によっては幅広く交通事故全般の損害を補償します。任意保険は、自賠責保険を補完する保険です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 306~309ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 341~346ページ・『損害保険の法律相談Ⅰ〈自動車保険〉』青林書院 12~17ページ、322~329ページ・『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞社 46ページ
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  • 保険金の支払要件
    自動車の「運行によって」と「所有、使用または管理」の違い
    任意自動車保険の対人賠償責任保険は、自賠責保険の上積み保険ですから、自賠責保険で填補できない損害をカバーします。とはいえ、自賠責保険と対人賠償責任保険では、保険金の支払い要件(保険事故)は少し異なり、全く同じではありません。自賠責保険から保険金が支払われるのは、自動車の運行によって他人の生命・身体を害したときです。それに対して、対人賠償責任保険から保険金が支払われるのは、自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命・身体を害したときです。自動車の「運行によって」と「所有、使用または管理に起因して」の違いと関係を見ていきましょう。「自動車の運行によって」とは?自賠責保険から保険金が支払われるのは、自動車の保有者に、自賠法(自動車損害賠償保障法)3条に規定する損害賠償責任が発生した場合です(自賠法11条)。保有者とは、自動車の所有者や使用する権利を有する者のことです。自賠法3条に基づく損害賠償責任が発生するのは、自動車の「運行によって他人の生命・身体を害したとき」です。自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。…(後略)…「運行」については、次のように定義されています。自賠法2条2項この法律で「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう。「当該装置」とは、自動車の構造上設備されている装置です。原動機(エンジン)装置のみならず、ハンドル・ブレーキなどの走行装置、ドア、荷台のほか、クレーン車のクレーンなど特殊自動車の特殊装置も含みます。「当該装置の用い方に従い用いる」とは、それぞれの装置を本来の目的に従って使用することです。「人または物を運送するとしないとにかかわらず」とありますから、自動車走行中の事故はもとより、駐停車中であっても、ドアの開閉や積荷の積み下ろし、特殊自動車の特殊装置の操作などに起因する事故も、運行による事故と解される場合があります。駐車中であっても「運行」に当たるケースがあるとはいえ、車両を車庫に格納しているだけの状態は「運行」に当たらないと解されています。「自動車の所有、使用または管理に起因して」とは?対人賠償責任保険(任意保険)から保険金が支払われるのは、対人事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負う場合です(普通保険約款 第1章2条2項)。対人事故については、普通保険約款において、次のように定義しています。対人事故の定義被保険自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命または身体を害することをいいます。(普通保険約款 第1章1条(用語の定義)より)自動車の「所有、使用または管理」は、自賠法の「運行」より広く、自動車の置かれているすべての状態を包含する概念とされています。すなわち、自動車の運転中(使用)における過失による事故だけでなく、車両の管理における過失による事故についても、補償の対象となります。自動車が車庫に格納されている状態において発生した事故も含みます。対人賠償責任保険は、自賠法3条(運行供用者責任)に基づく損害賠償責任に限らず、民法709条(不法行為責任)や民法715条(使用者責任)などに基づく損害賠償責任が発生する場合も、保険金の支払い対象となります。自賠責は無責でも対人賠償保険は有責となる場合がある自動車の所有者が、自賠法の運行供用者責任を問われず、民法上の不法行為責任のみを問われた場合、自賠責保険は支払われませんが、対人賠償責任保険は保険金の支払い対象となります。例えば、エンジンキーを差したまま駐車していた車が盗まれ、その自動車が人身事故を起こした場合に、自賠法の運行供用者責任は否定し、自動車所有者の管理上の過失に基づく不法行為責任を認めた裁判例があります。このような場合、自賠責保険は支払われませんが、対人賠償保険は支払い対象となります。所有に起因して他人を死傷させるケースとは?ところで、「自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命または身体を害すること」とありますが、「所有」に起因する事故は存在しません。事故の発生原因となるのは「使用または管理」です。ここで「所有」は、法律上の損害賠償責任の負担原因として理解されます。例えば、自分が所有する自動車を友人に貸与中の事故に関して、所有者としての責任を問われたような場合を想定しています。(参考:『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社26ページ)対人賠償責任保険による支払額対人賠償責任保険は自賠責保険の上積み保険で、自賠責保険(強制保険)では填補しきれない損害を、対人賠償責任保険(任意保険)でカバーする仕組みです。対人賠償責任保険から支払われる額は?対人賠償責任保険が支払う保険金の額は、被保険者が支払う損害賠償額のうち、自賠責保険によって支払われる額を超過する金額です。すなわち、損害賠償額と自賠責保険金額との差額です。普通保険約款において、次のように規定しています。普通保険約款 第1章2条(保険金を支払う場合-対人賠償)(1)当会社は、対人事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、この賠償責任条項および基本条項に従い、保険金を支払います。(2)当会社は、1回の対人事故による(1)の損害の額が自賠責保険等によって支払われる金額(注)を超過する場合に限り、その超過額に対してのみ保険金を支払います。(注)被保険自動車に自賠責保険等の契約が締結されていない場合は、自賠責保険等によって支払われる金額に相当する金額をいいます。※条文中の「自賠責保険等」とは、自賠責保険と自賠責共済です(普通保険約款 第1章1条)。対人賠償責任保険を引き受けている任意保険会社が、自賠責保険分を含めて一括払いしますから、自賠責保険と対人賠償保険を別々に請求する必要はありません。自賠責保険が付保されていない場合被保険自動車に自賠責保険が付保されていない場合には、「自賠責保険が付保されていたら支払われたであろう額」の超過額に対してのみ支払われます。自賠責保険が付保されていない場合としては、2つのケースがあり得ます。自賠責無保険車自賠責保険の付保を怠っている場合自賠責適用除外車自賠責保険の付保を免除されている車両の場合項目名ここに説明文を入力)★ -->自賠責無保険車による被害者は、政府の自動車損害賠償保障事業に対し、損害に対する補償を請求することができます。政府保障事業の支払限度額は、自賠責保険の支払限度額と同じですが、健康保険や労災保険等の使用を前提とし、他の法令による給付との調整が必ず行われるため、政府保証事業から支払われる金額は、「自賠責保険によって支払われたであろう額」を下回ることがあります。その場合でも、対人賠償責任保険は、「自賠責保険によって支払われたであろう金額」の超過額についてのみ、保険金を支払うことにしています。自賠法の「運行」に当たらない事故の場合自賠法の「運行」に当たらない事故の場合は、保有者に自賠法3条の運行供用者責任が発生しませんから、自賠責保険が付保されていても、自賠責保険金は支払われません。ただし、自賠法の「運行」に当たらなくても、保険約款の「所有、使用または管理」に当たり、被保険者が、民法709条等に基づく損害賠償責任を負う場合は、その損害の全額が、対人賠償責任保険から支払われます。対人賠償責任保険では、自賠責保険によって支払われる金額の超過額が保険金として支払われます。この場合は、損害の全額が、自賠責保険によって支払われる金額(0円)の超過額となるのです。まとめ交通事故による人身損害に対する損害賠償は、強制保険である自賠責保険と、任意保険である対人賠償責任保険の2階建て構造となっています。対人賠償責任保険は、損害賠償額のうち自賠責保険によって支払われる金額を超過する金額に対して保険金を支払う、上積み保険です。自賠責保険は、自動車の「運行」によって他人を死傷させた場合に保険金が支払われ、対人賠償責任保険は、自動車の「所有、使用または管理」に起因して他人を死傷させた場合に保険金が支払われます。対人賠償責任保険は、自賠責保険よりも広い保険事故をカバーします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞社 88~92ページ・『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社 24~30ページ・『交通事故事件対応のための保険の基本と実務』学陽書房 77~79ページ、122~125ページ・『新版逐条解説自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 50~59ページ・「逐条解説自動車損害賠償保障法第2版』弘文堂 6~19ページ
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  • 自動車保険の支払方法
    加害者側の自動車保険から被害者が損害賠償額の支払を受ける方法
    自賠責保険と対人賠償責任保険の被保険者は、人身事故により損害賠償責任を負った加害者です。本来、被保険者として保険金の支払いを請求できるのは、加害者です。他方で、被害者が、加害者の加入している自賠責保険や対人賠償責任保険から、直接、損害賠償額の支払いを受けることもできます。2つの方法があり、どちらの方法で損害賠償額の支払いを受けるかは、被害者が選択できます。自動車保険の構造と被害者の直接請求権まず、自賠責保険と任意保険の関係、被害者の直接請求権について、簡単に見ておきましょう。自賠責保険と任意保険の違いについて詳しくはこちらをご覧ください。自動車保険は強制保険と任意保険の2階建て構造自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。自賠責保険は、保険契約が法律(自動車損害賠償保障法)で義務付けられた強制保険です。対人賠償を補償する保険で、支払基準は国が定め、最低限の補償にとどまります。任意保険は、加入が任意・自由な自動車保険です。自賠責保険でカバーされない損害の填補を補償する保険で、支払基準は各保険会社が定めます。事故の相手への損害賠償を補償する保険(対人・対物賠償責任保険)と、自身の怪我や物損を補償する保険(人身傷害保険や車両保険など)があります。任意保険の種類はこちらをご覧ください。対人賠償については、自賠責保険が最低限の補償をし、不足分を対人賠償責任保険が上積みしてカバーする 2階建て構造となっています。対人賠償責任保険が支払うのは、損害賠償額のうち、自賠責保険によって支払われる金額を超過する部分だけです。自動車保険標準約款は、対人賠償責任保険に関し、「被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害の額」が、「自賠責保険等によって支払われる金額」を超過する場合に限り、その超過額に対してのみ保険金を支払うと定めています(標準約款第1章2条2項)。自賠責保険・対人賠償保険に対する被害者の直接請求権自賠責保険と対人賠償責任保険に対し、被害者が損害賠償額の支払いを直接請求することができます。被害者請求ともいいます。自賠責保険に対する被害者の直接請求権は、自賠法(自動車損害賠償保障法)第16条1項と第17条1項で、対人賠償責任保険に対する被害者の直接請求権は、自動車保険標準約款第1章11条1項で、それぞれ定めています。自賠法16条1項(保険会社に対する損害賠償額の請求)第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。※第3条の規定とは、運行供用者責任(自動車損害賠償責任=自賠法3条)についての規定です。自賠法17条1項(被害者に対する仮渡金)保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によって他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を第16条第1項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。自動車保険標準約款第1章11条1項(損害賠償請求権者の直接請求権―対人賠償)対人事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して第3項に定める損害賠償額の支払を請求することができます。自動車保険に被害者が直接請求して支払を受ける2つの方法それでは、被害者が、加害者の加入している自動車保険から損害賠償額の支払いを受ける2つの方法について、見ていきましょう。加害者側の自動車保険から、被害者が直接支払いを受ける2つの方法とは?被害者が、加害者の加入している自賠責保険や対人賠償責任保険から、損害賠償額の支払を受ける方法とは、次の2つの方法です。先に自賠責保険から支払いを受け、不足額を任意保険から支払いを受ける方法任意保険から自賠責保険分を含めて一括で支払いを受ける方法上で見たように、対人賠償責任保険(任意保険)は、自賠責保険の支払額で足りない金額を補填する保険ですから、まず自賠責保険の支払いを受け、その上で、不足する額を任意保険から支払いを受ける、というのが本来の姿です。ですが、この方法だと、自賠責保険と任意保険の両方に請求しなければならず、手間がかかります。そこで、任意保険会社が、自賠責保険分を含めて一括で支払うサービスを行っています。任意保険会社が立て替えて支払った自賠責保険分は、あとで自賠責保険に求償する仕組みです。自賠責保険分を先に支払を受けるか、任意保険会社に自賠責保険分を含めて一括払いしてもらうか、いずれの方法で損害賠償額の支払を受けるかは、被害者が選択できます。たいていは任意保険会社による一括払いを選択しますが、先に自賠責保険に直接請求して支払いを受ける方が、最終的に受領できる損害賠償額が多くなる場合がありますから、慎重に考えて選択することが大切です。自賠責保険に対する直接請求について詳しく見る任意保険会社による一括払いについて詳しく見る任意保険会社による一括払い対応を希望する場合は、任意保険会社に一括払いの同意書を提出すればよいだけです。もし、一括払いに同意していても、自賠責保険に直接請求したいときは、同意を撤回すれば、いつでも任意保険会社による一括払いを中止できます。先に自賠責保険に請求して支払を受ける方がよいケースとは?先に自賠責保険に直接請求をして、不足額を後で任意保険に請求する方法がよいのは、次のようなケースです。被害者の過失が大きい場合被害者の過失が大きい場合は、先に自賠責保険から支払いを受ける方が、最終的に受領できる損害賠償額が多くなる可能性があります。任意保険会社による一括払いは、過失割合に応じて厳格に過失相殺するので、被害者の過失割合が大きいと、それだけ損害賠償額が減ります。例えば、被害者の過失割合が6割だったとすると、損害額の4割しか賠償を受けられません。6割が過失相殺により減額となります。それに対し、自賠責保険は、被害者の保護・救済を目的としていますから、被害者に7割以上の重大な過失がある場合に限り減額し、しかも、減額の割合が通常の過失相殺と比べて小さいのです。例えば、被害者の過失が6割だったとしても、自賠責保険は過失相殺せず支払われます。自賠責保険の支払額を超える損害賠償額があれば、その超過額については任意保険が6割の過失相殺をして支払うことになります。 後遺症が残り、後遺障害等級の認定を受ける場合後遺症が残る場合は、認定される後遺障害等級によって損害賠償額が決まるので、適正な後遺障害等級の認定を受けることが重要になります。任意保険会社による一括払いの場合は、任意保険会社が、自賠責に後遺障害の認定を受けるための申請書類を出します。保険会社が手続きをしてくれるので被害者は手間がかからないのですが、形式的に書類をそろえて申請するだけですから、後遺障害が非該当となったり、低い後遺障害等級しか認定されないことが少なくないのです。ですから、後遺障害等級の認定を受ける際には、被害者が、自賠責に直接請求する方がよいのです。ただし、この場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼することが大切です。このほかにも、先に自賠責保険に直接請求しておく方が良い場合もあります。詳しくは、次のページをご覧ください。相手の自賠責保険に被害者請求した方が得する4つのケースまとめ被害者が、加害者の加入している自動車保険(自賠責保険・任意保険)から支払いを受けるには、①自賠責保険から支払いを受け、その上で不足する額を任意保険から支払いを受ける方法、②任意保険会社から、自賠責保険分を含めて一括で支払いを受ける方法、の2つの方法があります。いずれの方法で支払いを受けるかは、被害者が選択することができます。任意保険会社による一括払いの方が便利ですが、先に自賠責保険に直接請求して損害賠償額の支払いを受ける方が、最終的に受領額が増え、有利な結果となる場合がありますから、慎重に選択することが大切です。お困りのことがあれば、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『自動車保険の解説2017』保険毎日新聞社 28~30ページ、56~62ページ
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  • 自動車保険に未加入
    交通事故加害者が任意自動車保険・自賠責保険に入っていないとき
    加害者が、任意自動車保険(対人賠償責任保険)や自賠責保険に入っていなかったら、被害者は十分な損害賠償を受けられません。そんなとき、被害者の負担を少しでも減らせる方法をご紹介します。加害者が任意保険に加入していなかったら?加害者が任意保険(対人賠償責任保険)に加入していなかった場合、被害者の自己負担を減らすには、2つの方法があります。相手方の自賠責保険に直接請求する1つは、加害者の加入している自賠責保険に、損害賠償額を直接請求する方法です。自賠責保険は法律(自動車損害賠償保障法=自賠法)で契約締結が義務づけられていますから(自賠法5条)、基本的には最低でも自賠責保険による補償は受けられます。自賠責保険に対する被害者請求権を活用する自賠責保険の被保険者は加害者ですから、保険金を請求できるのは加害者です。しかも、被害者に損害賠償金を支払ってからでないと、保険金を請求できない仕組みになっています。これでは、加害者に資力がなければ、被害者は、自賠責保険分すら損害賠償を受けられません。そこで、自賠法(自動車損害賠償保障法)では、被害者が、加害者の加入する自賠責保険に直接請求する権利が認められています(自賠法16条)。これを「直接請求権」または「被害者請求権」といいます。加害者に損害賠償責任が発生した場合、被害者は、直接、自賠責保険会社に対し、保険金額の限度において損害賠償額の支払を請求できます。また、治療費等の差し迫った出費にあてるため、被害者には仮渡金の請求も認められています(自賠法17条)。仮渡金請求は、加害者の損害賠償責任の有無に関わりなく、また損害賠償額が確定していない段階でも、請求可能です。加害者が任意保険に加入していなければ、任意保険会社による一括払いはありませんから、治療費は、被害者が支払うことになります。治療費の支払に困るようなときは、相手方の自賠責保険会社に対し、まず仮渡金請求(自賠法17条請求)をし、治療が終了・症状固定となった段階で本請求(自賠法16条請求)をすることもできます。自賠責保険に対する直接請求自賠責保険に対する仮渡金請求自賠責保険から保険金または損害賠償額が支払われるのは、厳密には「保有者に損害賠償責任が発生したとき」です。保有者とは「自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの」です(自賠法2条3項)。なので、泥棒運転中の事故のように、保有者に損害賠償責任が発生しない場合は、自賠責保険に対する損害賠償額の請求はできません。健康保険や労災保険を使う自賠責保険には、支払限度額があります。例えば、傷害による損害であれば、治療費・休業損害・慰謝料等すべて合わせて、被害者1人につき上限120万円です。ですから、健康保険等を使って治療することが大切です。交通事故による怪我の治療は、原則として自由診療なので10割負担ですが、健康保険を使用することで、3割の自己負担で済みます。治療費は病院への支払いで消えますから、治療費の支出を低く抑えることで、休業損害や慰謝料として受け取れる金額が増えるのです。交通事故は健康保険を使えない? 病院が健康保険診療を嫌う本当の理由交通事故で健康保険や国民健康保険を使うメリット・デメリット交通事故の治療で健康保険を使うべきケース・自由診療でよいケース勤務中や通勤中の事故で、労災保険を使用できる場合は、必ず労災保険を使いましょう。治療費の自己負担がゼロになるほか、多くのメリットがあります。交通事故で労災保険を使うメリット・デメリット・注意点交通事故が業務災害・通勤災害だったときの労災保険給付・補償の内容自分の加入している人身傷害保険に請求するもう1つは、被害者自身が加入している人身傷害保険(任意保険の1つ)に請求する方法です。人身傷害保険は、被保険者が事故で負傷して被った損害(治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料など)について、加害者との示談が成立していなくても、また過失割合に関係なく、たとえ被害者の過失が大きくても、約款所定の損害額基準にもとづいて算定した保険金を支払う保険です。ただし、人身傷害保険の損害額基準は、裁判所基準に比べて低いので、裁判所基準で算定した損害額(適正な損害賠償額)を全額補償されるわけではありませんが、それでも自賠責保険による支払いを上回る金額を受領できる可能性があります。人身傷害保険のほかにも、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険などの利用も可能ですから、加入していればその利用を検討するとよいでしょう。人身傷害保険(人身傷害補償保険)のメリット・デメリット人身傷害保険金と損害賠償金のどちらを先に請求すると有利か?搭乗者傷害保険は定額で支払われ損害賠償額から控除されない人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い無保険車傷害保険は無保険車による死亡・後遺障害を補償加害者が自賠責保険に加入していなかったら?自賠責保険の加入は法律で義務付けられていますが(自賠法5条)、自賠責保険に加入していない車両もあります。このような無保険車が交通事故(人身事故)を起こした場合には、自賠責保険による最低限の救済すら受けることができません。この場合は、国による自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)に請求することにより、おおむね自賠責保険と同程度の金額の支払を受けることができます。なお、政府保障事業は、健康保険法や労災保険法などの法令で定める給付を受けられる場合には、他法令給付が優先され、それを控除して政府保障事業から填補が行われます。そのため、健康保険や労災保険等を使って治療したり、給付を受けておくことが大切です。政府保障事業の対象となる事故は?政府保障事業と自賠責保険の違いまとめ交通事故の加害者が、任意自動車保険(対人賠償責任保険)に加入していないときは、被害者が、加害者の加入する自賠責保険に対して損害賠償額の支払いを直接請求したり、自分の加入する任意保険の人身傷害保険等に保険金の支払を請求することで、自己負担を軽減することができます。また、加害者が自賠責保険に加入していない場合は、政府保障事業に請求することができます。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞社 120~122ページ・『交通事故事件対応のための保険の基本と実務』学陽書房 97~99ページ・『新版 逐条解説 自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 128~130ページ、152~153ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 36~39ページ
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  • 同乗家族のケガ
    自賠責保険は家族間の事故であっても保険金請求できる
    自賠責保険や自賠責共済は、事故の相手が家族の場合や、自動車に同乗していた家族が負傷した場合でも、保険金・共済金の支払いを請求できます。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ仕組みです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。自賠責保健は、被害者が家族であっても保険金の支払いを請求できる自損事故や家族間の事故は、保険金が支払われない、と思っていませんか?自賠責保険は、事故の相手が家族だった場合でも、事故を起こした車に家族が同乗していて怪我をした場合でも、保険金の支払いを請求できます。任意自動車保険(対人賠償保険)では、家族間の事故は免責事由に該当し保険金が支払われないのに、自賠責保険は、なぜ被害者が家族の場合でも支払われるのか、その理由を法律上の規定から見てみましょう。任意保険では「他人」の範囲が異なり、家族は「他人」に該当しません。経済的に同一と見なされ、損害賠償の支払いが適切でないと考えられているからです。ですから、例えば事故を起こした相手が配偶者の車だった場合などは、任意保険の対人・対物賠償責任保険の保険金は支払われません。自賠責保険は、車両の保有者が他人を死傷させたときに支払われる自動車損害賠償保障法(自賠法)では、運行供用者責任を定めています。「運行供用者は、他人を死傷させたとき損害賠償責任が生じる」というものです。自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」をいいます。ここで「他人」とは、運行供用者以外の者のことで、家族でない第三者を指す他人とは違います。さらに、自賠法は、自賠責保険を契約した車両の保有者に運行供用者責任(自動車の運行によって他人を死傷させたことに対する損害賠償の責任)が発生した場合に、自賠責保険金を支払うことを定めています。自賠法11条1項責任保険の契約は、第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を保険会社がてん補することを約し、保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。「保有者」と「運転者」については、自賠法で次のように定義されています。「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するものをいう(自賠法2条3項)「運転者」とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう」(自賠法2条4項)自賠法における運転者とは、雇われて自動車の運転をする者のことで、マイカーの運転者は、自賠法のいう運転者ではなく、保有者に当たります。ですから、マイカーを運転中に事故を起こしたケースで考えると、運転者が運行供用者で、同乗者は家族であっても他人ですから、同乗者が事故により負傷したときは、自賠責保険金の支払いを請求できます。もちろん、事故の相手が家族の場合でも「他人」ですから、自賠責保険金の支払いを請求できます。自損事故の場合運転を誤って電柱に衝突した場合を考えてみましょう。こういう場合、一般に自損事故といわれます。自損事故は、厳密にいえば「加害者がいない事故」です。このとき運転者だけが乗っていたのなら、まぎれもない自損事故です。この場合は、運転者が死傷したとしても自賠責保険から保険金は支払われません。しかし、いわゆる自損事故でも、同乗者がいて死傷した場合は、自賠責保険の保険金支払いの対象となります。それが運転者の家族であっても、自賠責保険は支払われます。夫が運転する車に妻が同乗していて事故を起こしたとき具体例で考えてみましょう。例えば、夫が運転する車に妻が同乗していて、電柱に衝突する事故を起こし妻が負傷した場合、妻が被害者となり、夫が加害者となります。したがって、夫(加害者)は妻(被害者)に対して、損害を賠償する責任が生じます。その賠償金を填補するために、夫の加入している自賠責保険から保険金が支払われます。「妻は他人」最高裁判決(昭和47年5月30日)自賠法3条の「他人」規定をめぐっては、妻や子が「他人」にあたるかどうかが問題となり、保険会社は家族間の事故については保険金の支払いを拒否し、下級審の判断も分かれていました。これに決着をつけたのが、1972年(昭和47年)5月30日の最高裁判決でした。最高裁は「自賠法3条は、運行供用者および運転者以外の者を他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者であるからといって、そのことだけで他人に当らないと解すべき論拠はなく、具体的な事実関係のもとにおいて、被害者が他人に当るかどうかを判断すべきである」と判示しました。自動車が夫婦共有とか、夫婦が共に運行供用者(共同運行供用者)と認められるような特別な場合には、他人性がなくなり、賠償請求が否定されることがあります。また、治療費は認められても、慰謝料などは認められないことがありますから注意が必要です。賠償責任を負う運行供用者、自賠責保険金が支払われる保有者とは?運行供用者についての定義規定は自賠法の中にもないのですが、判例・通説は「事故を起こした車(加害車両)について運行支配と運行利益が帰属する者」とされています(逐条解説 自動車損害賠償保障法より)。交通事故の賠償責任を負う運行供用者は、次のように大きく3つのタイプに分類できます。自動車の所有者自動車を所有する個人・法人。自動車の所有者は、たとえ自分で事故を起こしていなくても賠償責任を負います。雇い主は、運行供用者責任のほか使用者責任(民法第715条)も負います。次のような所有者は、運行供用者にあたりません。名義変更していない旧所有者事故を起こした盗難車の所有者(管理責任を果たしている場合に限る)ディーラーローンのような所有権留保を付けて販売している販売店正式に使用する権利のある者自動車を正式に使用する権利のある運転者、運転助手など。自賠法の定義する運転者(他人のために自動車の運転に従事する者)は含みません。正式な使用権を持たない運転者無断借用運転者、盗難車両の運転者など。このうち、「自動車の所有者」と「正式に使用する権利のある者」が、自賠法のいう「保有者」にあたり、保有者に運行供用者責任(自動車の運行によって他人を死傷させたことに対する損害賠償の責任)が発生したとき、自賠責保険金が支払われます。「正式な使用権を持たない運転者」が起こした事故については、自賠責保険金は支払われません。この場合の被害者は、政府保障事業に請求することになります。運行供用者・保有者・運転者の違いについて詳しくはこちらまとめ自賠法第3条に定める「他人」とは、運行供用者(自動車の所有者・運転者)以外の人です。ですから、事故を起こした車両に同乗していたのが運転者の家族であっても、自賠責保険に保険金の支払いを請求できます。共同運行供用者にあたるとか、慰謝料を支払わないなど、保険金の支払いで保険会社と揉めているときは、保険会社との交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 自賠責保険の支払基準
    自賠責保険・自賠責共済の保険金・共済金の支払基準・支払限度額
    自賠責保険は、「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」に対し、保険金の支払基準・支払限度額が定められています。自賠責保険は、人身損害が対象で、物損は対象となりません。自賠責保険の支払基準・支払限度額について、見ていきましょう。自賠責共済も、支払基準・支払限度額は、ここで示した自賠責保険の支払基準・支払限度額と同じです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。2020年4月1日から支払基準が一部改正民法一部改正による法定利率の変更にともない、逸失利益の算定に用いるライプニッツ係数が変更になります。また、平均余命、物価水準、賃金水準の変動を踏まえ、2020年4月1日より、自賠責保険の支払基準が一部改正されました。傷害による損害の支払基準と支払限度額傷害による損害は、積極損害(治療関係費・文書料など)、休業損害、慰謝料です。傷害による損害に対する自賠責保険からの支払限度額は、積極損害・休業損害・慰謝料を合わせて、被害者1人につき 120万円です(自賠法施行令第2条第1項)。損害内容・支払基準治療費診察料、入院料、投薬料、手術料、処置料など⇒ 必要かつ妥当な実費(鍼灸や温泉療養費などは、医師が必要と指示した場合のみ認められる)通院費等通院、転院、入院、退院に要した交通費(バス代・電車代などの実費)⇒ 必要かつ妥当な実費(受傷の部位・程度によっては、タクシーも認められる)看護料入院中の看護料(原則として12歳以下の子どもに近親者が付き添った場合)⇒ 入院1日につき4,100円  2020年4月1日以降は、入院1日につき4,200円自宅看護料まはた通院看護料(医師が看護の必要性を認めた場合、または12歳以下の子どもの通院などに近親者が付き添った場合)⇒ 近親者は1日につき2,050円、それ以外は必要かつ妥当な実費  2020年4月1日以降は、1日につき2,100円諸雑費入院中に要した諸雑費(療養に必要な物品の購入、通信費など)⇒ 原則、入院1日につき1,100円(これを超える場合は、立証資料により必要かつ妥当な実費)柔道整復等の費用柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用⇒ 必要かつ妥当な実費義肢等の費用義肢、義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖などの費用⇒ 必要かつ妥当な実費診断書等の費用診断書、診療報酬明細書などの発行手数料⇒ 必要かつ妥当な実費文書料交通事故証明書、印鑑証明書、住民票などの発行手数料⇒ 必要かつ妥当な実費休業損害事故のため仕事や家事を休業し、その間の収入を得られなかった損害を補償(有給休暇の使用も含み、家事従事者も休業による収入の減少があったものとみなされる)⇒ 1日につき原則5,700円  2020年4月1日以降は、1日につき原則6,100円(これを超える収入減がある場合は、立証資料により19,000円を限度として実額)慰謝料交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償⇒ 治療期間の範囲内で、原則1日につき4,200円  2020年4月1日以降は、1日につき4,300円(妊婦が胎児を死産または流産した場合は、別途、慰謝料が認められる)後遺障害による損害の支払基準と支払限度額後遺障害による損害は、逸失利益と慰謝料です。後遺障害等級に応じて、支払限度額が定められています(自賠法施行令2条1項2号3号、別表第一、別表第二)。適正な損害賠償を受けるには、適正な後遺障害等級の認定を受けることがカギです。後遺障害に至るまでの傷害による損害については、120万円の支払限度額の範囲で保険金が支払われ、それにプラスして、後遺障害による損害に対する保険金が支払われます(自賠法施行令2条1項2号3号)。後遺傷害による逸失利益と慰謝料とは、次のようなものです。損害内容・支払基準逸失利益後遺障害がなければ得られたはずの利益⇒ 収入、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率、労働能力喪失期間などによって算出慰謝料交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する補償⇒ 後遺障害等級に応じて決まり、第1級~第3級に該当し被扶養者がいる場合は加算後遺障害等級ごとの支払限度額は、次の通りです。重度後遺障害(介護を要する後遺障害)の等級と支払限度額障害等級支払限度額うち慰謝料従来2020年4月1日以降第1級4,000万円1,600万円1,650万円第2級3,000万円1,163万円1,203万円※神経系統の機能や精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、介護を要する場合が該当します。第1級は常時介護を要する場合、第2級は随時介護を要する場合です。※被扶養者がいるとき、慰謝料が、第1級は1,800万円(→1,850万円)、第2級は1,333万円(→1,373万円)となります。赤数値は、2020年4月1日以降の金額です。後遺障害の等級と支払限度額障害等級支払限度額うち慰謝料従来2020年4月1日以降第1級3,000万円1,100万円1,150万円第2級2,590万円958万円998万円第3級2,219万円829万円861万円第4級1,889万円712万円737万円第5級1,574万円599万円618万円第6級1,296万円498万円512万円第7級1,051万円409万円419万円第8級819万円324万円331万円第9級616万円245万円249万円第10級461万円187万円190万円第11級331万円135万円136万円第12級224万円93万円94万円第13級139万円57万円変更なし第14級75万円32万円変更なし※被扶養者がいるとき、慰謝料が、第1級は1,300万円(→1,350万円)、第2級は1,128万円(→1,168万円)、第3級は973万円(→1,005万円)となります。赤数値は、2020年4月1日以降の金額です。後遺症が複数の部位で残る場合、複数の部位で後遺障害等級が認定されると、後遺障害等級が繰り上がる仕組みです。死亡による損害の支払基準と支払限度額死亡による損害に対する支払限度額は、被害者1人につき 3,000万円です(自賠法施行令2条1項1号)。葬儀費用、逸失利益、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料が支払われます。遺族慰謝料の請求権者は、被害者の父母・配偶者・子です。葬儀費用と慰謝料は、支払金額が定められていますが、逸失利益は、死亡本人の収入額や就労可能年数などによって決まります。例えば、収入のない高齢者が事故で死亡した場合には、逸失利益はほとんどなく、おおむね葬儀費用と慰謝料ということになります。なお、死亡に至るまでの治療費など傷害による損害に対しは、別途120万円を上限に保険金が支払われます(自賠法施行令2条1項1号)。損害内容・支払基準葬儀費通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用(墓地、香典返しなどは除く)⇒ 原則60万円、立証資料等により100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費  2020年4月1日以降は 100万円逸失利益生きていれば得られたはずの利益⇒ 収入額、就労可能年数、被扶養者の有無などから算出(本人の生活費を控除)慰謝料死亡本人⇒ 350万円(2020年4月1日以降は 400万円)遺族請求権者1名⇒ 550万円遺族請求権者2名⇒ 650万円遺族請求権者3名⇒ 750万円※被害者に被扶養者がいる場合は200万円加算※例えば、一家の大黒柱の夫が、妻と子2人を残して死亡したときの慰謝料は、400万円+750万円+200万円=1,350万円となります。赤数値は、2020年4月1日以降の金額です。被害者・加害者が複数いる場合の支払限度額自賠責保険の保険金の支払限度額は、被害者1人あたりの金額です(自賠法施行令第2条第1項)。1事故あたりの限度額ではありません。被害者が複数の場合や加害者車両が複数の場合、自賠責保険金の支払限度額は、次のようになります。被害者が複数の場合複数の被害者を出した場合は、被害者ごとに限度額まで保険金が支払われます。例えば、車の衝突事故で、被害車両に3人が乗車していて受傷した場合、被害者3人に、それぞれ120万円を限度として、加害車両の自賠責保険から保険金が支払われます。加害車両が複数の場合加害車両が複数ある場合は、加害車両それぞれの自賠責保険に保険金を請求できるので、支払限度額は、加害車両の数に応じて増えます。自賠責保険は、車両ごとに付保されるものだからです。つまり、被害者の損害額を限度に、[自賠責保険の支払限度額]×[加害車両数]が、自賠責保険の支払限度額となります。例えば、2台の車の衝突事故で双方に過失がある場合、いずれかの車に同乗していて負傷した被害者には、両方の車の自賠責保険から保険金が支払われます。この場合、自賠責保険の支払限度額は、被害者1人につき、120万円×2台=240万円になります。ただし、これは支払限度額が加害車両数に応じて増えるのであって、支払基準は変わりません。つまり、加害車両2台による傷害事故の場合、支払限度額は240万円(120万円×2)になりますが、例えば、傷害慰謝料が支払基準の2倍の1日8,600円(4,300円×2)になるわけでなく、1日4,300円で変わりません。保険期間中なら何度でも保険金が支払われる自賠責保険は、事故を起こして保険金が支払われた後、また別の事故を起こした場合でも、保険期間内であれば、同じ限度額で保険金が支払われます。自賠責保険には、「自動復元制度」が採用されているからです。したがって、自賠責保険は、保険期間中であれば、何度事故を起こしても契約が失効することはなく、何度でも支払限度額内で支払いを受けることができます。とはいえ、事故を起こさないのが一番です。まとめ自賠責保険・自賠責共済は、傷害による損害、後遺障害による損害、死亡による損害について、保険金・共済金の支払基準・支払限度額が決められています。自賠責保険・自賠責共済の支払限度額を超える損害が発生した場合は、その超過する損害については任意保険から支払われます。自賠責保険は、自賠法(自動車損害賠償保障法)にもとづき設けられた保険です。自賠責保険を取扱う損害保険会社が、勝手に契約内容を決めることはできません。約款に規定のない場合は、自賠法が適用されます。支払基準についてもっと詳しく知りたい方は、次のページをご覧ください。自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準※損害保険料算出機構のWebサイトにリンクしています。保険会社の提示額に疑問はありませんか?交通事故の損害賠償問題に詳しい弁護士に相談すれば、保険会社が提示する示談金の額が適正かどうか分かります。賠償金額を大幅アップできる可能性があります。一度、無料相談を試してみてはいかがでしょうか?実際に依頼するかどうかは、相談してから考えても大丈夫です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。あなたにおすすめの記事「示談後に後悔する人」と「納得の損害賠償額を得る人」の違いとは?交通事故被害者が本来取得できる適正な損害賠償金額の調べ方
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  • 自賠責保険と自賠責共済の違い
    自賠責保険と自賠責共済の違いとは?
    自賠責保険も自賠責共済も、自動車損害賠償保障法(自賠法)において契約の締結が義務付けられた強制保険で、制度は同じです。契約の引き受け主体が、損害保険会社か協同組合か、の違いだけです。2種類の強制保険自動車損害賠償保障法(自賠法)において、契約の締結が義務付けられているた強制保険には、「自賠責保険」と「自賠責共済」の2種類があります。正式には「自動車損害賠償責任保険」「自動車損害賠償責任共済」といい、「責任保険」「責任共済」とも呼ばれます。自賠責保険も自賠責共済も制度は同じ自賠責保険も自賠責共済も制度は同じで、契約の引き受け主体が異なるだけです。自賠責保険の引き受け主体(保険者)は損害保険会社、自賠責共済の引き受け主体(共済者)は協同組合です。自賠責保険は、保険契約者が損害保険会社に保険料を支払い、事故が発生したときに損害保険会社が保険金を支払います。自賠責共済も、組合員が組合に共済掛金を支払い、事故が発生したときに組合が共済金を支払います。このように、自賠責共済も組合員から共済掛金を集め、事故があったときに共済金を支払う仕組みですから、保険と同様の制度です。通常、自賠責保険というとき、自賠責共済も含まれます。自賠責保険の保険者保険者とは、保険契約の当事者のうち保険給付(保険金の支払い)を行う義務を負う者です。自賠責保険の保険者は、保険業法に規定する損害保険会社・外国損害保険会社等で、責任保険の引き受けを行う者(自賠法第6条1項)と定めています。つまり、自賠責保険は損害保険会社が販売するということです。自賠責共済の共済者(共済責任を負う者)共済者も保険者と同じで、共済契約の当事者のうち共済金の支払いを行う義務を負う者です。自賠法第6条2項において「共済責任を負う者」として次の協同組合をあげています。農業協同組合法に基づき責任共済の事業を行う農業協同組合または農業協同組合連合会消費生活協同組合法に基づき責任共済の事業を行う消費生活協同組合または消費生活協同組合連合会中小企業等協同組合法に基づき責任共済の事業を行う事業協同組合または協同組合連合会農業協同組合・全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)、全国自動車共済協同組合連合会(全自共)、全国トラック交通共済協同組合連合会(交共連)などが、自賠責共済事業に参入しています。つまり、自賠責共済は、JA共済などの協同組合が販売します。自賠責保険は、損害保険会社が扱う保険ですが、自賠責共済の取り扱いは、特定の地域・職業などの相互互助を目的とした、特定の団体に限定されるのです。自賠責保険の規定は自賠責共済に準用自賠責保険の契約に関する規定は、自賠責共済の契約に準用されます(自賠法第23条の3)。自賠責保険と自賠責共済が、同一の被害者保護機能を果たすためです。用語の読み替え自賠責保険の契約に関する用語は、自賠責共済の契約において次のように読み替えます。自賠責保険自賠責共済責任保険の契約責任共済の契約責任保険責任共済保険金額共済金額保険会社組合保険契約者共済契約者被保険者被共済者保険金共済金保険期間共済期間保険料共済掛金事業所管大臣との協議自賠責保険の支払基準などは、国土交通大臣・内閣総理大臣(金融庁長官に委任)が定めることになっています。一方、自賠責共済は、組合によって事業所管大臣が異なります。自賠責保険と自賠責共済で支払基準などが乖離すると、被害者保護の観点から合理性を欠くことになります。そのため、支払基準などを定める国土交通省令・内閣府令の制定・変更にあたっては、国土交通大臣・内閣総理大臣(金融庁長官)は、あらかじめ農林水産大臣・厚生労働大臣・事業所管大臣と協議し、統一した基準や規律を定めることが規定されています。自賠責保険と自賠責共済の運用面での違い自賠責保険の場合、契約した損害保険会社がどこであったとしても、損害保険料率算出機構が各地に設置した自賠責損害調査事務所が、損害の算定や後遺障害等級の認定などの損害査定業務を行います。自賠責共済では、損害査定業務を損害保険料率算出機構に委託している組合もありますが、独自に行っている組合もあります。JAの自賠責共済を除き損害保険料率算出機構に委託していますが、JAの自賠責共済の損害査定業務は、JA共済連が行っています。ただし、JA共済連が独自に損害査定業務を行っているとしても、損害査定基準は損害保険料率算出機構と同一の基準で行われています。2種類の引き受け主体ができた経緯自賠法が制定された当時は、責任保険(強制保険)の引き受け主体として「専用の保険組合」を設立する構想もあったようですが、業務の蓄積があり、運営コストも削減できることから、民間の損害保険会社を引き受け主体とすることになりました。なお、民間の損害保険会社が責任保険の引き受け主体であったとしても、責任保険事業が非営利(ノーロス・ノープロフィット原則)事業と法律で定め(自賠法第25条)、保険料負担で契約者に影響がないようにされています。その後、1995年(平成7年)の自賠法一部改正で、損害保険会社が行う責任保険と同様の制度として責任共済制度が整備されました。3つの協同組合が「共済責任を負う者」として加えられ、こうしてできたのが自賠責共済です。責任共済制度が設けられたのは、例えば、農業従事者にとっては、農業協同組合が行う方が便利であるという考えからです。同様の趣旨から、消費生活協同組合、中小企業等協同組合法にもとづく事業協同組合などでも、自賠責共済の事業を行えるようになりました。まとめ自賠責保険(責任保険)と自賠責共済(責任共済)は、契約の引き受け主体が異なるだけで、制度は同じです。自賠責保険の保険者は損害保険会社・外国損害保険会社で、自賠責共済の共済者は協同組合です。通常、自賠責保険という場合、自賠責共済も含みます。お困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 重過失減額
    自賠責保険は被害者に7割以上の重大な過失があると過失相殺
    自賠責保険・自賠責共済は、被害者に過失割合7割以上の重大な過失(重過失)があったときに限り、賠償額が減額されます。しかも、重過失により減額されるときでも、減額割合は被害者の過失割合よりも低く抑えられます。被害者に重大な過失がある場合に限り、賠償額を減額自賠責保険は、被害者の保護と救済を目的とする保険なので、過失相殺(被害者の過失割合に応じて賠償額を減額すること)が制限されています。任意保険では厳格に過失割合が適用されるのに対して、自賠責保険では被害者に「重大な過失」があった場合に限り、損害額から一定割合が減額されます。被害者の過失割合7割まで過失相殺されない過失相殺されるのは、被害者に7割以上の過失が認められる場合です。逆にいえば、被害者の過失割合が7割未満の場合は、減額されません。重過失として賠償額が減額される事故の例被害者側に7割以上の過失(重過失)が認められるケースとしては、次のような例があります。ただし、あくまで目安で、個別事情や修正要素により変わることがあります。歩行者の重過失の例・信号を無視して横断した・道路標識などで横断禁止となっている場所を横断した・泥酔して道路上で寝ていた車両の重過失の例・無免許運転、飲酒運転、居眠り運転・速度違反(一般道路で時速30㎞以上、高速道路で時速40㎞以上)・信号無視で交差点に進入し衝突・自優先道路から優先道路との交差点に進入して衝突・センターラインを越えて衝突自転車の重過失の例・飲酒運転・制動装置不良(ブレーキのないトラックレーサー)重過失でも減額割合は過失割合より小さい重過失であったとしても、減額割合は過失割合より低く抑えられています。例えば、被害者の過失割合が7~8割あったとしても、減額割合は2割といった具合です。なお、傷害による損害額(後遺障害・死亡に至る場合を除く)が20万円未満の場合(小損害事案)は、「重大な過失による減額」はありません。また、「重大な過失による減額」を行った結果、20万円以下となる場合は20万円が支払われます。重過失による減額の割合被害者に過失がある場合の具体的な減額割合は次の通りです。被害者の過失割合保険金の減額割合後遺障害・死亡傷害7割未満減額なし減額なし7割以上 8割未満2割減額2割減額8割以上 9割未満3割減額2割減額9割以上 10割未満5割減額2割減額(「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」7ページより抜粋)自賠責保険が任意保険より賠償額が高くなることがある損害額の算定基準は、任意保険基準の方が自賠責保険基準よりも高いのですが、被害者の過失割合が大きいときは、任意保険よりも自賠責保険の認定金額の方が高くなることがあります。これは、過失相殺が厳格に適用されるからです。例えば、傷害事故での損害額が、任意保険基準で100万円、自賠責保険基準で80万円と算定された場合の支払金額を考えてみましょう。被害者の過失割合が 6割のとき⇒ 任意保険は 6割減額され 40万円、自賠責保険は減額されないので 80万円被害者の過失割合が 9割のとき⇒ 任意保険は 9割減額され 10万円、自賠責保険は 5割減額され 40万円このように、被害者の過失割合が大きい場合、自賠責保険の方が任意保険よりも高額になります。被害者に100%の過失があったときは保険金が支払われない自賠責保険が被害者救済を目的とした制度とはいえ、被害者側に100%の過失がある事故の場合は、保険金が支払われません。100%被害者の過失で発生し、加害者にまったく責任のない事故を「無責事故」といいます。ただし、加害者側に事故の責任がなかったことを、加害者自身が立証しなければなりません。自動車損害賠償保障法(自賠法)では、「加害者が被害者の損害を賠償することが原則」だからです。加害者側に無過失の立証責任がある民法の損害賠償においては、賠償請求する被害者側が相手の賠償責任(過失があったこと)を立証しなければいけませんが、自賠法では、加害者側が無過失を立証できない限り損害賠償の義務を負う仕組みです。加害者が、次の3項目すべてを立証すれば「無責」となり、賠償責任を免れることができます(自賠法第3条ただし書)。加害者が無責となるために立証しなければならない3項目自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと(例)赤信号で停車中のA車にB車が追突し、B車のドライバーが負傷した場合、被害者に100%の過失があるとみなされ、A車は無責。被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと(例1)被害者の自殺行為や当たり屋行為(例2)赤信号で停車中のA車にB車が追突。はずみでA車が前方のC車に追突し、C車のドライバーが負傷した場合、B車の過失が100%認められ、A車は無責。自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと(例)車検や定期点検、運行前点検をクリアしていれば、ほぼ証明可能。無責事故は、「被害者の損害に加害者は責任がない」ということなので、当然、賠償責任もありません。そのため、自賠責保険から保険金は支払われません。「加害者の責任はない」ということは「加害者がいない」とうことですから、被害者の自損事故となります。被害者が任意保険の自損事故保険を契約していれば、それがを適用できます。死亡事故で多い「無責事故」無責事故となる例としては、被害車両が赤信号無視で交差点に進入し衝突したとか、わき見運転や居眠り運転によって停車中の車に衝突した、などがあります。通常、車同士の事故の場合、少なからず双方に過失があるものです。ところが、死亡事故の中には「無責事故」として自賠責保険が適用されなかったケースも多いといわれています。「無責事故」とされた中には、被害者が死亡したり意識が回復しないなど、加害者側の言い分だけで、事故が被害者の一方的な過失として処理されてしまうケースがあるようです。交通事故現場での被害者側の初期対応が重要です。まとめ自賠責保険は、被害者救済が目的であるため、過失相殺は被害者に重大な過失があった場合に限定されています。そういう点では、任意保険より被害者保護が手厚い保険といえます。ただし、事故後に警察によって作成される実況見分調書の内容によっては、過失割合が正しく判定されないことがあります。実況見分で、被害者側がきちんと主張を反映させることが重要です。お困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 加害者請求と被害者請求の違い
    自賠責保険・自賠責共済の加害者請求と被害者請求(直接請求)の違い
    自賠責保険・自賠責共済の保険金・共済金の請求には、被保険者による保険金・共済金の請求(加害者請求)と、被害者による損害賠償額の請求(被害者請求・直接請求)があります。被害者請求は、本請求のほか、仮渡金請求もできます。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ仕組みです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。加害者請求(15条請求)自賠責保険は、被保険者が損害賠償した後に、被保険者が保険会社に保険金を請求し、支払い手続きがなされるのが本来の姿です。保険金は、加害者が損害賠償金を支払ったことにより発生する損害を填補するものだからです。このように、被保険者である加害者が保険金の支払いを請求する方法が、「加害者請求」です。被保険者とは、保険事故が発生したときに、契約上定められた保険給付(保険金の支払い)を受ける立場にある人のことです。自賠責保険では、自動車の保有者と運転者が被保険者です。自動車の保有者・運転者については、次のように規定されています。保有者自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの運転者他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者※自動車損害賠償保障法(自賠法)第2条より抜粋。被保険者(加害者)による保険金の請求は、自動車損害賠償保障法(自賠法)第15条で規定されていることから「15条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、自賠法第23条の3第1項において準用が規定されています。自賠法第15条(保険金の請求)被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。被保険者が被害者に対して損害賠償金を支払った限度でしか保険金の支払いを請求できないのは、被保険者が保険金を被害者に対して支払わず着服してしまうことを防ぎ、被害者の救済を確実に保障するためです。被害者請求(直接請求・16条請求)被害者が加害者から損害賠償を受けられない場合、加害者の加入している自賠責保険に直接、損害賠償金の支払いを請求することができます。これが「被害者請求」です。「直接請求」ともいわれます。このとき、被害者が保険会社に請求するのは、保険金ではなく損害賠償金なので、被害者請求は「損害賠償額の請求」となります。被害者請求は、自賠法第16条で規定されているので「16条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、第23条の3第1項において準用が規定されています。自賠法第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)第1項(抜粋)保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。※「政令で定めるところにより」とは、損害賠償額の支払の請求は、必要な事項を記載した書面をもって行わなければならないということです。「16条請求」の要件16条請求は、「保有者の損害賠償の責任が発生したとき」に行うことができます。これは、保険金の支払い要件(自賠法11条)と同じです。保有者に損害賠償の責任はない(=運行供用者責任はない)と、自賠責保険会社が判断したときは、損害賠償額の支払いを受けることができません。加害者請求は、示談が成立しない場合や被保険者が損害賠償金を支払わない場合には保険金の請求ができません。これでは、被保険者の都合などで、被害者がいつまでたっても損害賠償金を受け取れない恐れがあります。そこで自賠責保険は、被保険者に損害賠償責任が生じた場合、被害者が直接保険会社に対して損害賠償額の支払いを請求できる制度になっているのです。加害者が死亡したり、逃げてしまった場合でも、被害者が直接請求することができます。被害者が加害者の自賠責保険に直接請求できる権利は、迅速で実効性ある被害者保護を実現するために自賠法によって特別に付与された権利で、「被害者請求権」または「直接請求権」と呼ばれます。被害者は自賠責保険の契約当事者ではありませんから、この請求権は契約にもとづく権利でなく、自賠法による法定の請求権です。直接請求と仮渡金請求被害者請求には、直接請求のほか、仮渡金請求の制度もあります。直接請求(本請求)本請求は、被害者の治療が完了し、損害額が確定した段階で行う請求です。自賠責保険の支払額が被害者の損害額に満たないときは、その差額(不足額)を加害者に請求することになります。加害者が任意保険に加入している場合は、差額を任意保険に請求します。仮渡金請求損害賠償額が確定して正式に賠償金が支払われるまでに、被害者側で、当面の治療費や生活費などの出費がかさみ、負担が大きくなることがあります。仮渡金は、損害額が確定する前や示談交渉中でも、被害者が請求すれば、損害額の一部前渡しができる制度です。仮渡金請求について詳しくはこちら内払金請求以前は、内払金請求もありました。治療費や入院費などの支払いが10万円を超えたときに、被害者・加害者を問わず請求できるというものでした。保険会社がサービスとして自発的に内払制度をつくっていましたが、利用率が低く、損害額が確定したごとに本請求すれば足りることから、2008年(平成20年)10月1日に廃止されました。まとめ自賠責保険(自賠責共済を含む)への保険金の支払い請求の方法には、加害者請求と被害者請求があります。本請求と仮渡金請求があります。加害者請求は本請求のみですが、被害者請求には仮渡金請求と本請求があります。加害者請求が、保険契約にもとづく保険金請求の方法です。被害者の損害が確定し、加害者が被害者に賠償金を支払った場合、その支払額の範囲内で保険金請求できます。被害者請求は、被害者が、相手方の自賠責保険に対し、損害賠償額の支払いを直接請求できる制度です。これは、自賠法で定められた特別の制度です。被害者請求には、損害額が確定する前にも請求可能な仮渡金請求の制度もあります。治療費など当座の費用が必要なときに利用するとよいでしょう。加害者の側が任意保険に加入していれば、任意保険会社による一括払いが普通ですから、被害者が相手方自賠責保険に直接請求する必要はありません。ですが、被害者が、相手方の自賠責保険に直接請求した方が、より多くの賠償金を受け取ることができ有利になる場合がありますから、検討してみるとよいでしょう。被害者請求する方が得する4つのケースお困りのことがあったら、保険会社との交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 仮渡金請求
    交通事故被害で当面の治療費・生活費に困ったら自賠責に仮渡金請求
    交通事故の被害者は、相手方の自賠責保険(自賠責共済を含む)に対し、仮渡金を請求できます。仮渡金は、加害者の損害賠償責任の有無は関係なく、賠償額確定前でも支払いを受けられます。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ仕組みです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。仮渡金請求とは仮渡金請求は、自動車事故で負傷・死亡した被害者(遺族を含む)が、治療費や生活費、葬儀費など当座の費用を必要としているにもかかわらず、加害者が賠償責任を否定し不誠実な対応をているようなときに、被害者が加害者の加入する自賠責保険に仮渡金の支払いを請求できる制度です。仮渡金とは、損害賠償金の一部前渡しです。被害者と加害者との間で損害賠償責任の有無で争いがある場合や、賠償額が確定していない段階でも請求できます。仮渡金請求は被害者にのみ認められた権利で、加害者は請求できません。自賠責保険に対する仮渡金請求は、自賠法第17条で規定されています。自賠責共済は、自賠法第23条の3第1項において準用が規定されています。自賠法第17条(被害者に対する仮渡金)第1項保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によつて他人の生命または身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を16条第1項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。仮渡金請求ができる要件仮渡金を請求できるのは、自動車の保有者が「運行によって他人の生命または身体を害したとき」です。直接請求(16条請求)のような「保有者の損害賠償の責任が発生したとき」という要件はありません。つまり、相手に賠償責任があるかどうかは問いません。責任割合も関係ありません。極端な話、相手に賠償責任がなくても仮渡金請求はできます。ただし、あとで賠償責任がないことが確定した時には返金しなければなりません。また、自賠責保険会社への被害者による直接請求ということでは直接請求権(自賠法第16条1項)と同じですが、仮渡金請求では損害の立証は必要なく、自動車事故で死傷した事実があれば請求できます。支払う金額は、あらかじめ決まっています。直接請求権に比べて簡便な方法で一定額を支払うというもので、迅速な被害者保護を目的とした制度です。仮渡金請求の注意点仮渡金は定額なので請求手続きが比較的簡単なうえ、自賠責損害調査事務所による調査の過程が省略されるので短期間(1週間程度)に支払われます。仮渡金請求に加害者の承諾は必要ありません。ただし、仮渡金請求の際には、次の点に注意が必要です。仮渡金請求 4つの注意点仮渡金は損害賠償額の「一部前渡し」ですから、後日、賠償額が決定したときに、仮渡金を差し引いて賠償金が支払われます。損害賠償決定額が仮渡金を下回ったときは、差額を過払い分として返還しなければいけません。加害者に損害賠償責任がないと確定したときは、返還を求められます。仮渡金請求できるのは、1回だけです。仮渡金の支払基準仮渡金は、被害者1人につき次の金額(定額)が支払われます。死亡事故支払額死亡した者290万円傷害事故支払額入院14日以上かつ治療期間が30日以上必要な場合大腿または下腿の骨折など40万円入院14日以上または入院を要し治療期間が30日以上必要な場合上腕または前腕の骨折など20万円治療期間が11日以上必要な場合5万円※自賠法施行令第5条より抜粋。この金額は、被害者1名あたりの金額です。ですから、例えば、傷害による仮渡金(40万円)を受け取った後に死亡した場合、その被害者は「死亡した者」にあたり、仮渡金は290万円請求できますが、290万円を超える仮渡金を受け取ることはできません。差額の250万円を請求することになります。また、加害車両が複数であったとしても、仮渡金の額は変動しません。自賠責保険の支払限度額は、加害車両が複数の場合、台数に応じて支払限度額が増加しますが、仮渡金の額は、加害車両が複数であっても変わりません。まとめ仮渡金請求は、交通事故の被害者が、当面の治療費や生活費などで困ったときに利用できる制度です。損害が確定していなくても、被害者が責任を認めない場合でも、加害者の自賠責保険に対して請求できます。仮渡金請求によって支払われる額は決められた一定額にすぎませんが、比較的簡単な手続きで支払いを受けることができます。加害者や任意保険会社が損害賠償額の内払いを拒否しているようなときには、利用してみてください。自賠責の仮渡金だけでは足りない場合、裁判所に「仮払い仮処分」を申し立てることができます。仮払い仮処分について詳しくはこちらをご覧ください。お困りのことがあったら、今すぐ保険会社との交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。あなたにおすすめの記事「仮払い仮処分」を申立て、治療費や生活費を加害者・保険会社に支払わせる治療費打ち切りを保険会社から言われたときの3つの対処法交渉力だけでない! 弁護士の介入で賠償額が増える本当の理由とは?
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  • 自賠責保険の免責事由
    自賠責保険・自賠責共済の免責事由とは?悪意免責と故意免責の違い
    自賠責保険・自賠責共済は、自動車損害賠償保障法(自賠法)にもとづく保険制度であり、被害者の保護・救済を目的としていることから、法律で免責事由を制限しています。自賠責保険・自賠責共済の保険金・共済金の支払いが免責となるのは、「重複契約」と「悪意事故」だけです。任意自動車保険と異なり、自賠責保険・自賠責共済の免責事由は、限定的です。以下、自賠責保険について説明しますが、自賠責共済も同じ取扱いです。自賠責保険と自賠責共済の違いはこちらをご覧ください。免責事由は「悪意事故」と「重複契約」のみ自賠法では、免責事由について次のように定めています。自賠法第14条(免責)保険会社は、第82条の3に規定する場合を除き、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。第82条の3は、「重複契約の場合の免責」に関する規定です。つまり、免責事由として法律で認められるのは、「重複契約の場合」と「悪意事故の場合」のみです。悪意事故というのは、保険契約者・被保険者の悪意によって生じた事故です。仮に、自賠責保険を引く受ける保険会社が、約款でこれら以外の免責事由を定めていたとしても無効となります。悪意事故の場合の免責自賠法は、「保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」(自賠法第14条)と規定しています。免責により保険金が全く支払われないのは、悪意事故の場合だけです。重複契約の免責は、重複分が免責となり、最初の1契約分は支払われます。任意自動車保険との違い任意自動車保険には、多くの免責事由があります。自賠責保険の「悪意免責」に対応するのは、任意自動車保険では「故意免責」です。任意自動車保険の免責事由はこちらをご覧ください。保険法第17条では、保険者の免責について次のように定めています。保険法第17条(保険者の免責)保険者は、保険契約者または被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害を填補する責任を負わない。戦争その他の変乱によって生じた損害についても、同様とする。責任保険契約(損害保険契約のうち、被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害を填補するもの)に関する前項の規定の適用については、同項中「故意または重大な過失」とあるのは「故意」とする。一般の責任保険契約における免責事由は、「故意によって生じた損害」です。任意自動車保険は、こちらに該当します。実際、自動車保険の約款にも、保険契約者・被保険者の故意によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨が明記されています。他方、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の免責事由は、「悪意によって生じた損害」です(自賠法14条)。「悪意」と「故意」は、どうちがうのでしょうか?「悪意免責」と「故意免責」の違い悪意とは「わざと」という意味で、「不正に他人を害する意思(害意)」と解されています。故意も同じように「わざと」という意味合いですが、結果が起ることを認容していれば、故意があったとされます。いわゆる「未必の故意」も、刑事上、故意と認定されます。故意の方が悪意より幅が広いわけです。悪意は「確定的故意」で、「人を轢くかもしれないが、轢いても構わないという気持ちで自動車を急発進させた」といった「未必の故意」は、悪意に含まれないとされています。具体的には、「積極的に人を轢こうとして、確定的故意犯として有罪判決を受けた場合」や「自動車を利用して無理心中し、殺人罪が成立する場合」のように、他人を害する意思が明白なときだけが、悪意に該当することになります(逐条解説 自動車損害賠償保障法より)。【関連】⇒「未必の故意」は故意免責に該当するか?重複契約の場合の免責1台の車につき、2つ以上の自賠責保険や自賠責共済との契約が締結されている場合が重複契約です。重複契約の場合、契約の締結時期(契約の始期ではありません)が最も早い契約以外の契約は免責となります。つまり、複数の自賠責保険・自賠責共済を契約していたとしても、保険金が支払われるのは一番最初の「1契約分」だけです。「重複契約の場合の免責」は、後から契約したものが免責になるだけで、一番最初に契約したものは保険金・共済金が支払われます。契約締結時期の最も早い契約が2つ以上ある場合、該当するそれぞれの保険契約から支払われる額は、自賠責保険から支払う総額を重複契約数で除した金額となります。それを超える金額については支払い責任を免れます。事例3社の損害保険会社と自賠責保険の契約をしていたとしましょう。A社・B社との契約締結日が同じで、C社との契約締結日は、それよりも後だったとします。傷害事故に関し 120万円の保険金請求があったとすれば、A社とB社は、それぞれ120万円 ÷ 2 = 60万円の保険金を支払う責任が生じ、残り60万円については免責となります。つまり、A社とB社が、それぞれ60万円ずつ支払い、C社は、支払いが免責となります。重複契約に関する規定は、被害者請求(直接請求・仮渡金請求)の場合も同じです。自賠法は「重複契約の場合の免責」について、次のように定めています。一部抜粋しておきます。自賠法82条の3(重複契約の場合の免責)一両の自動車について二以上の責任保険の契約又は責任共済の契約が締結されている場合においては、保険会社又は組合は、これらの契約のうち締結した時が最も早い契約以外の契約については、その締結した時が最も早い契約の保険期間又は共済期間と重複する保険期間又は共済期間において発生した自動車の運行による事故に係る損害のてん補、第16条第1項(第23条の3第1項において準用する場合を含む。)の規定による損害賠償額の支払及び第17条第1項(第23条の3第1項において準用する場合を含む。)の規定による仮渡金の支払(次項において「損害のてん補等」という。)の責めを免れる。前項の場合において、同項の締結した時が最も早い契約が二以上あるときは、保険会社又は組合は、これらの契約のうち一の契約については、当該契約に関し損害のてん補等をすべき金額をこれらの契約の数で除して得た金額を超える金額について、損害のてん補等の責めを免れる。 (以下、略)まとめ自賠責保険・自賠責共済の免責事由は、「保険契約者・被保険者の悪意によって生じた損害」と「重複契約」の2つだけです。これ以外の免責は、自賠法で認められていないので、仮に保険会社が、他の免責事由を約款で定めていても無効です。自賠責保険・自賠責共済は、悪意免責に該当する事故(保険契約者・被保険者の悪意によって生じた事故)であったとしても、保険会社は被保険者に対して保険金支払いの免責を主張できるだけで、被害者請求すれば損害賠償金は支払われます。自賠責保険・自賠責共済は、免責事由に該当しても被害者請求はできるお困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 免責事由でも被害者請求可能
    自賠責保険・自賠責共済は免責事由に該当しても被害者請求は可能
    自賠責保険(自賠責共済を含む)は、保険契約者・被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、損害の填補が免責されます。これを悪意免責といいます。悪意免責に該当する場合には、被保険者(損害賠償の責任を負う加害者)が保険金の支払いを請求しても、保険会社は免責を主張できます。しかし、悪意免責に該当する場合でも、被害者が直接、自賠責保険に賠償金の支払い請求したときは、免責を主張できません。被害者請求した場合には、損害賠償額が支払われます。免責事由に該当しても、なぜ被害者請求は可能なのか?免責事由に該当しても、なぜ被害者請求ができ、保険会社は支払いを拒否できないのか?簡単にいえば、法律に定めがあるからです。自動車損害賠償保障法(自賠法)で、被害者の直接請求権を特別に定めているからです。これが、一般の自動車保険(任意保険)との違いです。被害者の直接請求権は、保険契約にもとづく保険金請求権とは違い、自賠法によって定められた被害者の特別の権利なのです。そもそも賠償責任保険契約というのは、保険会社と被保険者との間の契約です。保険契約者が保険料を支払い、保険事故があった場合には保険会社が被保険者の損害を填補するために保険金を支払うものです。自動車保険も同様です。事故が発生したとき、加害者は被害者に対して賠償金を支払います。支払った賠償額は、加害者にとっては損失(損害)となります。その損害を補填するのが自動車保険です。自動車保険の中でも自賠責保険は、単に保険契約にとどまらない被害者の保護・救済を目的に、法律(自賠法)にもとづいて創設された強制保険です。被害者救済を保障する制度という位置づけがあります。そのため、自賠責保険でもカバーしきれない部分については、政府が直接保障する制度(政府保障事業)も設けています。ですから、通常なら、保険契約の当事者(保険契約者・被保険者)が故意に事故を起こし、保険金を騙し取る行為に対しては保険金は支払われませんが、このような免責事由に該当する場合でも、被害者の直接請求権は否定されず、被害者請求が可能な仕組みになっているのです。悪意免責の場合の被害者請求悪意免責に該当する場合に、被害者が直接請求して、保険会社が賠償金を支払ったとき、この賠償金は、保険会社にしてみれば、本来なら免責になり、支払う責任がないものです。そのため、保険会社は、被害者の直接請求に応じて支払った金額について、あとから政府の保障事業(自動車損害賠償保障事業)に請求できる仕組みになっています。つまり、保険会社は被害者に賠償金を支払いますが、賠償額の支払い義務があるからでなく、立替払いをしているだけなのです。保険会社から請求があると、政府は保障事業から補償金を支払います(自賠法72条2項)。これにより政府は、その支払金額の限度で、被害者が加害者に有する損害賠償請求権を取得します(自賠法76条2項)。最終的には、政府から加害者に対して求償がなされるという仕組みです。重複契約の場合、一番最初の「1契約分」は支払われる重複契約は、1台の車に複数の自賠責保険が契約されていることです。重複契約の場合の免責とは、一番最初の契約だけが有効で、あとから契約したものは免責になるということです。この場合、免責といっても、「1契約分」については支払われます。これは、加害者請求でも被害者請求でも同じです。被害者が知らずに「契約が後の保険会社」へ請求したとき被害者が重複契約を知らずに、該当する保険契約(締結時期がもっとも早い保険契約)以外の保険契約に賠償金の支払いを請求し、保険会社も知らずに支払ったときは、どうなるのでしょうか?この場合、保険会社は本来免責となるものを支払い、被害者が不当利得を得たことになるので、民法703条の規定(不当利得の返還義務)により、保険会社は被害者に対して返還請求できることになります。しかし、それでは被害者救済になりません。そこで、本来なら免責を主張できた保険会社は、給付した額を限度に、被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権を取得し、被害者に対する返還請求権を失う仕組みになっています(自賠法第82条の3第3項・4項)。こうして、その保険会社は、被害者に支払った額を加害者に請求して回収します。加害者は本来請求すべき保険会社に保険金請求することで、損害が補填されます。重複契約は、保険会社と被保険者の間の問題です。被害者は、加害者が契約しているどの保険会社から支払いを受けても同じです。このように処理することで、被害者が不利益を被ることのないようになっています。ただし、スムーズに被害者請求するためには、加害者が複数の自賠責保険を契約していることが分かったなら、最も契約締結時期が早いのはどの契約かを確認し、そこに対して請求するようにしましょう。まとめ自賠責保険・自賠責共済は、「保険契約者・被保険者の悪意によって生じた損害」と「重複契約」に限り、免責事由に該当します。ただし、たとえ悪意免責に該当する場合でも、被害者請求の場合は、保険会社は免責を主張できません。お困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 政府保障事業と自賠責保険の違い
    政府の自動車損害賠償保障事業と自賠責保険・自賠責共済との違い
    政府保障事業によって被害者に支払われる限度額は、自賠責保険(自賠責共済を含む)と同じですが、政府保障事業は、自賠責保険制度を補完し、各種の保険制度によっても救済しきれない被害者を最終的に救済する措置であるため、自賠責保険と一部運用が異なる部分があります。ここでは、政府保障事業と自賠責保険制度の違いについて、見ていきましょう。政府保障事業の基本的な保障内容は自賠責保険と同じ政府保障事業の損害の填補限度額や、被害者に過失がある場合の減額の仕方(重過失減額)については、自賠責保険の保険金の支払基準と同じです。損害の填補の限度額政府保障事業の填補限度額は、自賠責保険の支払限度額と同じです。限度額死亡1人につき 3,000万円傷害1人につき 120万円後遺障害等級に応じ 75万円~4,000万円政府保障事業の損害の填補の限度額について、自賠法施行令20条で次のように定めています。自賠法施行令20条(自動車損害賠償保障事業が行う損害のてん補の限度額)法第72条第1項の政令で定める金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、それぞれ第2条に定める金額とする。第3条の2の規定は、法第72条第1項の規定により政府が行なう損害のてん補について準用する。条文中の自賠法第72条第1項は、政府保障事業の業務について定めた条項です。「政令で定める金額」の限度において損害を填補する旨を規定しています。この「政令で定める金額」について、施行令20条1項は、被害者1人につき「第2条に定める金額とする」と定めています。施行令2条は、自賠責保険の保険金額を定めた条項ですから、政府保障事業の填補限度額は、自賠責保険の保険金額と同一となります。さらに、政府保障事業の填補限度額は、被害者1名単位で定められていること(1事故あたりの限度額は設定されていないこと)も、自賠責保険と同じです。また、施行令20条2項は、同第3条の2(休業損害日額の限度額を1日あたり1万9千円とする)を保障事業でも準用すると定めていますから、休業損害に関する填補額も、自賠責保険と同一ということになります。被害者に過失がある場合の減額被害者に過失がある場合、損害賠償金は、過失相殺率・過失割合に応じて過失相殺されますが、自賠責保険では、被害者を保護・救済するため、被害者に重大な過失がある場合のみ一定割合で減額する仕組みになっています。政府保障事業も、現在は自賠責保険と同じです。政府保障事業は、2007年(平成19年)3月31日までは一般の損害賠償と同じ過失相殺基準が適用されていましたが、被害者救済を重視した法改正により、「自動車損害賠償保障事業が行う損害のてん補の基準」を告示として制定し、2007年4月1日以降に発生した事故については、自賠責保険と同様の「重過失減額」が採用されました。自動車損害賠償保障事業が行う損害のてん補の基準(平成19年 国土交通省 告示第415号)(国土交通省のWebサイトにリンクしています)政府保障事業に対する請求権の消滅時効政府保障事業に対する被害者の填補請求権は、自賠責保険の被害者請求権(直接請求権)と同じく、3年で時効により消滅します(自賠法75条)。時効の起算日についても同様に、傷害に関する損害は事故日から、後遺障害に関する損害は症状固定日から、死亡に関する損害は死亡日から進行する、と運用されています。ただし、政府保障事業に対する請求権は、時効の更新はできません。また、加害車両の保有者と疑われる者がいて、自賠法3条による損害賠償請求権の存否が争われている場合には、その損害賠償請求権が存在しないことが確定した時から、時効が進行するとされています。さらに詳しくは、政府保障事業に対する請求手続と消滅時効をご覧ください。政府保障事業と自賠責保険の相違点政府保障事業が自賠責保険と異なるのは、次の点です。被害者しか請求できず、加害者請求はできません。健康保険や労災保険など他の法令による給付を受けられる額については、支払われません。加害者と被害者が同一生計の親族間事故は、原則として支払われません。複数の加害車両が関わる事故の場合、保障されるのは1台分です。自賠責保険の仮渡金に相当する制度はありません。被害者しか請求できない自賠責保険は、加害者による保険金の請求も被害者による損害賠償額の請求もできますが、政府保障事業は、被害者による損害の填補の請求しかできません。そもそも政府保障事業は、加害者不明や無保険などの理由で、加害者側から損害賠償を受けられない場合に、被害者の損害を填補し救済する制度だからです。他の法令により受けられる給付額は支払わない政府保障事業は、自賠責保険その他の方法によって救済されない被害者に、最終的救済措置として必要最小限度の救済を保障する制度です。そのため、健康保険や労災保険など他の法令による給付を受けられるときは、その額は支払われません(自賠法第73条1項)。自賠法では、「他の法令による給付との調整等」について、次のように定めています。自賠法第73条1項被害者が、健康保険法、労働者災害補償保険法その他政令で定める法令に基づいて前条第1項の規定による損害のてん補に相当する給付を受けるべき場合には、政府は、その給付に相当する金額の限度において、同項の規定による損害のてん補をしない。条文中の「前条第1項」とは、簡単にいうと「政府は、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、損害をてん補する」という規定です。ここで、健康保険法や労災保険法などから「給付を受けるべき場合」となっていることに注意してください。「給付を受けた場合」ではなく「受けるべき場合」です。政府保障事業は、他に救済の方法がない被害者に最低限の救済を確保しようとするものですから、被害者に健康保険や労災保険などの社会保険に対する給付の請求権がある場合には、必ずこれらの社会保険を使用することが前提となっているのです。つまり政府保障事業は、まず健康保険や労災保険から給付を受けて、それでも損害を填補しきれない場合に、填補限度額の範囲内で損害の填補をする仕組みなのです。国土交通省自動車局保障制度参事官室監修の『新版 逐条解説 自動車損害保障法』(ぎょうせい)では、「本項は、…まず社会保険による給付を受けるべきこと、他の給付を受けたときは保障金の支払いをしないことを定めたのである」(229ページ)と説明されています。親族間事故については支払われない自賠責保険は、加害者と被害者が同一生計の家族であっても保険金が支払われますが、政府保障事業では、同一生計の親族間事故については、原則として填補しない運用がされています。政府が保障事業による損害の填補をしたとき、最終的に本来の賠償責任者に求償することになります(自賠法第76条1項)。同一生計の親族間事故の場合、同一生計の家族に対し、損害を填補して、後から求償することになり、実質的に意味がないからです。ただし例外として、加害者(損害賠償責任者)が死亡し、法定相続人である被害者(請求権者)が相続の放棄または限定承認をした場合は填補金が支払われます。複数の加害車両が関わる事故加害車両が複数の場合、自賠責保険では、それぞれの自動車の自賠責保険に損害賠償請求でき、支払限度額は合算した額となります。つまり、加害車両数に応じて限度額が増えます。政府保障事業は、無保険車による事故の損害を填補しますが、無保険車が複数の場合、その台数分、填補限度額が増えるかというと、そうはなりません。自賠責保険に加入している自動車と無保険車がある場合、自賠責保険に加入している自動車については、自賠責保険から車両数分を合算した額を限度額として賠償金を受けることができるだけで、無保険車に対する政府保障はありません。保障事業による填補は行われません。加害車両のすべてが無保険車だった場合は、1台分だけ政府保障事業から填補されます。つまり、複数の無保険車が関わる事故であっても、保障事業からの填補金の限度額は、無保険車 1台分です。これは、政府保障事業が、損害賠償でなく、被害者に必要最小限度の救済を保障する制度だからです。仮渡金の制度はない政府保障事業は、他の手段によって救済を受けることができない被害者に最小限の救済を確保する制度であり、被害者の損害を填補するものです。政府保障事業への請求は、被害者に損害賠償請求権が存在することが前提です。そのため、加害者の損害賠償責任の有無を問わない仮渡金の制度はありません。保障事業の填補額(保障金額)の算定方法政府保障事業は、自賠責保険の支払基準と同様の「損害のてん補の基準」にもとづき算定されます。この填補基準により算定された損害額(填補対象額)が、法定限度額(政令で定める填補限度額)を超えない場合は損害額から、超える場合は限度額から、他の法令による給付額と損害賠償責任者からの支払額を控除した額が、被害者に支払われることになります。他の法令による給付との調整被害者が、他の法令による給付を受けた場合は、その限度において、保障事業による損害の填補はされません。他の法令による給付は「損害の填補に相当する給付」(自賠法第73条1項)であり、損害の填補を目的としない給付(出産手当金や退職共済年金など)は該当しません。政府保障事業の填補より先に受けるべきとされている法令による給付は、自賠法73条1項と同施行令21条に限定列挙されています。法73条健康保険法労働者災害補償保険法令21条船員保険法労働基準法船員法四災害救助法消防組織法消防法水防法国家公務員災害補償法警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律証人等の被害についての給付に関する法律国家公務員共済組合法国民健康保険法災害対策基本法地方公務員等共済組合法河川法地方公務員災害補償法高齢者の医療の確保に関する法律介護保険法武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律これらの法律で救済され得る場合は、まずその給付を受け、その給付では損害の全部を補填することができない場合には、保障事業に請求できます。将来にわたって給付される他法令給付分他の法令による給付額には、支給を受けることが確定したものだけでなく、将来にわたって給付される分も含みます。例えば、労災給付のうち年金部分については、すでに支給を受けた額と支給を受けることが確定した額だけでなく、確定していない将来給付分も控除されます。最高裁第1小法廷判決(平成21年12月17日)最高裁は、「被害者が他法令給付に当たる年金の受給権を有する場合、政府が填補すべき損害額は、支給を受けることが確定した年金の額を控除するのではなく、当該受給権に基づき被害者が支給を受けることになる将来の給付分も含めた年金の額を控除して、算定すべきである」とする判断を示しています。ただし、この判決には、「労災保険法による障害年金給付の将来分を控除すべきでない」とする反対意見も付されています。損害賠償との調整被害者が、無保険車を運行させていた者等から、損害賠償を受けた場合は、本来の賠償責任者から損害賠償を受けたことになるので、その限度で保障事業から損害の填補は行われません。すなわち、その額が控除されます。被害者が、損害賠償責任者から人身損害に関する支払いを受けたときは、名目が何であれ(例えば見舞金)、その限度で保障事業による損害の填補は受けられません。ただし、政府保障事業は、人身損害についての填補ですから、物損について支払われた金額は、保障事業からの填補額に影響しません。損害賠償の支払いを受ける場合は、その趣旨を明確にしておくことが必要があります。まとめ政府保障事業により被害者に支払う損害の填補限度額は、自賠責保険の支払限度額と同じです。被害者に過失がある場合の減額も、自賠責保険と同様の重過失減額です。請求権の消滅時効も、自賠責保険と同じ3年です。ただし、政府保障事業は、自賠責保険と異なる運用がされている点もあります。特に注意が必要なのは、次の点です。社会保険給付等を受けられる場合には、そちらを先に必ず受け、それでも損害が填補されない場合にのみ、政府保障事業に対し保障金の請求ができる。複数車両が関係する事故の場合、1台でも自賠責保険から損害の填補を受けられれば、政府保障事業に保障金の請求はできず、すべて無保険車だったとしても保障金を請求できるのは1台分のみ。親族間の事故の場合には、政府保障事業による損害の填補は行われない。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでも無料相談のお申込みができます。公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※「加害者の方」や「物損のみ」の相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『自賠責保険のすべて 13訂版』保険毎日新聞 社176~180ページ・『新版 逐条解説 自動車損害賠償保障法』ぎょうせい 223~233ページ・『逐条解説 自動車損害賠償保障法 第2版』弘文堂 228~237ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 322~324ページ・『交通事故損害賠償保障法 第3版』弘文堂 400~402ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 359~365ページ・『交通事故事件の実務―裁判官の視点―』新日本法規 139~140ページ、152~154ページ、162~163ページ
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  • 自賠法3条の他人
    自賠法3条の他人とは?自賠責保険における他人性の判断基準
    自賠責保険に保険金(損害賠償額)の支払いを請求するには、被害者が、事故を起こした車両の運行供用者との関係で「他人」に当たることが要件となります。「他人」に当たらないときは、自賠責保険の支払いを受けられません。自賠法にいう「他人」とは?「他人性」をどう判断するのか?裁判例をもとに、詳しく見ていきましょう。自賠法3条の「他人」とは?自賠法(自動車損害賠償保障法)は、運行供用者責任について、次のように定めています。自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。自賠法では、自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)が、その運行によって「他人」の生命・身体を害したとき、損害賠償責任が生じます。つまり、自賠法3条にもとづき運行供用者に損害賠償を請求するには、被害者が運行供用者との関係で「他人」であることが要件となるのです。運行供用者について詳しくは、次のページをご覧ください。運行供用者とは?運行供用者の判断基準自賠法における運行供用者・運転者・保有者・被保険者の違いでは、自賠法3条にいう「他人」とは?自賠法3条の「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者自賠法に「他人」の定義規定はありません。判例により、自賠法3条にいう「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者を指すと解されています。運行供用者とは「自己のために自動車を運行の用に供する者」(自賠法3条)であり、運転者とは「他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者」(自賠法2条4項)です。ここで「他人のために」というのは「自己のために」の反対概念であって、自動車の使用についての支配権とそれによる利益が他人に帰属することを意味します。自賠法3条にいう「他人」について、運行供用者と運転者以外の者を指す、と判示した最高裁判例は次のものです。最高裁第二小法廷判決( 昭和42年9月29日)自賠法3条本文にいう「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当である。最高裁第二小法廷判決(昭和37年12月14日)自賠法3条本文にいう「他人」のうちには当該事故自動車の運転者は含まれない。最高裁第三小法廷判決(昭和57年4月27日)自賠法3条本文にいう「他人」のうちには、当該自動車の運転者及び運転補助者は含まれない。運行供用者と運転者は、自賠法の保護対象外運行供用者と運転者・運転補助者以外の者が「他人」ということは、運行供用者と運転者・運転補助者は、事故で負傷しても、自賠法により保護されない、すなわち、自賠責保険による救済を受けられない、ということです。運行供用者は「事故の発生を防止すべき立場」にあり、運転者は「事故を起こした加害者」です。運行供用者および運転者は、自動車の運行に関して注意義務を負い、事故によって生じた損害の賠償責任を負う者ですから、自賠法により保護すべき「他人」には当たらない、というわけです。ただし、裁判例では、運行供用者や運転者・運転補助者であっても、「他人性」が認められるケースがあります。それはどんな場合か? 運行供用者や運転者・運転補助者の「他人性」をどう判断するのか? 具体的に見ていきましょう。家族や知人・友人の「他人性」被害者が運転者の家族や知人・友人であるからといって、それだけで「他人」に該当しないと判断されるわけではありません。次のような裁判例があります。妻は「他人」運転者と同乗者との間に親族関係があっても、そのことのみで同乗者が「他人」に当たらないとはされません。夫が運転中事故を起こし、同乗していた妻が負傷した事案につき、最高裁は、「自賠法3条は、運行供用者および運転者以外の者を他人といっているのであって、被害者が運行供用者の配偶者等であるからといって、そのことだけで、かかる被害者が他人に当らないと解すべき論拠はなく、具体的な事実関係のもとにおいて、かかる被害者が他人に当るかどうかを判断すべきである」と指摘したうえで、次のように判示しました。最高裁第三小法廷判決(昭和47年5月30日)妻が夫の運転する自動車に同乗中、夫の運転上の過失により負傷した場合であっても、右自動車が夫の所有に属し、夫が、もっぱらその運転にあたり、またその維持費をすべて負担しており、他方、妻は、運転免許を有しておらず、事故の際に運転補助の行為をすることもなかったなど判示の事実関係のもとにおいては、妻は、自賠法3条にいう他人にあたると解すべきである。自賠責保険は家族間の事故であっても保険金請求できる自賠法3条の「他人」には同乗者も含まれる好意無償同乗者も、自賠法3条にいう「他人」に当たる、との判断を最高裁が示しています。最高裁第二小法廷判決(昭和42年9月29日)自賠法3条本文にいう「他人」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者および当該自動車の運転者を除くそれ以外の者をいうものと解するのが相当であり、酩酊のうえ助手席に乗り込んだ者も、運転手がその乗車を認容して自動車を操縦したものである以上、「他人」に含まれる。運転者が無償で好意により同乗させた者(好意同乗者・無償同乗者)が、自賠法3条にいう「他人」に当たるか、については様々な議論がありましたが、今日ではこれを肯定し、同乗の態様に応じて同乗者に対する賠償額を減額することができるかの問題が中心となっています。(参考:佐久間邦夫=八木一洋編『交通損害関係訴訟【補訂版】』青林書院 58ページ)好意無償同乗者への自賠責保険金の支払いについて詳しくはこちら運転者・運転補助者の「他人性」運転者および運転補助者は、加害者側として、運行供用者とともに、基本的には「他人」から除外されます。しかし、被害者保護の観点から、運転者や運転補助者が、その地位(立場)から離脱していたときに事故に遭った場合には、「他人」性を認めています。運転者(狭義の運転者)の他人性運転者(狭義の運転者)とは、「他人のために自動車の運転に従事する者」ですから、タクシー会社に雇用されているタクシー運転手や、バス会社に雇用されているバス運転手などが該当します。運転者を事故時に「現実に運転行為に従事していた者」と考え、一時的にその地位から離脱していた場合は、「他人性」が認められるケースがあります。例えば、長距離トラックの運転者が、事故発生時に、同乗していた交替運転手や運転助手に運転を委ねて、助手席や車内ベッドで仮眠していたような場合には、運転者の地位から離脱していたとして、「他人」と認められる可能性があります。ただし、事故時に直接運転に従事していなかったからといって、直ちに運転者の地位を離脱するわけではなく、そういう場合には「他人性」が否定されます。次のような裁判例があります。最高裁第二小法廷判決(昭和44年3月28日)正運転手としてみずから自動車を運転すべき職責を有し、助手に運転させることを業務命令により禁止されていたにもかかわらず、他所から来てまだ地理も分らない助手に運転させ、みずからは助手席に乗車して助手に運転上の指図をしていた正運転手は、事故時に運転者であったと解すべきであり、自賠法3条にいう「他人」に当たらない。運転補助者の他人性運転補助者とは、「他人のために自動車の運転の補助に従事する者」で、例えば、バスの後退を誘導する車掌などが当たります。事故が運転補助者の職務の範囲外の事実に起因する場合には、運転補助者の地位から離脱していることなどを根拠として「他人性」が認められるケースがあります。運転補助者の「他人性」を否定した最高裁判例としては、次のものがあります。最高裁第三小法廷判決・昭和57年4月27日運転者と「共同一体的に運行に関与した者として、少なくとも運転補助者の役割を果たしたものと認められる事情が多分にうかがわれる」場合は、「他人に当たらないと解される余地がある」とし、「単に命令服従関係になかったというだけでは、自賠法3条本文にいう他人に当たるとは断じえない」としました。運転補助者の「他人性」を認めた最高裁判例としては、次のようなものがあります。トラックに積載された鋼管杭をクレーン車の装置により工事現場に荷下ろしする際に、玉掛け作業を手伝ったトラックの運転者が鋼管杭の落下により死亡した事故で、被害者はクレーン車の運転補助者ではなく「他人」に当たるとしました。最高裁第二小法廷判決(平成11年7月16日)鋼管杭は工事現場で車上に積載したままの状態で工事業者に引き渡す約定とされており、トラックの運転者Aは、クレーン車の運転者Bが行う鋼管杭の荷下ろし作業について、指示や監視をすべき立場にも、作業を手伝う義務を負う立場にもなく、また、鋼管杭が落下した原因は、Bが自らの判断で鋼管杭を安全につり上げるのには不適切な短いワイヤーロープを使用した上クレーンの補巻フックにシャックルを付けずにワイヤーロープを装着したことにあり、その後Aが好意から玉掛けを手伝って行った作業が鋼管杭落下の原因となっているものではないという事情の下においては、Aは、クレーン車の運転補助者には該当せず、自賠法3条にいう「他人」に当たる。裁判例によると、運転者を補助すべき立場・地位にあり、その補助行為が事故の原因となっている場合には、運転補助者として「他人性」が否定されます。つまり、①運転者を補助すべき立場・地位にあること、②補助作業と事故発生との因果関係の存在が、運転補助者に該当する判断基準となります。①または②のどちらかの要素が否定されれば、補助行為をした者であっても、「他人性」が認められる可能性があります。共同運行供用者の「他人性」運行供用者は、事故発生を防止すべき立場にあり、自賠法における損害賠償の責任主体です。したがって、事故で被害者となっても、原則として自賠法3条にいう「他人」には当たらず、自賠法により保護されません。しかし、現在では、このような形式的な解釈はなされず、他にも運行供用者となる者(共同運行供用者)がいる場合には、共同運行供用者相互の運行支配の程度・態様を比較し、被害者となった運行供用者より他方の運行供用者の運行支配の程度が勝るときは、「他人性」が認められる場合があります。運行供用者であっても「他人性」が認められれば、付保されている自賠責保険に対し、保険金(損害賠償額)の支払いを請求できる場合があります。共同運行供用者の「他人性」については、被害者となった運行供用者以外の運行供用者が事故車両に同乗していたかどうかによって、次のように3つに類型化して検討されます。非同乗型事故時に、他方の運行供用者が同乗していなかった場合同乗型事故時に、他方の運行供用者も同乗していた場合混合型事故時に、他の運行供用者が車外と車内にいる場合非同乗型非同乗型とは、他方の運行供用者が、事故車両に同乗していなかったケース、すなわち車外にいたケースです。非同乗型の場合、「車外の運行供用者」と「被害者となった車内の運行供用者」の運行支配の程度・態様を比較し、どちらの運行支配が、直接的・顕在的・具体的か、によって判断します。非同乗型の判例次のような最高裁判例があります。同族会社の取締役が、私用で会社所有の自動車をみずから運転して出かけ、途中、同乗していた従業員と運転を交代し、従業員が運転中にガードレールに衝突し、取締役が受傷した事案です。最高裁第三小法廷(昭和50年11月4日)取締役Aは会社の業務終了後の深夜に本件自動車を業務とは無関係の私用のためみずからが運転者となりこれに従業員Bを同乗させて数時間にわたって運転したのであり、本件事故当時の運転者はBであるが、この点も、Aが会社の従業員であるBに運転を命じたという関係ではなく、Aみずからが運転中に接触事故を起こしたために、たまたま運転を交代したというにすぎない、というのであって、この事実よりすれば、Aは、本件事故当時、本件自動車の運行をみずから支配し、これを私用に供しつつ利益をも享受していたものといわざるをえない。もっとも、会社による本件自動車の管理の態様や、Aの会社における地位・身分等を斟酌すると、Aよる本件自動車の運行は、必ずしも、その所有者たる会社による運行支配を全面的に排除してされたと解し難いが、そうであるからといって、Aの運行供用者たる地位が否定される理由はなく、かえって、会社による運行支配が間接的、潜在的、抽象的であるのに対し、Aによるそれは、はるかに直接的、顕在的、具体的であるとさえ解されるのである。それゆえ、本件事故の被害者であるAは、他面、本件事故当時において本件自動車を自己のために運行の用に供していた者であり、…会社もまたその運行供用者であるというべきものとしても、その具体的運行に対する支配の程度・態様において被害者たるAのそれが直接的、顕在的、具体的である本件においては、Aは会社に対し自賠法3条の「他人」であることを主張することは許されないというべきである。この判例の判断基準によれば、運行供用者であっても、運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者より間接的・潜在的・抽象的であれば「他人」といえる場合があり得るということです。ただし、実際に、自動車の運行を直接的・顕在的・具体的に支配している車内の運行供用者が、車外の運行供用者との関係で「他人」となることは難しいでしょう。同乗型同乗型とは、他方の運行供用者が、事故車両に同乗・運転していたケースです。同乗型の場合、車内の運行供用者同士の運行支配の程度・態様が比較されることになります。どちらの運行支配が、より直接的・顕在的・具体的か、ということです。このとき、運行支配の比較は、「ハンドルを握っていた」など物理的な支配の程度だけではなく、「自動車の運行による危険を制御すべき立場」という規範的な支配の程度として比較・検討されます。同乗型の判例次のような最高裁判例があります。自動車の所有者Aが、友人Bに運転を委ねて同乗中、Bの起こした事故により死亡した事案です。最高裁第二小法廷判決(昭和57年11月26日)所有者Aは、友人Bとともに本件自動車の運行による利益を享受し、これを支配していたものであって、単に便乗していたものではないと解するのが相当であり、また、Aがある程度B自身の判断で運行することをも許したとしても、Aは事故の防止につき中心的な責任を負う所有者として同乗していたのであって、同人はいつでもBに対し運転の交替を命じ、あるいは、その運転につき具体的に指示することができる立場にあったのであるから、BがAの運行支配に服さず同人の指示を守らなかった等の特段の事情がある場合は格別、そうでない限り、本件自動車の具体的運行に対するAの支配の程度は、運転していたBのそれに比し優るとも劣らなかったものというべきであって、かかる運行支配を有するAはその運行支配に服すべき立場にあるBに対する関係において同法3条本文の他人にあたるということはできないものといわなければならない。この最高裁判例は、同乗していた所有者(被害者となった運行共有者)が、運転していた者(他方の運行供用者)との関係において「他人」といえるか、について、「特段の事情」がない限り、事故防止の中心的責任を負う所有者である運行供用者の運行支配の程度は、運転者の運行支配の程度に比べ、優るとも劣らない(=同等)とし、「他人性」を否定しました。判決のポイントは2つです。運行支配が同等の者の間では、自賠法3条の他人であることを主張できない車の所有者は事故の防止につき中心的な責任を負い、運転していなくても同乗している以上、特段の事情がない限り、運行支配の程度は運転者と同等「特段の事情」とは?「特段の事情」としては、①運転者が運行供用者の指示を守らなかった場合や、②飲酒のために運転代行を依頼した場合などがあります。代行運転について、「他人性」を肯定した次のような最高裁判例があります。運転代行業者に運転を依頼して同乗中に事故により負傷した自動車の使用権者Aが、運転代行業者に対する関係において、自賠法3条の他人に当たるとされた事例です。最高裁第二小法廷判決(平成9年10月31日)Aは、会社の所有する本件自動車を貸与され、これを会社の業務や通勤のために使用するほか、私用に使うことも許されていた。自動車の所有者は、第三者に自動車の運転をゆだねて同乗している場合であっても、事故防止につき中心的な責任を負う者として、右第三者に対して運転の交代を命じ、あるいは運転につき具体的に指示することができる立場にあるのであるから、特段の事情のない限り、右第三者に対する関係において、法三条の「他人」に当たらないと解すべきところ、正当な権原に基づいて自動車を常時使用する者についても、所有者の場合と同様に解するのが相当である。そこで、本件について特段の事情の有無を検討するに、Aは、飲酒により安全に自動車を運転する能力、適性を欠くに至ったことから、自ら本件自動車を運転することによる交通事故の発生の危険を回避するために、運転代行業者であるP代行に本件自動車の運転代行を依頼したものであり、他方、P代行は、運転代行業務を引き受けることにより、Aに対して、本件自動車を安全に運行して目的地まで運送する義務を負ったものと認められる。このような両者の関係からすれば、本件事故当時においては、本件自動車の運行による事故の発生を防止する中心的な責任はP代行が負い、Aの運行支配はP代行のそれに比べて間接的、補助的なものにとどまっていたものというべきである。したがって、本件は前記特段の事情のある場合に該当し、Aは、P代行に対する関係において、自賠法3条の「他人」に当たると解するのが相当である。混合型混合型とは、被害者となった運行供用者のほかに運行供用者が2人いて、一方は被害者と同乗・運転し、他方は同乗していない場合です。使用権者が、同乗中に事故で負傷するようなケースです。車内の使用権者(=運行供用者)と車外の所有者(=運行供用者)との関係では非同乗型、車内の使用権者(=運行供用者)と車を運転していた者(=運行供用者)との関係では同乗型に該当するので、それぞれの判断基準に従って、「他人性」を判断することになります。車内の使用権者と車外の所有者との関係では、車内の使用権者による運行支配の程度は「直接的、顕在的、具体的」であるのに対し、車外の所有者による運行支配の程度は「間接的、潜在的、抽象的」であるケースが多いでしょうから、車内の使用権者は、車外の所有者との関係において「他人性」が認められることは難しいと考えられます。車内の使用権者と車を運転していた者との関係では、「特段の事情」がない限り運行支配の程度は同等と判断され、車内の使用権者は、車を運転していた者との関係において「他人性」は否定され、「特段の事情」があるときは「他人性」が肯定されると考えられます。混合型の判例混合型については、次の裁判例があります。Aが、父親B所有の自動車に友人Cを乗せて深夜バーに赴き、Cと共に飲酒。Aが泥酔して寝込んでしまったので、Cがバーのカウンター上に置かれていたキーを使用してAを同自動車に乗せて運転しているさなかに事故を起こし、Aが負傷した事案です。原審の判断原審(名古屋高裁平成19年3月22日判決)は、Aには友人Cに対して本件自動車の運転を依頼する意思がなく、Aは泥酔していて意識がなかったため、Cが本件自動車を運転するについて指示はおろか、運転していること自体認識していないことなどから、Aの本件自動車に対する運行支配はなかったというべきであり、そうすると、Aを介して存在していたBの運行支配も本件事故時には失われていたとして、Bは運行供用者に当たらないとして、Aの請求を棄却しました。最高裁の判断Aが上告したところ、最高裁は、「BはCと面識がなく、Cという人物の存在すら認識していなかったとしても、本件運行は、Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり、Bは、客観的外形的に見て、本件運行について、運行供用者に当たると解するのが相当である」として原判決を破棄し、AがBに対する関係において自賠法3条にいう「他人」に当たるといえるかどうか等について更に審理を尽くさせるため、差し戻しました。運行供用者の判断基準についてはこちらをご覧ください。差戻控訴審の判断Aと車外の所有者Bとの関係では「非同乗型」の判断基準に従うことになり、Aと運転者Cとの関係では「同乗型」の判断基準に従うことになります。差戻控訴審判決(名古屋高裁平成21年3月19日判決)は、Aは、BおよびCのいずれに対する関係においても「他人」に当たらないと判示しました。名古屋高裁判決(平成21年3月19日)所有者である父親との関係Bによる本件運行に対する支配は、あくまでAによるCに対する本件自動車の使用の容認・許諾を介するものであって、間接的、潜在的、抽象的であると言わざるを得ない。これに対し、Aによるそれは、Cの本件自動車の運転を容認することによって同人に同車の運転をゆだねたと評価できるものであるから、Bによるそれと比較して、より直接的、顕在的、具体的であったといえる。このような本件自動車の具体的な運行に対する支配の程度・態様に照らせば、Aは、運行供用者に該当し、かつ、同じく運行供用者に該当するBよりも、運行支配の程度・態様がより直接的、顕在的、具体的であったから、Bに対する関係において自賠法3条にいう「他人」に当たらないと解するのが相当である。運転していた友人Cとの関係Aは、Cを同乗させてバーに赴き、Cが運転免許を有さず飲酒していることを知りながら、バーから帰るためにCが本件自動車を運転することを容認した上で、電車やバスが運行されていない時間帯に飲酒して泥酔して寝込んでいたのであり、このような事情に照らせば、Aの本件自動車の具体的運行に対する支配の程度は、運転行為を行ったCのそれに優るとも劣らないというべきである。また、Cの本件運行は、Aの容認下に行われていたのであるから、最高裁昭和57年11月26日判決のいう自動車運転者が事故被害者(同乗の自動車の正当な使用権者)の運行支配に服さず同人の指示を守らなかった等の「特段の事情」があるともいえない。したがって、Aは、Cに対する関係において自賠法3条の「他人」に当たるということはできない。共同運行供用者の「他人性」の判断基準被害者が共同運行供用者である場合の「他人性」の判定基準は、運行支配の程度・態様を実質的に観察するという観点(「直接的・顕在的・具体的」か「観察的・潜在的・抽象的」か)であり、修正要素として規範的観点(自動車の所有者・使用権者等の事故防止責任)を盛り込むものです。(参考:公益財団法人 交通事故紛争処理センター編集『交通事故分s峰解決法理の到達点』第一法規 251~252ページ)共同運行供用者の「他人性」、すなわち「被害者となった運行供用者」が「他方の運行供用者」との関係において「他人」といえるか、について判断基準を裁判例をもとにまとめると、次の通りです。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配より、直接的・顕在的・具体的である場合には、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たらない。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配と同等の場合も、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たらない。被害者となった運行供用者の運行支配の程度・態様が、他方の運行供用者の運行支配より、間接的・潜在的・抽象的である場合には、被害者は自賠法3条にいう「他人」に当たる。事故車に同乗していた所有者および準所有者(正当な権原にもとづいて自動車を常時使用する者)は、「特段の事情」がない限り、自賠法3条の「他人」に当たらない。事故車に同乗していた所有者および準所有者が自賠法3条の「他人」に当たる「特段の事情」としては、①運転していた運行供用者が、所有者・準所有者の運行支配に服さず指示を守らなかった場合や、②飲酒のため運転代行を依頼した場合などがある。(参考:北河隆之著『交通事故損害賠償法 第3版』弘文堂 107ページ)被害者に「他人性」が認められないとき被害者に「他人性」が認められない場合でも、自賠法3条に基づく損害賠償請求ができないということであり、要件を満たす限り民法709条に基づく損害賠償請求をすることはできます。任意自動車保険(対人賠償責任保険)における保険事故は、一般に「非保険自動車の所有、使用または管理に起因して他人の生命または身体を害することにより、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担すること」とされており、被害者が自賠法3条の「他人」に当たらず自賠責保険が適用されない場合でも、対人賠償責任保険は適用され得ます。まとめ自動車事故による被害者が、自賠法3条に基づき、運行供用者に対して損害賠償を請求するには、被害者が運行供用者との関係において「他人」であることが必要です。自賠法3条にいう「他人」とは、運行供用者と運転者以外の者を指します。運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者(自賠法3条)、運転者とは、他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者(自賠法2条4項)です。つまり、「他人」とは、「自動車による事故を抑止すべき立場にない者」と解されます。なお、被害者が共同運行供用者の場合の「他人性」は、運行支配の程度・態様を比較し、所有者・使用権者の事故防止責任といった規範的観点を考慮して、判断します。自賠責保険の支払いにあたっては、被害者の「他人性」が厳しく審査されます。特に、同乗者については、運行供用者や運転補助者に当たらないか、厳密に審査する傾向があるようです。運行供用者や運転者・運転補助者であっても、一律に「他人性」を否定し、自賠責保険の救済から除外されることはありません。お困りのときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 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