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大卒として逸失利益を計算する方が、高卒(就労始期18歳)で計算する場合より逸失利益額は増えそうに思えます。
たしかに平均賃金は大卒の方が高いのですが、就労開始が遅れるため、就労可能年数が短くなり、就労開始までの控除額も増えるので、全体として逸失利益が減ることがあるのです。具体的に見てみましょう。
年少者の逸失利益は、通常、就労開始を18歳とし、学歴計・全年齢平均賃金を用いて計算します。
大学進学を予定していた場合には、大卒の平均賃金を基礎収入として逸失利益を計算することも認められます。もっとも、大学進学・卒業の蓋然性の立証が必要です。
なお、大卒の平均賃金を用いる場合は、就労の始期が18歳から22歳へと遅れます。このため、かえって逸失利益が減ることがあるので注意が必要です。
実際、大卒として逸失利益を計算すると、高卒で逸失利益を計算した場合と比べて、どれくらい減るのか見てみましょう。
【事例】17歳男性が交通事故で死亡した場合
通常は、就労始期を18歳とし、基礎収入は学歴計・全年齢平均賃金を使用します。
男性・学歴計・全年齢平均賃金は、
したがって、年収は、
41万円×12+118万7,000円=610万7,000円
したがって、適用するライプニッツ係数は、
25.7298ー0.9709=24.7589
死亡逸失利益は、生活費を50%控除して、
610万7,000円×(1ー0.5)×24.7589=7,560万1,301円
大卒として逸失利益を計算するときは、就労始期を22歳とします。
男性・大学卒・全年齢平均賃金は、
したがって、年収は、
46万3,300円×12+154万2,000円=710万1,600円
したがって、適用するライプニッツ係数は、
25.7298ー4.5797=21.1501
死亡逸失利益は、生活費を50%控除して、
710万1,600円×(1ー0.5)×21.1501=7,509万9,775円
事例のように、17歳男性の死亡事故につき、通常の計算方法で逸失利益を計算すると7,560万1,301円であるのに対し、大卒として逸失利益を計算すると7,509万9,775円となり、大卒の方が、平均賃金が高いにもかかわらず、50万円ほどですが、逸失利益が少なくなるのです。
なお、この結論は、賃金統計の数値や法定利率の変動によって変わり得ます。なので、大学進学を予定していた年少者については、大卒センサスで算定する場合と学歴計センサスで算定する場合の損害額を比較する必要があります。
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【参考文献】
・『被害者側弁護士のための交通賠償法実務』日本評論社372ページ
・『新版注解交通損害賠償算定基準』ぎょうせい273~274ページ