弁護士保険を利用するときの4つの注意点

弁護士保険を利用する場合には、その仕組みを知っておくことが大切です。

 

そうでないと、納得いく賠償金額を得られなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。

 

弁護士保険の仕組みと4つの注意点
  • 弁護士の紹介を受けられる弁護士保険と、受けられない弁護士保険がある。
  • 弁護士の紹介は、保険会社から依頼を受けた弁護士会が登録名簿順に行う。
  • 弁護士の選任は、事前に保険会社の同意が必要。
  • 弁護士保険を使っても、弁護士費用が依頼者の負担となる場合がある。

 

弁護士保険の仕組みと注意点について、詳しく見ていきましょう。

 

目次
  1. 弁護士の紹介を受けられるかどうかは、保険会社による
  2. 弁護士会は、登録名簿順に弁護士を紹介する
  3. 弁護士の選任は、事前に保険会社の同意が必要
  4. 弁護士費用が依頼者の負担となる場合がある
  5. まとめ

 

弁護士法人・響

弁護士の紹介を受けられるかどうかは、保険会社による

弁護士保険を利用するとき、弁護士の紹介を受けられる場合があります。自分で弁護士を探す手間がありません。

 

弁護士の紹介を受けられるかどうかは、あなたの加入している任意保険会社が、日弁連と協定を結んでいるかどうかによります

 

日弁連と協定している保険会社(協定保険会社)であれば、あなたの居住する地域の弁護士会から弁護士の紹介を受けられます。自分で弁護士を探してもかまいません。

 

日弁連と協定していない保険会社の場合は、弁護士会から弁護士の紹介を受けられず、自分で弁護士を探すことになります。

 

  弁護士会からの紹介 独自で選任
協定損保

あり

できる

それ以外の損保

なし

できる

「協定保険会社」はこちらをご覧ください。

 

弁護士紹介の流れ

弁護士の紹介を受ける流れは、次のようになります。

 

あなたが、自分の加入している任意保険会社に事故の連絡をすると、保険会社は、その場で顧客データから弁護士費用特約の契約の有無を確認します。

 

弁護士費用特約を契約している場合には、「弁護士保険を利用できること」「弁護士会を通じて弁護士の紹介を受けられること」を知らせてくれます。

 

あなたが弁護士の紹介を希望すると、保険会社は、日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)に弁護士の紹介を依頼します。日弁連LACは、あなたが居住する地域の単位弁護士会に弁護士紹介を依頼し、単位弁護士会が弁護士を紹介する流れです。

 

日弁連は、協定損保会社の販売する弁護士保険を「権利保護保険」と位置づけています。弁護士費用が保険から支払われることに加え、弁護士会を介して弁護士を紹介する仕組みにすることで、被害者の弁護士アクセスを容易にしているのです。

弁護士会は登録名簿順に弁護士を紹介する

権利保護保険の場合、希望すれば弁護士を紹介してもらえます。弁護士会が、紹介する弁護士をどのように選ぶかというと、登録名簿の順に割り振る方式です。

 

東京弁護士会では、弁護士紹介センターが担当窓口となり、担当弁護士の名簿を備え、名簿の順に事件を配点する(割り当てる)方式をとっています(参考:東京弁護士会『活用してみませんか?権利保護保険』)

 

弁護士の紹介方法は、各単位弁護士会に委ねられていますから一概には言えませんが、全国どこでも、だいたい同じ方式と考えてよいでしょう。

 

つまり、あなたのケースに最適な弁護士を選んで紹介するわけではないのです。

 

利益相反関係にある弁護士を紹介されることもある

極端な話、利益相反関係にある弁護士を紹介されることもあります。

 

弁護士会は、弁護士紹介依頼票(相談カード)を登録弁護士に送付しますが、これには相談者の住所・氏名など詳細な事件内容は、個人情報保護の観点から記載されていません。

 

そのため、初回の法律相談時に利益相反関係が判明し、弁護士の都合で「相談打ち切り」というケースさえあるのです。

 

こういう場合でも保険金の請求ができるということで、日弁連LACのQ&Aに紹介されています。

 

(参考:日弁連LAC『弁護士保険制度における保険金支払いに関するQ&A』)

 

交通事故の被害者救済に力を入れている弁護士事務所の中には、保険会社とのしがらみを嫌って、日弁連LACの紹介を受けていないところもあります。

 

このサイトで紹介している弁護士法人・天音総合法律事務所が、その1つです。

弁護士の選任は、事前に保険会社の同意が必要

弁護士保険を利用するには、「弁護士に委任するとき」と「弁護士費用を支出するとき」に、それぞれ事前に保険会社の同意が必要です。

 

これは、あとから弁護士費用の妥当性や支払いをめぐり、トラブルが発生することを避けるためです。

 

詳しくは、弁護士費用特約の利用で保険会社の事前同意が必要な理由をご覧ください。

 

もし、事前に保険会社の同意を得ず、それにより保険会社が損害を被った場合は、支払われる保険金額が減額されることがあります。

弁護士費用が依頼者の負担となる場合がある

弁護士との委任契約は、依頼者と弁護士との間で締結します。弁護士保険を利用するからといって、弁護士と保険会社との間で契約するわけではありません。

 

ですから、何らかの理由で弁護士保険から保険金(弁護士費用)が支払われないときは、依頼者が、弁護士費用を支払わなければなりません。

 

弁護士費用が依頼者の負担となるのは、次の2つのケースがあります。

 

 

それぞれ詳しく見てみましょう。

 

【1】弁護士費用が保険金額を上回る場合

弁護士費用が保険金額(弁護士保険から支払われる金額)を上回る場合、その超過分は依頼者の負担となります。

 

これは、2つのケースに分けて考える必要があります。

 

1つは、賠償金額が高額で、それにともない弁護士報酬も高額になる場合。もう1つは、弁護士報酬基準が、弁護士保険の支払い基準(LAC基準)より高い場合です。

 

注意が必要なのは、後者です。

 

①賠償金額が高額で、それにともない弁護士報酬も高くなる場合

弁護士の成功報酬は、通常、賠償金額の何%と一定割合で算定されます。死亡事故や重大事故の場合は、賠償金額が多額になりますから、弁護士費用が保険金額(最大300万円)を上回る場合が出てきます。

 

しかし、弁護士に依頼しなければ正当な賠償金額を得ることはできませんから、必要経費といえます。弁護士保険で補填される分、弁護士費用の負担が軽減される点に目を向けるべきでしょう。

 

②弁護士報酬基準が、LAC規準より高い場合

問題は、弁護士保険の保険金支払基準(LAC基準)よりも高い報酬基準を設定する弁護士の場合です。こういう弁護士は、できれば依頼を避けるのが賢明です。

 

弁護士費用の一部を負担してでも、その弁護士にどうしても依頼したいというのなら別ですが、そうでない場合はトラブルのもとになります。

 

弁護士事務所の中には、事務所の方針としてLAC基準より高い報酬基準を設定しているところもありますが、弁護士保険の請求に不慣れなために、LAC基準を上回る弁護士費用を保険会社に請求する弁護士もいます。

 

よくあるトラブルは、弁護士費用の算定基礎となる経済的利益の範囲の捉え方の間違いです。弁護士保険の請求で、よくあるトラブルの事例はこちらをご覧ください。

 

無用なトラブルを避けるためにも、弁護士保険の取り扱いに慣れた弁護士事務所に依頼することが大切なのです。

 

【2】免責事由に該当する場合

免責事由に該当する場合とは、被保険者の故意または重大な過失、無免許運転、酒気帯び運転のほか、自賠責保険に対する被害者請求のみを弁護士に依頼する場合などです。

 

この場合、弁護士保険から保険金(弁護士費用)が支払われませんから、弁護士に依頼する場合は、弁護士費用の全額が依頼者の負担となります。

まとめ

日弁連と協定している損保の弁護士保険の場合は、弁護士の紹介を受けられます。

 

弁護士会から紹介を受けるにしても、自分で探すにしても、大切なのは弁護士選びです。

 

弁護士保険から費用が支払われるからと、安易に考えていると失敗します。納得のいく賠償金を得られなかったり、弁護士と保険会社のトラブルに巻き込まれることがありますから、慎重に弁護士を選んでください。

 

このサイトでも、交通事故の示談交渉や損害賠償請求訴訟に強く、弁護士保険の取り扱いに慣れた弁護士事務所を紹介していますから、参考にしてみてください。

 

 

相談無料・LAC基準に対応した交通事故の示談交渉に強い弁護士事務所を厳選してご紹介。このサイトで無料相談の申し込みの多い弁護士事務所トップ3です。

 

各事務所の強みが簡単に分かりますから、あなたの悩みを解決するのに最適な弁護士事務所が、きっと見つかるはずです。ぜひ、チェックしてみてください!

 

弁護士法人・響

 

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