弁護士保険(弁護士費用特約・権利保護保険)の仕組みと注意点

これだけは知っておきたい! 弁護士保険の仕組みと注意点

交通事故被害者が弁護士保険(弁護士費用特約)を利用する上で注意すべきことがあります。これを知らないと、納得いく賠償金額を得られなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。

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弁護士保険の注意点

 

弁護士保険を利用するとき、これだけは知っておきたい注意点があります。もし、これを知らずに弁護士保険を利用すると、納得いく賠償金額を得られなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。ぜひ、チェックしておいてください。

 

弁護士保険を利用するときの 4つの注意点
  1. 弁護士費用が、保険から支払われず、依頼者の負担となる場合がある。
  2. 弁護士の紹介を受けられる保険と、紹介を受けられない受けられない保険がある。
  3. 弁護士会が登録名簿順に紹介するため、利益相反などの問題が生じる場合がある。
  4. 弁護士の選任や弁護士費用の支払は、事前に保険会社の承認が必要。

 

弁護士保険の仕組みと注意点について、詳しく見ていきましょう。

 

こんなときは弁護士費用が依頼者の負担に!

弁護士保険を利用する場合でも、弁護士費用の支払い義務は、依頼者にあります。

 

弁護士と委任契約するのは依頼者(交通事故の被害者)であって、依頼者に発生する弁護士費用を保険給付するのが弁護士保険です。

 

もしも、何らかの理由で弁護士保険から保険金が支払われないときは、依頼者が、弁護士費用を支払わなければなりません。

 

弁護士費用が依頼者の負担となるのは、次のような場合です。

 

  • 弁護士費用が保険金額を上回る場合
  • 保険金支払いの免責事由に該当する場合

 

それぞれ詳しく見てみましょう。

 

弁護士費用が保険金額を上回る場合

弁護士費用が保険金額(弁護士保険から支払われる金額)を上回る場合、その超過分は依頼者の負担となります。

 

これは、2つのケースに分けて考える必要があります。

 

1つは、弁護士費用が、保険金の支払限度額を超える場合。もう1つは、弁護士報酬の算定基準が、保険金の支払基準より高い場合です。

 

注意が必要なのは、後者です。

 

被害者の損害が大きく、弁護士報酬が高額になる場合

弁護士保険の保険金の支払限度額は、一般的に最高300万円。弁護士費用が300万円を超えると、その超過分は依頼者の負担となります。

 

弁護士報酬は、着手金・報酬金方式が一般的で、通常、依頼者の利益の一定割合を報酬として請求します。

 

したがって、被害者の損害が大きく、賠償金額が多額になる事故の場合は、弁護士報酬も高額となり、保険金額の上限300万円を上回ることがあるのです。

 

弁護士の報酬基準が、保険金の支払基準より高い場合

問題は、弁護士の報酬基準が、弁護士保険の保険金支払基準(LAC基準)よりも高い場合です。LAC基準を超える部分は、保険金が支払われませんから、依頼者の自己負担となります。

 

LAC基準とは、日弁連LAC(リーガル・アクセス・センター)が、協定保険会社(日弁連と協定している保険会社)と協議のうえで定めた弁護士保険の保険金支払基準です。

 

弁護士保険を取り扱う保険会社は、LAC基準を尊重して保険金支払基準を定め、弁護士も、LAC基準を尊重して弁護士費用を請求することになっています。

 

ただし、LAC基準を超える部分は自己負担となることに依頼者の同意があれば、LAC基準を上回る報酬基準で契約してもよい、とされています。

 

LAC基準に対応している弁護士事務所ならよいのですが、弁護士保険に不慣れな弁護士事務所の場合は、保険会社とトラブルになることが多いので、避けるのが賢明です。

 

免責事由に該当する場合

保険会社は、弁護士費用保険金を支払わない場合を、あらかじめ免責事由として定めています。

 

免責事由に該当する場合とは、被保険者の故意または重大な過失、無免許運転、酒気帯び運転のほか、自賠責保険に対する被害者請求のみを弁護士に依頼する場合などです。

 

この場合、弁護士保険から保険金(弁護士費用)が支払われませんから、弁護士に依頼する場合、弁護士費用の全額が依頼者の負担となります。

 

何が免責事由に該当するかは、ご契約の弁護士費用特約(弁護士保険)の契約内容をご確認ください。

弁護士の紹介を受けられる保険と受けられない保険がある?

弁護士保険には、弁護士の紹介を受けられる保険と、受けられない保険があります。弁護士の紹介を受けられれば、自分で弁護士を探す手間がかかりません。

 

弁護士の紹介を受けられるのは、あなたの加入している任意自動車保険が、協定保険会社(日弁連と協定している保険会社)の保険の場合です。

 

弁護士の紹介を希望すれば、あなたの居住する地域の弁護士会から弁護士の紹介を受けられます。もちろん、自分で弁護士を選任してもかまいません。

 

日弁連と協定していない保険会社の保険の場合は、弁護士会から弁護士の紹介を受けられず、自分で弁護士を探すことになります。

 

弁護士の紹介を受けられるのは「権利保護保険」の場合

日弁連は、協定保険会社の弁護士保険を「権利保護保険」と位置づけています。

 

弁護士費用が保険から支払われることに加え、弁護士会を介して弁護士を紹介する仕組みにすることで、被害者の弁護士アクセスを容易にしているのです。

 

  弁護士会からの紹介 独自で選任
権利保護保険

あり

できる

それ以外の弁護士保険

なし

できる

 

協定保険会社がどこかは、こちらのページをご覧ください。

 

弁護士保険を利用するときの弁護士紹介の流れ

弁護士保険(権利保護保険)を利用して弁護士の紹介を受ける流れは、次のようになります。

 

あなたが、自分の加入している任意自動車保険会社に事故の連絡をすると、保険会社は、その場で顧客データから弁護士費用特約の契約の有無を確認します。

 

弁護士費用特約を契約している場合には、「弁護士保険を利用できること」「弁護士会を通じて弁護士の紹介を受けられること」を知らせてくれます。

 

あなたが弁護士の紹介を希望すると、保険会社は、日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)に弁護士の紹介を依頼します。日弁連LACは、あなたが居住する地域の単位弁護士会に弁護士紹介を依頼し、単位弁護士会が弁護士を紹介する流れです。

弁護士の紹介は登録名簿順なので、こんな問題も…

弁護士の紹介は、登録名簿の順に割り振る方式です。

 

東京弁護士会では、弁護士紹介センターが担当窓口となり、担当弁護士の名簿を備え、名簿の順に事件を配点する(割り当てる)方式をとっています(参考:東京弁護士会『活用してみませんか?権利保護保険』)

 

弁護士の紹介方法は、各単位弁護士会に委ねられていますから一概には言えませんが、全国どこでも、だいたい同じ方式と考えてよいでしょう。

 

そのため、次のような問題が起こりえます。

 

あなたに最適な弁護士が紹介されるわけではない!

弁護士会が、登録名簿順に紹介していくだけで、あなたに最適な弁護士を選んで紹介するわけではありません。

 

たとえ法律の専門家といえども、得意分野もあれば不慣れな分野もあります。あなたが望むような弁護士が紹介されるとは限らないのです。

 

弁護士の都合で「相談打ち切り」のケースも!

まれに、弁護士の都合で「相談打ち切り」となる場合があります。利益相反関係にある弁護士を紹介されることがあるからです。

 

そうなると、別の弁護士を選任し直さなければならず、解決までに余計な時間がかかってしまいます。

 

なぜ、そんなことが起きるかというと、弁護士会が弁護士紹介依頼票(相談カード)を登録弁護士に送付する際に、個人情報保護の観点から、相談者の住所・氏名など詳細な事件内容を記載しないからです。

 

そのため、初回の法律相談のとき利益相反関係が判明し、弁護士の都合で「相談打ち切り」というケースがあるのです。

 

こういう場合でも法律相談料を保険会社に請求できるとして、日弁連LACのQ&Aに紹介されています(日弁連LAC『弁護士保険制度における保険金支払いに関するQ&A』)

弁護士の選任や費用の支払いは、事前に保険会社の承認が必要

弁護士保険を利用する場合、「弁護士に委任するとき」と「弁護士費用を支出するとき」に、事前に保険会社へ通知し、保険会社の承認を得ることが必要です。

 

これは、あとから弁護士費用の支払いや金額の妥当性をめぐり、トラブルが発生することを避けるためです。

 

詳しくは、弁護士費用特約の利用で保険会社の事前承認が必要な理由をご覧ください。

 

正当な理由なく保険会社への通知を怠り、承認を得なかったことで、保険会社が損害を被った場合は、その分、弁護士費用保険金が減額されます。

まとめ

弁護士保険にも保険金の支払限度額や支払基準があり、それを超える弁護士費用は、依頼者の負担となります。

 

保険金支払基準にもとづかない弁護士費用の請求は、トラブルの原因です。弁護士保険に不慣れな弁護士事務所はトラブルになりやすいので、慎重に弁護士事務所を選ぶことが大切です。

 

権利保護保険の場合、希望すれば弁護士の紹介を受けられますが、弁護士の紹介は、弁護士会が登録名簿順に行いますから、あなたに最適な弁護士を選んで紹介されるわけではないことを知っておいてください。

 

弁護士保険を利用する場合でも、大事なのは弁護士選びです。このサイトでは、交通事故の損害賠償請求や保険会社との示談交渉に強く、弁護士保険の取り扱いに慣れた弁護士事務所を紹介していますから、ご利用ください。

 

 

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【参考文献】
・日弁連LAC『弁護士保険制度における保険金支払いに関するQ&A』)
・東京弁護士会「活用してみませんか?権利保護保険」LIBRA 2014年6月号

 

 

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公開日 2021-06-09 更新日 2023/03/18 13:28:15