示談交渉で主導権を握り、交渉を有利に進めるために必要なこと

ここで紹介する示談交渉で主導権を握る 7つのテクニックは、たんなる「小手先の交渉テクニック」ではありません。

 

示談交渉の相手は、保険会社の示談担当者です。彼らは、保険のことを知り尽くした交渉のプロです。それに対して被害者側は、自動車保険に関しては全くの素人といってよいでしょう。小手先の交渉テクニックでは、到底勝負になりません。

 

プロを相手に示談交渉で主導権を握り、交渉を有利に進めるためには、早い段階から示談交渉を見据えた準備を進めておくとともに、プロの交渉術が必要です。

 

弁護士に頼めば、「示談交渉を有利に進めるにはどうしたらいいか」など、あなたが心配することはありません。全て弁護士に任せることができます。

 

弁護士法人・響

示談交渉で主導権を握る7つのテクニック

それでは、示談交渉で主導権を握り、交渉を有利に進めるための「7つのテクニック」をご紹介しましょう。

 

 

事故の状況を正確に把握し、情報の優位性を相手に認識させる

事故状況の正確な把握は、示談交渉で主導権を握る上での大前提です。いうまでもなく、事故の状況を一番よく知っているのは当事者である被害者自身です。一方、示談交渉の相手である保険会社の担当者は、事故の当時者ではありません。当事者である加害者の主張をもとに交渉する第三者です。

 

ですから、事故が発生したときの情報量については、被害者に「一日の長」があります。ただし、保険会社の担当者は、示談交渉のポイントになる点について加害者から聞き出すことに長けています。

 

被害者も時間の経過とともに記憶は曖昧になりますから、事故直後に、事故の状況について記録を残しておくことが大切です。

 

事故の状況を記録し、正確な情報を持っていることを相手に認識させることで、示談交渉において有利な立場に立つことができます。事故状況の記録を残しておくことは、示談交渉で主導権を握るうえで極めて重要なことです。

 

証拠集めと目撃者探しが必要なこともある

被害者と加害者で主張が大きく食い違うことがあります。その場合は、相手を納得させられるだけの客観的な証拠と目撃者が必要になります。

 

事故発生から日が経つと事故の痕跡も消えてしまいますから、事故発生直後に、事故状況を記録し、証拠を集め、目撃者探しをしておくことが大事です。

 

事故直後にできなかった場合は、できるだけ早く事故現場に行き、事故状況の記録や証拠集めをしておきましょう。

 

具体的には、道路上に残った擦過痕、ブレーキ痕、警察の実況見分のときのマーキングなどを写真に撮っておきまます。道路状況、交通量、信号サイクルなども写真やビデオで撮影し、証拠化します。目撃者がいれば、名前と連絡先を聞いておきます。

 

あとから事故現場に行くと、事故直後は気が動転していて気づかなかったことを発見できる場合もありますから、「いまさら事故現場を見に行ってもしかたない」と諦めることはありません。

 

事故状況は、責任の有無や過失割合の判断に大きく影響し、ひいては賠償金額を左右します。それだけに、正確な事故状況の把握が重要です。保険会社との「たたかい」は、事故直後から始まっているのです。

 

 

被害者と加害者で主張が大きく異なっている場合などは、自分で証拠を集める作業も大変です。弁護士に相談すると、現地調査も任せることができます。示談交渉や裁判で有利な証拠を見つけられる可能性が高くなります。

 

示談交渉が始まるまでに損害額を算定し、最大限の額を賠償請求する

示談交渉の主導権を握るうえで大事なのは、被害者の側が独自に損害額を算定し、賠償請求することです。

 

「相手が誠意ある金額を提示するのが筋だ!」と思うかもしれませんが、その考えでは、示談交渉で主導権を握ることはできません。

 

なぜ、損害額を算定して請求することが大事なのか

損害額を独自に算定せず、相手の提示した賠償金額に対して「それでは少ない」と異議を唱えるやり方は、しょせん「相手の土俵」でのたたかいです。

 

賠償請求する側に請求額の根拠がないため、相手に言いくるめられるのがオチです。示談交渉の主導権を握るのは、相手の側になるのです。

 

示談交渉で主導権を握るには、法的に認められる正当な損害額を算定して賠償請求し、そこから「いくら、まけてやるか」という姿勢で交渉することが大事です。

 

そもそも、示談というのは、双方が譲歩しあって和解することです。賠償請求する側が、最初に最大限の額を請求し、相手の回答を引き出す手法をとることで、示談交渉で主導権を握れます。相手も、賠償額の上限が明確になるため譲歩しやすく、示談がまとまりやすくなるのです。

 

これが、示談交渉における「プロの交渉テクニック」です。

 

損害額は裁判所基準で算定する

保険会社が提示する賠償金額(示談金額)は、保険会社の保険金支払い基準で計算するため、本来被害者が受け取れる正当な賠償金額に比べて、はるかに低い水準です。

 

被害者が正当な損害賠償を受けるには、裁判所基準で損害額を算定し、賠償請求するのが鉄則です。

 

裁判所基準とは、過去の裁判例をもとに、賠償請求できる損害費目や損害額を基準化したもので、損害賠償請求訴訟において裁判官も参考にする基準です。裁判で認められるレベルの正当な損害額を算定できます。

 

裁判所基準で損害額を算定すると、自賠責や任意保険の保険金支払基準で算定した場合に比べて、2~3倍高い損害賠償額となることも珍しくありません。

 

弁護士に頼むと、損害賠償請求訴訟を提起するときだけでなく、示談交渉においても裁判所基準で損害額を算定し、保険会社と交渉してもらうことができます。

 

 

正確な損害額は被害者でなければ計算できない

正確な損害額は、被害者の側でなければ計算できません。

 

特に、金額が大きくなる休業損害補償や逸失利益は、被害者の収入を基準に算定します。被害者が、収入を証明する書類を用意し、正確な損害額を算定し、賠償請求することが必要なのです。

 

保険会社が提示する示談金の額は、あくまでも一般的なケースを想定して、保険会社の基準で算出した金額です。

 

損害賠償請求額の算定根拠となった証拠書類を保険会社に示すことで、示談交渉で優位に立ち、主導権を握ることができます。

 

 

損害賠償額は、根拠を証明できる損害を積み上げたもので、「だいたい相場はこれくらいだろう」といった大まかな金額ではありません。このことを誤解している人が多いので、必ず押さえておいてください。

 

冷静に法と証拠で勝負すると、相手から譲歩を引き出せる

示談交渉は、「法と証拠にもとづき冷静に」が鉄則です。被害者の側が、賠償請求額の根拠と証拠を示し、冷静に交渉すれば、保険会社に示談金の引き上げを認めさせることができます。

 

法と証拠にもとづく示談交渉とは

「法と証拠にもとづく」とは、賠償請求額が法的に正当で根拠や証拠があることです。つまり、裁判になった場合でも、裁判所が認めるだけの根拠や証拠があることです。

 

保険会社は、保険金支払基準が裁判所基準より低いことは百も承知しています。一方で、裁判になったらどのような結果になるかも考えながら交渉します。

 

ですから、保険会社は、裁判所が認めないような法外な請求には当然応じませんが、賠償請求が判例にそったもので証拠もある場合は、請求に応じざるを得ません。

 

感情的になると相手から裁判に持ち込まれることもある

冷静に交渉することも大切です。家族を失ったり、重い後遺障害が残ってしまったりした場合は、冷静な交渉は難しいかもしれません。保険会社の冷たい対応に怒りを感じることもあるでしょう。しかし、感情的になっても良い結果を生みません。

 

示談交渉で、感情的になって激しい口調で抗議を続けると、保険会社は、弁護士委任案件とし、交渉相手が保険会社の示談担当者から弁護士に移ります。「弁護士に任せたので、弁護士に言ってください」というわけです。

 

さらに弁護士に抗議を続けると、弁護士は、簡単に債務不存在確認訴訟を提起します。「言いたいことがあれば、法廷で言ってください」となってしまいます。

 

債務不存在確認訴訟とは、被害者に対して支払う損害賠償債務は、保険会社の提示額を超えて存在しないことを確認する裁判です。こうなると、示談交渉でなく裁判で争うことになってしまいます。

 

保険会社のひどい対応に冷静でいられない気持ちは理解できますが、感情的になると、相手から裁判に持ち込まれてしまい、決して良い結果にならないのです。

 

示談交渉は、冷静に法と証拠で勝負することが大事です。そうしてこそ、示談交渉で主導権を握ることができます。

 

示談交渉は書面で行うと、相手のペースに引き込まれない

保険会社の担当者は、専門知識も経験も豊富なプロです。直接会って交渉すると、どうしても相手のペースに巻き込まれ、示談交渉の主導権を相手に握られてしまいます。

 

示談交渉は、基本的に書面で行うことをおすすめします。書面やメールで交渉すると、交渉の経過も残ります。「言った、言わない」の争いを防止できるメリットもあります。

 

直接会って交渉すると、その場の雰囲気に流されて承諾してしまい、「あとで考えると失敗だった」と後悔することがありますが、書面ならじっくり考えて返答できます。だれかに相談したうえで返答することもできます。

 

直接会って交渉するときは即答を避ける

もちろん、直接会って交渉することが必要となる場合もあります。

 

その際、記憶が曖昧な部分を聞かれたり、想定していなかった質問をされることもあります。そんなときは、その場で即答せず、確認してから回答することを伝え、あとで回答するようにします。

 

相手が示談を急かすときは要注意

被害者が生活費にも困っているような状況なら、保険会社は、そこに付け込んで、早急に示談するよう迫ってくる場合があります。

 

そういう場合、保険会社は、たいてい自賠責保険基準の極めて低い示談金しか提示していません。

 

いったん示談すると、やり直しや追加請求ができないので、慎重に対応することが大切です。示談は、示談した以外の損害賠償請求権を放棄することだからです。

 

生活費にも困っているような状況なら、自賠責保険に仮渡金請求をすることもできます。示談するかどうかは、慎重に判断してください。

 

2~3割減くらいは譲歩する心づもりで示談交渉に臨むと上手くいく

示談は、双方が譲歩しあって和解することです。どちらかが一方的に譲歩する解決方法ではありません。ですから、被害者側もある程度は譲歩しなければなりません。

 

もし「絶対に譲歩する気はない」というのなら、示談交渉は成り立ちません。すぐにでも訴訟に切り替え、裁判で決着を付けることを考える方がよいでしょう。

 

ただし、裁判となると、解決までに時間も費用もかかります。裁判のメリット・デメリットを考えて、示談交渉で解決するか、損害賠償請求訴訟を提起するか、慎重に判断することが大切です。

 

どの程度の譲歩をすればよいのか

個別事情により異なり一概には言えませんが、一般的には、裁判所基準で算定した額の7~8割程度で示談できればよいといわれています。

 

「最終的には請求額から2~3割程度は譲歩することもやむを得ない」と、気持ちにゆとりをもって示談交渉に臨むと、早期解決が見込め、良い結果につながることが多いようです。

 

(参考:『交通事故の損害計算と示談交渉のテクニック』日本法令)

 

裁判を恐れず、「出るところへ出る」と強気の姿勢を相手に示す

示談交渉では譲歩することもやむを得ないといっても、どうしても譲歩できないこともあるでしょう。そういう場合は、裁判を恐れないことが大切です。

 

保険会社の担当者から、「これでダメなら裁判で解決するしかありません」と言ってくることがあります。こちらが裁判を恐れていると、足元を見られます。相手は、こちらの反応を見ているのです。

 

「正当な賠償を受けられないのなら、出るところへ出る」と、強気な姿勢を相手に見せることで、示談交渉が有利に進むこともあります。

 

裁判をして困るのは、本当は保険会社の側

無用な裁判をしたくないのは、保険会社も同じです。むしろ、一般的には保険会社の方が、裁判をすることによるデメリットが大きいのです。

 

示談なら被害者側から譲歩を引き出せますが、裁判で被害者側の主張が認められると、満額支払いとなります。さらに、示談では支払う必要がない弁護士費用や遅延損害金についても、判決では支払いを言い渡されます。

 

被害者の側が正当な損害賠償請求をしているなら、裁判をして困るのは、実は保険会社の方なのです。請求額が正当なものなら、多少の時間と費用がかかっても、裁判で被害者側にマイナスになることは、ほとんどありません。

 

ただし、実際に裁判を起こすかどうかは、個別事情を考慮する必要があります。裁判をして勝てるのか、どれくらいの期間や費用がかかりそうか、裁判の見通しについて弁護士とよく相談することが大切です。

 

 

ADR機関(裁判外紛争解決機関)に申し立てる

「出るところへ出る」というのは、なにも裁判だけではありません。ADR機関(裁判外紛争解決機関)に申立てをする方法もあります。

 

交通事故のADRでよく利用されるのは、交通事故紛争処理センター(紛セ)日弁連交通事故相談センター(弁セ)です。

 

「紛セ」や「弁セ」は、無料で利用できるほか、裁判所基準で損害額を算定し、示談を斡旋してくれます。保険会社や共済組合は、裁定に従う義務もあります。

 

「ADRに申し立てる」と言えば、それだけで保険会社が示談金の引き上げに応じてくることもあります。

 

被害者側が「出るところへ出る」と強い姿勢を見せることは、示談交渉において重要なポイントなのです。

 

示談交渉の最終局面では、内訳は気にせず総額で判断する

損害額は、個々の損害を積み上げて算定します。そうやって算出した総損害額から、被害者にも過失がある場合は過失相殺をして、加害者が被害者に支払う賠償額(示談金の額)が決まります。

 

示談交渉の過程では、一つひとつの損害額について吟味することが必要ですが、最終局面では、示談金(賠償金)の総額で判断することが大切です。

 

例えば、「示談金の額は満足できるけれど、過失割合が納得できない」として示談せず、裁判で決着を付けようとするのは得策ではありません。

 

保険会社としては、「過失割合については譲れないけれども、その分、慰謝料を増額しましょう」というような場合があるからです。

 

示談金の総額が納得できる金額にまで交渉が進んだのなら、内訳を問題にする必要は全くありません。

 

裁判で被害者の主張が認められるとは限らない

せっかく示談金の総額では納得できるところまで示談交渉が進んでいるのに、内訳で納得できないからと裁判をするのは、もったいない話です。

 

裁判をすれば、被害者の主張が認められるとは限りません。場合によっては、示談交渉で保険会社から示されていた示談金より少ない金額しか認められないことがあります。

 

ですから、示談交渉の最終局面で、示談するか否かを判断するときは、示談金の総額で判断することが大切なのです。

 

参考

・『交通事故の損害計算と示談交渉のテクニック』(日本法令)
・『交通事故と示談のしかた』(自由国民社)

まとめ

被害者やその家族の方が、保険会社の担当者と示談交渉するとき、主導権を握り交渉を有利に進める上で重要なテクニックについてご紹介しました。

 

ただし、ここに挙げたことは簡単なことではありません。「自分でやるのは難しい」と思ったら、交通事故の被害者やその家族のために無料相談を実施している弁護士事務所がありますから、無理をせず弁護士に相談してみましょう。

 

弁護士から的確なアドバイスをもらうこともできるし、示談交渉を頼むこともできます。

 

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