示談とは? 示談の法的性格と効力

示談の法的性格と効力

 

示談とは、交通事故により発生する損害賠償を解決する手法の1つです。

 

交通事故民事事件(損害賠償請求事案)を解決する方法には、大きく分けると、裁判所を介して解決する方法(訴訟・調停)と、裁判所を介さずに解決する方法(ADR・示談)があり、8割程度が示談で解決しているといわれます。

 

ここでは、示談とは何か? 示談の法的性格と効力について見ていきます。これを知らないと、示談で失敗することがありますから、ご注意ください。

 

なお、示談以外の解決方法についてはこちらをご覧ください。

 

 

示談とは当事者の話し合いで損害賠償額を確定すること

示談とは、交通事故により発生した損害について、当事者間で話し合い、賠償額を確定することです。合意した金額について、加害者は被害者に支払うことを約束し、被害者は加害者にそれ以上の損害賠償を請求しないことを約束します。

 

別の言い方をすれば、被害者に発生した損害を回復させるために、それぞれが負担する金額を決めること、ともいえます。

 

それぞれの負担額を決めるということには、2つの意味があります。1つは、被害者の過失分は被害者の自己負担となり、相手方に賠償請求することはできないということ。もう1つは、お互いに譲歩しあって、落としどころを探るということです。

 

当事者同士の話し合いでまとまらなかったら、裁判で争うことになります。

 

示談とは民法上の和解契約

さて、示談についての法律上の規定についてです。

 

示談については、実は民法に直接的な規定はありません。示談の法的性格は、民法上の和解契約(民法695条、696条)と解されています。

 

和解について、民法は次のように規定しています。

 

民法695条(和解)

和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

 

民法696条(和解の効力)

当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、または相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証または相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、または消滅したものとする。

 

特に「和解の効力」に注目してください。

 

条文は分かりにくい表現ですが、簡単にいえば、「いったん和解をした以上、たとえ後から和解したことと違った確証が出てきても、もはや和解の内容を変更することはできない」(参考:『口語民法』自由国民社)ということです。

 

示談についても同じことがいえます。「いったん示談した以上、たとえ後から新たな事実が判明しても、示談の内容を変更することはできない」のです。

 

被害者が知っておきたい示談の3つの注意点

民法が規定する和解契約の意味や効力をふまえ、示談について、被害者が知っておくべき注意点をまとめておきます。

 

示談の3つの注意点
  • 示談では、当事者(被害者・加害者)双方が互いに譲歩しあう
  • 示談すると、被害者はそれ以上の損害賠償請求ができなくなる
  • 示談は、一度成立すると原則として「やり直し」ができない

 

示談では、当事者双方が互いに譲歩する

民法695条(和解)が規定しているように、示談は、当事者が互いに譲歩しあって合意することです。「一方の主張が全面的に通り、もう一方が全面的に譲歩する」ものではありません。

 

示談で解決しようとする場合には、「被害者の側も、ある程度の譲歩が求められる」ということを知っておいてください。

 

もしも「絶対に譲歩したくない」というのであれば、損害賠償請求訴訟を提起して裁判で争うしかありません。

 

示談交渉で譲歩することを見越して、最大限請求する

示談交渉で譲歩することを見越して、賠償請求が認められる損害について、適正に損害額を算定し、最大限請求することが大切です。

 

被害者にとって示談交渉は、賠償請求した金額から「いくら負けるか」の交渉です。詳しくは保険会社に負けない交渉術をご覧ください。

 

ちなみに、当事者の一方のみが譲歩する示談は、和解類似の無名契約と解されていますが、交通事故では、そのような示談はまず見当たらず、そのような示談にも民法696条の類推適用があると解されています。
(参考:『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 380ページ)

 

示談すると、それ以上の請求ができなくなる

いったん示談すると、それ以上の損害賠償請求はできなくなります。

 

示談とは、一方では加害者が、被害者に一定額の損害賠償金額(示談金)を支払う約束であり、他方では被害者が、示談した金額以外の請求権を放棄する(示談した金額以外に加害者に対して損害賠償を請求しない)という約束でもあります。

 

例えば、100万円で示談したとします。

 

これにより加害者は、被害者に100万円支払わなければなりませんが、100万円以上支払う義務はなくなります。逆に被害者は、加害者に100万円を請求する権利を有しますが、100万円以上を加害者に請求することはできなくなります。

 

100万円で示談したということは、その事故の損害賠償額が100万円であったことを被害者と加害者の双方が確認・合意し、被害者は、示談した金額以外の請求権を放棄したことになるのです。

 

示談は原則として「やり直し」ができない

示談は、民事上の責任(=損害賠償責任)の解決を意味するため、いったん成立すると、原則として「やり直し」ができません。

 

民法696条(和解の効力)の規定により、たとえ後から、示談したことと違った確証が出てきても、示談の内容を変更することはできないのです。

 

示談書には清算条項が盛り込まれる

示談書には、清算条項(権利放棄条項)が盛り込まれます。例えば「今後本件に関しては、双方とも、裁判上または裁判外において、一切異議、請求の申し立てをしないことを誓約いたします」というものです。

 

示談した後で、他にも賠償請求できる損害があったことが分かっても、示談のやり直し・追加の賠償請求はできません。

 

示談交渉を始める前までに、もれのないように損害額を算定することが大切なのです。それには、示談交渉を開始するタイミングも重要です。

 

例外として、示談した当時に、誰も予想できなかったような後遺症が発生した場合には、示談のやり直しが認められる場合があります。

 

まとめ

示談の法的性格は、民法の和解契約と同じと解されています。

 

したがって、いったん示談すると、示談した以外の損害賠償請求権を放棄することになり、原則として、やり直しができません。

 

また、示談は、当事者が互いに譲歩しあって解決する方法ですから、被害者の側は、示談交渉に先立ち、適正な損害額を算定し、最大限、賠償請求することが大切です。

 

なお、損害賠償額には、3つの基準(自賠責保険基準・任意保険基準・裁判所基準)があります。裁判所基準が最も高く、裁判例に基づく正当な損害賠償額です。本来の示談交渉は、この金額をめざして交渉するものですが、それには弁護士の介入が不可欠です。

 

適正な金額の損害賠償を受けるためには、交通事故の損害賠償請求に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

 

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【参考文献】
・『交通関係訴訟の実務』商事法務 465ページ
・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 380ページ
・『交通事故事件の実務』新日本法規 127~128ページ
・『口語民法』自由国民社

 

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