弁護士報酬の目安・相場・基準

弁護士費用の相場

 

弁護士に損害賠償請求を依頼するときの主な費用としては、相談料、着手金、報酬金、実費などがあります。今は弁護士会の統一基準はなく、各弁護士事務所ごとに報酬基準を定めています。

 

弁護士は、報酬基準を作成し、事務所に備え置くことが義務づけられていますから、相談の際に確認しましょう。

 

 

報酬基準は、各弁護士事務所が独自に定める

弁護士報酬については、かつては日弁連が報酬基準を定めていましたが、独占禁止法に抵触する恐れがあるため、2004年(平成16年)3月末に廃止されました。

 

現在は、各弁護士事務所が独自に報酬基準を定め、依頼者と協議の上で報酬を決める仕組みになっています。とはいえ、従前の報酬基準を用いている弁護士事務所も多いようです。

 

なお、弁護士報酬基準の廃止にともない、新たに「弁護士の報酬に関する規程」を日弁連が定めています。

 

その中で、「報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なものでなければならない」と規定し、報酬基準を作成して事務所に備え置くこと、報酬基準には報酬の種類・金額・算定方法・支払時期その他必要な事項を明示することを、弁護士に義務付けています。

 

弁護士に依頼するにあたっては、報酬基準を確認し、実情をよく話し、納得のいく費用で委任契約することが大切です。

 

弁護士費用の種類

弁護士費用は、弁護士報酬と実費に区分されます。それぞれ、次のようなものです。

 

弁護士報酬

弁護士報酬には、相談料・着手金・報酬金・手数料・時間制報酬・日当があります。

 

相談料 弁護士による法律相談の費用です。1時間あたり、または30分あたりの料金が定められています。
着手金 結果の成功・不成功に関わらず、弁護士が手続を進めるために事件の着手のときに受ける報酬です。報酬金とは別のもので、手付金ではありません。
報酬金 成功の程度(経済的利益)に応じて受ける成功報酬です。
手数料 原則として、1回程度の手続きで終わり、結果の成功が見込めるものについては、着手金・報酬金方式でなく、手数料方式とする場合があります。
時間制報酬 依頼された事件の処理に要した時間に単価を掛けて、弁護士報酬を計算します。「タイムチャージ」とも呼ばれます。
日当 地方等への出張が必要な場合に、交通費と別に請求されることがあります。

 

実費

実費は、弁護士への依頼内容によって必要となるものですが、弁護士の実質的な収入とはならないもので、報酬と区別されます。

 

例えば、収入印紙代、切手代、謄写料、交通費、通信費、宿泊料、保証金、保管金、供託金などです。

 

弁護士費用の目安

弁護士報酬の自由化後、日弁連が2008年11月に全国の弁護士を対象に報酬についてアンケート調査を実施しました。

 

その結果を2009年8月に取りまとめ、「市民のための弁護士報酬の目安」として公表しています。主な弁護士報酬について紹介しておきます。参考にしてみてください。

 

法律相談料

アンケートでは次のような説例で、法律相談料を尋ねています。

 

一般市民からの法律相談で、1時間を要し法律相談だけで完結した。

 

アンケート調査の結果は、1万円が55.7%、5千円が36.1%。この2つで90%を超えます。

 

つまり、法律相談料は、1時間5千円~1万円がほとんどで、中でも1時間1万円の事務所が半数以上です。相談内容などにより法律相談料が違ってくることもあるようです。

 

着手金・報酬金

アンケートでは次のような設例で、着手金と報酬金を尋ねています。

 

交通事故にあい、重傷を負った被害者から損害賠償請求を依頼された。弁護士の判断として1,000万円程度が妥当であると考えたが、保険会社からの提示額は500万円であったので、訴訟を提起し、その結果、1,000万円の勝訴判決を得て、任意に全額回収できた。

 

アンケート結果をグラフにしてみました。

 

着手金の目安(日弁連アンケート)

報酬金の目安(日弁連アンケート)

※日弁連「市民のための弁護士報酬の目安」をもとに作成。

 

アンケートの設例は、訴訟を提起した場合です。示談交渉により解決した場合とは異なりますから、その点はご注意ください。

 

着手金は、30万円前後が48.6%で最も多く、次いで20万円前後が19.7%。この2つで68%ですから、着手金は、20万円前後から30万円前後が3分の2を超えるという結果です。

 

報酬金は、50万円前後が35%で最も多く、3分の1強を占めますが、60万円前後から100万円前後まで幅があります。

 

この結果について、日弁連は次のようにコメントしています。

 

交通事故による損害賠償請求の着手金は、過失割合に争いがあるとか、事前に事故内容の調査が必要であるといった事件の複雑さの程度に関する事情によって金額に幅があります。

 

報酬金についても、訴訟に要する労力や判決によって得られた額などによって金額が異なってくるのが通常です。

 

それにもかかわらず、着手金のほうだけかなり低いほうに回答が集中しているのは、交通事故の被害者の救済のために、依頼者の負担を軽くしたいという考え方をとる弁護士が多いのではないかと思われます。

※日弁連「市民のための弁護士報酬の目安」13ページ

 

着手金・報酬金を見るときには注意点があります。争いのある額を弁護士報酬の算定基準とする場合、請求金額全体(設例では1,000万円)を争いのある額と見るのか、請求額から保険会社の提示額を控除した額(請求額1,000万円から保険会社の提示額500万円を差し引いた残額500万円)を争いのある額と見るのか、その中間か、です。

 

どの考え方をとるかは、保険会社の態度(訴訟において訴訟前の提示額を最低賠償額として考慮するのか、訴訟になった以上はゼロから始めるという立場か)や、請求額との差がどの程度あるか、などの事情によっても異なってくるようです。

 

日弁連「市民のための弁護士報酬の目安」はこちら

 (日弁連のWebサイトにリンクしています)

 

旧・報酬基準

弁護士法の改正にともない、2004年4月1日より報酬規定(報酬基準)が廃止されましたが、現在も、この「旧基準」を参考に弁護士報酬を決めている場合も多いようです。

 

参考までに、自由化前の「日弁連の報酬等基準」は、次のようになっていました。消費税別です。

 

着手金
経済的利益の額 着手金

300万円以下の場合

8%

300万円を超え3,000万円以下の場合

5%+9万円

3,000万円を超え3億円以下の場合

3%+69万円

3億円を超える場合

2%+369万円

※事件の内容により30%の範囲内で増減額できます。
※着手金の最低額は10万円。

 

例えば、経済的利益の額が1,000万円の場合の着手金は、「300万円を超え3,000万円以下の場合」に該当しますから、

1,000万円×5%+9万円

 

報酬金
経済的利益の額 報酬金

300万円以下の場合

16%

300万円を超え3,000万円以下の場合

10%+18万円

3,000万円を超え3億円以下の場合

6%+138万円

3億円を超える場合

4%+738万円

※事件の内容により30%の範囲内で増減額できます。

 

報酬基準をまとめると

着手金と報酬金の算定基準は、次のように表すこともできます。

 

経済的利益の額 着手金 報酬金

300万円以下の部分

8%

16%

300万円を超え3,000万円以下の部分

5%

10%

3,000万円を超え3億円以下の部分

3%

6%

3億円を超える部分

2%

4%

※事件の内容により30%の範囲内で増減額できます。着手金の最低額は10万円。

 

例えば、経済的利益の額が1,000万円の場合、着手金の計算はこうです。

 

1,000万円のうち、300万円以下の部分(すなわち300万円)については8%、300万円を超え3,000万円以下の部分(すなわち1,000万円から300万円を差し引いた700万円)については5%を乗じて計算し、合計したものが着手金額です。

 

300万円×8%+700万円×5%

 

計算式を変形すると、

 

300万円×8%+700万円×5%
=300万円×(5%+3%)+700万円×5%
=(300万円+700万円)×5%+300万円×3%
=1,000万円×5%+9万円

 

上の着手金の表にもとづいて計算した場合と同じ計算式となります。

 

この表から分かるように、報酬金は着手金の2倍の率です。

 

着手金と報酬金では、算定基礎とする経済的利益の額が異なります。着手金は賠償請求額、報酬金は得られた賠償額で、それぞれ弁護士が介入することにより増加する額を基準とします。

 

弁護士保険の保険金支払基準(LAC基準)は、この「旧・報酬基準」に準じています。

 

まとめ

弁護士報酬は、現在、各弁護士事務所で独自に報酬基準を定め、依頼者と協議の上で自由に報酬を決める仕組みになっています。

 

弁護士には報酬・費用について依頼者に説明する義務がありますから、委任契約の前にしっかり確認することが大切です。

 

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