示談交渉を継続するか、裁判を起こすか、判断の目安

Point
  • 示談交渉は、回数にして10回、期間にして3~6ヵ月くらいが、おおよその目安です。あらかじめ期限を設けて行うと、進展しやすくなります。
  • 損害額や過失割合について、被害者と加害者の主張に大きな隔たりがある場合は、早々に示談交渉を打ち切って、訴訟を提起する方がよい場合があります。

 

目次
  1. 示談交渉の回数と期間の目安
  2. 両者の主張が極端に違うときは、早々に示談交渉を打ち切って訴訟を提起する
  3. 加害者の対応によっては早々に裁判を起こす
  4. 相手に賠償資力がない場合は訴訟を提起しても無意味
  5. まとめ

 

弁護士法人・響

示談交渉の回数と期間の目安

示談交渉の回数や期間は、一般論ですが、回数にして10回、期間にして3~6ヵ月くらいが限度といわれます(『交通事故と示談のしかた』自由国民社)

 

示談は、当事者双方が互いに譲歩しなければ成立しません。被害者の側も、示談を成立させるかどうかは、最後は「ふんぎり」の問題。むやみに交渉を重ねても、効果が上がるものではないのです。

 

示談交渉は期限を設定すると進展しやすい

示談交渉を始めるときには、一応の期限を決めて相手にも伝えておくと、話し合いが進展しやすくなります。

 

示談交渉の期限を設定するということは、「期限内に示談が成立しないときは裁判を起こす」ということですから、1回ごとの話し合いが真剣になるのです。

 

ただし、期限はあくまでも目途として考え、柔軟に対応することが大切。期限が来たからといって機械的に打ち切る必要はありません。示談が成立しそうな一歩手前まで話が具体的に煮詰まってきているのなら、当然、示談交渉を継続すべきです。

両者の主張が極端に違うときは、早々に裁判を起こす

損害額や過失割合について、被害者と加害者の主張に極端に大きな隔たりがある場合は、示談での解決は難しいと考えた方がよいでしょう。

 

特に、過失割合で両者の主張が真っ向から対立するような場合は、示談は困難です。

 

損害賠償額で両者の主張に開きがある場合なら、ADR(裁判外紛争解決機関)に示談の斡旋を申立てすることで解決できる場合もありますが、過失割合の主張が大きく食い違う場合は、訴訟を提起するしかありません。

 

例えば、こういうケースを考えてみてください。

被害者が「自分にも過失があった」と、2割の過失を認めているとします。

 

これに対して加害者が「被害者の過失割合は4割だ」と主張しているような場合は、3割前後で落ち着く余地があります。

 

しかし、加害者が「被害者の過失割合は8割だ」と主張するような場合は、ほとんど被害者側が全面的に悪いと言っているようなものですから、示談は困難です。

 

双方の主張が真っ向から対立するわけですから、こういう場合は、いくら交渉を重ねても折り合いはつかず、裁判で解決するしかありません。

 

両者の主張に大きな隔たりがある場合は、2~3回交渉してみて、歩み寄りが全く見られなければ、早々に示談交渉を打ち切り、裁判に持ち込むのがよいでしょう。そうでないと、時間の無駄です。

 

過失割合に大きな隔たりがあると、なぜ示談が難しいのか

過失割合の判断は、かなり難しい問題です。事実を正確につかまないと、十分な判断ができないからです。

 

裁判になったときは、実況見分調書や写真撮影報告書、供述調書などの刑事記録を見ることができますが、示談交渉では、多くの場合、当事者の話から判断するしかありません。

 

刑事記録は、加害者の起訴・不起訴が決まる前は請求できません。不起訴処分となった場合は、民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こさない限り、供述調書は開示されません。

 

刑事記録の開示について詳しくはこちら

 

示談交渉で主導権を握る7つのテクニック」で紹介しているように、両者の主張が対立する場合に備えて、被害者側が独自に証拠や目撃者を探し、事故の状況を正確に把握しておくことが重要です。

加害者の対応によっては早々に裁判を起こす

相手が誠実に話し合いに応じない場合は、すぐにでも裁判を起こすのが賢明です。

 

例えば、示談交渉の席にすら着かない加害者とか、逆に、根拠のない自説を延々と主張し、こちらの話は聞く耳を持たない加害者、あるいは「従業員の起こした事故で会社は無関係」と、無責任な態度をとる雇用主などです。

 

こういう相手の場合は、何回か説得を試みて、話し合いは無理だと判断したら、すぐにでも裁判を起こすべきでしょう。

相手に賠償資力がない場合は訴訟を提起しても無意味

相手に賠償資力がない場合は、裁判所の判決をもらっても「絵に描いた餅」になってしまいます。

 

事実上、自賠責保険の範囲でしか賠償を受けられず、訴訟費用や弁護士費用が、余分な出費になるだけです。

 

こういう場合は、相手の自賠責保険に被害者請求し、そのうえで相手が少しでも賠償金の支払いが可能なら、話を詰めるべきでしょう。あるいは、自分の人身傷害補償保険があるのなら、その保険金の支払いを請求するのが賢明です。

まとめ

示談交渉は、回数にして10回、期間にして3~6ヵ月が目安です。交渉を重ねるほど、効果が高まるわけではありません。期限を設定して交渉することが大切です。

 

被害者と加害者の間での主張に極端に大きな隔たりがある場合は、示談交渉でまとめるのは困難です。そういう場合は、早々に見切りを付けて裁判を起こすのも一つの方法です。

 

示談交渉が難航し、裁判を考えている方は、弁護士に相談すると、適切なサポートを受けられます。

 

これから示談交渉を始めようという方は、すぐにでも弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するのは、早ければ早いほどよいのです。

 

弁護士に示談交渉を頼めば、面倒なことは全て任せられるうえ、示談金の大幅な増額が見込めます。

 

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