自賠責保険・自賠責共済の請求方法
Point
- 自賠責保険(自賠責共済を含む)の請求は、被保険者が行う保険金の請求(加害者請求)と被害者が行う損害賠償額の請求(被害者請求)があります。
- 被害者請求は、本請求のほか、仮渡金請求もできます。
加害者請求と被害者請求
自賠責保険(自賠責共済を含む)の請求には、被保険者による保険金の請求(加害者請求)と、被害者による損害賠償額の請求(被害者請求)があります。
加害者請求
保険契約は保険会社と被保険者との契約ですから、被保険者が被害者に損害賠償した後に、被保険者が保険会社に保険金を請求し、保険金の支払い手続きがなされるのが原則です。保険金は、加害者の損害賠償の支出を補填するものだからです。これが加害者請求です。
被保険者とは、保険事故が発生したときに、契約上定められた保険給付(保険金の支払い)を受ける立場にある人のことです。自賠責保険では、自動車の保有者と運転者が被保険者です。
自動車の保有者・運転者については、次のように規定されています。
保有者 | 自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの |
---|---|
運転者 | 他人のために自動車の運転または運転の補助に従事する者 |
※自動車損害賠償保障法(自賠法)第2条より抜粋。
被保険者(加害者)による保険金の請求は、自動車損害賠償保障法(自賠法)第15条で規定されていることから「15条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、第23条の3第1項において準用が規定されています。
自賠法第15条(保険金の請求)
被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
被保険者が被害者に対して損害賠償金を支払った限度でしか保険金の支払いを請求できないのは、被保険者が保険金を被害者に対して支払わず着服してしまうことを防ぎ、被害者の救済を確実に保障するためです。
被害者請求
被害者が加害者から損害賠償を受けられない場合、加害者の加入している自賠責保険会社に直接、損害賠償金の支払いを請求することができます。これが被害者請求です。直接請求ともいわれます。
このとき、被害者が保険会社に請求するのは、保険金ではなく損害賠償金なので、被害者請求は「損害賠償額の請求」となります。
被害者請求は、自賠法第16条で規定されているので「16条請求」とも呼ばれます。自賠責共済は、第23条の3第1項において準用が規定されています。
自賠法第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)第1項(抜粋)
保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
※「政令で定めるところにより」とは、損害賠償額の支払の請求は、必要な事項を記載した書面をもって行わなければならないということです。
16条請求は「保有者の損害賠償の責任が発生したとき」すなわち保有者に運行供用者責任が発生したときに行うことができます。これは保険金請求と同一の要件です。
保険会社が被害者直接請求を受け付け、調査した結果、保有者に運行供用者責任が発生しないと判断したときは、損害賠償額の支払いを受けることができません。
加害者請求は、示談が成立しない場合や被保険者が損害賠償金を支払わない場合には保険金の請求ができません。これでは、被保険者の都合などで、被害者がいつまでたっても損害賠償金を受け取れない恐れがあります。
そこで自賠責保険は、被保険者に損害賠償責任が生じた場合、被害者が直接保険会社に対して損害賠償額の支払いを請求できる制度になっているのです。
加害者が死亡したり、逃げてしまった場合でも、被害者が直接請求することができます。
被害者請求には、この直接請求のほか、仮渡金請求の制度もあります。
被害者が加害者の自賠責保険に直接請求できる権利は、迅速で実効性ある被害者保護を実現するために自賠法によって特別に付与された権利で、被害者請求権または直接請求権と呼ばれます。
被害者は自賠責保険の契約当事者ではありませんから、この請求権は契約にもとづく権利でなく、自賠法による法定の請求権です。
本請求と仮渡金請求
被害者請求には「本請求」と「仮渡金請求」があります。加害者請求は「本請求」のみです。
本請求
本請求は、被害者の治療が完了し、損害額が確定した段階で行う請求で、加害者・被害者のどちらからでもできます。
なお、本請求をしたからといって、加害者との示談が成立するわけではありません。自賠責保険の支払額が被害者の損害額に満たないときは、その差額を加害者に請求(任意保険に加入していれば保険金で填補)することになります。
仮渡金請求
損害賠償額が確定して正式に賠償金が支払われるまでに、被害者側で、当面の治療費や生活費などの出費がかさみ、負担が大きくなることがあります。
仮渡金は、損害額が確定する前や示談交渉中でも、被害者が請求すれば、損害額の一部前渡しができる制度です。
内払金請求
以前は、内払金請求もありました。治療費や入院費などの支払いが10万円を超えたときに、被害者・加害者を問わず請求できるというものでした。
保険会社がサービスとして自発的に内払制度をつくっていましたが、利用率が低く、損害額が確定したごとに本請求すれば足りることから、2008年(平成20年)10月1日に廃止されました。
まとめ
自賠責保険(自賠責共済を含む)の請求方法には、加害者請求と被害者請求、本請求と仮渡金請求があります。加害者請求は本請求のみですが、被害者請求には仮渡金請求と本請求があります。
加害者請求 |
本請求 |
被害者請求 |
仮渡金請求 |
本請求 |
被害者請求した方が、より多くの賠償金を受け取ることができ、有利になる場合があります。
お困りのことがあったら、今すぐ「保険会社との交渉に強い弁護士」に相談することをおすすめします。早く弁護士に相談するほど、メリットが大きいのです!
交通事故 被害の相談は 弁護士法人 響 へ
弁護士法人・響は、交通事故の被害者サポートを得意とする弁護士事務所です。相談実績は月1,000件以上。多くの交通事故被害者から選ばれています。
お困りのこと、ご心配なこと、お気軽に何でもご相談ください。
こんなサポートを受けられます!
0120-690-048(24時間受付中)
相談無料・着手金0円・全国対応
メールでの無料相談も受け付けています。公式サイトからどうぞ。
※「加害者の方」や「物損のみの方」からの相談は受けていませんので、ご了承ください。