交差点での直進車と右折車との衝突事故の過失割合の考え方

交差点での右折車と直進車との事故

 

交差点での直進車と右折車との事故の過失割合は、基本的に「交差点における直進車優先の原則」「交差点における一般注意義務」から判断されます。信号機により交通整理が行われている交差点では、信号の色によって、過失割合が決まります。

 

交差点における直進車優先の原則(道交法37条)

交差点で右折する場合、直進しようとする車があるときは、直進車の進行を妨げてはならない。

 

交差点における注意義務(道交法36条4項)

交差点に進入し通行するときは、他の車や歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

 

交差点での直進車と右折車との衝突事故は、直進車と右折車が「対向方向から交差点へ進入した場合」と「交差方向から交差点へ進入した場合」の2つのケースがあります。

 

過失相殺率認定基準』を参考に、直進車と右折車との過失割合の基本的な考え方を見ていきましょう。

 

目次
  1. 対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故の過失割合
  2. 交差方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故の過失割合
  3. まとめ

 

 

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対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故

対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車との衝突事故は、信号機により交通整理が行われている交差点か、信号機により交通整理が行われていない交差点か、で過失割合の考え方が異なります。

 

信号機により交通整理が行われている交差点での直進車と右折車の事故

右折車と直進車の事故の過失割合

 

信号機のある交差点に対向方向から進入した直進車と右折車との事故

 

直進車と右折車が、対向方向から交差点に進入した場合、通常、対面信号は同じです。

 

基本的には「直進車優先の原則」がありますが、双方が黄信号や赤信号で交差点に進入した場合は、直進車の側も、直進優先を強く主張することはできません。

 

なお、混雑する交差点では、右折用に時差式信号であったり、右折の青矢印信号が表示される場合があります。

 

こういう交差点では、直進車の側の信号が先に赤に変わりますから、直進車が黄信号や赤信号で交差点に進入し、右折車と衝突したときは、直進車の過失割合が大きくなります。

 

直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。

 

対面信号が同一
ともに信号で進入 A20:B80
ともに信号で進入 A40:B60
ともに信号で進入 A50:B50

 

時差式信号
Aが信号で進入
Bが信号で進入し、信号で右折
A70:B30
Aが信号で進入
Bが信号で進入し、信号で右折
A90:B10
Aが信号で進入
Bが信号で進入し、信号で右折
A70:B30

 

右折の青矢印信号
Aが信号で進入、Bが青矢印で進入 A100:B0

 

右折の青矢印信号が表示されると、直進が禁止され、右折のみが許されますから、基本的には直進車の赤信号無視となり、直進車の過失割合が100%となります。

 

ただし、右折待機車は、比較的容易に対向直進車の動静を確認することができるので、右折車に若干の過失が認められることもあります。

 

信号機により交通整理が行われていない交差点での直進車と右折車との事故

対向方向から交差点へ進入した直進車と右折車との事故

 

信号機のない交差点に対向方向から進入した直進車と右折車の事故

 

信号機により交通整理が行われていない交差点の場合、対向方向から進入した直進車と右折車との衝突事故の過失割合の基本は、次の通りです。

 

直進車20:右折車80

 

交差点では「直進車が優先」(道交法37条)ですから、直進車の進行を妨害した右折車の過失が重くなります。一方、直進車にも「交差点での注意義務」(道交法36条4項)がありますから、20%程度の過失が認められます。

 

基本的な優先関係よりも個別事情の判断が大事なケースがある

信号機のない交差点では、常に[直進車20:右折車80]の過失割合が基本となるとは限りません。

 

例えば、住宅街の幅員の狭い道路の交差点での事故のような場合は、基本的な優先関係よりも、交差点の形態など個別事情が重要となるケースが多くあります。実際の事故態様に応じて、慎重に検討することが大事です。

交差方向から交差点へ進入した直進車と右折車の衝突事故

交差方向から交差点へ進入した直進車と右方車の衝突事故は、信号機により交通整理が行われている交差点か否か、信号機のない交差点の場合は、直進車と右折車のどちらが左方車となるかによって、過失割合の考え方が異なります。

 

信号機により交通整理が行われている交差点での事故

信号機のある交差点での右折車と直進車との事故

 

信号機のある交差点に交差方向から進入した直進車と右折車の事故

 

信号機により交通整理が行われている交差点では、相互の優劣関係は信号表示によって決まります。

 

したがって、基本的に、信号機により交通整理が行われている交差点での出会い頭の衝突事故の基準を準用します。

 

信号車:信号車 0:100
信号車:信号車 20:80
信号車:信号車 50:50

 

信号機により交通整理が行われていない交差点での事故

信号機により交通整理が行われていない交差点での事故は、直進車と右折車のどちらが左方か(左方優先の原則)と、直進車優先の原則により、基本の過失割合が異なります。

 

左方優先の原則(道交法36条1項1号)

交通整理の行われていない交差点においては、その通行している道路と交差する道路を左方から進行してくる車の通行を妨害してはならない。

 

直進優先の原則(道交法37条)

交差点で右折する場合、直進しようとする車があるときは、その車の進行を妨害してはならない。

 

直進車が、右折車に対して左方の場合

信号機のない交差点での右折車と直進車との事故(直進車が左方)

 

直進車が左方、右折車が右方の場合

 

直進車Aが左方、右折車Bが右方の場合、右折車Bは徐行しながら交差点の中央まで進み、左方から来る直進車Aの進行を妨害しないように右折しなければなりません。

 

この場合の優先関係は、左方優先の原則と直進車優先の原則から、直進車Aの進行が優先します。もっとも、直進車Aにも、交差点における注意義務(道交法36条4項)がありますから、一定の過失は認定されます。

 

したがって、直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。

 

直進車Aが、右折車Bに対して左方 A30:B70

 

右折車が、直進車に対して左方の場合

信号機のない交差点での右折車と直進車との事故(右折車が左方)

 

右折車が左方、直進車が右方の場合

 

直進車Aが右方で、右折車Bが左方にある場合、右折車Bの交差点中央までの進行形態は、直進車の場合とほとんど同じです。

 

右折車といっても、ハンドルを大きく右に切るのは、交差点中央付近に至ってからですから、事故の形態は、右折車と直進車というより、交差点での出会い頭事故の様相を呈することになります。

 

したがって、直進車Aと右折車Bの基本の過失割合は、次のようになります。

 

直進車Aが、右折車Bに対して右方 A40:B60

 

なお、直進車Aが右方で、右折車Bが左方にある場合、「左方優先の原則」と「直進優先の原則」が競合します。道路交通法では、左方優先と直進優先の優劣について規定がないからです。

 

右折車が直進車に対して左方の場合、一般的には、「直進優先の原則」が「左方優先の原則」より優先すると考えられています。『過失相殺率の認定基準』でも、直進優先を左方優先より重視しています。

 

それは、主に2つの理由からです。

 

信号機のない交差点での右折車と直進車との事故(右折車が左方)

  1. 右折車Bは、右折するために徐行して交差点に進入するので、直進車Aに比べ、危険回避措置をとることが容易だからです。
  2. 右折車Bは、対向直進車Dや左方直進車Cとの関係で、交差点の中央で待機を余儀なくされることが予測され、交差点の通行をより多く遮断する可能性が大きいため、直進車Aを先に通過させるのが交通の円滑にかなうからです。

 

直進車と左方右折車との優先順位について、左方優先と直進優先のどちらを優先的に適用すべきか、について判示した次のような裁判例があります。

 

直進車と左方右折車との通行順位についての判例

 

交通整理の行なわれていない交差点における直進車と左方道路からの右折車との通行順位につき、法36条1項1号と37条のいずれを優先的に適用すべきであるかが必ずしも明らかでない。

 

しかしながら、右折車は右折のために当然に減速する必要があるのであるから、直進車と右折車を比較すれば、一般的に右折車の方が危険回避措置をとることが容易なのであって、右折車はたとえ自車が左方車であっても右方直進車の進行妨害をしてはならないと解することが相当であり、そのように解することが道路交通の安全と円滑を図る法の目的にかなうところであると考えられる。

 

したがって、右のような場合には、法36条1項1号を排して法37条が適用されなければならない。

 

(札幌高裁判決・昭和50年11月27日)

まとめ

ここで取り上げたのは、交差点における直進車と右折車の事故類型のごく一部です。しかも、基本の過失割合の考え方のみです。

 

実際の事故について過失割合を判断するときには、『過失相殺率認定基準』の、どの事故類型を参考にするか、修正要素をどう加味するか、検討が必要です。個別事情を考慮して判断する必要もあります。

 

かなり専門的な知識と経験が必要ですから、自分で判断しようとせず、交通事故に強い弁護士に相談することが大切です。

 

 

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過失割合に納得できない

 

参考文献

・『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版』(別冊判例タイムズ38)
・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房
・『道路交通法解説16-2訂版』東京法令出版
・半谷恭一・大阪地方裁判所判事「道路交通法37条は同法36条1項1号に優先して適用されるか」
 判例タイムズ№338

 

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