交通調停・民事調停の申し立て方法と手続の流れ

交通調停・民事調停の申し立て方法と手続の流れ

一般の民事調停は相手方の住所・居所を管轄する簡易裁判所に申立てますが、交通調停は特例があり、申立人の住所・居所を管轄する簡易裁判所に申し立てることもできます。

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民事調停事件は、管轄する裁判所が法律(民事調停法)で定められています。調停の申立ては管轄裁判所に行います。民事調停の申立て方法、民事調停の手続きについて見ていきましょう。

 

民事調停申立ての管轄裁判所

民事調停の申立ては、相手方の住所・居所を管轄する簡易裁判所に対して行うのが原則です。ただし、当事者が合意していれば、その合意した地方裁判所・簡易裁判所が管轄裁判所となります。

 

民事調停法3条1項(管轄)

調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

 

なお、「自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件」を交通調停事件といい、交通調停事件は、相手方の住所・居所の所在地を管轄する簡易裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所・居所の所在地を管轄する簡易裁判所も管轄とする特則があります(民事調停法33条の2)

 

交通調停の申立ては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所でも、自分の住所地を管轄する簡易裁判所でも、どちらでもかまいません。また、当事者間で合意した地方裁判所・簡易裁判所があれば、その裁判所に対して調停申立てをすることも可能です。

 

民事調停法33条の2(交通調停事件・管轄)

自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件は、第3条に規定する裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所又は居所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。

 

調停申立書の書き方と注意点、添付書類

交通調停・民事調停は、管轄裁判所に調停申立書を提出することで、手続きが開始します。交通調停は、調停事件を管轄する簡易裁判所に特例があるだけで、調停の手続きは、一般の民事調停と同じです。

 

調停申立書の入手方法と書き方

調停の申立用紙は、簡易裁判所に備えられています。記入の仕方は窓口で教えてくれます。交通調停の申立書の書式や記載例を最高裁のホームページからダウンロードすることもできます。

 

申立書の記載方法は簡単です。申立人・相手方の住所・氏名、申立ての趣旨、交通事故の内容、損害額を記載します。

 

添付書類としては、証拠書類(交通事故証明書・診断書の写し)、資格証明書(当事者が法人の場合、商業登記簿謄本・抄本)、委任状等(当事者の代理人が申立てをする場合、当事者が未成年者の場合は法定代理人の代理権を証するための戸籍謄本も必要)があります。

 

※最高裁のホームページからダウンロードしたものです。

 

具体的な請求額を記載しなくてもよい

「申立ての趣旨」の欄に注目してください。通常は具体的な請求金額を記入しますが、損害額の算定を調停に頼みたい場合等は「2 相当額の金額を支払うこと」でもよいことになっています。

 

調停の申立てには時効完成猶予の効力があるので、時効が迫っているのであれば、とりあえず「相当額の金額を支払うこと」として申立てを行えば、時効の完成を猶予させることができます。

 

調停申立てに必要なものと手数料

裁判所に提出する申立書や書類などは、裁判所提出用の正本1通のほか、相手方に交付するための副本(写し)を相手方の数だけ用意して裁判所に提出します。

 

調停の手数料は収入印紙で納めます。申立書に一定額の収入印紙を貼り、相手方に送付用の切手を添えて、裁判所に提出します。印紙をいくら貼るかは、支払いを求める金額に応じて決まります。印紙や郵便切手について詳しいことは、裁判所の受付で教えてくれます。

調停委員会

調停は、原則として調停委員2名と裁判官1名で構成される調停委員会により行われます。

 

裁判官は、調停が大詰めにきたときや、成立・不成立の判断をするとき以外は出席せず、調停委員が当事者の意見を聞いて調整していきます。調停委員は、弁護士や学識経験者で、裁判所が任命します。

 

なお、交通調停といっても、必ずしも交通事故の損害賠償問題に詳しい調停委員があたるわけではありません。詳しくは、交通調停・民事調停のデメリットをご覧ください。

 

1回の調停でまとまらないときは、数回繰り返します。徐々に争点が絞られてきて、調停委員の勧める妥当なところで両者が妥協すれば調停成立、まとまらなければ調停不成立となります。

 

調停が成立すれば、調停調書が作成されます。調停調書には確定判決と同じ効力があり、原則として後から不服を唱えることはできません。もし、約束した行為をしない場合には、調停の内容を実現するため、強制執行を申し立てることができます。

 

調停不成立の場合は、訴訟を提起するほかありません。この場合、損害賠償請求権の消滅時効に注意してください。調停申立てによる時効の完成猶予の効力について詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

交通調停・民事調停の申立ては、被害者本人でもできます。調停は、調停委員が間に入りますが、あくまで当事者の話し合いにもとづく合意により解決する手続きです。当事者双方が合意しなければ、調停は成立しません。

 

調停委員は必ずしも交通事故の損害賠償問題に詳しくないので、納得できる調停結果を得られない可能性があることにも留意してください。調停を申立てるかどうかは、慎重に検討する方がよいでしょう。

 

お困りのことがあれば、交通事故の損害賠償請求に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

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公開日 2017-07-10 更新日 2023/05/24 08:31:08