調停に代わる決定(17条決定)

Point
  • 交通調停・民事調停が成立する見込みがないとき、裁判所が相当と判断すれば、職権で調停に代わる決定をすることができます。
  • 調停に代わる決定は、裁判上の和解と同じ効力を有します。
  • ただし、当事者が、調停に代わる決定の告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てれば、その効力を失います。

 

交通事故の損害賠償をめぐり、交通調停・民事調停を申立てしたとき、当事者間で大筋では合意していながら、感情的な対立などから調停の成立が見込めないケースがあります。

 

そのまま「調停不成立とするのは惜しい」というような場合、裁判所が職権で「調停に代わる決定」をすることができます。

 

調停に代わる決定がされるケース

調停に代わる決定がされるのは、例えば、次のような場合です。

 

  1. 当事者双方が自らは譲歩したくないが、裁判所が和解案を提示すれば従うという場合。
  2. 解決の方向性は見いだせているのに、当事者が自分の考えに固執し合意できない場合。
  3. 大筋では合致しているのに、わずかな意見の対立から調停の成立が見込めない場合。
  4. 意見の対立が、もっぱら感情的なものに過ぎない場合。
  5. 当事者が法人で、裁判所が決定を出せば稟議を通しやすい場合。

 

関係者から聞くところによると、調停申立てに至るまでに示談交渉を重ねている場合がほとんどですから、「自分から譲歩するのはイヤだけど、裁判所が決めてくれるなら従ってもいい」という方が、結構いるようです。

 

このような場合に、裁判所が適当な解決案を当事者に示すことで、当事者に再考を促し、紛争解決を図るため、調停に代わる決定という制度が民事調停法で認められています。

 

調停に代わる決定は「民事調停法第17条」で定められていることから、「17条決定」とも呼ばれます。

 

民事調停法第17条(調停に代わる決定)

裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。

 

調停は、あくまでも当事者間での「話し合い」と「合意」により紛争解決を図るものです。そのため、調停に代わる決定は「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度」において認められています。調停に代わる決定を出すことは、慎重に行われているようです。

 

調停に代わる決定の効力と異議申立

当事者は、調停に代わる決定に不服がある場合は、決定の告知を受けた日から2週間以内であれば異議申立ができます(民事調停法第18条1項)

 

2週間以内に異議申立すれば、調停に代わる決定は「効力を失う」ことになります(民事調停法第18条4項)。その結果、調停不成立ということになります。

 

2週間以内に異議申し立てをしない場合は、その決定は「裁判上の和解と同一の効力を有する」ことになります(民事調停法第18条5項)。調停が成立したときに作成される調停調書と同じ効力を有します。履行されない場合は強制執行が可能です。

 

民事調停法第18条(異議の申立て)
  1. 前条の決定に対しては、当事者又は利害関係人は、異議の申立てをすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間とする。
  2. 裁判所は、前項の規定による異議の申立てが不適法であると認めるときは、これを却下しなければならない。
  3. 前項の規定により異議の申立てを却下する裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。
  4. 適法な異議の申立てがあったときは、前条の決定は、その効力を失う。
  5. 第1項の期間内に異議の申立てがないときは、前条の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

まとめ

調停に代わる決定は、当事者双方が「自ら譲歩したくないけれども、裁判所が決めてくれれば従う」というような場合に有効です。

 

調停に代わる決定には「裁判上の和解」と同じ効力があり、相手方が履行しない場合は、強制執行が可能です。

 

もし、決定に不服であれば、2週間以内に異議申し立てをすれば、その効力は失われます。

 

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弁護士法人・響

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