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「 車両損害 」の検索結果
  • 車両保険
    車両保険は事故・台風・盗難などによる車両損害を補償
    車両保険は、被保険自動車が、他の自動車との衝突や接触、単独事故、当て逃げ、火災・爆発、盗難、台風・洪水・高潮、物の落下・飛来、窓ガラス破損などの「偶然な事故」で損害を受けたときに保険金が支払われます。補償の範囲や支払われる保険金額は、契約内容により異なります。他の車にぶつけられて破損した場合は、相手の対物賠償保険により損害を賠償してもらうこともできます。この場合、車両保険を使うと、支払われた保険金の限度において、加害者に対する損害賠償請求権が保険会社に移ります。相手の対物賠償保険を先に使うか、自分の車両保険を先に使うかは、法律上の定めはなく、都合の良い方から使えばいいとされています。ただし、車両保険を利用すると、3等級下がり、保険料がアップします。車両保険の種類と補償範囲一般車両保険エコノミー限定A車対車+A他車と衝突・接触○○×○単独事故○×××当て逃げ○×××物の落下・飛来○×○○窓ガラス破損○×○○台風・洪水・高潮○×○○火災・爆発○×○○盗難○×○○○:支払い対象となる事故 ×:支払い対象とならない事故一般車両保険(オールリスク)衝突、接触、墜落、転覆、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮、物の落下・飛来など、偶発的な事故により契約車両に生じた損害を填補する保険。車対車特約付き車両保険(エコノミー)他の自動車との接触・衝突事故で、相手が確認された場合に限り(相手自動車確認条件付)、契約車両に生じた損害を填補する保険。車両危険限定A特約付き車両保険(限定A)火災、盗難、台風、洪水などにより契約車両に生じた損害を填補する保険。「限定A保険」と呼ばれます。エコノミー+限定A(車対車+A)他の自動車との接触・衝突事故で相手が確認された場合と、火災、盗難、台風、洪水などにより契約車両に生じた損害を填補する保険。「車対車+A」とも呼ばれます。車両保険に付帯できる特約は、補償範囲を限定し、保険料負担を軽減するものです。支払われる保険金保険金は、保険証券記載の保険金額を限度に支払われます。ただし、保険金額が保険価額を超える場合は、保険価額が限度額となります。保険価額とは、損害が生じた地区・時点における被保険自動車の市場販売価格相当額のことです。この保険価額が、損害額となります。保険法第18条1項で「損害保険契約により填補すべき損害の額は、その損害が生じた地及び時における価額によって算定する」と定められ、これが損害保険における損害額算定の原則です。保険金の算定は全損・分損で異なる支払われる保険金の算定方法は、全損と分損で異なります。全損とは「損害額または修理費が保険価額以上となる場合」です。車両が盗難に遭い発見できなかった場合も含みます。分損とは「損害額・修理費がいずれも保険価額未満となる場合」です。全損①損害額が保険価額以上(滅失、修理不能で無価値)②修理可能だが修理費が保険価額以上(経済的全損)③盗難され発見できない分損修復可能な損害(損害額・修理費がいずれも保険価額未満)全損の場合は、保険価額が損害額とみなされ、保険価額が支払額となります。分損の場合は、おおむね修理費が損害額となり、損害額から免責金額を差し引いた額が保険金として支払われます。免責金額までの損害については、保険金は支払われません。免責金額とは、修理代の自己負担額です。修理に出したとき「いくらまでなら自己負担できるか」によって決めます。設定した免責金額に応じて保険料が安くなります。全損の場合も分損の場合も、保険金に費用(車両を事故現場から修理工場へ運搬するのに要した費用など)が加算され、その合計額が支払われます。車両価額協定保険特約被保険自動車が、自家用乗用車や自家用貨物車など自家用8車種の場合には、車両価額協定保険特約が自動的に付帯されます。これは、保険契約締結時に、被保険自動車と同一の用途・車種・車名・形式・仕様・年式等で同じ消耗度の自動車の市場販売価格相当額を「協定保険価額」として保険会社と加入者が協定するもので、この協定保険価額が保険金額となります。損害額は、「損害が生じた地区・時点における市場販売価格相当額」とするのが原則ですが、その価額の評価は困難で、見解の相違によるトラブルも考えられることから、保険金額と保険価額を一致させるために設けられた特約です。実際には、保険会社が定めた「自動車保険車両標準価格表」を参考にして、協定保険価額を決めています。保険契約期間中は、協定保険価額が保険金額となります。保険金は、損害発生時の車両の時価額にかかわらず、協定保険価額を基準として支払われます。保険金が支払われない主なケース(免責事由)保険金が支払われない主な免責事由には、次のようなものがあります。保険契約者、被保険者または保険金を受け取るべき者の故意または重大な過失地震、噴火、またはこれらによる津波戦争、暴動など核燃料物質による事故詐欺・横領被保険自動車を競技、曲技、試験のために使用すること被保険自動車に危険物を業務として積載すること車両の欠陥、摩滅、腐食、錆その他自然の消耗、故障による損害などタイヤの単独損害(火災・盗難の場合を除く)無免許・酒気帯び・麻薬等運転【関連】⇒ 任意保険の免責事由まとめ車両保険は、自分の保険契約している自動車が、交通事故、火災、台風、盗難などで被害を被ったとき、その損害を補償してくれる保険です。損害の程度に応じて、修理費相当額や保険価額・協定保険価額をもとに算出された保険金が支払われます。ただし、契約内容により、補償範囲や保険金額が異なります。ここで紹介しているのは一般的な内容です。保険会社や個々の保険によって異なることがありますから、必ず、ご自身の保険契約・保険約款をご確認ください。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。
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  • 全損
    事故車両の買替えが認められるのは?物理的全損・経済的全損の違い
    交通事故による車両損害は、修理が可能であれば、修理費用の賠償が原則です。たとえ新車であっても、「新車だから」という理由だけで、新車買替えが認められるわけではありません。例えば、新車引渡し20分後の事故ですら、新車購入費用の請求を認めなかった裁判例もあります(東京地裁判決・平成12年3月29日)。どんな場合に車両の買替えが認められるのか、詳しく見ていきましょう。車両の買替えが認められるのは全損の場合車両損害は、修理が可能かどうかで全損と分損に区分されます。修理不能の場合は全損、修理可能な場合は分損となります。車両の買替えが認められるのは、全損の場合です。全損修理不能なので買替が認められる分損修理可能なので修理が相当買替えでも賠償額は被害車両の時価額の範囲買替えが認められるといっても、自動車を新しく買い替えるための費用が全額認められるわけではなく、損害として賠償を受けられるのは、事故時の被害車両の時価額の範囲です。そもそも、物損の損害賠償は、財産上の損害を事故前の状態に回復させることなので、被害車両の時価額を超える損害賠償は、被害者に利得をもたらすことになり、公平でないという考え方です。分損でも買替えが認められる場合がある技術的には修理が可能でも、修理費が車両時価額(事故時の車両価額)より高くなる場合は、買替えが認められます。修理をするよりも、買い替える方が経済的合理性があるからです。つまり、車両の損害は、修理費か車両時価額のいずれか低い方を賠償すればよい、ということなのです。買替えが相当と認められる3つのケース買替えが認められるのは全損の場合ですが、全損には次の3つのタイプがあります。物理的に修理不能(物理的全損)のとき経済的に修理不能(経済的全損)のとき社会通念上相当(社会的全損)と認められるとき①物理的全損車両の損傷が激しく、技術的・物理的に修理が不可能な状態を「物理的全損」といいます。本来の意味の全損ですから、買替えが認められます。②経済的全損技術的には修理可能でも、修理費が車両時価額を上回る場合は、修理をするより買い替える方が経済的合理性があると判断されます。このように「経済的に修理不能」な状態を「経済的全損」といい、車両の買替えが認められます。こういう場合は、修理をしても、車両時価額を超える修理費は、損害賠償を受けられません。③社会的全損技術的に修理不能ではないものの、車体の本質的構造部分に重大な損傷を受け、買替えをすることが社会通念上相当とされるときは、「社会的全損」という場合があります。損傷が車両の安全性に関わる部分に生じ、車両性能の著しい減損を伴うため、事実上、物理的全損ともいえます。「社会的全損」という呼称は、北河隆之氏が『交通事故損害賠償法第2版』弘文堂337~338ページで使用しています。「社会通念上相当と認められるとき」とは?物理的全損・経済的全損のほか、「買替えをすることが社会通念上相当と認められるとき」も、買替差額を請求できるというのは、最高裁判決で示されました。次のような判決です。最高裁第二小法廷判決(昭和49年4月15日)交通事故により自動車が損傷を被った場合において、被害車両の所有者が、これを売却し、事故当時におけるその価格と売却代金との差額を損害として請求しうるのは、被害車両が事故によって物理的または経済的に修理不能と認められる状態になったときのほか、フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められ、被害車両の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときをも含むと解すべきである。ただし、このケースに該当することを肯定した裁判例は極めて少ないのが実情です。肯定例として、札幌高裁判決・昭和60年2月18日があります。なぜ、該当例が少ないかというと、「買替えをすることが社会通念上相当と認められるとき」とは、どのような場合が該当するのか、その判断が容易ではないこと、さらに「重大な損傷の生じたことが客観的に認められ」ることが必要で、主観的に車両の安全性に不安を感じるというだけでは該当しないこと、などが理由として挙げられます。なお、車体の本質的構造部分とは、フレームのほか、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネル、エンジン、車軸などを指します。まとめ車両の損害は、修理費の賠償が原則です。車両の損害は、大きくは全損と分損に区分されます。全損(物理的全損・経済的全損・社会的全損)の場合は、買替えが認められ、買替差額を損害賠償請求請求できます。分損の場合は、適正修理費用(必要かつ相当な修理費用)を損害賠償請求できます。なお、ローン返済中の所有権留保車両の場合、使用者(購入者)は、車両の所有権がないため、買替差額を請求することはできません。所有権留保車両やリース車両の損害賠償請求権について詳しくはこちらをご覧ください。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『別冊判例タイムズ38』 17ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 206~210ページ・『交通関係訴訟の実務』商事法務 427~431ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 278~282ページ・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 337~338ページ・『交通事故事件の実務』新日本法規 100~103ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 239~241ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 227~231ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 271~287ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 169~170ページ
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  • 車両時価額
    全損車両の損害額(車両時価額・買替差額)の算定方法
    被害車両が全損の場合は、事故時の車両時価額が損害として認められます。ここでは、全損となった場合に賠償請求できる損害額の算定方法、車両時価額の算定方法について説明します。被害車両が全損のときに請求できる損害とは?全損の場合は、事故時の被害車両の価格(車両時価額)が損害として認められます。ただし、被害車両の売却代金が車両時価額から控除されます。この売却代金には、スクラップ代金を含みます。スクラップ代金とは、車両を解体した際に鉄くず代金として車両所有者が得る金銭のことで、解体業者に支払う解体費用ではありません。車両時価額から売却代金を控除した差額を買替差額といいます。買替差額に加えて、買替えに要する買替諸費用(登録手続関係費)も、損害賠償請求が認められます。つまり、被害車両が全損の場合に賠償請求できる損害は、買替差額と買替諸費用です。全損車両の損害賠償額=買替差額+買替諸費用買替差額=車両の時価額-売却代金事故時の車両価格(車両時価額)の算定方法買替差額の算定で大事なのが、事故時の車両価格(車両時価額)をいくらと評価するかです。請求する側で、車両時価額の立証が必要です。車両時価額は、中古車市場における販売価格(再調達価格)によるのが原則です。車両時価額(被害車両の事故当時における取引価格)の算定方法について、最高裁は次のように判示しています。最高裁第二小法廷判決・昭和49年4月15日いわゆる中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によって定めるべきであり、右価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは、加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり、許されないものというべきである。具体的には、次のような方法により、車両時価額を算定します。事故車両と同一の車種・年式・型の車両について、「オートガイド自動車価額月報」(通称:レッドブック)の価格を基礎に、中古車専門雑誌やインターネット上の中古車価格情報などで、事故車両と使用状態や走行距離などが同程度の車両の価格を参考に判断します。車両時価額の調査に用いられるものとして、次のものがあります。有限会社オートガイド発行の「自動車価格月報」(通称:レッドブック)一般財団法人日本自動車査定協会発行の「中古車価格ガイドブック」(通称:イエローブック、シルバーブック)全国技術アジャスター協会発行の「建設車両・特殊車両標準価格表」インターネット上の中古車価格情報一般的には「レッドブック」を参考にしますが、「レッドブック」の掲載期間は長いものでも10年程度です。「レッドブック」に掲載のないような古い車両の価格算定には、インターネット上の中古車価格情報を参考にすることになります。ただし、このような情報は販売店の販売希望価格であって、実際の取引価格でないことに注意が必要です。市場価値のない古い車両の時価額の算定方法新車登録時から長期間経過して市場流通性を喪失し、レッドブック等にも掲載がなく、中古車市場価格が判明しない古い車両については、新車価格の10%を時価額とする場合が多いようです。中古車市場における交換価値(市場価値)を喪失した古い車両でも、実際に走行していた以上、使用価値はあったと評価できます。この使用価値相当の評価方法として定着しているのが、新車価格の10%と算定する方法です。これは、減価償却資産の残存価額の考え方にもとづくものです。減価償却資産については、法定耐用年数が経過しても使用価値はあるため(これを「残存価額」といいます)、減価償却は10%の残存価額を残して行うことになっていました。これの考え方にもとづき、法定耐用年数の経過した古い車両は、新車販売価格の10%を時価額としていたのです。ただし、平成19年度税制改正により、減価償却資産については「償却可能限度額及び残存価額」が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになりました。その結果、減価償却の方法をもとに車両時価額を新車価格の10%とすることについて、法律上の根拠は失われたのです。しかし、この税制改正以降もなお、裁判では、新車価格の10%を時価額として認定しています。こうした裁判例からみると、新車登録時から長期間経過し、適切な資料により車両時価額を立証できないような場合には、裁判所が新車価格の10%と認定するケースが今後もあり得ると考えられます。新車の時価額の算定方法新車であっても、登録するだけで、いわゆる「登録落ち」(車検落ち、ナンバー落ち)が生じ、車両価格が1~2割程度下落するといわれています。たとえ、納車直後の新車であっても、査定は中古車価格となります。新車価格を車両時価額として、買替差額を算定することは認められません。販売が開始されたばかりの新車で、まだ中古車市場価格が形成されていない場合は、新車価格から適宜減額して価格を算定する方法もとられます。学説的には、「走行距離1,000㎞以内、購入日から1年以内が、新車買替差額の認められる限界」とし、新車買替差額を認める場合は、損害の公平な分担の観点から、新車買替諸費用の賠償は認めない、とする見解もあります。裁判例には、新車購入後6日目に事故に遭い、車体の基幹部分に重大な損傷を受けた車両について、修理しても走行機能等に欠陥を生じることが推測されるとして、新車購入価格と登録諸費用も認めた例(札幌高裁昭和60年2月13日判決)もありますが、基本的に、新車買替え請求には否定的な裁判例が多いようです。例えば、新車を購入し、引渡しを受けた直後の事故だったことを理由に、新車買替えを要求したことについて、次のような裁判例があります。東京地裁平成12年3月29日判決事故により損傷した被害車が、店舗内に陳列中であったり、車両運搬車で運搬中であったりする等、完全な新車の状態であった場合であれば格別、既に、一般の車両と同様に公道において通常の運転利用に供されている状態であった以上、新車の買替えを肯認すべき特段の事情とまではいえない。特殊車両(商業車・改造車など)の時価額の算定方法商業車や改造車などの特殊車両は、レッドブックに掲載がなく、中古車市場での流通も少ないことから、車両時価額の算定が困難です。商業車の場合商業車の車両時価額の算定については、次のような方法を採用した裁判例があります。タクシー現実の交換価値により近くするため、法定耐用年数ではなく、一般的な使用期間を考慮して減価償却を行い、これに特殊装備(料金メーター等)の価値を加算する方法。観光バス法定耐用年数ではなく、実際の使用可能期間を考慮して減価償却を行う方法。郵便物集配業務用車両車体本体の時価額に、特別仕様部分の残存価値を加算する方法。改造車の場合改造車の車両価格は、原則として、ベース車の車両価格に改造費用を含めて算定の基準とします。ただし、改造が、法令に抵触したり、車両の効用を低下させたりするなど、改造車の交換価値を減価させる場合は、ベース車の車両価格を減額するのが相当とされます。まとめ全損車両については買替えが認められ、買替差額と買替諸費用を損害賠償請求できます。買替差額は、事故時の車両時価額から売却価額を控除した額です。全損車両の損害額の算定においては、車両時価額をいくらと評価するかがポイントです。一般的には、レッドブックの価格を基礎に、インターネット上の中古車価格情報などを参考にして、車両時価額を算定します。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通関係訴訟の実務』商事法務 433~434ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 224~227ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規72~79ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 281~284ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 229~230ページ・『民事交通事故訴訟の実務』ぎょうせい 156~160ページ
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  • 買替諸費用
    全損車両の買替えで損害賠償請求できる諸費用
    被害車両が全損で買替えが相当となった場合は、車両の購入代金のほか、車両買替えに要する諸費用についても、損害賠償を受けられるものがあります。買替諸費用のうち、損害賠償を受けられるもの、受けられないものについて、具体的に見ていきましょう。損害賠償の対象となるか否かの判断の基準買替諸費用とは、買い替えた車両を使用できるようにするために必要な、検査・登録に要する費用や税金です。被害車両に関する諸費用(廃車費用のほか、既払いの自動車税や自賠責保険料など)についても、通常、買替諸費用に含めて考えます。具体的には、自動車税(環境性能割・種別割)、自動車重量税、消費税、リサイクル料金、自賠責保険料、検査・登録費用、車庫証明費用、廃車費用などです。損害賠償の対象と認められるかの判断のポイント買替諸費用が、損害賠償の対象と認められるか、すなわち、事故と相当因果関係のある損害として認められるかは、基本的に次の観点から判断します。損害賠償の対象となるかの判断基準車両を買い替えるために必要な費用か、保有するために必要な費用か。被害車両に関する既払い費用については、未経過分の還付制度があるか否か。車両を新たに取得するするために要する費用、事故車両を廃車にするために要する費用や無駄になる既払い費用は、損害として認められます。それに対し、車両を保有することにより発生する費用で、事故車両を廃車するときに還付制度があり、既払い費用のうち未経過分が返金されるものは、損害として認められません。損害賠償を受けられる買替諸費用の額損害として認められる買替諸費用であっても、具体的に損害賠償の対象として認められる額は、被害車両と同等の車両の取得に要する金額に限られます。東京地裁判決は、次のように判示しています。東京地裁判決・平成15年8月4日買替諸費用等とは、被害車両に代えて新車を購入した場合に要する諸費用ではなく、被害車両と同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得した場合に要する諸費用等をいう。例えば、被害者が新車に買い替えたとしても、車両価格はもちろん、買替諸費用についても、事故車両と同等の中古車を購入するのに要する費用相当分しか認められません。こんな裁判例があります。神戸地裁判決・平成25年7月25日新車への買替時に要する費用合計額が13万9,782円であると認定した上で、被害車両と同等の中古車相当分として約5割の7万円のみを損害賠償の対象として認めました。それでは、損害として認められる費用、認められない費用、それぞれ具体的に見ていきましょう。損害賠償の対象となる買替諸費用次の諸費用は、事故がなければ、被害者が負担することのなかったものであり、新たに車両を取得するのに要する費用なので、事故と相当因果関係のある損害として認められています。買替車両の自動車税環境性能割自動車税環境性能割は、自動車を取得したときに、自動車の燃費性能等に応じて課税される税金です。軽自動車税環境性能割も同様です。旧・自動車取得税が2019年10月1日より廃止になり、自動車税環境性能割が導入されました。自動車の取得時に課税されるので、損害として認められます。自動車税環境性能割(地方税法145条1号)自動車のエネルギー消費効率の基準エネルギー消費効率に対する達成の程度その他の環境への負荷の低減に資する程度に応じ、自動車に対して課する自動車税をいう。軽自動車税環境性能割(地方税法442条1号)三輪以上の軽自動車のエネルギー消費効率の基準エネルギー消費効率に対する達成の程度その他の環境への負荷の低減に資する程度に応じ、三輪以上の軽自動車に対して課する軽自動車税をいう。自動車税・軽自動車税の納入義務者については、次のように定めています。自動車税の納税義務者(地方税法146条1項)自動車税は、自動車に対し、当該自動車の取得者に環境性能割によって、当該自動車の所有者に種別割によって、それぞれ当該自動車の主たる定置場所在の道府県が課する。軽自動車税の納税義務者(地方税法443条1項)軽自動車税は、三輪以上の軽自動車に対し、当該三輪以上の軽自動車の取得者に環境性能割によって、軽自動車等に対し、当該軽自動車等の所有者に種別割によって、それぞれ当該三輪以上の軽自動車及び当該軽自動車等の主たる定置場所在の市町村が課する。買替車両の消費税一般的には、車両価格(車両時価額)に消費税も含めますが、車両価格に含まれていない場合は、事故車両と同程度の車両を取得した場合の消費税相当額が、損害として認められます。買替車両のリサイクル預託金(リサイクル料金)リサイクル預託金とは、自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)にもとづき、自動車購入時に納めるリサイクルのための費用です(自動車リサイクル法73条)。自動車を新車で購入する場合には、購入者は販売店経由で公益財団法人自動車リサイクル促進センターに、リサイクル預託金を収めることになります。中古車を購入する場合には、中古車販売店にリサイクル預託金相当額を支払います。所有車両を売却したり下取りに出したりした場合には、車両所有者は相手方からリサイクル預託金相当額を受領します。自動車重量税自動車重量税は、車両の重さに応じて課される税金です。車検のタイミングで、車検証の有効期間分をまとめて支払います。自動車重量税には未経過分の還付制度がありませんから、被害車両の自動車重量税の未経過分は、損害として認められます。自動車重量税は、自動車が車検を受けること等によって走行可能になるという法的地位あるいは利益を受けることに着目して課税される一種の権利創設税であるという考え方により、廃車した場合の還付制度は認められていません。ただし、「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」により還付された分は除きます。「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」とは?平成14年度税制改正において、使用済自動車の不法投棄防止・自動車リサイクルの促進の観点から、自動車リサイクル法の制定及び道路運送車両法の改正に伴い、廃車還付制度を創設し、平成17年1月から自動車リサイクル法の施行と同時にスタートしました。自動車リサイクル法に基づき使用済自動車が適正に解体され、解体を事由とする永久抹消登録申請または解体届出と同時に還付申請が行われた場合に、車検残存期間に対応する自動車重量税額が還付されます(租税特別措置法90条の15)。検査・登録法定費用と手続代行費用検査・登録の法定費用と、その手続きを業者に委託するときの代行費用(手数料)は、損害として認められます。次の費用が該当します。買替車両の検査・登録法定費用、車庫証明法定費用被害車両の廃車法定費用ディーラー(販売業者)の手続代行費用(検査・登録手続代行手数料、車庫証明手続代行手数料、納車手数料、廃車手数料、これらに対する消費税額)の相当額ディーラー(販売業者)の手続代行費用については、法定費用と異なり、本人自ら行い得る手続きを業者に代行してもらうことに対する報酬であるため、かつては事故との相当因果関係を否定する見解も有力でした。現在の裁判例では、車両を購入した際、これらをディーラーに依頼しているのが実情であることに照らし、相当な範囲で損害と認めるのが一般的です。損害賠償の対象とならない買替諸費用次の諸費用は、車両を取得するためでなく、保有するために要するものであり、廃車したときには未経過分について還付制度があること等から、損害として認められません。自動車税種別割・軽自動車税種別割自動車税種別割・軽自動車税種別割は、毎年4月1日現在の自動車の所有者に対し、用途や排気量に応じて課税されます。2019年10月1日より、自動車税から自動車税種別割に、軽自動車税から軽自動車税種別割に、名称が変わりました。自動車税種別割(地方税法145条2号)自動車の種別、用途、総排気量、最大積載量、乗車定員その他の諸元の区分に応じ、自動車に対して課する自動車税をいう。軽自動車税種別割(地方税法442条2号)軽自動車等の種別、用途、総排気量、定格出力その他の諸元の区分に応じ、軽自動車等に対して課する軽自動車税をいう。自動車税種別割自動車税種別割は、賦課期日(4月1日)後に新規登録または廃車した場合、月割課税となります(地方税法177条の10)。すなわち、賦課期日後に新規登録した場合は、登録月の翌月から年度末までの月数による課税となり、賦課期日後に廃車した場合は、抹消登録の翌月から年度末までの未経過分が還付されます。車両を売却し、所有者が変更となる場合は、4月1日現在の所有者にその年度分が全額課税され、未経過分の還付はありません。この場合は、車検付きの車両として、その分、車両価格が高めに評価されます。したがって、自動車税種別割は、自動車の買替えにともない、損害として認められません。軽自動車税種別割軽自動車税種別割は、自動車税種別割のような月割課税の制度はありません。4月1日現在の所有者にその年度分が全額課税されます。年度の途中で廃車や譲渡をした場合に、月割での税金の還付はありませんが、年度の途中で取得した場合は、翌年度4月1日現在で所有の時点まで税金はかからない仕組みです。このため、軽自動車税種別割は、廃車にともなう未経過分の還付はありませんが、その未経過分を損害とは認められません。自賠責保険料自賠責保険料は、車両購入時と車検時に、車検有効期間分をまとめて支払います。自動車を廃車し、抹消登録を受けた場合には、自賠責保険を解約できます(自賠法20条の2、同法施行規則5条の2第1号、自賠責保険普通保険約款10条1項)。自賠責保険を解約した場合には、保険料の返還を受けることができます(自賠責保険普通保険約款13条2項)。したがって、自賠責保険料は、車両買替えにともない、損害として認められません。車両保険料差額被害者が、自身の車両保険を利用すると保険料が上がることから、増額した保険料差額を損害として賠償請求が認められるか否かが問題となる場合があります。車両保険は、被害者のリスク回避のために締結されたもので、車両保険を利用するか否かは、被害者の自由な判断にゆだねられていることを理由に、事故と相当因果関係を否定され、保険料差額については損害として認められません。まとめ車両買替えのために必要となる諸費用のうち、自動車税環境性能割、検査登録費用、車庫証明費用、廃車費用などは、損害として認められます。他方、被害車両の自動車税種別割、自賠責保険料については、廃車により抹消登録や保険解約すれば、未経過分が還付または返金されるので、損害とは認められません。軽自動車税種別割については、未経過分の還付はありませんが、損害として認められません。自動車重量税は、自動車リサイクル法に定める要件を満たす場合には、廃車還付制度があるので損害として認められませんが、それ以外の場合に未経過分が損害として認められます。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 231ページ・『交通関係訴訟の実務』商事法務 433ページ・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 196ページ・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 344~345ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 248~249ページ・『交通事故事件の実務-裁判官の視点-』新日本法規 102~103ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 213~214ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 173~175ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 262~264ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 284~286ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 82~88ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 70~71ページ・『交通事故損害賠償の手引』企業開発センター 59~62ページ
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  • 修理工場
    交通事故被害車両の修理費の損害賠償額はどう決まる?
    交通事故による被害車両の修理費は、必要かつ相当な範囲で損害賠償を受けられます。必要かつ相当な修理費とは、どのような金額で、どうやって決まるのか、どう主張・立証すればよいのか、見ていきましょう。損害と認められる修理費被害車両の修理費については、必要かつ相当な修理費が損害として認められます。また、修理費の損害賠償額には上限があり、それは事故時の車両価額(車両時価額)です。修理費が車両時価額を超える場合は、車両時価額が損害賠償額となります。つまり、車両損害については、修理費か車両時価額のいずれか低い方の金額を賠償すればよいルールです。例えば、実際の修理費が100万円であったとしても、車両時価額が50万円であれば、損害賠償を受けられるのは50万円です。修理費が車両時価額を超える場合を「経済的全損」といいます。古い車両の場合は、車両時価額が低いため、修理費が全額賠償されないことがありますから注意が必要です。修理費の上限が車両時価額とされる理由とは?損害賠償は、不法行為により被害者が被った損害を加害者が填補し、不法行為がなかった状態に回復させることです。修理不能なら時価額の賠償、修理可能なら修理費の賠償が基本です。ただし、修理可能でも、時価額を超える修理費の支払は、かえって被害者を利得させる結果となり、損害賠償の趣旨にそぐわないと考えられるため、修理費の上限を車両時価額としています。未修理でも修理費を賠償請求できる未修理でも、事故によって現実に損傷を受けている以上、すでに損害は発生しているため、修理費相当額の請求が認められます(大阪地裁平成10年2月24日判決)。ただし、修理費見積額が適正か否かが争点となっている場合は要注意です。修理しないまま長期間経過すると、修理の必要性に疑念を抱かれ、修理をしていない合理的説明が必要となる場合があり得ます。車両修理費の認定方法任意保険の実務上、車両修理費の認定は、損害保険会社のアジャスターが事故車両を検分し、修理工場との間で修理内容を協議し、修理費について協定が結ばれることによって行われています。アジャスターとは?アジャスターとは、一般社団法人・日本損害保険協会にアジャスター登録された資格保有者です。損保会社から委嘱を受け、保険事故の損害調査業務(自動車の損害額や事故の原因・状況などの調査)を行います。修理費認定の流れ具体的な修理費認定の流れは、こうです。車両の所有者が、事故車両を修理工場に入庫し、所有者自身もしくは修理工場から、その旨を保険会社に連絡します。修理工場では、車両の損傷を確認し、修理の見積もりを出します。保険会社は、アジャスターに車両の損害調査を委託します。アジャスターが事故車両の損害調査を行い、修理工場との間で修理の範囲や方法、修理費について協議します。協議がまとまれば、保険会社と修理工場との間で修理費協定を結びます。こうして修理費協定を結ぶと、保険会社が修理費を認定したことになります。保険会社と修理工場との間で修理費協定が締結されていれば、あとから修理費が争いになることは特別な事情がない限りありません。修理費協定とは?保険会社と修理工場との修理費協定は、法律的な行為というよりも、保険会社が修理費用として支払い可能な保険金額を合意する事実的な行為と理解されています。実際の修理費と保険会社から支払われる保険金額に差が生じると、当事者が負担を余儀なくされます。修理費協定は、そんなリスクを回避し、修理費の損害賠償を円滑に進める機能があるのです。協定済にもかかわらず修理費が争いになるケースとは?修理費協定が成立すれば、その金額を前提とする限り、争いとなることはありません。ただし、協定に法的拘束力はなく、協定後に修理費の見積もりが変わると、争いとなることがあり得ます。例えば、次のような場合です。被害者が、「アジャスターの検分時に発見されなかった損傷が発見された」として、協定額を上回る修理費を請求する場合。保険会社が、「協定内容を検証した結果、事故と相当因果関係がないとの判断に至った」として、協定額を下回る修理費が相当と主張する場合。事前に保険会社に連絡せずに修理をしたり、協定が未成立のまま修理すると、「損傷の事故起因性」や「修理の必要性・相当性」が問題となり、修理費の全部または一部が認められない場合があります。修理費を請求するとき、何を主張・立証する?車両の修理費を請求しようとする場合は、請求する側が次のことを主張・立証する必要があります。車両が当該事故によって損傷した事実修理済または修理予定の事実修理費の額または見込額ただし、損傷の事故起因性や修理の必要性・相当性について争いがある場合は、これでは足りません。損傷の事故起因性が争われる場合損傷の事故起因性とは、その損傷が、当該事故によるものか、ということです。事故前や事故後に生じた損傷箇所まで便乗修理しようとしているのではないか、と争いになる場合があります。損傷の事故起因性が争われる場合は、事故直後の被害車両と加害車両の写真、両車両の本来の形状を示す資料、アジャスターの意見書などを参考に、損傷の個所・形状と事故態様(衝突の部位・角度、衝撃の程度など)との整合性をふまえ、その損傷が当該事故によるものと言えるかを判断します。修理の必要性・相当性が争われる場合修理の必要性・相当性とは、修理が必要か、修理の内容や金額が適正か、といういことです。例えば、次のような点につき、過剰修理ではないのか、と争いになることがあります。ドアの損傷につき、板金修理が相当か、それとも交換修理が必要か。部分塗装で足りるか、全面塗装が必要か。修理費が、過大に見積もられていないか。修理の必要性や相当性が争われるときは、修理内容の明細を明らかにするために修理見積書や修理明細書、事故車両の損傷状況と修理内容が分かる写真、アジャスターや修理業者の意見書、当該車両の修理マニュアルなどにもとづき、必要かつ相当な修理の範囲や金額が認定されます。まとめ交通事故による被害車両の修理費は、必要かつ相当な修理費が損害賠償額として認められます。ただし、修理費が事故車両の時価額を超える場合は、車両時価額が損害賠償額の上限となります。こういうケースを経済的全損といいます。車両を修理するときは、事前に保険会社に連絡をし、保険会社による損害調査を受け、保険会社と修理会社の間で協定をした上で修理すると、あとから修理費の支払いで揉める心配がありません。修理費協定が未成立のまま修理すると、損傷の事故起因性(便乗修理の問題)、修理の必要性・相当性(過剰修理の問題)について、争いとなることがあります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通関係訴訟の実務』商事法務 429~431ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 227~228ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 31~32ページ・『交通事故事件処理の道標』日本加除出版株式会社 216~221ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 164~168ページ・『交通事故損害主張のポイント』新日本法規 253~257ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 206~208ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 58~60ページ・『交通事故と保険の基礎知識』自由国民社 193ページ・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 337ページ・『別冊判例タイムズ38』17ページ
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  • 車両修理部品交換
    車両修理で部品交換・全塗装が認められる場合とは?
    車両修理費の賠償は、必要かつ相当な範囲で認められ、基本的には板金修理費と部分塗装費用が相当とされます。部品交換や全面塗装の費用が認められるのは、合理的な理由があるときのみです。どんな場合に、部品交換や全面塗装の費用まで認められるのか、裁判例から見ていきましょう。板金修理が相当か、部品交換まで認められるか板金修理が相当か、部品交換まで認められるかは、板金修理が不可能ないし不適当かを考慮し、社会常識的に見た部品交換の必要性・相当性から判断されます。板金修理とは、車体の損傷部分の金属板を加工する修理方法です。板金修理が可能であれば、修理は損傷した車体の一部のみで済み、部品交換に要する費用は修理費として過分となります。部品交換の必要性・相当性について争われた裁判例には、次のようなものあります。板金修理が相当とした裁判例部品交換の必要性を否定し、板金修理が相当とした裁判例には、次のようなものがあります。被害車両に認められるべき修理の程度は、「社会常識的に見て、車両の異常が除去され、事故前の状態に復したと認められる程度」であるとし、部品交換の方が経済的である等の理由がない以上、板金修理によるべきとしました。(岡山地裁判決・平成6年9月6日)左フロントフェンダーと左フロントドアパネルの損傷につき、板金塗装による不具合の恐れを抽象的可能性に過ぎないとし、板金による修理に比して部品代が相当に高額であるとして、部品交換の必要性を認めませんでした。(東京地裁判決・平成27年2月23日)部品交換を認めたもの部品交換を認めた裁判例としては、次のようなものがあります。樹脂製のリヤバンパーについて、金属部品と異なり、板金修理・塗装は困難として、同部分の交換の相当性を認めました。(名古屋地裁判決・平成28年9月5日)交換が相当であるリヤバンパーの着脱に付随して、変形及び損傷が余儀なくされる部品の取替えの必要性を損害額の認定に際して考慮しました。(東京地裁判決・平成28年2月4日)ボディ交換の必要性の判断ボディ交換の必要性については、モノコック構造(エンジンやサスペンションが取り付けられている車台としてのフレーム部分が独立していない構造)の車両の損傷の場合に、争点となることがあります。モノコックボディというだけで、ボディ全部を交換する必要があるとは認められず、修理見積書・報告書・意見書等に基づいて、ボディ交換の必要性を判断します。(名古屋地裁判決・平成23年6月17日、名古屋地裁判決・平成12年2月28日、大阪地裁判決・平成6年9月20日)全塗装費用は、どんな場合に認められるか塗装は修理の一環として行われ、塗装費用は、修理費用と同様、必要かつ相当な範囲で認められます。基本的には、車両全体を全面塗装しなければならない合理的理由がない限り、部分塗装が相当とされます。全塗装が認められる場合とは?全塗装費用の請求が認められるのは、次の3つの場合です。特殊な塗装技術を施してあるため、部分塗装では他の部分との相違が明白となって美観を害する場合車両自体が高価なもので、車両の価値の大部分が外観にかかっている場合再塗装の範囲が広いため全塗装する場合と比較して費用に大きな差異を生じない場合これは、札幌地裁室蘭支部判決(昭和51年11月26日)が指摘したものです。この3つ場合に限り、全塗装費用が認められるとして、当該事件については全塗装費用を否認しました。全塗装費用を認めた裁判例全塗装費用が認められた裁判例として、次のものがあります。バッテリー液により汚損された事案につき、汚損された範囲が明確にできず、広範囲な部位にわたって飛散したため、車体の保護等のため全塗装が選択されたことに合理性があるとして、全塗装費用を損害として認めました。(東京地裁判決・平成元年7月11日)外観の損傷が著しく、全塗装しても部分塗装しても金額が変わらないことから、全塗装が認められました。(京都地裁判決・平成5年10月27日)ベンツの中でも特に高級車とされるメルセデスベンツ500SLのオープンカーにつき、特殊塗装のため、部分塗装では色合わせが困難であり、事故車であることが時とともに一目瞭然となり、車両価値がそれだけ低下するとして、全塗装の必要性を認めました。(神戸地裁判決・平成13年3月21日)部分塗装費用を損害賠償の対象とした裁判例部分塗装費用を損害賠償の対象とした裁判例として、次のものがあります。新車購入後約2年のキャデラックにつき、塗装部分と非塗装部分との差異は、外観に重大な影響を与えるものとは言い難く、光沢の差異は被害車両に既に色あせ等が生じていたためであること、全塗装費用は部分塗装費用の2倍以上に及ぶことから、全塗装では過大な費用をかけて原状回復以上の利益を得させることになるとして、部分塗装費用のみを損害賠償の対象としました。(東京地裁判決・平成7年2月14日)この東京地裁判決(平成7年2月14日)は、もう1つ別の注目すべき部分があります。全面塗装か部分塗装かについて、被害者と加害者側保険会社で話し合いがまとまらず、修理されないまま放置された結果、車両に劣化が生じて、新たな修理費用が必要となったとしても、部分塗装を前提とすべきである等の理由から、新たに必要となった修理費用は、本件事故と相当因果関係を有する損害とは言えないと判示しました。修理した後で、修理費が一部しか賠償されないといったリスクを避けるには、修理・塗装を実施する前に、保険会社と修理費協定しておくことが大切です。しかし、協議がまとまらず訴訟を提起するような場合は、修理しないまま放置しておくと、車両は劣化が進み、新たな修理費が必要となります。それについては損害賠償を受けられませんから、注意が必要です。全面塗装が否定されても評価損は認められる現在の塗装の精度は飛躍的に向上し、部分塗装であることによって修復歴が認められるほどの色むらが発生することはありませんが、色むらが不可避的に生じるような場合には、評価損を請求することになります。全面塗装は否定されても、評価損が認められる場合があります。この場合の評価損は、取引上の評価損でなく、技術上の評価損です。製造から40年経過のビンテージカーのフロント部分が損傷した事案につき、ボディ全体の交換と全塗装の費用を請求しましたが、板金修理・部分塗装が可能であるとして、板金修理と部分塗装の費用が事故と相当因果関係を有する損害であると認定。別途、評価損を認定しました。(大阪地裁判決・平成20年3月27日)相当な修理の観点から必要な塗装を立証全塗装費用についての賠償請求が認められるか否かの問題は、結局のところ、修理の相当性の問題につきます。したがって、相当な修理の範囲として、どのような塗装が必要とされるのか、という観点から検討する必要があります。その参考になるのが、東京高裁判決(平成26年1月29日)です。キャンディ・フレーク塗装が施されていた車両について、車両の塗色、塗装後の見え方をふまえて、全塗装までは不要とされた事例です。キャンディ・フレーク塗装とは、フレーク塗装(光を反射するフレークを塗料に混入して塗布)を下塗りした後に、キャンディ・カラー塗装(有色透明のキャンディ・カラー塗料とクリアコート剤とを混ぜたもの塗布)を施して、独特の光沢を出す塗装方法です。この裁判例は、結論としては、キャンディ・フレークという特殊な塗装方法でも、それだけでは全面塗装が必要とは認められなかったものの、損害箇所のみの部分塗装でなく、損傷個所の周辺部分までの塗装を認めました。損害箇所のみの部分塗装では足りないとしたのです。このように、損害箇所のみの部分塗装か、全面塗装か、の二者択一でなく、相当な修理がどの範囲かという観点で検討すれば、合理的な落としどころもあるのです。改造車の修理費金メッキを施したバンパーや、デコレーション「飾り」などは、走行等の車両の機能にプラスの影響を及ぼすものではなく、むしろ修理費を増大させ、無用に損害を拡大させているとして、修理費を減額した裁判例があります。まとめ車両修理費の賠償は、基本的に、板金修理と部分塗装の費用です。部品交換や全面塗装の費用が認められるのは、合理的な理由があるときのみです。全塗装費用が認められなくても、評価損が認められる場合があります。保険会社と修理費について合意できないからと、修理に着手せず放置していると、車両の劣化が進み、不要な修理費がかかってしまうことになりかねませんから、注意が必要です。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 195ページ・『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい 200~205ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 32~33ページ、44~47ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務 58~63ページ、173~178ページ
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  • 改造車
    改造車の修理費・車両価格は改造費も含めて損害賠償の対象
    改造車の修理費や車両価格の算定においては、改造費も考慮され、違法な改造でなければ、原則として損害賠償の対象となります。ただし、改造していたことで損害が拡大した場合には、過失相殺があり得ます。車両価値を下げるような改造の場合は、ベース車両の価格を算定基準としたり、ベース車両の価格を減額したりします。改造費用も原則として損害賠償の対象改造車には、個人的な嗜好からドレスアップを施したものから、業務上の必要から改造されたもの(例えば、タクシー、冷凍車など)まで多種多様なものがあります。改造車とは、メーカーが販売している標準車をベースに、何らかの装備・装飾等について改造を施している車をいいます。改造車の修理費用は、原則として、改造に関する修理費も損害賠償の対象となります。車両価格も、ベース車の車両時価額に改造費を含めて算定されます。改造車の修理費の算定改造車の修理費の算定については、一般的に次のように考えられます。自動車に高額の設備・装備を付加するのは、基本的に所有者の自由ですから、原則として、改造に関する修理費は、民法416条の「通常生ずべき損害」として、事故との相当因果関係が認められます。ただし、次のような場合は例外です。改造が、法に抵触する場合改造内容に照らし、ことさらに損害を拡大するような場合こういう場合は、過失相殺により減額ないし免責を行うのが相当とされています。金メッキ・バンパー事件メルセデス・ベンツのバンパーに金メッキを施した車両が事故で損傷し、金メッキ・バンパーの修理代請求の可否が争われた事件です。第一審では、バンパーに金メッキをしても、バンパーの効用が増加することはなく、事故時には無用に損害を拡大させる結果となるとして、事故との相当因果関係を否定しました(東京地裁判決・平成2年2月8日)。控訴審では、事故との相当因果関係は認めた上で、金メッキによりバンパーとしての効用が増加するわけでなく、かえって損害を拡大させているため、損害拡大防止義務の視点から、過失相殺の法理を理由に金メッキ修理代金の50%減額して認容しました(東京高裁判決・平成2年8月27日)。改造した部分の修理費につき、事故との相当因果関係が認められ、損害賠償の対象となるとしても、本来の効用と違うことをし、それによって損害が拡大したのだから、その全額を相手に請求することはできないということです。改造車の車両価格の算定改造車の車両価格の算定についても、所有者の改造の自由を考慮し、原則として、ベース車の車両価格に改造費を含めて算定します。ただし、次のような場合は例外です。改造が、法に抵触する場合改造車の交換価値を増加させない場合、かえって交換価値を減価させる場合こういう場合は、ベース車の車両価格のみを算定基準とします。ベース車の価格を減額する場合もあります。車両価格は、原則として、同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定めますが、特段の事情がある場合は、減価償却の方法により算定することも認められます。改造車の車両価格の算定について、市場価格方式によることが困難な場合は、「特段の事情」に該当するとして、減価償却による算定方法が採られます。(東京地裁判決・平成29年10月3日)まとめ法令に違反するような改造でない限り、自動車を改造するのは所有者の自由です。したがって、改造車であっても、交通事故により損傷が発生したのであれば、改造部分を含めて修理費用の損害賠償が認められるのが原則です。ただし、改造が法令違反をしていたり、車両の効用や交換価値を低下させるなどの場合には、ベース車両価格を基準としたり、減額したりする場合があります。また、改造の内容、程度、損害額によっては、相当因果関係が否定されたり、車両の改造が損害を拡大させる要因となった場合は、過失相殺によって減額されたりします。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『民事交通事故訴訟の実務』ぎょうせい 152~153ページ・『交通事故の法律相談と事件処理』ぎょうせい 236~239ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 64~66ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 255~256ページ
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  • 評価損
    評価損とは?技術上の評価損と取引上の評価損の違い
    事故歴のある車両は、無事故車両に比べ、下取りや売却の際に評価が下がります。これが評価損です。ただし、車両の損害賠償において、常に評価損が損害として認められるわけではありません。どんな場合に評価損が認められるのか、評価損の判断基準や算定方法などについて、詳しく見ていきましょう。評価損とは?「評価損」とは、事故前の車両価格と修理後の車両価格の差額のことです。事故車両は、たとえ十分に修理しても、修理後の車両価格が事故前の車両価格を下回ります。中古車市場において、事故歴のある車両は無事故車よりも減価します。これが評価損です。格落ち損とも呼ばれます。評価損の発生原因なぜ、修理後の車両価格が事故前の価格より下落するのか? すなわち「評価損の発生原因」として、次の4つが挙げられます(参考:東京地裁判決・昭和61年4月25日)。修理技術上の限界から、顕在的に、自動車の性能・外観が低下すること。事故による衝撃のために車体各種部品に負担がかかり、修理後間もなくは不具合がなくても、経年的に不具合が発生しやすくなること。修理後も隠れた損傷があるかもしれないとの懸念が残ること。事故に遭ったということで縁起が悪いと嫌われる傾向にあること。①②は、使用価値の侵害に対応する「技術上の評価損」、③④は、交換価値の侵害に対応する「取引上の評価損」と、区別されます。取引上の評価損が「いわゆる評価損」です。技術上の評価損を含めて「広義の評価損」といいます。技術上の評価損、取引上の評価損、それぞれ詳しく見ていきましょう。技術上の評価損技術上の評価損とは、修理技術上の限界から機能や外観に障害が残り、車両の使用価値が低下する場合の損害です。例えば、事故前に比べて、エンジンの調子が悪い、ドアの開閉に難がある、塗装ムラが目立つ、などの場合です。客観的評価損ともいわれます。欠陥が残存している以上、車両価値は事故前と比べて低下していると考えられるため、技術上の評価損については、損害賠償の対象となることに、ほぼ争いはありません。だだし、修理して走行性能は回復したものの外観の欠陥が残ったという場合は、車種によって評価損が認められる場合と認められない場合があります。自家用車、タクシー、バスなど、美観が要求される車両の場合は、使用価値の低下が認められますが、トラックなど外観がそれほど重要でない車両の場合は、多少美観が損なわれても使用価値が低下するとはいえず、評価損が認められにくい傾向があります。車体の本質的構造部分に重大な損傷を受け、買替えをすることが社会通念上相当とされる場合は、全損となり、修理費と評価損の損害賠償でなく、買替差額の損害賠償となります。取引上の評価損取引上の評価損とは、機能や外観上の障害はないものの、事故歴があるという理由で車両の交換価値が下落する場合の損害です。事故車であることの買主の心理的な不安感にもとづくもので、主観的評価損ともいわれます。取引上の評価損については、実際に売却されない限り損害が顕在化しないことから、損害として認めるか否か、争いがあります。近時の裁判例は、取引上の評価損についても、損害として認める傾向にあります。取引上の評価損を否定する見解かつては、次のような理由から、取引上の評価損を否定する見解がありました。修理によって原状回復され欠陥が存在していない以上、客観的には価値の低下はない。このような損害は事故車両を売却して初めて現実化するものであるが、事故後も事故車両を売却せず使用している限り、損害として現実化していない。修理が可能であるから車両の買替えが認められないのに、買替えたと仮定して評価損を認めると、買替えを認められない場合に、買替えを認めたのと同一の利益を被害者に与えることになってしまう。取引上の評価損を肯定する見解中古車市場では、補修歴の表示義務があり、修理した車両は「事故歴車」「修復歴車」として販売されます。そのため、事故車両は、十分に修理しても、売却する場合や下取りに出す場合に、無事故者と比べ売却価格や下取り価格が低く評価されます。現在は、次のように考え、取引上の評価損を肯定するのが一般的です中古車市場において、事故歴や修理歴のある車両の価格が低下することは公知の事実。評価損も他の損害と同様、事故時に発生していると評価でき、事故車両を売却して価格の低下が現実化していることまでは要しない。こうして、取引上の評価損を肯定した上で、具体的な事情に応じて、評価損の有無・金額を判断しています。取引上の評価損を肯定する理由としては、次のような点が挙げられます。車両損害は、基本的には車両の事故前と事故後の価値(修理前の車両価値)の差額と考えられ、この基本的な考えからは取引上の評価損が認められることが合理的である。下取りに出さなければ現実に損害は発生しないというが、自動車の交換価値の低下を積極損害とみれば、むしろ事故時に交換価値の減少が発生したとみることができる。修理の後も隠れた損傷があるかもしれないとの懸念が残る。事故に遭ったことで縁起が悪いこと等の諸点から中古車市場の価格が事故に遭っていない車両よりも減価される。評価損には車両損害を機械的、算数的な計算ではカバーしきれない主観的・非合理的な部分を吸収して損害額を評価できて実際の解決に妥当である。(参考:『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 264ページ)評価損の判断基準と考慮要素評価損の有無や程度の判断においては、次の要素が考慮されます。市場流通性損傷の車両価値への影響車種走行距離初度登録からの期間損傷の部位・程度修理の内容・程度高級車、車両の希少性との関連性高級車は大衆車より、大衆車でも人気車は、評価損が認められやすい傾向にあります。希少車両も、評価損が認められやすい傾向にあります。初度登録から事故時までの時間的経過の長短「初度登録からの期間」「走行距離」については、次の期間あるいは距離を経過すると、評価損が認められにくくなる傾向があります。車種初度登録からの期間走行距離外国車国産人気車種5 年6 万㎞国産車3 年4 万㎞損傷、修理・修理費の程度一般的には、損傷が大きく修理費が大きいほど、評価損が発生しやすく認められやすいと考えられます。ただし、比較的小さな損傷や少ない修理費でも評価損の請求認められる場合があり、裁判例では、損傷や修理費の大小は、評価損の認定には、あまり影響を与えていない傾向にあります。事故減価額証明書一般財団法人日本自動車査定協会の事故減価額証明書は、1つの資料として考慮要素となり得ますが、減価額の査定基準が明確でないため、同証明書を提出しても、記載された減価額が認められるとは限りません。なお、事故減価額証明書の取得費用(査定料)は、同証明書が評価損の立証に不可欠なものではなく、事故によって通常支出が予定される費用とはいえないことから、事故と相当因果関係のある損害とは認められず、賠償請求は否定されています(京都地裁判決・平成4年11月24日)。評価損の算定方法評価損の算定方法については、次のような4つの方法があります。差額基準方式(減価方式)事故時の価格と修理後の価格との差額(減価)を評価損とする方法。事故直前の車両売却価格と修理後の車両売却価格との差額です。時価基準方式事故時の価格の一定割合を評価損とする方法。妥当な時価算出が難しく採用する裁判例は少ないのですが、初度登録から数ヵ月しか経過していない極端に新しい自動車の場合に採用されることがあるようです。総合勘案基準方式諸要素を斟酌し、金額で示す方法。被害車両の車種、初度登録からの経過年数、修理金額などを総合勘案して、金額で決定する方法です。金額は、裁判官の職権によって決定されます。修理費基準方式修理費(裁判所が認容した修理費)の一定割合を評価損とする方法。裁判例の多くは、この方式を採用しています。修理費の何%とするかは、バラつきがあり、修理費の10~30%台とするのが多いようです。一般に、損傷の程度が大きいほど修理費が高額になり、車両の価値の低下も大きくなります。このように修理費の金額と評価損は比例関係にあると考えられるので、実務における評価損の算定方法は、修理費の一定割合とする修理費基準方式が多いようです。外国車は修理費の20%以上、国産車は10%台での肯定例が多く、新車同然の車両や希少価値のある高級車などでは、修理費の50%以上の認定例もあります。評価損の請求権者評価損は、車両価値の下落を損害として捉え、自動車の所有権侵害に対する損害賠償請求ということになるので、被害車両の所有者が正当な請求権者となります。割賦販売の場合、評価損の請求権は、所有権留保者(販売店・信販会社)にあり、購入者(使用者)は、修理費を請求することはできても、評価損は請求できません。リース契約車両も同様に、所有権はリース会社にあるため、評価損の請求権は、リース会社に帰属します。ユーザーは、修理費は請求できても、評価損を請求することはできません。所有権留保車両やリース車両の損害賠償請求権は誰にある?まとめ事故車両を修理しても機能や外観に欠陥が残ったり、事故歴があることにより中古車取引市場での価格が低下したりすることがあります。このような事故による車両価値の低下を評価損といいます。示談交渉で、損害保険会社が評価損を認めることはなく、たいていは裁判で判断されます。裁判所が認定する修理費の何%かを評価損として認める裁判例が多いようです。また、裁判例の傾向としては、外国車または国産人気車種では、初度登録から5年(走行距離で6万㎞程度)、一般の国産車では、初度登録から3年(走行距離で4万㎞程度)を経過すると、評価損は認められにくくなります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通関係訴訟の実務』商事法務 442~445ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 48~50ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 177~179ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 89~93ページ・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 197~200ページ・『交通事故と保険の基礎知識』自由国民社 194~195ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 265~269ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 237~240ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 211~212ページ、249~269ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 285~286ページ・『交通事故損害賠償保障法 第2版』弘文堂 340~341ページ・『別冊判例タイムズ38』17~18ページ
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  • 代車費用
    代車料の損害賠償請求が認められる車種・グレード・使用期間
    被害車両の修理や買替えの間、代車を使用する必要性・相当性が認められれば、代車費用(代車料、代車使用料)が損害として認められ、賠償請求できます。代車費用が事故と相当因果関係のある損害と認められる要件、代車費用の支払いが認められる代車の車種・グレード、使用期間について見ていきましょう。代車費用が損害と認められる要件とは?代車費用が、事故と相当因果関係のある損害と認められるためには、現実に代車を使用し、代車料を支出したこと代車を使用する必要性があったことが要件となります。代車使用の事実代車費用は、現実に代車を使用し、代車料を支出した場合に損害として認められます。代車を使用しなかった場合や、自己所有の他の自動車や家族の自動車を使用した場合など、代車料を支出しなかった場合には、代車料は認められません。また、未修理のまま将来の修理実施時に要する可能性があるとして代車費用を請求したり、修理期間中に有償代車使用実績がないにもかかわらず代車費用相当額を請求するなど、いわゆる「仮定的代車料」の請求は認められません。代車使用料の領収書が書証として提出されている場合は、基本的に損害として認められますが、代車使用料の見積書のみの場合は、現実に代車を利用した事実や代車使用料を支出した事実の立証が必要となります。なお、友人や懇意の業者から代車を借りた場合は、領収書だけ証拠提出しても、信用性に乏しいとされることがあります。請求書を発行してもらい、銀行送金とすることなども検討するとよいでしょう。代車使用の必要性代車を使用し、費用を支出していれば、その事実だけで損害として認められるわけではなく、代車を使用する必要性が要件となります。代車使用の必要性については、①使用目的や使用状況、②代替車両の有無、③代替交通機関の利用可能性から判断されます。事故車両の使用目的・使用状況から判断代車の必要性の判断は、事故車両の使用目的が、営業用か自家用かによって、扱いが異なります。営業用車両の場合営業用車両については、原則として代車の必要性が認められます。営業の範囲も広く解され、業務に直接車両を利用していた場合に限らず、顧客の接待や会社役員等の専用車として用いる場合も認められます。自家用車両の場合自家用車(マイカー)については、通勤や通学に利用されている場合は、代車の必要性が認められることが多く、通院や要介護者の送迎、買物など日常生活利用も、代車の必要性が認められる場合があります。趣味やレジャーの利用しかない場合は、代車の必要性は低いと考えられるため、利用の頻度、修理期間中の利用予定の存否、代替交通機関の利用可能性・容易性を考慮し、代車の必要性が判断されます。代替車両の有無から判断営業用、自家用を問わず、代車になり得る代替車両が存在し、その使用が可能である場合には、代車の必要性は認められません。営業用であれば遊休車、自家用であれば複数台所有している場合や同居家族の自動車などが、代替車両となり得ます。代車になり得る車両を保有している場合は、それが代車になり得ないことを主張・立証する必要があります。代車になり得るかどうかは実質的に判断されるので、被害車両の使用目的に当該他車両の性質が適合するかどうかについても具体的に主張すべきです。例えば、保有している別の車両について、「使用目的に照らして代車になり得ない」とした、次のような裁判例があります。京都地裁判決・平成14年8月29日顧客送迎用に使用していた被害車両(ロールス・ロイス)の他にメルセデス・ベンツを所有していたとしても、当該ベンツは、いわゆるスポーツ車であり、使用目的に照らして代車になり得るものとはいえないとして、代車の必要性を認めました。代替交通機関の利用可能性から判断代替交通機関(電車、バスなど)が存在するとしても、ただちに代車の必要性が否定されるものではありません。しかし、代車の使用目的・使用状況に照らし、代替交通機関の利便性(本数、目的地到着時刻との兼ね合い等)も考慮して、代替交通機関の利用が十分可能であり、利用するのが相当と認められる場合には、代車の必要性が否定されます。代替交通機関が存在する場合には、公共交通機関では十分でないことについて、具体的に主張・立証する必要があります。例えば、自動車を利用しないと時間がかかり大変不便であるとか、早朝・深夜の通勤が必要である等です。代車の必要性が否定されたとしても、代替公共交通機関の利用料金相当額が損害となり得ます。タクシーの利用については、必要性・相当性が肯定される場合(受傷のため公共交通機関の利用が困難など)には、その料金が損害として認められます。代車として認められる車種・グレード代車の車種・グレードについては、代車が比較的短期間の利用権の侵害に対する代替手段であることから、「被害車両と同一の車種である必要はなく、被害車両と相応する車種の代車料で足りる」とされています(別冊判タ38号18ページ)。そのため、被害車両が高級外車で、同一車種の代車を使用した場合でも、同等の高級外車を代車として使用する合理的必要性が認められる特別の事情がない限り、国産高級車の代車料を基準とする裁判例がほとんどです。被害車両が国産高級車の場合は、その車種の通常グレードの車両を借りるのに要する費用の限度で、代車料が認められます。なお、修理工場が代車を提供してくれる場合は、レンタカーを借りるよりも割安となることが多く、実際にかかった料金が代車使用料となります。代車費用が認められる代車使用期間代車費用が認められる代車の使用期間は、現実に修理・買替えに要した全期間ではなく、修理・買替えに要する相当期間とされています。修理・買替えに要する相当期間とは?修理・買替えに要する相当期間は、損傷の部位・程度や事故車両の車種などにより異なりますが、一般的な目安としては、修理の場合はおおむね2週間程度、買替の場合はおおむね1ヵ月程度といわれています。なお、修理・買替えに要する相当期間は、修理それ自体の期間や、買替えにおける契約締結から納車までの期間に限定されるものではなく、見積もり・交渉・検討の期間や部品調達期間なども含みます。交渉期間・検討期間修理であれ買替えであれ、見積もり、交渉、検討などの期間を経た上で、契約締結に至るのが普通ですから、こうした期間も、修理・買替えに要する相当期間として考慮されます。修理するか買い替えるかを検討する期間も認められます。加害者が対物保険を利用する場合は、修理業者と保険会社のアジャスターとの間で修理内容、修理方法について協議がなされ、修理費用について協定をした後に修理に着工するのが通常であるため、修理内容や修理費などの交渉期間中の代車使用も、相当な範囲で認められます。部品調達期間被害車両が外国車で、部品の調達に時間がかかるなどの理由により、修理期間が長期化した場合は、個別・具体的事情をふまえ、代車使用期間の延長が認められる場合があります。代車使用が長期化した場合過失割合や買替えの要否などについて被害者と加害者側保険会社の見解が対立するなどして、修理や買替えに着手しないまま時間が経過し、代車使用期間が長期化することがあります。代車使用の相当な期間を超える代車料については、長期化した原因が被害者側にあるのか加害者側にあるのかを判断して、原因を有する側の負担とされます。被害者側の原因で代車使用期間が長期化した場合修理や買替えは、本来、加害者側の意向にかかわらず、被害車両の所有者が自らの判断で実施できるものです。とはいえ、被害者にも信義則上、損害の拡大を防止する義務があり、速やかに修理や買替えに着手することが求められます。合理的理由を欠く被害者側の主張が原因で長期間の代車使用に至った場合は、一定期間以降の代車使用につき相当性が否定され、その間の代車料は被害者の負担となります。次のような裁判例があります。浦和地裁判決・平成3年10月29日修理協定成立までに時間を要した原因が、被害者が過大な修理というべき全塗装を要求していたことにあるとして、その期間に対する代車使用を否定しました。横浜地裁判決・平成22年12月27日修理可能な事案で新車買替えを要求するなどして修理着工の指示が遅れたことから、合理的な理由がない期間に対する代車使用料の祖払い義務はないとしました。保険会社側の原因で代車使用期間が長期化した場合加害者の示談交渉を代行する損保会社の担当者は、被害者との交渉において、法理論や実務上の通常の扱いを含め、合理的な損害賠償額の算定方法について被害者に十分な説明をし、被害者の理解を得て、迅速に解決に至るよう真摯な努力を尽くすことが求められます。保険会社側がその努力を尽くさなかったために、被害者が判断に迷い、態度を決めかねている間に時間が経過し、代車使用期間が長期化したと認められる場合は、その費用を加害者側保険会社が負担することになります。例えば、被害者側に落ち度のない追突事故において、加害者側保険会社としては、損害賠償額の算定方法にかかる説明と算定根拠の提示を行って被害者の理解を得ることの必要性は高いとし、次のように判決した裁判例があります。東京地裁判決・平成13年12月26日被害者が納得するための説明、交渉等に時間を要し、その結果、修理または買替手続に着手する以前の交渉等に費やされた期間中に代車料が生じたとしても、それが、加害者(損害保険会社の担当者)の具体的な説明内容や被害者との交渉経過から見て、通常の被害者が納得して修理または買替手続に着手するに足りる合理的な期間内の代車料にとどまる限り、加害者(損害保険会社)はその代車料についても当然に負担する責任を負わなければならない。代車の経費代車使用中のガソリン代やエンジンオイル代などの経費は、自分の車を使用していても要するものですから、損害とはいえず、加害者側に支払いを求めることはできません。まとめ被害車両を修理または買替えする間に代車を使用する場合、代車使用の必要性が認められれば、代車使用料を損害賠償請求できます。ただし、被害車両が高級車だからといって、同じ高級車を代車として借り受ける費用が認められるわけではありません。また、代車を借りている期間すべてが認められるわけではなく、修理や買替えに要する相当期間が基準となります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通関係訴訟の実務』商事法務 435~439ページ・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 232~234ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 293~299ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 214~215ページ、240~246ページ・『新版 交通事故の法律相談』学陽書房 246~247ページ・『別冊凡例タイムズ38』18ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 287~288ページ・『交通事故と保険の基礎知識』自由国民社 192ページ・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 200~202ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 180~183ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 270~276ページ・『交通事故損害賠償保障法 第2版』弘文堂 342~343ページ・『交通事故損害賠償の手引』企業開発センター 55~57ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 50~52ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 96~99ページ
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  • 休車損害
    休車損とは?事故による休車損害が認められる要件と算定方法
    貨物自動車やタクシーなど営業用の自動車が事故により損傷し、車両の修理や買替えのために営業ができず損失が生じた場合、休車損(休車損害)が認められます。休車損が認められるための具体的な要件、休車損の算定方法について、詳しく見ていきましょう。休車損(休車損害)とは?休車損(休車損害)とは、事故により営業用車両が損傷し、修理や買替えのために使用不能となった期間、車両を運行していれば得られたであろう営業利益の損失のことです。その性質上、営業用車両についてのみ認められます。事故により減少した営業収益であり、物損における消極損害(逸失利益)の性格を有する損害です。基本的な考え方は、人損における休業損害と同じです。休車損は、交通事故によって通常生ずべき損害と解され(最高裁判決・昭和33年7月17日)、要件を満たせば損害賠償を受けられます。休車損は、車両を使えなかったことにより生じる損害ですから、代車を使用することができ、代車料が認められる場合には、休車損の請求はできません。休車損が認められるための要件休車損が認められるには、次のような要件を満たすことが必要です。その立証責任は、被害者の側にあります。被害車両が営業用車両であり、代車の調達が困難であること休車損は、車両を運行していれば得られたであろう営業利益の損失ですから、その車両が営業に用いられ、利益を上げていたことが必要です。また、代車を利用できる場合には、代車料を請求すればよいので、休車損が問題となるのは、代車の調達が困難である場合ということになります。つまり、休車損は、通常は緑ナンバーの営業車両(タクシー、ハイヤー、路線バス、観光バス、営業用貨物トラックなど)で発生します。緑ナンバー車両による運送業は、許認可の関係があり、レンタカー等を使用して行うわけにいきません。休車損とは、白ナンバー車両の代車料に代わって、緑ナンバー車両の稼働できない期間の営業利益を補償するものです。ただし、白ナンバー車両は休車損を請求できない、というわけではありません。例えば、冷蔵車など設備のある特殊な車両は、代車を調達することが困難ですから、白ナンバー車両であっても、休車損が認められる場合があります。また、営業免許を有していない白ナンバーの営業車であっても、行政法規違反による制裁の問題と私法上の損害賠償の問題は別ですから、休車損害の賠償請求は認められる場合があります(最高裁判決・昭和39年10月29日)。利用可能な遊休車が存在しないこと利用可能な遊休車(代替車両・予備車両)を保有していれば、事故車両の代わりに遊休車を稼働させることで、休車損の発生を回避できます。したがって、利用可能な遊休車が存在する場合は、休車損が否定されます。被害者も、信義則上、損害の拡大を防止する義務を負っているので、遊休車があればそれを利用して、損害の拡大を防止することが求められるのです。ただし、遊休車を保有していれば、休車損が否定されるわけではありません。ポイントは、保有している遊休車が、事故車の代わりに利用できる状態にあるか否かです。遊休車を保有していても、遊休車の活用が容易でない場合にまで、それを強いることは相当ではない、とされています。例えば、その車両が車検や定期点検中である場合や、遠隔地の営業所にあり回送に時間や費用がかかる場合、運転者の手配が困難である場合などです。利用可能な遊休車が存在しないことの立証利用可能な遊休車が存在しないことの立証責任は、休車損の発生を主張する被害者側にあります。立証方法は、保有車の実働率、保有台数と運転手の数、運転手の勤務体制、営業所の配置・配車数、仕事の受注体制などから、被害者が保有車をできる限り稼働させていたことを証明すれば足りるとされています。路線バスのように、法令上、予備車両の保有が事業許可の条件となっている場合は、予備車両によって代替することが想定されているので、特段の事情がない限り、休車損の請求は認められません。営業収入の減少休車損の賠償は、事故車両の休車にともなう営業利益の損失を補填するものですから、被害者の営業収入の減少を要件とする場合があります。ただし、現在の裁判実務では、営業収入の減少がない事実のみを理由に、休車損の発生を否定することはありません。営業収入は、事故車の稼働状況だけでなく、被害者の営業努力や景況などによっても左右されるからです。例えば、営業用普通貨物自動車の事故につき、被害者は事故前と同程度の売上を確保していたが、それは被害者の営業努力による面も大きいとして、休車損を認めた裁判例があります(名古屋地裁判決・平成15年5月16日)。このようなことから、単に営業収入減少の有無のみならず、その原因にも着目して判断しているのです。営業収入の減少は、休車損を認定する際に考慮はされますが、決定的な要素とはなりません。休車損の算定方法休車損は、被害車両によって得られるであろう 1日あたりの営業利益に、休車日数を乗じて算定されます。1日あたりの営業利益は、被害車両が稼働した場合の1日あたりの営業収入(売上高)から、稼働に必要とされる経費を控除して算出する方法が一般的です。つまり、休車損は、次の計算式で算定されます。休車損 =(1日あたりの営業収入-経費)× 休車日数なお、営業利益は、経費を控除する方法以外にも、営業収入に利益率を乗じて算出する方法もあります。事故車の1日あたりの営業収入の認定方法事故車両の1日あたりの営業収入は、人損における休業損害の場合と同様に考え、事故直前の3ヵ月間の実績にもとづき算出します。ただし、季節により売上高に変動がある業種等については、事故前年の1年間の売上高を見た上で適宜修正する方法をとるなど、別途考慮されます。事故車両が大型観光バスであった事案について、休車時期の前年同期の稼働実績にもとづき、被害車両の事故前の売上を算定した例もあります(京都地裁判決・平成12年11月9日)。営業収入から控除する経費営業収入から控除する経費とは、事故車両を運行できなかったことで支出を免れた経費です。つまり、燃料費、修繕費、有料道路通行料など、車両の実働率に応じて発生額が比例的に増減する変動経費です。車両の減価償却費、自動車保険料、駐車場使用料などの固定経費は、休車期間中も支出を免れないものですから、控除しません。人件費は、乗務手当など支出を免れる部分(変動経費的な部分)は控除しますが、固定給など休車期間中も支出を免れない部分(固定経費的な部分)は控除しません。休車日数休車損が認められる休車期間は、事故車を修理するのに相当な期間、または、買替えに要する相当な期間です。休車期間(休車日数)の相当性は、基本的に代車の使用期間と同様の考え方です。売上高・経費の立証資料売上高や経費の立証資料として望ましいのは、損益明細表や輸送実績報告書です。これらは、監督官庁に提出されるものだけに客観性も担保されているといえるからです。個人の場合も同様に、確定申告書、納税証明書等の公的書類による証明が求められます。庸車損害貨物運送事業者は、原則として緑ナンバー車両を使用する必要があるため、代車手配が困難ないし不可能な場合が多く、事故車両が担っていた業務を外部業者に委託する場合があります。これを庸車といいます。庸車利用料(外注費)が発生した場合、庸車料の全額が損害とはなりません。庸車料から、庸車を利用することにより支出を免れた事故車両にかかる変動経費を控除した額が損害となります。まとめ営業用車両が事故により運行できない期間、代替車両やレンタカーの利用などができなければ、営業利益が喪失します。この損害を休車損(休車損害)といいます。休車損は、事故車両の1日あたりの営業収益と休車期間により算出します。休車損は、代車利用が困難な緑ナンバー車両の場合に発生し、代車料が請求できる場合には、休車損は請求できません。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『交通損害関係訴訟 補訂版』青林書院 234~237ページ・『交通関係訴訟の実務』商事法務 439~442ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 100~111ページ・『改訂版 交通事故実務マニュアル』ぎょうせい 202~204ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 184~186ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 52~54ページ・『交通事故損害賠償法 第2版』弘文堂 343~344ページ・『要約 交通事故判例140』学陽書房 290~291ページ・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 215~216ページ、234~239ページ・『事例にみる交通事故損害主張のポイント』新日本法規 277~280ページ・『新版 交通事故の法律相談』青林書院 300~304ページ・『交通賠償実務の最前線』ぎょうせい 212~216ページ・『交通事故損害賠償の手引』企業開発センター 57~58ページ・「東京地裁民事第27部における民事交通訴訟の実務について」別冊凡例タイムズ38号18ページ
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  • レッカー車
    事故車両のレッカー代、保管料、査定料・修理見積費用の損害賠償請求
    車両損害については、修理費や買替費用のほか、事故車両のレッカー代や保管料、査定料、修理見積費用なども損害として認められます。事故車両の引揚費用・レッカー代被害車両を事故現場から修理工場へ移動させるための引揚費用・レッカー代は、必要かつ相当な実費が損害として認められます。通常は、事故現場から直接修理工場へ 1回のレッカー移動で済みますが、諸般の事情により 2回のレッカー移動が不可避な場合もあります。この場合、2回のレッカー移動の必要性・相当性が認められれば、2回のレッカー移動費が損害として認められます。例えば、搬入する修理工場が休みであったり、修理工場内に保管スペースがない場合には、いったん事故現場から保管できる場所へ移動し、再度、修理工場へ移動させる必要性が認められます。ただし、このとき、保管場所として高額な貸駐車場に運び込んだような場合には、相当性は認められません。必要性・相当性の両方の立証が必要です。2回のクレーン移動費用が認められた裁判例(大阪地裁判決・平成13年12月19日)事故が起きたのが深夜であったことから、クレーン会社に事故現場から同社へ引き揚げてもらい、その後、同社から修理工場へ移動したケースです。自走不能のため、クレーンによる移動が必要だったこと。深夜の事故だったので、一旦事故現場からクレーン会社に移動させて保管する必要があったこと。クレーン会社が自社に一旦移動たことにつき、保管場所として適当であったこと。こうしたことから、裁判では、2度にわたる引揚の必要性・相当性が認められました。保管料保管料が発生するのは、2つのケースがあります。修理か買替かを検討するのに要する期間の保管料、証拠として保管する場合の保管料です。修理か買替か検討する期間の保管料は認められる経済的全損の場合、修理するか買い替えるか、見積もりを出してもらって検討する期間が必要です。修理か廃車かを判断するのに必要な相当期間の保管料は、事故と相当因果関係のある損害として認められます。証拠として保管するための保管料は認められない他方、事故態様に争いがある場合、車両自体が有力な証拠となりますが、通常は、車両の破損状態は車両の写真等によって確認することが可能です。そのため、車両自体が事案解明に不可欠であるような特段の事情がない限り、事故車両を証拠として保管するための保管料は、事故と相当因果関係のある損害とは認められません。被害車両の時価査定料・修理見積費用被害車両の時価額の査定や修理の見積もりは、修理が相当か、廃車・買替えが相当か、を判断するために必要ですから、損害として認められます。次のような裁判例があります。大阪地裁判決・平成16年2月13日加害者側で被害車両の修理見積書を作成したからといって、被害者側が修理見積をする必要はないということはできないとして、修理見積費用請求を認めました。横浜地裁判決・平成29年2月6日救急車について、修理のためには詳細な見積書を作成しなければならないとして、45万円という高額な修理見積費用の請求を認めました。その他の雑費その他にも、次のものが裁判で認められています。買替車両の整備費用全損となった被害車両の代替車両購入にともなう諸経費として、整備費用、エンジン調整費用、看板文字代が、損害として認められました。(名古屋地裁判決・平成6年11月30日)装置載せ替え費用業務上、装置を載せ替える必要があるとして、買い替えた新車に荷台とクレーンの載せ替え費用が損害として認められました。(東京地裁判決・平成11年2月5日)器機移設費用被害車両に搭載していたカーオーディオ、カーナビゲーション等の買替車両への移設費用が損害として認められました。(横浜地裁判決・平成24年6月21日)交通事故証明書の交付手数料被害者側が自費で交通事故証明書を入手した場合、その交付手数料が損害賠償の対象となります。(東京地裁判決・平成14年8月30日)まとめ車両損害に関わる雑費として、車両引揚費用・レッカー代、車両保管料、修理見積費用などが、事故と相当因果関係のある損害と認められ、損害賠償の対象となります。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 217ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 187ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 54~55ページ、66~69ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 112~113ページ
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  • カーナビ
    カーナビ、オーディオ、ドライブレコーダー、ETCの損害賠償請求
    カーナビゲーション、カーオーディオ、ドライブレコーダー、ETC車載器など、被害車両の付属品・装備品が交通事故で損傷した場合、修理可能であれば、修理費を時価額の範囲で損害賠償請求できます。修理不能で新しいものに取替えた場合には、時価相当額額の損害賠償を受けられます。車両が全損となった場合、標準装備品なら通常は車両価格に組み込まれていますが、後付けしたものであれば、その時価額を車両価格に加算して損害賠償請求できます。車両装備品・付属機器の損害算定最近の自動車には、カーオーディオ機器、ETC車載器、カーナビゲーション、ドライブレコーダーなどが搭載されていることが多くあります。したがって、事故が発生したら、こうした付属品も車両とともに損傷することは通常予見可能であり、付属品の損害も事故と相当因果関係のある損害として認められます。修理が可能なときは修理費を、修理不能の場合は時価額を、損害賠償請求できます。車両損害と同じく損害賠償額の上限は時価額であり、修理不能のため買替えたとしても、買替えに要した金額が、そのまま損害額と認められるわけではありません。標準装備か? 後付けか?車両が全損の場合、標準装備品であれば、通常、車両価格に装備品の価格も組み込まれていますが、念のため確認しておくべきでしょう。標準装備でない場合には、その付属品の時価額を別途算定し、車両本体価格に加算して請求することができます。東京高裁判決(平成28年11月10日)被害車両の事故前の価格を算定するにあたり、当該車両に設置された付属機器の価格が本体価格で評価されていないときは、本体価格に当該付属機器の価格を加えた合計額をもって被害車両の価格とすべきである。それでは、車両付属品の時価額は、どのように算定するのでしょうか?車両付属品の時価額の算定方法車両本体の時価額は、中古車流通市場が確立されていますから、同種同等の中古車価格をもって時価額を証明できます。しかし、車両付属品については、自動車のように中古品の流通市場が確立されているとはいえませんから、同等の中古品の価格をもって時価額を証明することは困難です。そのため、購入価格から減価償却の方法により減額して、時価額を算定する方法によるのが一般的です。付属品の購入金額や購入時期が、領収書等を保管していないため明確でない場合は、被害者の記憶にもとづいて、だいたいの時期や金額を申告することになります。もっとも、申告した額がそのまま認められるわけではなく、同種の商品の新品価格を示したり、クレジットカードの購入履歴を確認するなどして、何らかの客観的な証拠を示し、証明することも必要でしょう。車両付属品の損害賠償を認めた裁判例車両付属品の損傷の損害賠償を認めた裁判例として、次のようなものがあります。大阪地裁判決(平成26年1月21日)自動車の購入から約1年経過したころに事故が発生し、車両が全損となった事案です。車両購入時の取り付けたメーカーオプション(タイヤ、セーフティシステム、クリアランスソナー、ムーンルーフ)について、いずれも車両の価値向上に資するオプションで、かつ容易に他の車両に転用が効くものではないことを理由に、その価格を車両時価額に加算して計算すべきとしました。車両本体価格が事故時に新品の8割程度の価格になっていたことから、オプションの新品価格(32万5,500円)の8割(26万400円)を車両価格に加算しました。東京地裁判決(平成28年6月17日)高級品のアルミホイール4本等が取り付けられていた車両が事故により損傷した事案です。事故前の被害車両価格を算定するにあたっては、純正品の価格(4本分18万400円)と高級品の価格(4本分55万6,000円)との差額を考慮するのが相当であるとしつつ、高級品の価格は新品の価格であるから上記差額をそのまま加算することはできないとして、被害車両の初年度登録年月日や事故発生日等を考慮して、上記差額の6割(22万5,360円を車両本体価格に加算しました。名古屋地裁判決(平成29年3月29日)交通事故により損傷した車両にタイヤホイール、エアクリーナー、ハードトップ(屋根)、マニホールド、マフラー、スポイラー等の部品やスピードREU(コンピュータシステム)の変更が行われていた事案です。被害車両はロードレース用の競技車両であり、取付部品は違法性がないから、取付部品は付加価値として評価するのが相当であるとしつつ、各部品の取り付けから約1年から2年半程度経過しており、一定程度消耗していることが推測されること等を考慮して、取付費用等の合計額の70%を事故と相当因果関係のある損害と認めました。事故と付属品損傷の因果関係が争われることも事故で車両が損傷した場合、車両装備品・付属品も損傷し得ることは、通常予見できることですから、車両本体とともに損害賠償の対象となり得ます。ただし、衝突の箇所や衝撃の程度によっては、装備品・付属品の損傷と事故との相当因果関係が争いとなることがあります。相当因果関係を認めなかった事例として、次のような裁判例があります。横浜地裁判決(平成30年5月18日)加害車両が被害車両の後部に追突した事故であり、車両の損傷状況からうかがわれる事故の衝撃の大きさを考慮しても、事故により、被害車両の前方に搭載された搭載品(カーナビやETC車載器など)が損傷することが当然に想定されるとはいえず、搭載品が損傷したことを示す証拠もないことから、事故によりこれらの搭載品が損傷したことの事実を認めることはできない。まとめカーナビゲーション、カーオーディオ、ドライブレコーダー、ETC車載器など、被害車両の付属品の損害については、損害算定の際、被害車両本体の価格に含まれていない場合には、付属品の価格を車両価格に加算することができます。ただし、その価額は、購入時から事故発生時までの経過期間等を考慮し、購入価格から減額されます。交通事故による被害・損害の相談は 弁護士法人・響 へ弁護士法人・響は、交通事故被害者のサポートを得意とする弁護士事務所です。多くの交通事故被害者から選ばれ、相談実績 6万件以上。相談無料、着手金0円、全国対応です。交通事故被害者からの相談は何度でも無料。依頼するかどうかは、相談してから考えて大丈夫です!交通事故の被害者専用フリーダイヤル 0120-690-048 ( 24時間受付中!)無料相談のお申込みは、こちらの専用ダイヤルが便利です。メールでの無料相談のお申込みは、公式サイトの無料相談受付フォームをご利用ください。評判・口コミを見てみる公式サイトはこちら※加害者の方や物損のみの相談は受け付けていませんので、ご了承ください。【参考文献】・『プラクティス交通事故訴訟』青林書院 217~218ページ・『Q&Aと事例 物損交通事故解決の実務』新日本法規 114~117ページ・『物損交通事故の実務』学陽書房 72~73ページ・『交通賠償のチェックポイント』弘文堂 189~190ページ
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