仮払い仮処分の申立て

Point
  • 加害者や任意保険会社が当面の治療費や生活補償費の支払いを拒否しているとき、仮払い仮処分の申立てをすれば、裁判所に仮処分命令を出してもらうことができます。
  • 被害者とその家族の生活の困窮が危機的状況にあることを立証しなければならないので、仮払い仮処分の申請は弁護士に相談することをおすすめします。

 

目次
  1. 自賠責の仮渡金で足りなければ仮払い仮処分を申し立てる
  2. 仮払い仮処分が認められる条件
  3. 裁判所の仮払い仮処分命令が出ると強制執行が可能
  4. 仮払い仮処分の申請が有効なケース
  5. 仮払い仮処分の手続きは弁護士に頼まないと難しい
  6. まとめ

 

自賠責の仮渡金で足りなければ仮払い仮処分を申し立てる

治療費や入院費、生活補償費など当座の費用を加害者側が支払ってくれないとき、まずは、自賠責保険の仮渡金を請求します。

 

ただし、自賠責の仮渡金は、支払額が決まっています。死亡事故でも290万円。傷害事故の場合は、傷害の程度に応じて、40万円、20万円、5万円が支払われます。入院・治療が長引けば、とてもこの金額では足りないでしょう。

 

そんなときは、裁判所に損害賠償金の仮払いを求める仮処分を申し立てます。

 

仮払い仮処分とは、損害賠償問題が最終的に解決するまでの間、一定額の治療費や生活補償費を被害者側に支払え、という裁判所の命令です。

 

仮払い仮処分が認められる条件

仮払い仮処分を裁判所に出してもらうには、条件が2つあります。

 

  1. 損害賠償請求訴訟で、被害者側に勝訴の見込みがあること。
  2. 被害者とその家族の生活が困窮し、生存を維持するうえで仮処分が不可欠であること。

 

この2つを被害者側で証明しなければなりません。

 

なお、仮払い仮処分で請求できるのは、治療費と最低生活補償費くらいです。交通事故で賠償請求できる損害には、治療費のほか、休業損害、逸失利益、慰謝料などがありますが、これらの仮払いは難しいと考えた方がよいでしょう。

 

仮払い仮処分は、交通事故により被害者とその家族の生活が困窮しているとき、その生存を維持するために、損害賠償がなされるまでの間、当座の費用を仮に支払うものです。

 

裁判所の仮払い仮処分命令が出ると強制執行が可能

裁判所の仮払い仮処分命令が出ると、ただちに強制執行が可能です。加害者の家財道具、事業をやっていれば機械や商品などの動産を差押え、競売にかけ現金にすることができます。

 

ただし、仮払い仮処分命令が出ると、強制執行するまでもなく、通常は加害者から自発的に支払いがなされます。

 

最近は、任意保険に被害者の直接請求権が付与されている場合がほとんどです。その直接請求権にもとづき、保険会社を相手として仮払い仮処分を申請することができます。裁判所の仮処分命令が出れば、保険会社は直ちに支払いに応じます。

 

仮払い仮処分を申し立てると、裁判所は、数日中に相手方を呼び出し、審理します。通常の裁判のように「何ヵ月もかかる」ことはありません。

 

一般的には、裁判所が相手方を呼んだ段階で和解を勧告し、和解成立となることが多いようです。和解にも、仮処分命令と同じ効力があります。

 

仮払い仮処分の申請が有効なケース

次のような場合に、仮払い仮処分を申請すると有効です。

 

  1. 加害者側が、被害者にも過失があり、これ以上は過失相殺で支払わないと主張しているケース。
  2. 加害者側が、被害者側の急迫に乗じ、定額の示談金を提示し、応じなけらば裁判を起こし解決を長引かせようとしているケース。
  3. 加害者が任意保険に加入しておらず、内払に一切応じないケース。

 

仮払い仮処分は、裁判所による仮処分命令、あるいは裁判所が間に入っての和解となりますから、その威力は大きく、加害者や保険会社が支払いを拒否している場合に、絶大な効力があります。

 

仮払い仮処分の手続きは弁護士に頼まないと難しい

仮払い仮処分の申請手続きは、弁護士に依頼することをおすすめします。損害賠償請求訴訟で勝訴の見込みがあること、被害者側の生活の困窮が危機的状況にあることなどの立証が必要だからです。手続き上も法的知識が必要です。

 

現実的に、弁護士を頼まないと、仮処分命令を勝ち取ることは困難です。

 

とはいえ、仮払い仮処分を申請したいという方は、生活が困窮している方です。弁護士費用が心配でしょう。

 

そういう方のために、法テラスがあります。法テラスに相談して弁護士を紹介してもらうと、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれますから、あとで分割払いが可能です。

 

また、このサイトでは、交通事故被害者からの相談無料・着手金0円、しかも交通事故の賠償問題に強い弁護士事務所をご紹介しています。弁護士選びの参考にしてみてください。

 

弁護士費用が心配な方は、まず、あなたの任意保険に弁護士費用特約(弁護士保険)が付いていないか確認してください。もし、あなた自身が付けていなくても、家族の誰かが弁護士費用特約を付けていれば、それを利用できます。

 

弁護士保険があれば、300万円まで弁護士費用が保険で補償されます。

まとめ

当座の治療費や生活費に窮する場合は、自賠責の仮渡金を請求するほか、裁判所に仮払い仮処分を申請することができます。自賠責の仮渡金で足りない場合は、仮払い仮処分を申請するとよいでしょう。

 

仮払い仮処分は裁判所による命令ですから、加害者や相手方保険会社が様々な口実で支払いを拒否しているときに有効です。

 

ただし、損害賠償請求訴訟を提起したときに勝訴の見込みがあること、被害者とその家族が交通事故げ原因で生活が困窮していることについて、被害者側で証明しなければなりません。弁護士に依頼することをおすすめします。

 

「弁護士を頼む費用もない」というのが現実でしょうから、そういう場合は、法テラスに相談するか、このサイトでご紹介している相談無料・着手金0円の弁護士事務所に相談するとよいでしょう。

 

弁護士に相談・依頼すると、仮払い仮処分を申し立てることなく、弁護士が相手方と交渉し、治療費や生活補償費の支払を勝ち取ってくれる場合もあります。

 

まずは、無料相談を利用して、弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

弁護士法人・響

 

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